導入事例

「カミナシはスマートファクトリーへの第一歩」―紙の点検表の電子化をきっかけに、社内のデジタル化を一気に推進

作成者: カミナシ編集部|Aug 29, 2022 2:09:00 AM

キンレイについて

世界No.1のシェアを獲得。約90年歴史を誇る撚り線機メーカー

──株式会社キンレイ(以下、キンレイ)について教えてください。

菊池和枝様:キンレイは、撚り線機を始めとした各種電線製造機器を製造・販売しています。撚り線機とは、文字通り、金属線を撚ってケーブルやハーネスを製造する機械です。1934年(昭和9年)に東京都港区で第一号機を開発して以来、キンレイは撚り線機を中心とした事業を展開してきました。現在では、細線・巻線用の撚り線機で世界No.1のシェアを獲得し、国内外問わず、ドイツ、フランス、東南アジア、メキシコなど、世界20カ国のお客様に製品をご提供しています。また、電線製造機器だけでなく、電線の製造・販売も行っているのが弊社の特徴です。数々の特許に基づいた製造技術は高く評価されており、自動車、航空機、医療などの幅広い分野で活用されています。

▲工場内の様子

導入前の課題

紙の点検表が要因となり、約75分/日の時間が浪費されていた

──カミナシ導入前の課題を教えてください。

鈴木佳晴様:フォークリフトなどを使用する前の点検作業に課題がありました。弊社では、始業時にフォークリフトなどの使用前点検を行っているのですが、以前は紙の点検表にチェックを行い、点検後には承認者からサインを受けていました。そのため、毎朝、点検後には承認者の前に承認待ちの行列ができ、少なくない時間が浪費されていました。使用前点検を行うのは15名ほどで、承認に要する時間は1名あたり5分ほどなので、約75分/日が費やされていたことになります。

一方で、この作業は承認者にとっても負担でした。私は承認者を担当していますが、点検表の印刷や配布には手間がかかりましたし、始業時には承認のサインをするために事務所で待機しなければなりませんでした。時折、急用で事務所を外すと、承認が滞り、作業開始が遅れることもありました。無駄な承認待ちの時間を省き、スムーズに作業を開始するためにも、紙の点検表の電子化は必要不可欠でした。

鈴木猛史様:弊社は設立から90年以上が経つ、歴史の古い会社ですし、取り扱う製品のライフサイクルも長いため、古い業務スタイルが温存されがちです。積極的に新しい取り組みにチャレンジしなければ、組織が凝り固まり、「殿様商売」に陥るリスクもあります。カミナシの導入には、業務スタイルを革新し、新たな時代に組織を適応させる狙いもありました。

▲株式会社キンレイ 代表取締役 鈴木猛史様

選定理由

「組織に新たな風を吹き込んでくれそう」―カミナシの社風に惹かれ、導入を決めた

──カミナシを知った経緯についてお聞かせください。

鈴木猛史様:帳票を電子化できるツールを検索しているなかで、カミナシの広告に出会いました。最初の印象は「変わった名前の会社だな」だったのですが、実はそこが好印象でした。もともと、組織に新たな風を吹き込みたいという意図があったので、少し変わっているくらいを望んでいました。

その後、WEBで製品資料をダウンロードすると、すぐに電話がかかってきて打ち合わせが決まりました。打ち合わせの雰囲気も非常に良かったですね。カミナシの社長のご実家が食品工場で、そこでの勤務経験をもとにカミナシが開発されたという話を聞いて、近しいものを感じました。「クラウド製品だから導入しやすい」や「情物一致をデジタルで実現できる」といった利点もありましたが、最終的には人や社風への親近感が導入の決め手でした。

──その後、どのように導入を進めたのでしょうか。

菊池和枝様:各部署から6名のメンバーを選抜して、カミナシの導入チームを組成しました。私はチームのリーダーを務めたのですが、今から振り返ってみると、複数のメンバーで導入を進めたのは正解でした。カミナシの導入には、多少の反発の声もありましたが、各部署からメンバーを選抜しているので、現場の協力を得やすかったです。また、導入時にはチーム一体となってテンプレートを作成したため、6名全員がカミナシの操作に習熟することができました。操作スキルの属人化は、効率的な運用を妨げる要因にもなるので、その点でも複数名での導入は効果的だったと思います。

