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公開日 2025.12 .04

更新日 2025.12.05

デジタルを受け入れる土壌の育成。ボトムアップとPDCLAサイクルで、スピーディな現場DXを実現。

デジタルを受け入れる土壌の育成。 ボトムアップとPDCLAサイクルで、 スピーディな現場DXを実現。

最優秀賞:山一産業様

利用製品:カミナシ レポート

福岡県で製餡(あん)業を営む「山一産業株式会社」。BtoBの事業形態で菓子店などにあんこを卸し、創業以来「安全でおいしいあんこづくり」を追求した最終製品の製造を支えています。

同社では、社長主導のもと7年前からDXを推進。段階的にタブレット端末を導入し始め、2020年には全従業員への貸与を実現。DXを円滑に進めるため、従業員たちのデジタル機器への抵抗感をなくす土壌を育んできました。そして2023年、カミナシの導入により本格的な現場DXに着手。紙帳票の管理に伴う課題や記録の信憑性の問題を解決し、PDCLAサイクルを回しながら着実にDXによる成果を上げています。

従業員数45名と小規模ながら、どのようにして全社的なDX推進を成功させたのか。プロジェクトを統括する田中様と、プロジェクトリーダーの高森様、推進定着担当の藤田様にお話を伺いました。

時代の変化に対応すべく、
DX推進がスタート

─DX推進に取り組んだ背景を教えてください。

田中様:時代の流れもあり、DXを推進すべきだという思いが全社的にありました。特に製造業では、経験と勘で仕事をする部分があるので、デジタル化による作業の標準化や効率を向上させたいと考えていました。

また、食品安全という観点から、以前からX線探知機・金属探知機などの基礎的なツールを導入し、お客様に安心して取引いただくための体制は整えていましたが、日々の記録管理については課題が残っていました。

【DX推進担当者】専務取締役 製造本部長 田中様

▲【DX推進担当者】専務取締役 製造本部長 田中様

─具体的にはどのような部分に課題を感じていたのでしょうか?

高森様:紙帳票の管理と確認がとにかく多いのが課題でした。現場では60〜70くらいの紙帳票があり、中でも20帳票は毎日使用するものです。そのうえ、紙帳票が作業場とは別の階にあって、現場の作業者が帳票を持っていくのに、往復で5分程かかっていたんです。1回の移動時間で見るとそこまでインパクトはないのですが、1ヶ月20日間の勤務で計算すると、100分ぐらい無駄な移動時間が発生していました。

さらに、確認しようにも紙が回ってこないとチェックができない…という不便さを感じていました。紙だと保管場所も必要ですし、その管理が悩ましいところでした。基本的には1〜2ヶ月前の帳票はダンボールで保管していますが、監査時は、3年前までの帳票が必要な場合もあります。監査の時に探し出すのが大変で、見つからなかったこともありました。

【DX推進担当者】品質管理室 室長 高森様

▲【DX推進担当者】品質管理室 室長 高森様

─紙帳票の記録の信頼性についても課題があったとお聞きしました。

高森様:温度管理の帳票はもともと紙で運用していたのですが、記録がやや信憑性に欠ける部分があると感じていました。例えば、同じ数値が連続で並んでいると、「本当に温度計を見て毎日記録しているのか?」という不安が残りますよね。製餡の工程での重量計測でも同様に、記録が実際に意味をなしているのかという疑問があったのは事実です。

田中様:あとは記録の精度についても課題を感じていました。例えば、始業前にやるべき記入を終業後にまとめて記入しているな、と見受けられるものもありました。「慣れ」から来る業務の省略、形骸化があったのだと思います。そういった業務を是正する必要性も感じていましたね。

全従業員へタブレットを貸与し、
まずはDX推進の土壌を醸成。

─DX推進はどのように進められたのでしょうか?

