200年以上の歴史を誇る老舗温泉旅館が、ITツール活用により効率的で働きがいある職場づくりを推進サムネイル画像

合資会社古屋旅館

業種
サービス業
導入規模
51〜100名
利用目的
ペーパーレス

200年以上の歴史を誇る老舗温泉旅館が、ITツール活用により効率的で働きがいある職場づくりを推進

熱海で200年以上に渡って温泉旅館を営む古屋旅館は、紙の帳票で行っていた管理業務を効率化し、コスト削減や従業員の業務負担軽減を推進するためカミナシを導入。温泉のお湯の温度管理をデジタル化し、業務効率化や記録漏れ防止などを実現しました。
今後はカミナシの活用範囲をさらに拡大し、調理場のHACCP対応やナイトフロント業務、客室清掃などのデジタル化を進めるほか、マニュアル共有のプラットフォームとしても利用していく方針です。
カミナシの導入の経緯や現在の活用状況などについて、代表の内田宗一郎様と導入を担当したフロントサブマネージャーの加藤駿一様にお話をお伺いしました。

課題

  • コスト削減のための業務効率化が求められていた
  • 作業中にマニュアルを確認できない
  • ナイトフロントの業務がブラックボックス化

古屋旅館について

熱海で200年以上の歴史を誇る、情緒あふれる温泉旅館

──古屋旅館について教えてください。

内田様:当館は、1806年の創業以来、200年以上に渡って、熱海で温泉旅館を営んでおります。熱海の中心街に位置し、海にも徒歩1〜2分という立地ながら、歴史と伝統が色濃く感じられる宿です。
お部屋は全館数寄屋造り、お風呂は江戸時代より湧き出ている熱海七湯の一つ「清左衛門の湯」を使用した温泉、そのほか敷地内には石碑や神社などもあり、長い時間のなかで培われた風情が息づいています。客室数は26室、従業員数はパート社員を含めて65名です。

一方で、当館は従業員の離職率が極めて低いのが特徴です。昨今は、どの業種でも入社1年以内に退職するケースが少なくありませんが、当館では入社3年以内の離職率はほぼゼロ。客室、フロント、調理ともに人員はおおむね充足しており、人手不足を感じることもほとんどありません。

こうした体制の背景には、当館の「人を大切にする経営」があります。お客様が旅館を選ぶ際に最も気に留めていらっしゃるのは接客です。また、最もクレームに繋がりやすいのも接客であり、旅館業にとって接客を担当する従業員は極めて重要な存在です。
そのため、当館では、従業員が業務にやりがいをもってのぞめるような環境づくりに力を入れています。例えば、従業員評価制度の整備や福利厚生の充実、ITツールの活用などです。なかでも、ITツールの活用には積極的で、これまでも社内SNS、勤怠管理システム、マニュアル作成・共有システムなど、数々の製品を導入して、業務の効率化や従業員の負担軽減を進めてきました。

case_furuya_5_
▲合資会社古屋旅館 代表取締役 内田宗一郎様

導入前の課題

管理業務の可視化やナイトフロントの教育体制の確立が急務だった

──カミナシ導入前の課題を教えてください。

内田様:当館は、それほど規模の大きな旅館ではありませんが、お客様の衣食住をご提供するため、さまざまな管理業務を行わなければいけません。それらの管理業務には紙の帳票を用いているのですが、この作業にかかる手間は少なくありませんでした。特に、最近では円高による原材料高騰などもあり、業務効率化による無駄なコストの削減が急務になっていました。

また、教育の体制にも課題がありました。当館には、未経験の中途入社の従業員が数多く在籍しているため、マニュアルの活用が欠かせません。
そこで、マニュアル作成・共有システムを導入。さまざまな業務のマニュアルを動画やテキストなどで作成していましたが、従業員がタブレットを携帯しているわけではないため、実際の作業中にはマニュアルは閲覧できず、事務所でマニュアルを確認するといった体制でした。業務効率を考慮すれば、作業中にマニュアルを閲覧できるのが理想なのですが、どのように実現すればよいか頭を悩ませていました。

さらに、ナイトフロントについては「業務がブラックボックス化しがち」という課題もありました。深夜帯に勤務する従業員には、直接、指導を行いづらいですし、所定の業務を決められた通りに実施しているか確認する方法がありません。深夜帯には予想もつかないトラブルが発生するものですし、不測の事態にもしっかり対応できる従業員を養成しなければいけません。その意味でも、ナイトフロントの状況を可視化し、適切な教育を施せる体制が求められていました。

選定理由

業務効率化だけでなく「マニュアル共有」や「データ利活用」も可能な点に惹かれた

──カミナシを知った経緯についてお聞かせください。

内田様:業務効率化を推進できるITツールを探しているなかで、カミナシに出会いました。最初の印象は「当館でも使えそう」です。WEBサイト内に掲載されていた某大手ホテル様の導入事例を拝読して、当館での利用イメージが湧きました。

その後、カミナシと同様のITツールと比較しようとリサーチを続けたのですが、結局、カミナシと類似するITツールは見つからず、導入を決めました。また、他業種の導入事例を読み込むなかで、管理業務の効率化だけでなく、マニュアル共有やデータ活用のプラットフォームとしても利用できることを知ったのも導入の決め手でした。

