工場の従業員が中心となってカミナシを導入。ペーパーレス化を推進し、作業記録時間を5割以上削減。記録データはISOの継続審査に活用サムネイル画像

マリン・サイエンス株式会社

業種
製造業(食品製造)
導入規模
1〜50名
利用目的
HACCP, 品質管理

工場の従業員が中心となってカミナシを導入。ペーパーレス化を推進し、作業記録時間を5割以上削減。記録データはISOの継続審査に活用

カラギナン・寒天の専門商社であり、ゼリーや寒天の受託加工といった製造事業も展開する「マリン・サイエンス株式会社」は、社内のペーパーレス化施策の一環としてカミナシを導入しました。これにより同社は、製造現場で利用していた紙の帳票の大幅な削減に成功し、作業記録時間を5割以上削減することに成功。現在は、作業記録データをISO22000の継続審査などに活用するため、カミナシの活用範囲の拡大に取り組んでいます。
カミナシ導入の経緯や現在の活用状況、導入効果などについて、社長の岩元様、導入担当者の佐藤様、製造現場を担当される野口様の3名にお伺いしました。

課題

  • 紙の帳票による業務負担
  • 紙の帳票のチェック・管理にかかる手間
  • オンラインでのISO継続審査への対応

マリン・サイエンスについて

ゲル化剤・増粘安定剤に関する商社・卸売・製造の3事業を展開

──マリン・サイエンス株式会社 (以下、マリン・サイエンス)の事業概要を教えてください。

岩元様:マリン・サイエンスは、1987年(昭和62年)に海藻抽出物であるカラギナン・寒天の輸入・販売を行う専門商社として設立されました。その後、お客様のニーズにあわせて事業領域を拡大し、国内商品を仕入・販売する卸売事業や製造事業を開始しました。製造事業では、主に、飲食チェーンや食品会社などのお客様からご依頼を受けて、寒天やゼリーなどにゲル化剤や増粘安定剤といった添加物を混合するOEM(受託加工)を行っています。

2015年には自社工場を現在の場所に移転し、製造設備を強化。さらに、2016年には、ISO22000(食品安全マネジメントシステム)の認証を取得し、製造事業のさらなる拡大を図っています。

現在、拠点は東京・神田の本社と製造を担う八王子工場の2カ所です。従業員数は18名で、神田本社で9名、八王子工場で9名が勤務しています。

marinescience_3▲マリン・サイエンス株式会社 代表取締役社長 岩元様

導入前の課題

製造現場の紙の帳票が社内のペーパーレス化を妨げていた

──カミナシ導入前の課題を教えてください。

岩元様:製造現場で用いられている紙の帳票が、ペーパーレス化施策の妨げになっていました。

以前から、マリン・サイエンスでは様々な社内改革の施策に取り組んでいます。これまでも、外部の業者やコンサルタントに極力頼ることなく、社内で製造体制を改善・構築して、ISO22000の認証を受けるなど、積極的に社内改革を進めてきました。
ペーパーレス化施策も、その一環であり、すでに人事や経理などの管理部門の書類に関してはペーパーレス化を進めていましたが、製造現場の作業記録に関しては紙の帳票を利用している状況でした。

野口様:カミナシの導入前、製造現場では、1日につき10~20枚の紙の帳票が発生しており、作業記録には1枚につき5~10分の時間がかかっていました。
こうした作業は従業員の負担になっていると共に、チェックや管理にかかる手間も少なくありません。実際に、以前、八王子工場の事務所は、製造指示書などが綴られたファイルがいくつも並べられている状況でした。

marinescience_1▲マリン・サイエンス株式会社 八王子工場 主任 野口様

選定理由・導入

「ダメなら一年で解約しよう!」と決心し、カミナシを導入

──カミナシを導入された経緯を教えてください。

岩元様:製造現場のペーパーレス化について思案していたころに、業務部部長がカミナシ様を選定。八王子工場の工場長から導入を提案されたのがきっかけです。

正直なところ、当初、導入には戸惑いもありました。八王子工場で勤務する9名は、年齢層は幅広く、なかには50代の従業員もいます。ITに関する素養は、従業員ごとにバラ付きがありますし、タブレットを使った作業に反発を覚える者もいるかもしれないと思いました。

しかし、システムの費用対効果は使ってみないと分からない部分があります。そこで、「ダメなら一年で解約しよう!」と決意し、導入に踏み切りました。

──導入はどのような体制で進められたのでしょうか。

佐藤様:導入は私が担当しました。私は、仕事でExcelを使うほかには、プライベートでPCを利用する程度で、特別なITスキルを持っているわけではありません。そのため、導入担当者に指名されたときには「本当にできるかな…」と不安でした。

実際に、導入に着手した当初は、テンプレートの作成に手を焼くこともたびたびありました。ただ、カミナシはノーコード製品であることはもちろん、テンプレートを作成するUIも分かりやすいため、何度か使っているうちに、自然に操作方法が身に付いてきました。
結局、導入は1~2ヶ月ほどで終了し、2021年の初頭には運用を開始することができています。