田中様:本格的なDXを推進する以前に、まずはデジタルに慣れてもらうところからはじめました。パートの方も含めた全従業員にタブレット端末を貸与する取り組みは、かなり早い方だったと思います。

貸与し始めた当初は、操作に慣れてもらうことを意識して、プライベートでも積極的に使ってもらいました。

高森様:そういったDX推進のための土壌を育んだうえで、業務としてタブレットを活用し始めたのは2015年からです。製造ラインに導入し、生産の記録をタブレットで入力し始めました。同時期に、社内の連絡ツールも導入して、それを使ってもらうためにも全従業員に貸与しようという流れでしたね。70代の方も含めて全員に貸与して、今では勤怠管理などもすべてタブレットで行っています。

─全員にタブレット貸与とは、珍しいですね。皆さん問題なく使えているんですか?

田中様:それまでデジタル機器に触れてこなかった方もいましたが、今では普通に使っていますね。昼休みにはタブレットで動画を見たりしています。現場にも共用端末として置いていて、各現場の作業場ごとにタブレットがあり、製造記録の入力などにも使っています。情報共有にはすごく役立っていると思います。

─カミナシを導入することになったきっかけは、どのようなものだったのですか?

高森様:2023年3月の展示会で、カミナシさんのブースで話を聞いたのがきっかけです。社長がとても前向きで、翌月には導入が決まりました。紙帳票をデジタル化することによって効率化できるというのもありますし、データがあれば色々活用して業務改善に役立てることもできるかもしれない、という目論見もありましたね。

─DX推進の体制はどのように組織されましたか?

高森様:統括が田中専務で、プロジェクトリーダーが私、そして藤田が推進・定着や現場とのやり取りを担当しました。設定担当者を含めて、合計4人で進めました。私はリーダーですが、特別ITの知識があったわけではなく、品質管理で現場の帳票を管理する立場なので、現場のことを一番わかるというところで任命いただいたのだと思います。

カミナシを活用した具体的なDXと、
PDCLAサイクルの徹底

─どのようなDXの取り組みをされていますか?

藤田様:製造に関するDXの取り組みは、主に『カミナシ レポート』を活用したものです。一番活用しているのは、始業前・終業後の点検と清掃記録です。清掃が終わったら、どこを何時から何時まで清掃した、という記録をカミナシに入力してもらっています。

また品質管理では、午前中に決められた場所の温度計のチェックをしています。午前中、昼、午後と1日に3回、冷蔵庫や冷凍庫など温度の設定があっているかなどの記録もカミナシに切り替えました。

【DX推進担当者】製造部 品質管理 藤田様

▲【DX推進担当者】製造部 品質管理 藤田様

田中様:デジタルならではのアップデートもしています。製造では、重量などの数値が映った写真を撮って記録するようにして、データの信頼性を高めることができるようになりました。重量計が正しく測れているか確認するために、テストピースを置いて写真で撮ることによって正確性の高い記録としています。今までは正確性を担保するような記録はしていなかったので、デジタル化したことのメリットですね。お客様から重量に関しての問い合わせが来たときに、記録として写真もあるので、より納得していただけるようになりました。

ほかにも、機械の点検記録表に正しい状態の写真を見本として載せて、記録者が誰でも一定水準の記録ができるようにしています。紙帳票だと文字数に限りがありますが、タブレットだと文字も写真も、いくらでも表示できるのがメリットです。

─紙帳票からの切り替えは、どのように進めたのでしょうか?

高森様:一週間くらいで一気に切り替えました。僕自身、カミナシも紙もどちらも見るという状況が不安だったので、「もうタブレットでやれることを一気に切り替えよう!」という進め方でしたね。

田中様:事前に全従業員がタブレットに触れていて、操作できるという土壌があったので「タブレットで何か新しいことをする」ということに対する抵抗感が低かったように思います。それはすごく助かったところです。

―浸透させるためにどんなことを意識していますか?

