株式会社ヨシケイ埼玉
- 業種
- 食品製造業
- 導入規模
- 300〜500名
- 利用目的
- HACCP対応、ペーパーレス
1日約3万食の安全を守り続けるため、徹底した衛生管理をカミナシで効率化
衛生と品質管理でヨシケイグループをリードする存在を目指す
食品宅配市場において、48年前から事業を展開してきた業界のパイオニアであるヨシケイグループ。全国に広がる同グループやフランチャイズの中で、トップの売上を誇る株式会社ヨシケイ埼玉では、県内に抱える4カ所の製造工場での業務効率化や高い品質基準に則った運営を行うため、衛生管理帳票のデジタル化を推進すべくカミナシを導入。 紙帳票の管理業務や衛生管理の承認チェックといった作業の効率化とともに、より高い品質の製品をお客様に提供するための意識改革にも繋がっている。
導入前の課題
- ヨシケイグループの中でも特に工場の現場は紙を中心としたアナログな管理業務が課題として取り上げられていた
- グループ全体でHACCPに基づいた高い品質基準を設定し、その基準に従って運営するために、効率的な管理体制を構築する必要があった
- 工場の管理者が帳票の最終確認のために各作業場をまわらずに済むよう、データ上で情報を一元化したかった
導入後の効果
- 「温度管理」「機械の始業前点検」などの点検業務をカミナシでデジタル化し、高い品質基準に則ったデジタル帳票の運用を実現
- 点検業務をタブレット化したことで、4工場で年間約2万枚以上の用紙とその準備の手間を削減。
あらゆる世代の従業員がタブレットの活用できるように - 点検作業がタブレット1台で完結することが可能になり、管理者の負荷を軽減する仕組みを
約5ヶ月で県内4工場に展開
1日3万食の安心・安全な食材を届けるために
1975年に創業されたヨシケイグループは、食材とメニューのセット(ミールキット)を宅配するフランチャイズチェーンだ。北海道から沖縄まで全国に65社と300の営業所(2023年3月現在)を持ち、約50万世帯の顧客へ宅配サービスを提供している。同社のメニューは、すべて専属の栄養士による監修のもと、栄養バランスと食材バランスを考慮し、おいしさと調理しやすさにこだわっている点が特徴だ。ライフスタイルやニーズに合わせて、定番主菜、時短メニュー、冷凍弁当、ヘルシー食など、豊富なラインナップから選べることも人気を集める理由だ。
埼玉エリアでのサービス開始に伴い1977年に設立されたヨシケイ埼玉は、ヨシケイグループフランチャイズの中で1番多くの顧客を抱えており、1日約3万食の安心・安全な食材を届けている。埼玉県内に4つの工場を持ち、埼玉県に9拠点、東京都に3拠点の営業所を展開しており、約400名の従業員が働いている。同社 商品部 部長 陶山徳基氏は「仕事や子育てで忙しい方、買い物に行けない方に向けて、私たちヨシケイ埼玉が安心・安全な食材を届けることで、豊かな暮らしをサポートすることができればと願っています」と話す。
以前から宅配サービスに加えて、置き配サービスも展開していた同社では、コロナ禍などを背景として、近年、契約数を大きく伸ばしている。「多くのお客様にミールキットの宅配・置き配サービスの便利さを知っていただけたことは大きな転機となりました。アフターコロナにおいても、引き続き利用していただけるよう、常に安心・安全でおいしい商品をお届けできるように心がけていきたいと思います」と、同社製造部 主任 宮崎道代氏は、食品製造にかける想いを語る。
HACCP対応をきっかけにグループ内で先駆けて改革に踏み切る
ヨシケイグループの中で、近年顕在化してきた課題がアナログな管理業務である。もっとも、数年前からは営業部門では業務システムの刷新やデジタルツール導入による業務効率化が進められていた。そこでは一定の成果が生まれる一方、工場の現場は依然としてアナログな作業が多く、紙を中心とした情報管理が行われているという状況であった。
「手書きで記録していたため、管理者が承認チェックをする際に名前が読めずに再度確認するといったケースは多々ありました。冷凍庫の扉にバインダーを置いて温度管理を行う際、湿気が多い時期には紙が濡れてしまって、ボールペンで文字を書くと破れてしまうことにも困っていました」(宮崎氏)
食品衛生法が改正され、HACCPによる衛生管理が義務化されたことを背景に、管理項目が増えことも新たな課題となった。「HACCPによる衛生管理を導入する際、当初は書類で対応しました。管理項目が増えたことで4工場分の書類をそろえる作業に併せて、監査などに向けて書類を管理する手間が増えることに負担を感じていました。毎月、更新していく書類だけでも工場全体で数十枚は必要になりますので」と、製造部 係長 畠山耕悦氏は、当時の課題を示す。
工場のデジタル化に関して、グループ全体の業務システム刷新を待つという選択肢もあったが、ヨシケイ埼玉はグループに先駆けて取り組むことを決断。その経緯について陶山氏は、「工場の現場における衛生管理のデジタル化は、グループとして前例のない取り組みでした。グループの中で出荷数が最も多いヨシケイ埼玉が先陣を切って取り組むことで改革を進めていきたいという想いもありました」と振り返る。
大規模工場や取引先の企業が活用していることも
システム活用の安心材料に
工場の現場において、業務効率を上げるためにどうすべきかを模索する日々の中、とある展示会でカミナシを見かけたことが、導入のきっかけになったと陶山氏は話す。
「当社の社長からも『作業効率を上げるために工場内の紙を減らしたい』という話をされており、1枚でも2枚でも紙を減らせればと考えていました。カミナシの話を聞いてみると、大規模な工場や当社の取引先でも導入されていることを知り興味を持ったのです」
