── ルートインジャパン株式会社(以下、ルートインジャパン)の事業概要を教えてください。
北村様:ルートインジャパンは、全国に約360施設のホテルや飲食店、ゴルフ施設などを展開するルートイングループの中核企業です。ルートイングループは従業員数が約15,000名、運営するホテルは約320施設、ホテル総客室数は約56,000室と国内最大級のホテル事業者です。ビジネスタイプの「ホテルルートイン」、観光地タイプの「ルートイングランティア」、シティタイプの「アークホテル」、リゾートタイプの「グランヴィリオホテル」の4つのブランドを展開し、2025年までに事業計画500店舗の達成を目指しています。ルートインジャパンは、そのなかで主にホテル事業の運営・管理・企画を担っています。
ルートイングループのホテルの強みは、独自の出店戦略にあります。
駅前ではなく、ロードサイドを中心に施設を展開し、施設内に無料駐車場や大浴場を設けることで、お車でお越しのお客様のニーズに対応しています。そのため、お客様にはお車をご利用されるビジネスパーソンの方などが多く、ホテル業界内でも独自の強みとなっています。
── カミナシ導入前の課題を教えてください。
蛭間様:ルートイングループでは、現在、「500店舗」という目標を達成するため、グループ全体でのペーパーレス化に取り組んでいます。というのも、急速な拡大を目指すうえで、紙の帳票の回収や整理、保管にかかる手間は大きな足枷だからです。
私は業務のなかで各種業務の可視化を担当しているのですが、先ごろ、グループ全体で利用されている紙の帳票の枚数を算出したところ、年間で約30万枚にのぼりました。この状態のまま組織が拡大していけば、紙の帳票は雪だるま式に増えていき、いずれ手に負えなくなるのは目に見えています。
そこで、労務申請や稟議申請、捺印申請など、従来は紙の帳票で運用していた本部各署への申請業務のペーパーレス化を行いました。ただ、ホテルや飲食店などの、いわゆる「現場」の業務には紙の帳票のほうが使い勝手が良いことが多く、なかなかそれ以上のペーパーレス化を進められない状況がありました。
北村様:その一方で、紙の帳票がグループ全体の生産性を落としていることも明らかでした。
あらゆる業務を標準化して、従業員のスキルや感覚によるブレをなくしていく作業は、グループ全体での生産性向上を図るうえで避けては通れない取り組みです。
── カミナシを知ったきっかけをお聞かせください。
蛭間様:社内で、カミナシについて書かれた新聞記事を共有してもらったのがきっかけです。その記事には、大手ファミリーレストランチェーンが全店舗にカミナシを導入したという内容が報じられていたのですが、「これは使えるかもしれない」と直感するものがあり、記事を読み終わった数分後にはカミナシの資料をダウンロードしていました。
その後、カミナシの営業担当の方からサービスの説明を受け、システムについて知るにつれて、期待感が高まっていったのを覚えています。
私自身、現場で店舗責任者を務めた経験があるので、具体的な活用法を想定しやすかったのだと思います。カミナシを使えば、スキルや経験などに関わらず、どの従業員でも標準的に管理業務を行えるというイメージができました。
── その後、どのような経緯から導入が決まったのでしょうか。
蛭間様:カミナシの説明を受けた後、その内容を資料にまとめて、社長の永山(泰樹氏:ルートインジャパン株式会社代表取締役)に報告しました。当時はコロナ禍の真っ只中ということもあり、グループでは永山の方針によりペーパーレス化の取り組みが加速していたので、その一環としてカミナシを提案した形です。ただ、そのときにはすでに複数のシステムの導入が検討されており、カミナシは後発で候補に挙がったため、「導入時期は来年以降になるかもしれない」と考えていました。
しかし、しばらくすると永山から「カミナシを最優先で導入するように」という指示がありました。提案後すぐに導入が決定したので、かなり驚きました。
── 永山様はカミナシのどのような点を評価されたのでしょうか。
蛭間様:ペーパーレス化までのスピード感を高く評価したようです。カミナシはクラウドサービスのため、各店舗にタブレットの端末を設置すればすぐにシステムの多店舗展開が可能です。そのため、多数の施設を抱えている当社でもスピーディーにペーパーレス化を図ることができます。
また、こうした速やかなシステムの展開は、グループ全体にペーパーレス化の取り組みを強く印象付けることができ、第二弾、第三弾のシステム導入をスムーズに進めるうえでも有効でした。
その後、導入が決定してからは、まさに怒涛の勢いでプロジェクトが進みました。
最初に、私がカミナシのことを新聞記事で知ってから1ヶ月後には、プロジェクトチームが組成され、導入が開始されています。これほどのスピード感でシステムの導入が進められたことは無かったと思います。
── 導入の現状をお聞かせください。
蛭間様:現在、2022年2月から予定している本運用開始に向けて、電子化する帳票の洗い出しや優先順位決めを行なっています。
カミナシの導入にあたっては、現状の紙の帳票をそのまま電子化するのではなく、それぞれの帳票の用途や意味を検討しながら合理化を進め、管理業務自体を効率化していくつもりです。そのために、現在はシステムの勉強会を開催するなどして、現場から意見や改善案などを吸い上げているところです。
北村様:現場からの声を聞くなかで、私たちが思っていた以上の非効率が現場で起きていることが分かりました。
例えば、グループが運営する飲食店の店舗責任者は4部門に向けて、毎日重複する内容の営業報告を行なっていました。おそらく、異なる時期の各部門の要請に応じる形で、自然と非効率な報告体制が出来上がってしまったのだと思います。こうした組織内に隠れている非効率を可視化し、改善していくうえでもカミナシの導入は有意義だと感じています。
── 導入について、現場の皆様からの反応はいかがでしょうか。
北村様:これから活用を開始する段階のため、期待と不安が入り混じった状況ではあるようです。
ただ、最近、ルートイングループでは人事労務管理システムを導入して全従業員に展開したところ、従業員は概ね好意的な反応でした。年末調整の書類作成などが不要になったので、従業員もシステムの利便性を実感したようです。そのため、カミナシの導入に不安を漏らす従業員にも「あの人事労務管理システムのように、カミナシを導入すれば記録や管理作業が楽になるよ」と伝えるようにしています。
新しいシステムの導入には、ある程度の忌避感や抵抗感は付き物ですので、過去の成功体験を引き合いに出して、従業員に理解を求めるのが良いのかもしれません。
── カミナシの活用について、今後の展望をお聞かせください。
北村様:まずは本運用の開始に向けて、導入を進めていきます。第一弾で電子化する帳票はすでに決定していて、地区の責任者が担当店舗を巡回する際に用いるチェックシートや、店舗責任者が施設の衛生管理を行う際に用いる管理表、そのほか、レストランの衛生管理や大浴場の記録管理などです。
これらの帳票を電子化することで、グループ内の幅広い階層にカミナシを利用してもらうことができます。そして、その後もカミナシの適用範囲を広げ、2022年4月までには全施設での運用開始を目指します。
さらに、そうした導入を進めるなかで、業務や施設の状況の可視化を実現したいです。
紙の帳票の場合、回収した記録を集計することにも手間がかかります。しかし、カミナシは入力されたデータが自動的に集計され、レポート化される機能も備えているため、業務の可視化などに大きく貢献してくれるのではないかと期待しています。
── 北村様、蛭間様、本日はありがとうございました!