導入事例

帳票の電子化で、店舗運営と品質管理の負担が大幅に軽減。85%の帳票削減に成功。

作成者: カミナシ編集部|Jun 24, 2024 1:45:00 AM

 

ニッポンハムグループの中で
直接、最終消費者と接点を持つ日本ハムカスタマー・コミュニケーション

「お客様の食卓へ、『食べる喜び』をお届けしたい。」
ニッポンハムグループの中で、最終消費者と直接接点を持つ日本ハムカスタマー・コミュニケーションは、『美味しさの感動と健康の喜び』を安全で安心な商品とサービスを提供することをミッションとし、百貨店内に出店している店舗の運営やギフト関連事業、また量販店向けのデジタル販促や販促物のデザイン等のサービスを担っている。なかでも百貨店内に出店している店舗においては、ハム・ソーセージといったニッポンハムグループの主力商品の他にも、季節に合わせた惣菜等、高付加価値な商品を製造・販売することで、長年百貨店に通う人たちの心を惹きつける店舗づくりを行っている。

ニッポンハムグループの中において、消費者と直接対話を重ねることが特徴的な事業である日本ハムカスタマー・コミュニケーションだが、顧客のニーズに合わせた商品づくりとニッポンハムグループの誇る安全・安心で高い品質の商品を届けるために、品質部署と営業部署の日々の努力が重要な役割を担っている。

品質関連の業務を担う日本ハムカスタマー・コミュニケーション 管理部 品質管理課の市政 貴文氏は次のように話す。

「品質管理課の業務としては、第一にお客様に安心して弊社商品を召し上がっていただくための品質を確保すること、加えて店舗運営に関わる現場の業務負担を軽減して生産性を高めていくことになります。

店舗において、常に高い品質を維持・管理していくために、全国にある15店舗に対して定期的に品質監査を実施しています。また日々上がってくる店長や売り場のスタッフの声、お客様の声を拾い、共有することで店舗運営の改善に繋げております」

高い品質の維持に伴う記録管理が
本部、現場ともに大きな負担になっていた

全国15店舗の運営と管理を協働して行う品質管理課と営業部だが、品質管理のための業務が双方の負担となっていた。品質管理課が行う業務の詳細について市政氏は次のように話す。

「本部(品質管理・営業部)からは毎月月末になると、各店舗が次月に使用する書類をまとめて発送します。品質関連の書式だけで10種類ほどあるのですが、月1枚記録すればいいものもあれば、毎日1枚記録する必要のあるものもあります。15店舗分となると月に3,500〜4,000枚ほど準備する必要があり、月末の業務負荷が大きくなっていました。この業務を行うため、営業部や品質メンバーが3名ほど、半日~1日かけて店舗ごと、帳票の種類ごとに印刷・振り分けをし、発送作業を行っていました」

店舗数や分量が多くなるため、発送の間違いや書類不足などが起こる可能性もあり、間違いがないように細心の注意を払いながら業務をすることも負担となっていた。また店舗が記録した帳票は毎月まとめて本部に返送されてくるので、この記録の確認も負担となっていた。大阪本社で勤務する品質管理課の渡邊 愛氏は、記録の確認業務について次のように話す。

「15店舗で記載、返送されてきた帳票は全て品質管理課でチェックを行います。温度管理の様式では、1日5回店舗内で確認し様式に記載する必要があるので、記載の抜け漏れが発生する可能性があります。そのため重点的にチェックをする必要がありました」

店舗の規模や取り扱う製品によって冷蔵庫の数や大きさが異なる。規模の大きな店舗では冷蔵庫の台数が増えるため、より数多くの温度計が必要になり、確認回数が増えると抜け漏れが増える可能性がある。以前、この抜け漏れを減らすために温度管理のIoT化を目指し、各冷蔵庫に設置した温度計の子機の情報を自動的に取得するシステムの導入をテストしたこともあったが、売場や厨房が百貨店内の地下にあるため、送信データをスムーズに受信することができず、適切なデータ管理が難しかった。

日々の作業負担を軽減しながらもどのような方法でデータの記録管理をしていくのかについて、大きな検討内容として上がっていた。

ニッポンハムグループの品質保証部と協働し、カミナシ活用を推進

そんな中、市政氏は日本ハム本社の品質保証部から現場の電子化ツールの紹介を受ける。ニッポンハムグループでは品質保証のDXを進めるにあたり現場に散らばっているデータを活用するために、手書きの帳票をデジタル化していく取り組みをおこなっており、そのツールとしてカミナシを推奨する動きをとっていた。取り組みを進める上で重要な観点として、日本ハム株式会社 品質保証部の吉長 広秋氏は考えを持っていた。

「ニッポンハムグループでは、以前より様々な業務で電子化に挑戦しています。ただ、できることを重視してシステムを選ぶと、扱える人が限られてしまうこともあり、結果的に特定の人を業務に貼り付ける必要がでてきてしまうなど、なかなか広く導入することが難しい状況ではありました。品質保証部としては、電子化に取り組む重要性を強く認識した一方で、誰でも簡単に帳票が作れて現場での操作も簡単であること、すなわち『継続が容易なツールを使うこと』が重要だと考えています」

