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株式会社ジェイテクトエレクトロニクス

業種
機械製造業
導入規模
400名以上
利用目的
ペーパーレス化、業務効率化

自動車部品などの製造工程にカミナシを導入し、従業員の業務負担を軽減

年間約5万枚の紙を削減し、事前想定の約10倍もの導入効果を見込む

東京都小平市に本拠を置き、山梨県北杜市に工場を展開するジェイテクトエレクトロニクス。トヨタグループの主要会社に数えられるジェイテクトグループの子会社である同社は、全社的なデジタル化の取り組みを後押しするためカミナシを導入。約半年間で全ラインの70%にカミナシを導入し、事前想定の1.5倍の導入効果を生み出している。今後、同社は導入範囲の拡大を通じて、導入効果のさらなる引き上げを目指しており、社内の業務システムとの連携を通じて、事前想定の約10倍の導入効果を見込んでいる。

導入前の課題

  • CO2排出量削減/環境活動取り組みの文脈で、紙を減らし社会貢献したいと考えていた
  • 生産作業以外にまつわる事業活動でツールが導入される中、生産部門でも業務の効率化をしたいと考えていた

導入後の効果

  • 1ラインで100枚/月の紙の削減に成功、年間約5万枚、全体の8割の紙を削減予定
  • 本格運用から半年で全体ラインの70%まで利用し、企画時の1.5倍の費用対効果を実現
  • 導入ラインと業務範囲を点検作業以外にも広げることで10倍の費用対効果を見込む

年間販売台数は400万台
ジェイテクトグループのエレクトロニクス部門を一手に担う

トヨタグループ主要13社に数えられ、工作機械や自動車部品の製造販売を行うジェイテクトグループ。そのなかで、車載用電子機器やFA制御システムなどのエレクトロニクス部門を担うのがジェイテクトエレクトロニクスだ。同社は1955年にポータブルラジオのメーカーとして創業し、時代の流れとともに数々の製品を生み出してきた。2022年10月に、「ONE JTEKT」としてあらたな価値をお客様に提供するために前社名の光洋電子工業から商号変更。事業ブランドを一新した。現在は、東京都小平市に本社を置き、山梨県北杜市に工場を展開し、年間の製造点数は400万台にものぼる。

FA産業をはじめ、さまざまな産業分野を支えるジェイテクトエレクトロニクスだが、その一方で「安全」と「省力化」へのこだわりも特徴だ。ステークホルダーからの信頼を得るうえで、安全確保は第一条件。そのため、従業員への啓蒙活動や工場内安全の仕組みづくりを通じて、継続的な安全の向上に取り組んでいる。

また、近年ではデジタルを活用した省力化にも注力。2019年にはオフィシャルECサイトをリリースし、販路拡大とともに受発注プロセスの効率化を進めた。さらに、コロナ禍以降は積極的な設備投資により、製造工程の省力化を加速させ、約40%のラインで自働化を行った。

Jtectの皆さま

紙の帳票が全社で取り組む「省力化」を阻害
CO2排出削減なども目的に、カミナシを採用

こうした取り組みの一環として、カミナシは導入された。生産部兼車載電装統括室主査の山本真氏は、カミナシ導入に至る経緯を説明する。

「製造工程の自働化が進むなど、全社的にデジタル活用が進むなかで、生産部門としても何かデジタル施策を推進したいと考えていました。そのときに着目したのが、紙の帳票です。以前、当社の工場では、製造工程における記録や点検に紙の帳票を利用していたために多大な手間が費やされていました。特に負担が大きかったのが、記録や点検に伴う付帯業務です。紙の印刷、掲示、回収、確認、保管などの負担は決して小さくなく、こうした作業は毎日行われ、紙の帳票は日に日に増えていき、工場内のスペースを埋め尽くし、省力化も阻む要因でした。」

また、環境配慮の側面からも、紙の帳票のデジタル化は求められていた。ジェイテクトグループは「All for One Earth」を掲げ、全社一丸となった環境活動に取り組んでいる。2016年には2050年に向けた環境ビジョン「環境チャレンジ2050」を策定し、「低炭素社会の構築」や「自然共生・生物多様性」などを目標として掲げた。こうした取り組みを進めるうえでも、CO2排出の要因となる紙の帳票の削減が必要だった。

