野口様 : 株式会社イオンファンタジーは、イオンモールなどのショッピングセンターに併設するアミューズメント施設(屋内遊戯施設)を運営しています。クレーンゲームやメダルゲームなどを設置した「モーリーファンタジー」といった主力事業であるファミリー向けアミューズメント施設のほかにも、室内でお子さまが安心して遊べるプレイグラウンド「スキッズガーデン」や「キッズーナ」、スマホで操作するオンラインクレーンゲーム「MOLLY.ONLINE(モーリーオンライン、URL: https://www.molly.online/)」などオンライン事業も展開しています。 店舗数は2022年10月についに世界で1,000店舗を突破、現在1,085店舗を運営しており(※)、国内の従業員数はパート・アルバイトを含め約5,000名が在籍しています。店舗運営においては、子ども達の遊び場を制限せざるを得ない社会的な背景を踏まえて、安心・安全への取り組みにも力を入れています。
※ 2023年5月時点の店舗数
ー イオンファンタジーのDXへの取り組み状況を教えてください。
野口様 : 2021年に策定した中期経営計画の中でDXを推進していく方針が決まり、そこを起点にペーパーレス、あらゆる業務のデジタル化に注力することとなりました。それまでのIT活用は、基幹システムを維持運営してようやく業務を回しているというレベルでした。現在ではすでに利用が定着しているITツールもありますが、それ以前は本社のバックオフィスでも、店舗運営にも紙文化が残っている状態でした。さらには、あらゆるデータをExcelで管理するということが常態化していました。このままだとどうしてもマンパワーがかかってしまいます。そこで徐々にデジタル活用による業務改善の取り組みが走り出してきており、今ようやくその足がかりができてきたというところです。紆余曲折、成功も失敗もありますが、挑戦しています。店舗運営においても、顔認証の入室システムや、日々の店舗情報を表示する「店舗ポータル」というシステムを内製し、ディスプレイを各店舗の事務所に設置して、ITの活用を進めています。
ー カミナシを導入した背景を教えてください。
野口様 : 私が所属するIT戦略グループがDXの推進を担っていますが、私が上司から最初に取り組んで欲しいと伝えられたテーマが「ペーパーレス」でした。ペーパーレスに関しては当時、大きく分けると2つの課題がありました。まず、店舗のさまざまな場所に紙があって管理も大変、という状況。そして、5〜10店舗を統括するエリアマネジャーがいるのですが、定期的に店舗の状況を確認するのに、店まで足を運んで紙まで見ないとわからないということ。創業時からずっとあったその2つの課題を解消するために、電子ツールの導入を検討しました。 店舗ではその電子ツールを見れば店舗の業務に対処できる、エリアマネジャーはその電子ツールを見れば店舗まで行かなくても状態が把握できる、ということがツール選定のキーポイントでした。
ー 紙を電子化するツールはどのように選定されましたか。
野口様 : ITツールの導入にあたって、私たちは使いやすさを重視しています。当社が運営する店舗では、高校生からシニアの方まで幅広い年齢の方がスタッフとして働いていますので、老若男女が分け隔てなく使いやすい、ということを考えてツールの選定、導入、開発などを進めています。カミナシを最初に知った時は、名は体を表すという言葉の通り、わかりやすい名前で、使いやすそうだなと。他にもいくつかのツールを調査して、チェックリストを作り、比較検討しました。店舗ごとに必要なチェックリストを、管理者がスケジュールを設定してすべての店舗に展開できる機能が良かったです。これができると、店舗でスタッフが、自分で作成しなければならないチェックリストはどれかを探して選ぶ必要がなくなるんです。そして、1日のチェックリストをすべて終わらせると、最後に「完了」のお知らせがトロフィーと一緒に表示される。それがとてもよかった。やはり当社はアミューズメントやプレイグラウンドを運営する「遊び」の会社で、面白さ、遊び心をすごく大切にしているので、そういった仕掛けが自分たちにあっていると感じました。 また、カミナシの管理画面で秀逸だなと思ったのが、「組織設定」です。組織を階層で持てるというのが、なかなかありそうでない機能なんですよね。当社の場合、事業部、エリア、店舗という形で権限が分岐しているので、それをツール上で再現できることが、管理面で利便性が高いと思ったポイントです。
ー 約450もの店舗にはどのように展開されましたか。