カミナシを知ったその展示会では、資料や担当者の話だけでなく、実際にスマートフォンやタブレットを操作しながら使い勝手を確認したという。
「工場などの現場業務をよく理解した上で開発されたソリューションということで、『HACCPの衛生管理を効率化できますか?』『始業前点検をデジタル管理したいのですが』といった相談にも的確に応えてくださり、安心感にもつながりました。課題感に合わせた活用事例を見せていただけたことで、導入後のイメージをつかむことができました」と畠山氏は振り返る。カミナシはクラウドサービスであるため、会社の業務システムなどの変更が不要で、気軽に導入できることも選定の後押しとなった。
簡単な帳票からデジタル化していき各工場へのスムーズな導入を実現
その後ヨシケイ埼玉ではカミナシの導入を決定。工場への導入を進めることになったものの、まず課題となったのが、幅広い世代の従業員が働くヨシケイ埼玉ではタブレットに不慣れな人も多いという現状だった。そこで、カミナシの必要性を伝えるとともに、タブレットに慣れてもらうために講習会を開催した。「カミナシの担当者さんにも当社に来ていただいて、タブレットの文字を大きくしたり、フォントを変えたりという本当に基本的な段階から 学んでいきました」(畠山氏)
工場の現場で実際に働く従業員の声を大切にしながら、「最初は〇×で記入できる帳票からスタートすると進めやすいですよ」というカミナシからのアドバイスを受けて、まずは簡単な衛生管理項目からカミナシに移行していくことになった。紙の帳票を一度にすべてをデジタル化するのではなく、少しずつカスタマイズしながら状況に合わせて変えていけることは、カミナシの強みでもあるのだ。
カミナシで帳票を作成した畠山氏は「会社や工場によって、衛生管理の流れや機材・作業などの名称も異なるため、ゼロから自社に合わせたフォーマットを作れるのは便利だと感じました。私自身ITは得意ではないですが、カミナシの担当者さんが親身にサポートしてくださったため、スムーズに導入を進めていくことができました」と話す。4工場を展開する同社では、タブレットでカミナシの同じ画面を見ながら、電話で打ち合わせできるコミュニケーションのしやすさもスムーズな横展開につながった。
約5ヶ月で4工場に展開完了、年間2万枚以上の紙を削減
ヨシケイ埼玉では各工場にタブレットが導入され、主に「温度管理」「機械の始業前点検」「備品管理」「清掃チェック」といった点検業務をカミナシでデジタル化、その導入・展開を約5ヶ月で実現した。帳票作成をきっかけにした業務の見直しや、現場にiPadの使い方を浸透させるなど、カミナシのカスタマーサクセスと二人三脚で導入を進めたと宮崎氏は当時を振り返る。
「紙の帳票を印刷する部屋と製造現場は離れていますので、移動時間がなくなった点は助かっています。以前、当工場では承認チェックで12カ所を回っていましたが、タブレット上でできるようになったのは非常にありがたいです。また、チェックが完了していない帳票は画面に残り続けるので、まだできていない部分を一目で把握して、製造現場にフィードバックできるようになり、管理する側の負担軽減につながっています。そのほか、導入前に課題に感じていた承認チェックをする際に手書きの文字が読めず再度記録者に確認する手間や、紙が濡れて文字が上手く書けないといったことも解消されました」(宮崎氏)
同社ではカミナシの導入により、紙帳票の準備・配布・回収時間と承認チェック時間の削減などの作業効率化に加えて、4工場で約21,900枚の紙の削減に成功している。当初、同社の社長が実現したいと考えていた『作業効率を上げるために工場内の紙を減らしたい』という目標に一歩ずつ前進している。
紙の帳票をデジタル化することにより、データベースで一元化してHACCPをはじめとした衛生管理情報を保管できることもカミナシ導入のメリットの1つだ。「何か問題が発生した際に備えて、1年間は衛生管理情報を保管しておかなければなりませんので、データベース化できるのは振り返る際に有用です。先日、外部衛生機関による衛生監査がありましたが、質疑応答をタブレット1台で行うことができました」(畠山氏)
作業効率化のために導入したカミナシだが、従業員一人ひとりの管理に対する意識が高まったことも副次的な効果となっている。「備品管理をデジタル化したことで、備品の紛失がゼロになりました。終業時に班ごとにカミナシで備品の有無を入力しなければならないという意識づけができたことにより、工場で作業を行なっている途中でもポケットなどに入れている備品が紛失していないかをこまめに確認するようになりました。以前はペンがなくなって、終業時に班総出で探すということもありましたので。今まで何度も注意喚起しても根付きづらかった備品管理への意識が定着しました。異物混入のリスクにもつながりかねませんので、徹底した備品管理を行えるようになったことと、その意識が高まったことは大きな成果だと感じています」(宮崎氏)
現場のこだわりポイント
自社工場でカットした野菜をフレッシュなまま宅配
カット野菜工場を併設しているヨシケイ埼玉では、契約農場などから仕入れた野菜を自社工場でカットし、新鮮なまま宅配できることが強み。「お客様が口にするものだからこそ、安全・安心で美味しい食材をお届けしたい」という想いから、徹底した品質管理とともに、機械と手作業を組み合わせた使いやすい商品づくりを進めている。
※本内容は2023年6月現在のものになります。
※各サービスの仕様・デザイン等は改良のため予告なく一部変更することがあります。
※記載の会社名、各種名称等は、弊社および各社の商標または登録商標です。
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