導入事例

軽井沢の名門ホテルが抱える20箇所のレストランにカミナシを導入

作成者: カミナシ編集部|Feb 2, 2024 1:30:00 AM

G7会合など海外の賓客をもてなす、軽井沢の名門ホテル

日本を代表するリゾート地、長野県北佐久郡軽井沢町。浅間山東南麓に位置し、豊かな自然と冷涼な気候に恵まれた風土は、古くから多くの人々に愛されてきた。避暑地として別荘の建設が始まったのは19世紀末ごろ。以来、100年以上にわたって、国際的な保養地として発展を続けてきた。

四季折々に姿を変える美しい風土に惹かれ、軽井沢には今も多くの人々が訪れている。そうした人々に癒しと潤いのひとときを届けてきたのが、軽井沢プリンスホテルだ。前身となるホテルの開業は1949年。以降、新たなホテル施設やゴルフ場、スキー場などを設けながら、70年以上の歴史を刻んできており、最盛期には1日1,500名以上の宿泊客を迎えている。近年では、リゾート地でビジネスイベントを開催する「リゾートMICE」も盛んであり、G7会合などの国際的イベントの開催地にも選ばれている。

20箇所のレストランで紙の帳票を利用
多大な管理業務が担当者の負担に 

軽井沢プリンスホテルの魅力は、ホテルに加え、レストラン、ウェディングチャペル、温泉、ゴルフ場、スキー場など、軽井沢の四季を満喫できる施設を数多く有していることだ。しかし、その分、各施設の運営には手間も要する。例えば、軽井沢エリア内には20箇所のレストランとそれを支える40箇所のサービス・調理部門が設けられており、それぞれの場所で食材の管理や従業員の健康チェックなどの衛生管理を実施しなければならない。従来、これらの衛生管理は紙の帳票で行われていたが、紙の帳票の処理や保管には多大な手間が費やされていた。当時の状況について、料飲部門調理事務 スーパーバイザーの志村尚子氏は説明する。

「以前は、厨房ごとに10種類以上の管理帳票が設置されており、毎月50枚ほどの紙の帳票が発生していました。それが部門にすると40ヶ所あるため、ホテル全体では衛生管理に毎月2,000枚以上の紙の帳票を利用していたことになります。もちろん、2,000枚以上の紙の帳票を印刷、配布、回収、確認、保管するには多大な手間がかかりますし、保管場所のスペースも年々増大していました。何より、紙の帳票の不便な点は『保管後に確認しにくいこと』です。例えば、厨房では年2回の外部監査を行うのですが、以前は監査のたびに必要な紙の帳票を保管場所から探し出し、記録内容を確認するなどの事前準備を行なっていました。この作業にはかなりの労力が必要で、担当者2名で丸一日を費やすほどでした。」

不便な点は他にもあった。紙の帳票にはボールペンや鉛筆の手書きの記録が残る。もちろん、誤字や修正の跡もそのまま残るため、記録の正確性に欠ける面があった。「記載にミスがある」「書き損じが放置されている」「文字が判読できない」など、監査前などに紙の帳票をチェックするとさまざまな不備が見つかった。これらを確認・是正するための手間は決して少なくなく、衛生管理担当者の悩みの種になっていた。

「丁寧かつ継続的なレクチャー」がカミナシの定着を後押しした

こうしたなかで軽井沢プリンスホテルはカミナシの導入を決めた。導入の背景には、ペーパーレス化や業務効率化以外の要因もあった。その一つが、2021年6月からのHACCP完全義務化だった。HACCPに対応すれば、紙の帳票による衛生管理では手間の増大が予想された。適切な衛生管理の体制を築くためにも、紙の帳票のデジタル化が求められていた。さらに、軽井沢プリンスホテルが属する西武グループでは、持続可能な社会の実現に向けた取り組み「サステナビリティアクション」を推進していた。企業として環境負荷軽減の取り組みを進めるためにも、カミナシの導入は必要だった。

2021年10月、軽井沢プリンスホテルはカミナシのトライアルをスタート。厨房を所管する料飲部門から導入を開始し、各種帳票のペーパーレス化を進めていった。しかし、導入にはいくつかの壁が立ちはだかる。その一つがタブレットの導入だった。若手スタッフも複数在籍しているものの、料飲部門の従業員の平均年齢は高い。なかには、タブレットの操作に慣れていない従業員もいるため、操作方法のレクチャーにはやや時間を要した。導入のプロセスについて、管理部門食品衛生担当 スーパーバイザーの高平圭一郎氏は振り返る。

