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公開日 2025.02 .17

更新日 2025.09.17

 給与明細を電子化(Web化)する方法は?メリットやデメリット、システムの選定ポイントを紹介 

 給与明細を電子化(Web化)する方法は?メリットやデメリット、システムの選定ポイントを紹介

働き方改革や労働力人口の減少、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展などを背景に、多くの企業で業務効率化やコスト削減が課題となっています。

特に企業の人事・総務部門における業務効率化は喫緊の課題であり、その有効な解決策といえるのが、給与明細の電子化です。

給与明細はWebやメールなどによる電子交付が可能で、導入により発行業務における物理的および人的コストの削減や発行業務負担の軽減など、多くのメリットをもたらします。

今回は、給与明細を電子化(デジタル化/Web化)する方法やメリット・デメリットについて解説します。併せて電子化導入の流れや電子交付システムの選定ポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次

給与明細の電子化(デジタル化/Web化)とは

給与明細の電子化とは、紙で配布していた給与明細をデータ化し、専用のシステムやツール、アプリを介して電磁的方法により交付(電子交付)することです。電子化された給与明細は、PCやスマートフォンで内容が確認できます。

国税庁は、電子交付方法について「給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A」で電子メールでの配信、社内LAN・WAN・インターネット上へのWeb交付、CD-ROM等の記録媒体による交付の3つを挙げています。一般的には、電子メールやインターネットによる交付の採用が多くなっています。

1.電子メールを利用する方法
電子メールにより、受給者等の使用するパソコン等又は受給者等が契約しているデータセンター等に給与所得の源泉徴収票等データを送信し、これらのパソコン等やデータセンター等に備えられた受信者ファイルに記録する方法

2.社内LAN・WANやインターネット等を利用して閲覧に供する方法
支払者等が契約しているデータセンター等のサーバ内にあるファイルに記録されている給与所得の源泉徴収票等データを受給者等に対し、社内LAN・WANやインターネット等を利用して閲覧に供する方法

3.CD等の媒体に記録して交付する方法
給与所得の源泉徴収票等データをCD等の媒体に記録して交付する方法
引用元:1.基本的な事項|国税庁

なお、電子化にあたっては、従業員の同意(詳細は、「給与明細の電子化導入に必要な準備と流れ」で解説)、印刷環境の整備、長期保存可能の3つの要件を満たす必要があります。

給与明細を電子化すれば、オンラインでの給与明細の発行や保管ができるだけでなく、勤怠管理システムや給与計算システムとの連動も可能です。そのため、勤怠データから給与の計算、給与明細の作成・発行までをシームレスに行えるようになり、効率化が実現します。

給与明細を電子化するメリット

給与明細の電子化は、発行者(管理者)だけでなく、受け取る従業員にもメリットがあります。具体的には以下の5つが挙げられます。

  1. 【発行者】物理的・人的コストを削減できる

  2. 【発行者】発行業務の負担を軽減できる

  3. 【発行者】保管や管理が楽に行える

  4. 【従業員】明細をいつでも確認できる

  5. 【従業員】紛失リスクや個人情報の漏洩が少なくなる

【発行者】物理的・人的コストを削減できる

給与明細を電子化することで、発行の都度紙に印刷する必要がなくなるため、以下のような物理的/人的コストを削減できます。

掛かるコスト

具体例

物理的コスト

・給与明細を印刷する用紙代
・印刷にかかるインク代、光熱費
・送付にかかる郵送費、切手代、封筒代

人的コスト

・給与明細の印刷、封入、配布などにかかる人件費

給与明細の電子化で削減できる物理的/人的コストの例

【発行者】発行業務の負担を軽減できる

電子化により、給与明細発行にかかる業務負担を軽減できます。明細作成に要していた時間を、他の業務に使えるようになります。

さらに、給与計算システムや勤怠管理システムと連携すれば、転記などの必要がなく、そのままデータから明細の作成が行えるようになります。月末月初の締めや計算作業も減り、作業に伴うミスも防止できます。

また、明細発行に関する作業がオンラインで行えるため、給与明細発行担当者が従業員に合わせて出社する必要がなく、担当者のリモートワークも可能になります。

【発行者】保管や管理が楽に行える

給与を支給する際、明細の発行は義務付けられていますが、保管の義務はありません。しかし、給与内容に関して従業員とのトラブルを防止するため、一定期間保管するのが一般的となっています。