紙の帳票のデジタル化について思案していた山本氏は、ある日、受診した健康診断で大きなヒントを得る。健康診断を担当していた医師がタブレットに問診結果を入力していたのだ。この光景を目にした山本氏は「タブレットによる紙の帳票のデジタル化」を決意。展示会に参加するなどして、各種製品の比較検討を実施した。

その結果、選定されたのがカミナシだった。評価したのは、カミナシの直感的に理解しやすいUI。タブレットへの移行をスムーズに行うためには、従業員にとって利用しやすいシステムを採用しなければならない。また、ジェイテクトエレクトロニクスには、数多くの外国人従業員が勤務しているため、言語や国籍を問わず利用できるシステムが必要だった。その点、カミナシは人を選ばないシンプルなUIを採用しているほか、多言語対応機能も備えている。山本氏が求める要件を最も満たしていたのがカミナシだった。

製造ラインで紙帳票に記録する様子とカミナシを利用して帳票の記録をする様子

業務削減の効果を予測し、費用対効果を算定
カミナシの有用性をアピールして予算を確保

カミナシの導入には、いくつかの障壁も存在した。一つ目の壁が予算だった。ジェイテクトエレクトロニクスは、全社的にデジタル施策を推進しているなかで、予算を確保しなければならなかったが、カミナシの有用性を経営層にアピールしても、スモールスタートで構想したカミナシ導入では費用対効果が低く、稟議決裁まで結びつけることが困難だった。
しかし、2022年4月の組織体制を機会に全ライン展開への導入コンセプトにシフトし、記録や点検に関する付帯業務も工数費としてシミュレーション(帳票の棚卸)、活動ステップを2段階にし、環境と生産性のメリットを稟議書に盛り込み経営層に再度アピールをした。それによる費用対効果は第1ステップで1.7倍、第2ステップで7.8倍の業務効率の改善を見込んだ。この効果は経営陣からも大きな注目を集め、数回にわたるディスカッションを行いカミナシの導入が決まった。
 
さらに、もう一つの壁がシステムの定着だった。カミナシの導入を担当した生産本部生産管理部統括課主担当の谷脇豪氏は、導入時の取り組みについて振り返る。

「私自身はカミナシの導入に前向きでしたし、若い従業員にはスマホやタブレットのネイティブ世代も多いため、『これからの時代の工場はどんどんデジタルを取り入れるべき』という姿勢で導入にのぞみました。しかし、なかにはカミナシに抵抗を感じる従業員もいたようです。たしかに、従来の仕事の進め方が変わってしまいますし、一度にすべての紙の帳票をデジタル化できないため、導入当初の検証期間は紙の帳票とタブレットを同時に利用することになります。それによる負担増を考慮すれば、抵抗を感じるのも仕方ないのかもしれません。そのため、カミナシ導入時には従業員がシステムを受け入れやすい環境整備に努めました。例えば、カミナシの操作説明をプリントアウトして工場の壁に張り出したほか、従業員の日々の動線を分析しタブレットの配置場所に保管スペースを設置するなどして、従業員がカミナシを利用しやすい環境を整えていきました。」

また、谷脇氏は「既存業務の本質を踏まえてシステムを導入すること」も重要なポイントだと語った。紙の帳票とタブレットでは記録の方法や手順が大きく異なる。そのギャップを埋めるためには、既存業務と導入後の業務がどのように違うのか、どの点が共通しているのかを導入側がしっかり理解し、従業員に本気で対話し伝えていくのが重要だという。

