株式会社ロジスティクス・ネットワーク
- 業種
- 物流・運輸
- 導入規模
- 51〜100名
- 利用目的
- HACCP, ペーパーレス
1日に200枚発生していた紙の帳票を電子化し、管理者の業務効率化を実現
ニチレイロジグループに属する「株式会社ロジスティクス・ネットワーク」の仙台センターでは、管理者の業務を圧迫していた、紙の帳票のチェック作業を削減するため、カミナシを導入しました。これにより、1日に約200枚発生していた紙帳票の大幅削減とともに、管理者の業務効率化を実現しています。
同センターがカミナシを導入した理由や導入の成果などについて、マネジャーの新井康弘様と導入担当者の山谷まどか様のお二人にお伺いしました。
課題
- 1日につき200枚の紙の帳票が発生
- 帳票のチェック作業にかかる管理者の業務負担
- 消費期限などの記載ミスによる回収のリスク
ロジスティクス・ネットワークについて
全国に40ヶ所以上の事業所を展開する低温物流のスペシャリスト
── 株式会社ロジスティクス・ネットワーク (以下、ロジスティクス・ネットワーク)について教えてください。
新井様:ロジスティクス・ネットワークは、冷凍食品などで知られるニチレイの低温物流事業を担うニチレイロジグループに属しています。全国に40ヶ所以上の事業所を有し、ニチレイグループ以外にも、食品メーカー様や小売チェーン様、飲食チェーン様など、多種多様なお客様の商品の輸配送を担っています。
そのなかでも、私たちが所属する仙台センターは、北日本支店の基点となる事業所です。北日本支店では、東北・北関東エリアに12の事業所を展開しており、仙台センターはそれらの事業所に荷物を振り分けるTC(Transfer Center:通過型物流センター)の機能を果たしています。
また、仙台センターは、食品の加工やパック詰め、ラベル付けなどを行うPC(Process Center;プロセスセンター)の機能も有しており、某大手スーパー様の食肉パックや惣菜の加工から輸配送までを一貫して担っており、月間の生産数としては270万パックで、日々250名程度の従業員が業務にあたっています。
導入前の課題
紙の帳票が管理者の大きな負担に。事故のリスクを回避するためにも電子化が必要だった
── カミナシを導入する以前、どのような課題を抱えていたのでしょうか。
山谷様:以前、仙台センターでは、1日に紙の帳票が200枚以上発生していました。毎朝、Excelのテンプレートを印刷して、所定の場所に配布するだけでも相当な手間がかかっていましたが、なかでも負担になっていたのが、管理者による帳票のチェック作業です。
大量の用紙をまとめて、目視で一つひとつ内容を確認していくのは骨が折れる作業でしたし、見落としも起こりやすいです。また、従業員は作業中に手書きで帳票を記入しているため、記入漏れや記入ミスも多く、記録内容の確認や修正には1時間ほどの時間がかかりました。
また、製造部門では食品の賞味期限や消費期限などを扱うため、帳票のチェック作業には細心の注意が必要でした。もし、賞味期限や消費期限を誤った日時のラベル付けをして出荷してしまった場合、健康被害の恐れもあるためリコールとなってしまいます。幸いなことに、これまで、そうした事態は発生していませんが、事故を未然に防ぐためにも正確な記録が求められていました。
選定理由
導入の決め手は「費用対効果」と「多言語翻訳機能」
── カミナシを知ったきっかけを教えてください。
新井様:カミナシのことは、本社の社員からの紹介で知りました。正直なところ、当初は良い印象を持っていませんでした。というのも、以前、仙台センターでは紙の帳票を電子化するためタブレット端末をテスト導入したことがあったのですが、高額な費用と設定作業の手間がネックとなり、導入を断念した経緯があります。その経験もあって、カミナシの導入も当初は疑問視していました。
── カミナシ導入の決め手は何だったのでしょうか。
新井様:以前、テスト導入した製品よりも、使い勝手が良さそうだったことです。導入前にデモを実施したのですが、帳票の設定作業は比較的容易だと感じましたし、カミナシを活用することで業務が効率化するイメージが湧きました。さらに、費用も安価で、高い費用対効果を期待できたのが導入の決め手でした。
また、多言語翻訳機能も重要なポイントでした。当時、仙台センターでは約200名の外国人従業員を採用することが決まっていたのですが、その多くがネパールやベトナムの出身でした。そのころは、まだカミナシに多言語翻訳機能は実装されていなかったのですが、営業の方から「近いうちにネパール語やベトナム語にも対応する予定です」と聞かされて、導入の決意が固まりました。