野口様 : 店舗に展開するまで半年くらいかかりました。おもに時間がかかったのがチェックリスト(入力するひな形)を作成する作業で、できたものを各店舗に展開していく部分はスムーズにできました。店舗数が約450店舗とどうしても数が多いため、導入するツールによっては数ヶ月かけて段階的に展開していくこともあります。ただ、カミナシの場合は最初に10店舗でテスト導入した後、1ヶ月で残りの全店舗に展開しました。エリアマネジャーには事前に説明はしましたが、店舗のメンバーには「これからこのツールを使いはじめることになりました」という業務連絡のみ。そこで一気に90%まで利用率があがりました。
ー 店舗での反応はどうでしたか。
野口様 : ツール自体が使いやすいからか、導入への抵抗もあまりなく、説明会を開いたり、細かいマニュアルを用意したり、ということは特にしませんでした。紙とカミナシの内容はまったく同じにしていて、今まで紙に「○」「×」と書いていたものが、タブレットで「○」「×」を選択するだけの違いなので、使い方がわからないという問い合わせはないですね。
佐藤様 : 新しいツールを導入するとなると、店舗スタッフが使ってくれるかどうかが定着のカギとなります。老若男女、幅広い年齢層の方がいて、10年、20年同じ店舗で働いている方も多く、新しいツールの導入に抵抗感を持たれることは少なくありません。しかし、カミナシに関しては、そういう意見がなかった。それがすごく大きかったなと思います。また、店舗に新しいツールを導入する際には、「使えない」「使い方がわからない」という意見も結構きます。ツールによっては利用率が60%にとどまり、そこから定着率が伸びずに数年たってしまうこともある一方で、カミナシは数ヶ月で95%まで伸びました。こちらで困ることはあまりなかったですね。不満が出なかったので助かりました。
野口様 : ツールにまとまったのでわかりやすいという良い反応はありますが、現場からの声は賛否両論あります。どのツールでも、利用に慣れるまでに時間がかかるものなので、そこは仕方ないなと。月に1、2回、ここをもっと改善して欲しいという意見をもらうことはあるので、そこは改善していきたいと思っています。
ー カミナシを導入してよかったことを教えてください。
佐藤様 : まず、紙だと使い続けるうちにボロボロになりますが、タブレットではそれがありません。さらに、タブレットだけで管理ができて、チェックできていないところを指摘してもらえるところが便利だと思いました。店舗の事務所があるバックヤードでは、クレーンゲームの景品のストックが大量にあるので、少しでも紙帳票の保管場所を削減したいという想いがあります。そうした紙がデジタル化されてなくなることで、景品の保管場所など有効なスペースが増えたのは大きいですね。
野口様 : チェックリストの数は、安心・安全を目的にしたもので年間7万枚、イベント時の売上管理を目的としたものを含めると、全店舗で年間4〜5万枚を扱っており、現在の導入効果は468店舗で月に660人時の削減、年間にすると8,000人時、紙の枚数は現時点で6万7500枚を削減できています。今後活用範囲を拡大し、年間12万枚の削減効果を見込んでいます。紙の時に発生していた印刷やファイリングといった作業を丸ごと削減することができました。想定より高い効果が得られたと考えています。そのほか、店舗の作業漏れを最終的にエリアマネジャーがチェックするという業務が元々ありましたが、店舗までわざわざ行かなくてもパソコンからカミナシの管理画面を開けば確認できるようになりました。最近では、「体調管理チェックリスト」をカミナシに取り込み、Excel出力機能で自動的に出力して提出することも実現できました。
佐藤様 : 帳票の記録時間を設定する、スケジュール機能を活用しています。店舗で接客をしていると記録を忘れてしまったり、どうしても後回しにしてしまうこともありました。スケジュール機能を利用して「残り何時間」と表示させることで、店舗として意識してやってくれるようになったと思います。安全品質という点に関しては、これまでチェックリスト自体の管理は各店舗に委ねていたのですが、カミナシに移行したことで管理画面にログインできる人は全員がチェックできるようになったのは大きな変化ですね。店舗も忘れずに記録できるし、それを本社でも見ることができるようになったのは、これからの安全性の担保に関わってくると思います。
ー 今後の展望について教えてください。
野口様 : 店舗の紙業務がすべてなくなったわけではないので、これからさらに店舗の紙、例えば伝票などをなくしていきたいです。また、監査対象となる業務で、まだ紙からデジタル化ができていない部分もカミナシでデジタル化できるとエリアマネジャーの業務負担はかなり軽減し、働き方を変えられると考えています。
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