──導入の推進体制や導入プロセスを教えてください。

内田様:従来、ITツールの導入は私が中心となって進めていたのですが、最近ではITに長けた従業員も増えてきているため、サブマネージャーの加藤を担当者として導入を推進することにしました。

中小企業では、人員やリソースの不足から、何でも社長が音頭を取って取り組みを進める傾向があります。しかし、社長はさまざまな業務で忙しいですし、人材育成の観点からも、何でも社長が引き受けるのは避けたほうがよいのではないかと思います。
カミナシの導入も同様で、専任スタッフを付けて、従業員にゼロから操作方法などを習得してもらうのが、成功への近道ではないでしょうか。

加藤様:導入当初は、従業員から「紙のほうが記録しやすいんじゃないの?」といった声もありました。しかし、実際にカミナシを利用してもらうと、シンプルな操作や画面レイアウトに従業員もすんなり慣れていきました。
結果的に、カミナシはスムーズに定着していきましたし、今では不便だという声は聞こえてきません。やはり、導入時には「従業員に実際に触ってもらって、利便性を感じてもらう」のが大切なのだと思います。

case_furuya_2
▲合資会社古屋旅館 フロントサブマネージャー 加藤駿一様

導入の成果 

より適切な温度管理が実現。データの利活用による管理業務の品質向上も可能に

──現在、カミナシをどのように利用されていますか。

内田様:現在は大浴場の温度管理と塩素濃度の測定にカミナシを利用しています。温泉旅館にとって、大浴場のお湯の温度管理は極めて重要な業務です。なかでも、源泉掛け流しのお湯に関しては、天然の熱だけで41〜42℃の温度を保たなければならないため、非常に細かな管理が必要になります。
以前は、この作業を2~3時間ごとに紙の帳票に記入して記録していたのですが、それをカミナシに移行しました。これにより、小数点単位での精緻な温度管理が可能になり、記録漏れも削減されています。

また、お湯の温度変化をPCやタブレットで一覧できるようになったのも大きいです。紙の帳票ではなかなか追いきれない、季節ごとの温度変化を正確に把握できるのではないかと期待しています。

加藤様:データの蓄積・利活用の効果は私も感じています。特に有効だと思うのは、カミナシ上のデータをExcel形式で出力できることです。これまでの紙の帳票の場合、回収・集計・保管に多大な手間を要するため、データの振り返りまで手が回らないのが正直なところでした。
それが、瞬時に蓄積・利活用できるというのは、管理業務の品質を保つうえで非常に効果的だと思います。温度管理に限らず、今後は施設や設備の予兆保全にも活用できるのではないでしょうか。

内田様:現状は温度管理のみにしかカミナシを導入していませんが、今後は調理場のHACCP対応やナイトフロント業務、客室清掃など、幅広い範囲に活用を広げていくつもりです。特に、カミナシを活用すれば、ナイトフロントのブラックボックス化を解消できると見込んでいます。
カミナシは管理業務の抜け漏れにアラートを出して注意を促す機能が備わっていますし、管理業務の実施状況もレポートで確認できます。また、カミナシ上でマニュアルを共有することもできるため、従業員が作業に迷ったときにいつでもマニュアルの確認が可能です。
指導や教育に関する管理者側の負担を削減できるのも、カミナシの魅力だと感じています。

case_furuya_1
▲温泉の温度管理業務の様子

現場の声 

スマートフォンが利用できれば、カミナシの操作に苦労することはない

──カミナシの導入について現場からの反応はいかがでしょうか。

内田様:当館の従業員の平均年齢は30代半ばで、なかには60代、70代のスタッフも在籍しています。ですが、当館は入社条件に「スマートフォンを保有していること」を掲げるなど、ITに一定以上の理解がある従業員を採用しているので、タブレットの利用を躊躇する従業員はほぼいませんでした。

今後、カミナシの活用範囲を拡大しても、どの従業員も特に困ることなくタブレットを利用できるのではないかと思います。カミナシの導入時には「従業員のITへの理解度」を考慮するのも重要かもしれません。

case_furuya_4

今後の展望

今後はカミナシの活用範囲を拡大し、従業員の業務意識向上を推進

──カミナシの活用について、今後の展望をお聞かせください。

内田様:今後、カミナシの活用範囲を拡大していくなかで、従業員に日々の小さな事柄を記録する習慣が身に付いてほしいと期待しています。タブレットに日々のあれこれを入力する習慣が定着すれば、業務効率化の効果は最大限まで高められると思いますし、それに伴って、従業員の業務意識も向上していくと思います。

カミナシの優れている点は「手で入力する」というアナログな部分が少し残っているところです。自動的に入力されるのではなく、自らの手で記録するからこそ、従業員は業務改革への意識を高めていくことができます。
その意味では、目指すべきなのは「全自動化」ではなく「半自動化」なのだと思います。自動化する部分とアナログを残す部分を見極めてITツールを導入することが、業務効率化を進めるうえでのポイントなのではないでしょうか。

──内田社長、加藤様、本日はありがとうございました!

 

新規CTA