導入の成果
約80種類の紙の帳票を電子化し、管理者の業務負担を削減
── 現在、カミナシをどのように活用されていますか。
新井様:PC(Process Center;プロセスセンター)の業務を担当する40〜50名の従業員がカミナシを利用しています。現在まで約80種類の紙の帳票を電子化しており、特に原材料の温度管理や金属検出機の点検記録、従業員の身だしなみをチェックする現場巡回記録などで毎日利用しています。
これらの帳票が電子化されたことで、管理者の業務負担が大幅に削減されました。ほとんどの記録内容をカミナシ上でチェックすることができますし、従業員が異常値を入力した際にはアラートが表示されるため、記入ミスや記入漏れもほぼゼロに削減されています。
山谷様:また、月一回実施する安全衛生巡回も効率化しています。以前は、管理者がデジカメで製造機器などを撮影して回り、そのデータをPCに移行して、Excelのテンプレートに貼り付けるといった作業が必要でした。しかし、現在では、タブレットで所定の位置を撮影するだけで自動的にカミナシにデータが集約されます。
新井様:カミナシによる業務効率化は、残業時間にも現れていると感じています。昨年から今年にかけて、仙台センターでは従業員数が減っているため、既存の従業員の残業時間が増加するのではないかと懸念していたのですが、現在のところ特に変化は見られません。おそらく残業時間の抑制にも効果を発揮しているのだと思います。
現場の声
導入のポイントは「深く考えず、まずやってみる」
── カミナシの導入について、現場の皆様の反応はいかがでしたか。
山谷様:導入する側としても、現場からの反応は気がかりでした。仙台センターの従業員は半数が50代以上で、60代以上も多数在籍しています。そのため、タブレットの利用に忌避感があるのではないかと懸念していました。しかし、実際に導入してみると現場からの抵抗は思いのほか少なく、すんなり定着していきました。
最近では、60代以上でもスマホを利用する方は珍しくありませんし、タブレットの操作に関しても、それほど苦慮することはないようです。
── カミナシの導入や定着を進めるにあたって、工夫した点・心がけた点はありますか。
山谷様:帳票の作成や条件分岐の設定など、カミナシの操作に慣れることを心がけました。導入当初、思ったように紙の帳票を電子化できず、テストや修正を繰り返している時期もあったのですが、一度、電子化に成功してしまえば、その後の導入はかなりスムーズになりました。
なかには、実際に電子化してみると使い勝手が悪く、紙での運用に戻した帳票もあるのですが、次々と電子化を進めることで操作にも慣れていくと思います。そのため、現在、カミナシを検討されている方は、深く考えずに「まず、やってみる」というマインドで、導入を進めるのがおすすめです。
また、「導入を属人化させない」というのも重要なポイントだと思います。導入を属人化させてしまうと、特定の管理者に負担が集中してしまいますし、その人物が不在のときに不具合が発生した場合、業務が止まってしまう恐れもあります。そのため、仙台センターでは導入に際して、複数の管理者が帳票を電子化できるよう教育を行っています。
新井様:そのほか、導入にあたっては、センター内の紙の帳票を一覧でまとめ、導入推進管理表を作成しました。これにより、どの帳票が電子化されたのかを一目で把握でき、導入の成果が見える化しました。費用対効果を測るうえでも、導入推進管理表は非常に役に立ったと感じています。
今後の展望
ペーパーレス化の次はデータの利活用。活用範囲を広げ、さらなる業務効率化を図る
── カミナシの活用について、今後の展望をお聞かせください。
山谷様:まずは、紙の帳票がいくつか残存していますので、それらの電子化を進め、センター内のペーパーレス化をさらに推進したいです。さらに、現在は、カミナシの記録内容をExcelに手作業で転記して各種データを管理しているので、Excelへの自動転記・集計の機能を活用して効率化を図りたいです。
新井様:私は、次の展開としてデータの利活用を考えています。例えば、歩留まり管理への活用です。出荷する商品数や廃棄数などをカミナシに集約できれば、これまではExcelなどで行なっていた歩留まり管理の作業を、自動化することができます。そのほかにも、原材料や在庫の管理など、カミナシで自動化できる管理業務は多いと思いますので、導入を進めながら、業務効率化の効果をさらに広い範囲に広げていきたいですね。
── 新井様、山谷様、本日はありがとうございました!
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