▲株式会社キンレイ 経営管理部 管理課 菊池様

導入の成果

「承認待ちの行列」が一気に解消。カミナシがデジタル化推進の原動力にもなっている

──現在、カミナシをどのように利用されていますか。

鈴木佳晴様:先ほど、お話ししたフォークリフトの使用前点検から導入を開始し、徐々に利用範囲を広げていきました。現在は、フォークリフトほか、クレーン、玉掛、コンプレッサー、グラインダーなどの使用前点検にカミナシを利用しています。

特に、実感している導入効果としては、承認待ちの行列がなくなったことです。毎朝、無駄な時間を費やすことなく、すぐに生産に関する指示や確認ができるようになりました。これによって、承認待ちに要していた約75分/日の業務が効率化されています。さらに、承認者の側も、点検表の印刷や配布、回収などの作業が削減され、約60分/日の業務が効率化されました。

また、写真で記録が残せることによる効果も大きいです。以前は、機器の点検状況を◯や×で記載するだけでしたが、現在は逸脱があったときには、タブレットで写真を撮ることができます。そのため、点検状況をより正確に記録できるようになり、承認者が逸脱の状況を確認することも可能になりました。この変化は、従業員に「何かあれば必ず記録を残す」という習慣を根付かせ始めています。詳細な記録は、トレーサビリティの確保に繋がりますし、業務を円滑に推進していくうえで欠かせません。カミナシは、従業員教育などではなかなか根付かせにくい、意識醸成や習慣付けにも効果を発揮しています。

鈴木猛史様:経営の視点からいえば、カミナシはデジタル化推進の良いきっかけになってくれたと思います。日常業務のなかにタブレットを配置することで、社内のデジタル化の機運を高めていくことができました。カミナシ導入後には、チャットツールの導入も行なっていますが、こちらも無理なく定着しています。

昨今、製造業では、スマートファクトリーの実現に向けた取り組みが加速しています。弊社も、その流れに遅れを取るわけにはいけません。お取引先に紙の伝票やFAXが残っている会社が多いため、急激な変化は難しいのですが、長期的には全面的なデジタル化に向けて舵を切っていく方針です。その第一歩として、カミナシは重要な役割を果たしてくれました。


▲業務の効率化やデジタル化促進に役立っているという

現場の声

現場からは予想以上の高評価。事前には想定していなかった利用方法も生まれている

──カミナシの導入について現場からの反応はいかがでしょうか。

鈴木猛史様:現場からの反応は考慮せずに導入を決めたのですが、予想以上に従業員に受け入れられたと感じています。何より「今でも利用され続けている」というのが、好評の証でしょう。最近では、現場発で新たな利用方法が発案されるなど、カミナシの定着はよりいっそう進んでいます。

──「新たな利用方法」とはなんでしょうか。

鈴木佳晴様:実は、先日、フォークリフトの点検時にサイドブレーキの故障が発見されました。その修理の際に、メーカーの方から「定期的にサイドブレーキの安全点検をしてほしい」と依頼されたため、カミナシを利用して、3ヶ月に1回の定期点検を行うことにしました。その結果、より適切な点検体制が構築され、予防保全の強化に繋がっています。導入当初、予防保全への活用は想定していませんでしたが、カミナシが従業員に定着していくなかで、新たな利用方法が発案されるようになりました。

▲株式会社キンレイ 生産部 部長 鈴木佳晴様

今後の展望

出荷前点検などにもカミナシを活用し、さらなる導入効果引き上げを図る

──カミナシの活用について、今後の展望をお聞かせください。

菊池和枝様:まだまだ紙の点検表は数多く残っているので、今後は、それらの電子化を継続的に進めていきます。個人的には、製品の出荷前点検をカミナシに移行したいです。出荷前点検では、1回の出荷で数十枚の点検表を利用するので、それらをカミナシで電子化できれば、得られる効果も大きいはずです。

──最後に、これからカミナシを導入するユーザーに向けて活用のアドバイスをお願いいたします。

鈴木猛史様:導入は、慎重に進めすぎると、かえって上手くいかないと感じています。現場に効率化の「種をまく」感覚で、思い切って導入を推進することをお勧めします。そして、もし、思うような効果が得られないのだとしたら、スパッと止めても良いと思います。そうした柔軟な姿勢で導入にのぞむのが、取り組みを成功に導くポイントなのではないでしょうか。

──鈴木猛史社長、鈴木佳晴部長、菊池様、本日はありがとうございました!

▲(左より)株式会社キンレイ 鈴木佳晴様、鈴木猛史様、菊池和枝様