給与明細を電子化することで、データによる管理が可能です。紙の控えを保管しないので、物理的な保管場所を用意する必要がなくなります。ほかの書類と誤って廃棄するリスクも減らせます。

従業員や監査などで給与に関する問い合わせがあった場合や明細の再発行を求められた場合でも、検索が簡単にできるので、迅速な対応が可能です。

【従業員】明細をいつでも確認できる

給与明細の電子化は、管理者だけでなく、受け取る従業員にもメリットがあります。給与明細が電子化されると、従業員はスマートフォンやPCなど手元の端末で閲覧できます。

また確定申告や住宅ローン申し込みなどで、給与明細の提出が求められる場合も、Webやシステムにログインするか、メールなどから給与明細の確認がすぐできます。

【従業員】紛失リスクや個人情報の漏洩が少なくなる

紙での給与明細の場合、誤って捨てたり、落としたりするなどの紛失リスクがあります。紛失した際、第三者に見られて個人情報が漏洩してしまうおそれもあります。

電子交付であれば、PCやスマートフォンにダウンロードできるため、物理的な紛失のリスクがありません。誤って消去しても、一定期間内であれば再ダウンロードが可能です。また、明細には従業員本人しかアクセスできないため、別の従業員に給与明細が見られる心配もなくなります。

最近では、メールアドレスを付与していない非正規雇用や製造現場などで働く従業員にも、デジタル給与明細を配布できるツール/システムなどもあり、製造業などの現場で活用されています。

紙の帳票に追われて現場の改善が進まない、属人化が解消できない...そんな悩みを抱える現場責任者の方も多いのではないでしょうか。

こうした課題は「現場業務の標準化とデジタル化」が不十分なことに起因します。

本資料では、タブレットを使った5つの活用シーンと、業界別の導入成功事例を紹介。
明日から現場で何を変えるべきか、そのヒントを得られる内容です。

給与明細を電子化するデメリット

給与明細の電子化には管理者側にも従業員側にもメリットがありますが、デメリットもあるので、注意が必要です。

システムの導入や運用費用がかかる

給与明細の電子化には、対応した給与明細システムの導入が必要です。導入にあたり、初期費用やランニングコストが発生します。

ランニングコストは、給与明細の発行数(≒人数)に比例するケースが多くなっています。このほか、サポートが必要な場合に別途コストが発生することもあります。

初期費用

運用コスト

A社

0円

年間54,200円

B社

0円

月額400円/名(税抜)

C社

110,000円(税込)

月額55円/名(税込)

給与明細システムの費用例

セキュリティリスクの懸念がある

給与明細を電子化する場合には、セキュリティリスクの懸念も生じます。給与明細システム自体にはセキュリティ対策が講じられていますが、インターネットを介するため、パスワードが脆弱な場合の不正アクセスや、ウイルス感染などのリスクにさらされるおそれがあります。

そのため、システムのセキュリティについて懸念事項は、事前に問い合わせるとともに、業務担当者および従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高め、万が一のトラブルに備え、データの定期的なバックアップの実施も必要です。

保管期限に期限が設けられているケースがある

給与明細のシステムによっては、企業の保管期限に準じて保管や確認に2~5年の期限が設けられているケースもあります。

保管期限があるシステムの場合、従業員本人が期間内に保存する必要があります。万が一、保存期限が切れてしまった場合は、サポートデスクへの対応を依頼するなどの手間が発生してしまいます。

給与明細の電子化にあたっての注意点

給与明細を電子化すれば、コストや業務にかかる負担の軽減が可能ですが、場合によっては業務が増えたように感じられる可能性もあります。あらかじめ担当者に注意点を周知しておくことも大切です。

既存のシステムや業務フローを変更しなければならない場合もある

給与明細の電子化により、明細発行業務のフローが変わります。社内環境によっては労務管理や給与計算などのシステムも変わる場合があるので、担当者は、新しい方法を習得する必要があります。