こうした取り組みを通じて、ジェイテクトエレクトロニクスはカミナシの導入を推進。徐々に導入範囲を広げながら、紙の帳票のデジタル化を進めていった。

写真を用いることで点検の品質を上げていると製造ラインで初物・終物点検を実施する様子

半年間で全ラインの70%にカミナシを導入
導入当初の10倍もの費用対効果を見込む

ジェイテクトエレクトロニクスは、導入開始から約半年間で全ラインの70%でカミナシの導入を完了した。デジタル化した紙の帳票は「初物終物点検表」「製造設備点検表」「メンテナンスリスト」などの5種類以上であり、1つの製造アイテム分類としては約500枚の紙が削減されている。さらに、これらの帳票については、紙の印刷から保管までの一連の工程が半分以下に省略され、大幅に業務が効率化された。その効果は事前の想定を大きく上回っており、当初見込んでいた1.5倍の費用対効果が見込まれている。同社はさらに導入範囲を拡大しており、全ラインへのカミナシ導入を目指す。さらに、生産管理などを行う業務システムとの連携も検討しており、これが実現すれば事前に想定していた以上の費用対効果が見込める。

こうした効果は現場の従業員にも実感されている。生産部生産2課の小林文治氏はカミナシ導入後の変化について説明する。
「私が所属する生産2課は、月間8,000枚以上のレポートを作成し、500枚以上の紙の帳票を削減しました。また、個人的に大きいと感じているのが付帯業務の削減効果です。特に、私の場合は『紙の帳票を探す時間』が大幅に削減されました。以前は、必要な情報を探す際には、一度ラインから離れて、保管されているファイル群のなかから紙の帳票を探し出さなければならなかったのですが、現在はそうした手間は不要です。手元のタブレットから情報を確認できるため、工場内を歩き回る必要はなくなりました。これにより、私は1日1時間ほどの業務時間を削減できました。」

そのほか、小林氏は写真撮影機能による業務効率化も実感している。カミナシはタブレットで撮影した写真をひな形に挿入・添付できる機能を備えているため、設備の点検などを画像で行うことができる。この機能により、小林氏は設備の異常などを正確かつ詳細に報告・情報共有できるようになり、引き継ぎ作業が容易になった。

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今後はライン全体へのカミナシの導入を進め、
全社的な省力化を加速したい

現在、ジェイテクトエレクトロニクスは、カミナシの展開をさらに加速し、全ラインへの導入を進めている。さらに、作業要領や指示書などの管理文書の一部にも使用しており、適用ラインの拡大と同時に、カミナシが持っている機能を使い、多様性を試行している。デジタル上での文書管理は、ISOやIATFなどの国際規格の審査対応も大幅に効率化される付帯効果もある。その実現に向け、同社はカミナシの運用を高度化していく方針だ。

そして、その先に見据えるのが、さらなる省力化の推進だ。各業界で人手不足が叫ばれる昨今、ジェイテクトエレクトロニクスにとっても省力化は喫緊の課題となっている。生産部 部長 兼 FA 事業統括室主査の保坂卓氏は、こうした課題にカミナシが一定以上の貢献を果たしていると話す。
「当社が工場を有する山梨県は、生産年齢人口が年々減り続けており、これからも減少の見込みです。そのため、ラインの自働化をはじめとした省力化は避けられない取り組みであり、今後も注力しなければなりません。そうしたなかで、点検作業などの付帯業務も削減できるカミナシには大きな期待を寄せています。ステークホルダーからの満足度向上のため、今後も、運用を高度化しながら、さらなる無駄な業務を削減し、人手不足にも対応できる筋肉質な組織を築いていきたいと思っています。」

ジェイテクトエレクトロニクスのカミナシ導入は、まだ道半ばにある。今後、どのようにシステムを展開し、成果を上げていくのだろうか。今後の取り組みからも目が離せない。


TEXT:島袋龍太

 

現場のこだわりポイント

従業員だけに留まらない「安全への高いこだわり」

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ジェイテクトグループでは、従業員はもちろんのこと、お取引先さまも含めて「安全」に対する高いこだわりを持って工場運営を行っている。「安全」に対する高い意識を現場へ浸透させるために、目に見える掲示物の工夫や日々の声掛けなど、習慣的な活動を実施している。

 

 

 

 

 

 

▼導入推進者さま向け動画

 

 


※本内容は2023年10月現在のものになります。
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