品質保証部の推奨するツールであるカミナシを活用することに決めた日本ハムカスタマー・コミュニケーションでは、品質保証部と協働しながら、製品の品質にまつわる記録の電子化を進めていった。カミナシの活用支援を主導した日本ハム株式会社 品質保証部の伊藤 輔氏は、カミナシとの取り組み方について話す。

「アカウントや現場の設定と帳票のひな形の作成とを分担して、活用の土台づくりを行いました。品質保証部でひな形作成を担当しましたが、帳票を預かって2〜3回ひな形を作成すると、自分自身でなんとなく作れるようになりました。直感的にできることがイメージできるのがカミナシの良いポイントだと感じています」

店舗の「毎月10kgの段ボールを受け取っていた」負担を軽減
品質管理面でも記録の精度が向上

渡邊氏は「初めてカミナシの導入を聞いたときは『難しそうだな』という印象を持ちましたし、うまくいくか不安な気持ちがありました」と、品質管理課内や各店舗に運用を落とし込めるか心配だったと話す。関係各所での運用に落とし込むノウハウを求め、日本ハムカスタマー・コミュニケーションは日本ハム品質保証部の協力を得ながらカミナシの導入を進めていった。

各店舗にカミナシを導入するにあたり、まずは1店舗においてテスト的にカミナシの導入を実施した。店舗に導入するには店舗内のスタッフが問題なく使えるようになる必要があるが、当該テスト店舗においては、カミナシ導入の初日からアルバイトスタッフだけで閉店業務を実施していた。現場で特に混乱がない状況を見た市政氏と伊藤氏は、そこから3ヶ月かけて15店舗へと展開を進めていく。

導入時の状況について、当該テスト店舗の責任者を務める日本ハムカスタマー・コミュニケーション 百貨店事業部 営業部の大上 知宏氏は笑顔を浮かべながら次のように話す。

「カミナシの導入を最初に聞いたときは、もちろん上手くできるか懸念はありました。普段の業務もカツカツでやっているのに、今やっている業務を変えることに抵抗があったんです。でも、最初に2時間くらい説明を受けたあとに若手のアルバイトスタッフと協力すると、スムーズに導入が進みました。1ヶ月もすると紙でやっていた業務をカミナシで実施する流れに慣れたように思います」

カミナシの導入前は、本部から送られてくる翌月末の帳票類の受取りや、記載後の帳票をFAXで送信する業務が大変だったという。

「以前は月末になると帳票類が10kgほど入った段ボールを受け取っていました。とても重いので、狭い百貨店内の従業員通路の中を運ぶのも大変でした。さらに月末月初には100〜150枚の帳票をFAXで送信していましたが、これも品質関連の帳票がなくなったことで、20枚程度に減っています。細かいことですが、帳票等の送付のために利用していた宅配便の金額が変わったのも大きいですね。送付の回数も減りましたし、一度に送る量も減っています」

また、当該店舗スタッフの小川氏はカミナシの活用について次のように話す。

「店舗内の厨房で製造した商品には、トレースのために記録を残しておきます。例えば一つのパック内に複数商品が入っているような詰め合わせ商品の場合は、1枚の紙に商品数分の区切りをつけて、それぞれ何の惣菜をどの位置に配置していたか、記録を残す必要がありました。メニューも季節ごとに異なりますし、配置も変わるため、手書きで記録するのは少し負担になっていました。カミナシを導入してからは、写真で簡単に記録できるようになったので作業が楽になりましたし、商品内容についても誰が見ても一目瞭然です」

活用幅を広げて店舗運営をより安全・安心・高い品質に

現在、日本ハムカスタマー・コミュニケーションが運営する全15店舗でカミナシを導入している。導入推進において日本ハム 品質保証部の伊藤氏は「定期的に各事業所との打ち合わせがあることで、人を巻き込みやすい環境になっている」ことがここまでスムーズに進んでいる理由だと話す。また、導入したことによる効果として、日本ハム 品質保証部 リーダーの山縣 俊介氏は「業務をはじめようと思ったときにボタンを押したらすぐに必要な情報を得られるようになり、iPad一つで現場に入っていけるようになりました。誰もがスムーズに情報にアクセスしやすくなったので、店舗も本部も業務効率化につながると考えています」と話す。

店舗での実際の活用を進める大上氏は「事業所の目線だと画像がリアルタイムで見られるのがよいですね。その場で記入できて、その場ですぐ確認できるようになったことで、営業終了後の退店時間も早くなっています。また、お客様から見える売り場で紙の保管や記入がなくなるのは、店舗のイメージとしてもよくなっていると思いますよ」と明るく話す。

現在は品質管理領域での活用にとどまっているが、今後は各店舗の連携にも利用をしていきたいと市政氏と大上氏は話す。

「各店舗で顧客層や取扱商品が異なることもあり、現在は独自の店舗づくりを行っています。カミナシでは即時で写真等の情報も共有できるため、店舗づくりの共有や申し送りなどにも使えるのではと考えています。ニッポンハムグループで利用しているクラウドサービスで共有を行っている部分もありますが、全店舗で活用しているカミナシだと現場にいてもタブレット上で確認ができるので、より共有が促進されるのではと期待しています」