また、給与明細システムが現在利用中のシステムと直接連携できない場合には、データの加工など、新たな業務が発生する可能性がある点も注意が必要です。

紙での発行要望には対応しなければならない

給与明細の電子化には従業員の同意が必要ですが、同意を得られない従業員には、従来どおり紙で給与明細を発行しなければなりません。

給与支給日までに閲覧できる体制が必要

所得税法によると、以下のとおり、給与支給日までに明細の交付が義務付けられています。

【所得税法第231条】
居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。
引用元:所得税法 | e-Gov 法令検索

【所得税法施行規則第100条】
法第二百三十一条第一項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)に規定する給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、同項の規定により、次に掲げる事項を記載した支払明細書を、その支払の際、その支払を受ける者に交付しなければならない。
引用元:所得税法施行規則 | e-Gov 法令検索

そのため、給与明細を電子化したあとも、電子化に同意せず紙で給与明細を希望する人や、電子明細にアクセスできない環境にある人には、給与支給日までに交付する必要があります。例えば、社内システムでのみ閲覧可能な場合は、リモートワークや長期休暇中など出社しない従業員に対して、PDF送付や郵送など、別の手段で交付しなければなりません。

また、ネットワークやシステムのトラブルで電子交付ができない場合に備えて、紙でも発行できる体制を整えておく必要があります。

給与明細の電子化導入に必要な準備と流れ

給与明細の電子化を決めた場合、以下の流れに沿って準備を進めます。従業員にも協力してもらうこともあるので、事前に把握しておきましょう。

  • 電子化の範囲と交付方法を決定する

  • 電子交付について従業員の同意を得る

  • システムを導入し運用を開始する

電子化の範囲と交付方法を決定する

給与明細を電子化するには、明細のみを電子化するのか、勤怠管理や源泉徴収票も電子化するのか、範囲を決める必要があります。従業員への交付方法もPDFをメールで送るのか、Webサイトへログインしてもらって閲覧するのかなども決定しておきましょう。

また、社内の他のシステム状況を考慮し、既存のシステムに給与明細電子化システムを連携するのか、給与明細の電子化と勤怠管理や給与計算システムが一緒になっているシステムを導入するのかを検討しましょう。

電子交付について従業員の同意を得る

給与明細の電子交付は、所得税法により従業員の同意が必須になっています。そのため、所得税法の内容を確認して、従業員に確認してもらう項目を適切に把握しておきましょう。

【所得税法第231条2項】
給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、同項の規定による給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の承諾を得て、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。
引用元:所得税法 | e-Gov 法令検索

なお、同意を得る際には、書面または電子方式で同意を得る必要があります。書式に規定はありませんが、最低限、以下の内容を記載した同意書を作成すると良いでしょう。

  • 電子交付書類の名称(給与明細書)

  • 電子交付の種類・方法

  • ファイルの記録方法や暗号化方法

  • 交付予定日

  • 交付開始日

システムを導入し運用を開始する

従業員の同意が得たら、システムを導入し、以下の流れで運用を開始します。

  1. 電子交付に対応したシステムを選定・導入する

  2. 運用開始までに明細項目や従業員情報、配信日などを設定する

  3. 説明会や研修を開催し、従業員へアクセス方法や使い方を周知する

  4. テストを兼ねた並行運用を経て、本格的な運用に移行

給与明細の電子交付システムを選定するポイント

給与明細の電子交付システムには、さまざまな種類があります。自社に合ったシステムを選ぶために、以下のポイントを確認しましょう。

  • 電子化に対応する範囲

  • 機能性

  • 対応デバイス

  • 導入と運用コスト

  • 多言語翻訳機能

電子化に対応する範囲

電子化の対象が給与明細のみか、勤怠管理や源泉徴収票などのその他労務関係の書類も電子化するかによって、選定すべきシステムは変わってきます。

対応範囲が広くなるほど、コストも大きくなることが多いため、自社の課題や予算に応じた選択が必要です。コストがかかる一方、支払い窓口が一つだったり、一元管理やデータの連携などはスムーズだったりするため、予算や担当者の工数なども加味して決めると良いでしょう。

機能性

給与明細の電子化に対応したシステムには、給与計算ソフトと連携して利用する「給与明細特化型」と、給与計算ソフトが付随している「給与計算一体型」勤怠や休暇などの管理もできる「労務管理一体型」があります。