──導入の際に工夫されたポイントはありますか。

佐藤様:誰にでも使いやすいテンプレートを作るよう心がけました。カミナシは、条件分岐によって質問項目を変更できるなど、細部の機能が充実していますので、そうした機能を活用しながら、直感的に分かりやすい画面を作っていきました。

marinescience_2▲マリン・サイエンス株式会社 八王子工場 主任 佐藤様

導入の成果

作業記録時間を5割以上削減。念願だった「現場目線での業務改善」も実現

──カミナシの活用により、どのような効果が生まれていますか。

佐藤様:現在、製造現場で使用していた紙の帳票の多くがカミナシでペーパーレス化されています。これにより、作業記録にかかる時間が大幅に削減されました。
従来、帳票1枚あたり5分〜10分を作業記録に費やしていたところ、カミナシ導入後は、帳票1枚あたり2分ほどに短縮されています。つまり、最低でも、作業記録時間は5割以上削減されていることになります。

さらに、2021年3月から7月にかけての5ヶ月間で、約700枚の用紙が削減されています。用紙を回収・集計・保管する手間も同時に削減されたと考えると、業務効率化の効果は大きいです。

岩元様:経営側の立場からすると、カミナシの導入により「現場目線での業務改善」が可能になったのは嬉しい効果です。
実は、カミナシのサポートの方のご協力をいただいて、作業記録とは別に、現場の改善点をレポート化するテンプレートを作りました。従業員が、改善したほうがよい作業や工程を見つけると、タブレットで写真を撮影して、レポートとして報告できるテンプレートです。

私は以前から、現場の生の声を吸い上げて、業務改善に生かせないかと考えていたのですが、なかなか実行できずにいました。それがカミナシによって実現したのは大きな収穫です。また、カミナシの場合、どの従業員がレポートを上げたのかも記録されるため、人事評価の参考にもでき、非常に重宝しています。

そのほか、いつでも・どこでも作業記録が確認できるようになったのも導入効果の一つです。私は、普段、東京・神田の本社で仕事をしているのですが、八王子工場まで移動するのには時間がかかりますし、何よりコロナ禍で移動そのものが憚られるようになりました。
実際に、現在、私は2ヶ月に1度ほどしか、八王子工場を訪ねません。しかし、作業記録はカミナシを通じて毎日確認していますし、むしろ、以前よりも記録の細かい箇所までチェックできるようになりました。

marinescience_4▲工場内でのカミナシ利用中の様子

現場の声

製造現場からも「タブレットのほうが使いやすい」と高評価の声

──製造現場の皆様からの反応はいかがでしょうか。

佐藤様:当初は反発もあるのではないかと予想していたのですが、驚くほどすんなり定着し、現在ではほぼ全員が「タブレットのほうが使いやすい」と言っています。

野口様:導入以前は、作業記録の抜け漏れや誤字は、製造現場の従業員同士が注意しあって防いでいました。しかし、手書きの文字は人によって差がありますし、忙しいときには記録が乱暴になることもあります。それを判読して、間違っていないかを確認するのは、現場の従業員にとって少なからずストレスでした。
しかし、現在では、記録が抜けていれば、カミナシがアラートを出して知らせてくれるので、以前のような確認の手間は不要になりました。そうしたメリットがあるからこそ、カミナシは製造現場からも支持されているのだと思います。

カミナシへの期待・今後の展望

今後はISOの継続審査の対応にもカミナシを活用したい

──今後、カミナシに期待していることがあれば教えてください。

岩元様:例えば、マリン・サイエンスでは製造予定表などの書類をオンラインストレージで保管しているのですが、カミナシで記録したデータをストレージ上の書類に連携できれば、さらに業務効率化を推し進めることができます。そのため、カミナシさんには、ぜひ他製品とのデータ連携を充実させていただきたいと思っています。

──それでは最後に、カミナシの活用について、今後の展望をお聞かせください。

佐藤様:現在、カミナシなどの活用により、社内の紙の書類が約4割ペーパーレス化されています。今後は、全体の8割のペーパーレス化を目標に、カミナシの活用範囲をさらに拡大していく予定です。
具体的には、ISO22000の継続審査対応にもカミナシを活用できないかと検討しています。ISO22000は認証を継続するための審査が定期的に実施されるのですが、コロナ禍の影響もあり、次回の継続審査はオンラインでの実施が予定されています。そのため、実地での審査とは異なり、作業記録などを審査員の方に直接提示できません。
そこで、カミナシのデータを画面で共有しながら、審査を受けたいと考えています。
こうした対応を可能にするためにも、今後はカミナシの活用範囲をさらに広げ、ペーパーレス化を推進していきたいと思っています。

marinescience_7▲ISO22000の関連書類。すでにカミナシに移行した空のファイルも並ぶ

──岩元様、佐藤様、野口様、本日はありがとうございました!

 

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