「カミナシの定着にはやや時間を要したと聞いています。従業員のなかにはタブレットやITに苦手意識を持っている者もおり、それが障壁になったようです。そのため、導入時には丁寧なレクチャーを心がけ、少しずつ定着を図っていきました。その結果、半年ほどで、ほとんどの従業員がカミナシの操作に習熟することができました」

高平氏は「導入にあたっては『従業員にシステムの利便性をいかに理解してもらうか』がポイントだと思います」と話す。紙の帳票に慣れ親しんだ職場にカミナシを定着させるには、従業員の心理的障壁を解消する必要がある。そのため、導入担当者にはカミナシの利便性をしっかり理解し、時間をかけて社内にアピールしていく姿勢が求められると、高平氏は指摘する。

毎月2,000枚の紙の帳票が削減され、監査対応の工数も大幅に減少
カミナシを活用して衛生管理基盤を構築

現在、軽井沢プリンスホテルの料飲部門ではカミナシを活用した衛生管理が広く定着している。従来、紙の帳票で行なっていた食品の管理や従業員の健康チェック、冷蔵庫の温度管理、厨房の温湿度管理など、10以上の管理業務がカミナシに移行された。これにより、40以上の部門で紙の帳票がほぼ利用されなくなり、毎月約2,000枚が削減されている。また、紙の帳票の印刷や配布も不要となり、衛生担当者が行っている業務のうち、月8時間分の業務時間が効率化された。

また、多大な手間を要していた監査対応もカミナシの導入で大きく変わった。従来は、年2回の監査のたびに担当者が紙の帳票を倉庫などから回収していたが、カミナシはシステム上で過去のデータを参照できるため、それらの作業は不要になった。現在は監査担当者にカミナシのデータを提示する形で監査が実施されている。また、従来は紙の帳票に手書きで記入がされていたため書き損じなどが散見されたが、現在はアラート機能などにより記入の不備は大幅に減少した。以前、監査前には、これらの不備を2名の担当者が丸一日をかけて確認・是正していたが、現在は監査当日に確認するだけで十分になったという。

さらに、効果を発揮しているのがマニュアルのデジタル化だ。軽井沢プリンスホテルは衛生管理に用いる紙の帳票だけでなく、業務マニュアルなどもカミナシでデジタル化している。志村氏は、この取り組みが従業員の教育や研修の効率化に寄与していると語る。

「従来、従業員1人あたりの教育にかかる工数は莫大でした。『衛生管理の逸脱時にはどう対処すればよいのか』『室温は何度未満が適切で、何度以上が異常値なのか』『吐瀉物はどのように処理すればよいのか』など覚えておくべき事柄はたくさんありますが、こうした状況への対処方法をすべて記憶するのは現実的ではありません。しかし、わからないことがあるたびに業務マニュアルのファイルを探し、該当項目を閲覧するのも大変です。そうしたときに、マニュアルをデジタル化しておけば、手元のタブレットですぐに正しい対処方法を確認できます。実際に、カミナシの導入後、新しい従業員への教育にかかる工数は減っていると感じますし、デジタル化の効果は確実に表れています。」

今後は宿泊部門などにもカミナシを展開し、
導入効果の引き上げを狙う

カミナシの活用について今後の展望を尋ねると、高平氏は導入範囲をさらに拡大していきたいと意欲を見せた。

「現在は料飲部門が中心ですが、今後は紙の帳票が残存しているフロント業務やハウスキーピング業務など将来的にはホテル全体にカミナシを導入するのが望ましいとも考えています。軽井沢プリンスホテルは複数のホテルを有し、敷地面積もかなり大きいため、数多くの部門が存在します。今後は、これらの部門との連携を加速して、カミナシの導入効果をさらに引き上げていきたいです」

宿泊、ウェディング、イベント、ビジネス、国際的な会合、今も多くの人々がさまざまな目的で軽井沢プリンスホテルを訪れる。そのいずれのシーンでも期待されるサービスレベルは極めて高い。70年以上の歴史は軽井沢プリンスホテルの優位性であると同時に、果たさなければいけない責務の大きさでもある。なかでも、衛生管理はサービスの根幹を支える重要な要素だ。その衛生管理の適正化にカミナシが大きな役割を担うことになった。軽井沢プリンスホテルの今後のカミナシの活用にも大きな期待が寄せられる。

TEXT:島袋龍太

 

※本内容は2023年12月現在のものになります。
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