給与明細を電子化するシステムを導入する際は、関連業務と一体化することで、業務がシームレスに行え、大きく効率化が進みます。自社システムとの連携や、システムの入れ替えの必要性などを考慮して選択しましょう。

また、給与明細の電子交付システムの中には、以下のような従業員とのコミュニケーション機能を持つ製品もあります。

  • 一斉連絡機能

  • 個別チャット

  • 安否情報確認

  • 契約管理

自社の課題や導入目的に応じて、必要な機能のあるシステムを選択しましょう。

対応デバイス

給与明細の電子交付方法には、メールやWebでの閲覧などの方法があります。しかし従業員の利便性を考慮すると、スマートフォンからの閲覧に対応しているのが望ましいといえます。

一方で発行者側は、一覧データで確認し、編集したい場合などもあるため、Webのブラウザにも対応していないと不便です。スマートフォンとPCの両方に対応しているシステムを選びましょう。

なお、スマートフォンでの閲覧には、ブラウザ型と専用アプリ型があり、操作性や対応機能が異なる場合もあります。従業員がどのデバイスであれば利用しやすいのか、必要な機能を利用できるのかを考慮しなければなりません。

導入と運用コスト

給与明細の電子交付システムにかかるコストは、初期費用と従業員数に応じた月額費用となるのが一般的です。

また、システムには、労務管理一体型、給与計算一体型、給与明細特化型の大きく3タイプがあります。一般的に業務範囲が広くなるほど、機能が豊富になるほどコストが大きくなるため、コスト以上のメリットがあるかを考慮する必要があります。

また、初期費用がかからないシステムや、複数のプランが設けられているシステムもあります。料金体系を比較し、シミュレーションするのも重要です。

システム名

分類

初期費用

運用費用

カミナシ 従業員

労務管理一体型

要問い合わせ

要問い合わせ

freee人事労務

労務管理一体型

0円

1ユーザー400円(税抜)/月〜(年払い、5名より利用可能)

SmartHR

労務管理一体型

0円

要問い合わせ

KING OF THE 人事労務

労務管理一体型

0円

1ユーザー300円(税抜)/月

Workcloud

労務管理一体型

要問い合わせ

要問い合わせ

ジョブカン 給与計算

給与計算一体型

0円

1ユーザー400円(税抜)/月

マネーフォワード クラウド給与

給与計算一体型

0円

2,980円(税抜)/月~

ジンジャー給与

給与計算一体型

要問い合わせ

1ユーザー300円(税抜)/月~

ポケット給与

給与明細特化型

要問い合わせ

要問い合わせ

HRMOS給与明細

給与明細特化型

0円

0円

やよいの給与明細 NEXT

給与明細特化型

0円

初年度無料

主要10社の給与明細電子化システムの比較

特定技能制度や技能実習制度(育成就労制度)により、外国人従業員の雇用が増えています。今後、育成就労制度が拡充され、外国人従業員の雇用はさらに進む見込みです。

特定技能制度や育成就労制度で雇用する外国人従業員は一定の日本語能力があるものの、給与明細などの書類については、細かい部分の理解が難しいこともあります。

人手不足や採用難から、外国人従業員を雇用している、あるいは今後雇用する予定がある場合には、他言語翻訳に対応しているかも確認しておくのが良いでしょう。

給与明細の電子化で業務の効率化を

給与明細を電子化すれば、業務効率化やコスト削減が可能です。従業員にとっても明細の確認が簡単になるなど、双方に多くのメリットがあります。

電子化の導入には、従業員の同意が必要です。電子化導入後も、同意しない従業員や従業員の求めに対しては、紙で交付しなければなりませんが、効率化を大きく進められます。

自社のシステム環境や導入コストに見合った電子化システムを導入し、さらなる業務効率化を目指しましょう。

「カミナシ 従業員」は、現場と会社をつなぐ従業員管理システムです。スマートフォンやタブレット、PCで従業員との連絡事項の共有やチャット機能を利用でき、給与明細の配布にも対応しています。多言語翻訳にも対応しており、外国人従業員とのコミュニケーションをサポートします。

給与明細の電子化や従業員とのコミュニケーションに関する課題を解決したい企業様は、ぜひ利用をご検討ください。

現場で働く従業員に特化したWeb給与明細ツールの詳細はこちら

執筆者:現場と人 編集部

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