高森様:弊社には「PDCLAサイクルを回しましょう」という指針があります。一般的なPDCAサイクルに加え、L(Learn:学び)が加わったものです。その流れに沿って『カミナシ レポート』も進めています。

一つの事例として、毎週水曜日に行っている工場の洗浄後点検があります。まず、洗浄後点検で確認した『カミナシ レポート』の記録を、全従業員が見られるグループチャットに送信します。そこに各部門の足りない部分や良かった点なども合わせて記載し、現場の方々にフィードバックしています。私としても社員40人に対して一人ひとり伝えるのは難しいので、グループチャットを使って皆さんに共有できるというのが大きなメリットの一つです。記録自体も精度が増していますが、それを素早く共有していくことも、デジタル化したことの強みだと感じています。

BIツール「Looker Studio」を用いてデータの集計・可視化をし、全体へ共有

▲BIツールを用いてデータの集計・可視化をし、全体へ共有

田中様:また、毎週各セクションのリーダーと、カミナシの入力状況やデータのフィードバック会議もしています。さらに月に1回の品質管理の打ち合わせで、次回までの新たな取り組みも決めて、PDCLAサイクルを回すということを行っています。導入して終わりではなく、細かく現場の声を聞いて、学びながらアップデートしていくサイクルが大切なのだと思います。

―現場の声にはどのように対応されましたか?

藤田様:最初は「やり方がわからない」「提出ボタンだと思ったら一時保存のボタンだった」など、操作に慣れてもらうのに少し時間はかかりました。年齢が上の方からは「億劫だ」という意見が多かったのも事実です。

それらの意見に対しては、現場の人がわかりやすいように、こちらで工夫して使い方を伝えるようにしていました。現場から「ここがちょっとわかりづらい」という声が上がれば、それに合わせて設定担当者や高森が修正して使いやすいように、という微調整を行いました。一方的な伝達ではなく、現場に寄り添いながら導入を支援するという推進側の姿勢というのは、現場にしっかり見ていただけたのかな、と思います。

目標は高く、
データ活用でさらなる進化へ

─DXによる具体的な成果を教えてください。

田中様:弊社が最も大切にしている工場清掃後点検の結果をカミナシで管理し始めてから、虫の捕獲率が前年同月に比べて約50%削減できました。また、夏季に課題になりやすい菌による製品の出荷禁止率も7%削減できています。

紙帳票からデジタル帳票への切り替えによる時間の変化では、紙帳票の印刷にかかる時間が1時間、帳票記録ミスを修正する時間については月50分〜70分削減。現場作業者への修正依頼時間も少なくなり、ファイリングは2時間削減、監査の際の準備時間がマイナス3時間の削減が実現できています。

─DX推進によって、現場にも変化がありましたか?

藤田様:デジタル帳票にしてからは、記録の入力時間がはっきりしたことが、まずメリットとして挙げられます。始業前にチェックすべきものを終業後にやる…という業務の粗がデジタルだとすべて記録されてしまうので、形骸化した記録の入力ではなくなり、記録の信憑性が向上しました。

また、業務の中で「これはカミナシでできないか?」という思考が生まれるようになったのも大きな変化です。現場の方から「この帳票作れない?」と声をかけてきてくれるようになり、現場の方々の意識が変化したことを感じますね。

─素晴らしい変化ですね。現在のDX推進率は、理想とする何%くらいでしょうか?

田中様:DXでいうと、まだ30%くらいかな、と思います。カミナシで記録はできているけど、そのデータをどう活用するかを模索しているところです。現在社内でAIチームの立ち上げが進んでおり、私と高森もそのプロジェクトに入っています。

弊社でカミナシを活用しているのは生産工場のみで、総務や経理、営業部門はまだまだデジタル化すべき業務はたくさんあります。全社的に一体感を持ち推進しているとはまだ言えないので、全社的に取り組むAIチームを契機に、よりDXを加速させていきたいです。

─今後の展望を教えてください。

田中様:『カミナシ レポート』によってデータ収集は確実にできているので、今後はそのデータを活かすところにもっと注力していきたいです。現在、カミナシで入力したデータをエクスポートして、他のツールでグラフやダッシュボードをつくり可視化できたデータを会議資料に使用しています。これらのツールも最初は皆、知識がなくて、社長を含め勉強会に行き、少しずつ習得していきました。データ化することで、例えば「包装機」と指定すると包装機のデータだけで、どんな漏れがあったのかというのが出せます。期間指定をして入力漏れが何回あったかなども出せます。視覚的にすごくわかりやすく表現できるようになりました。

最近は生成AIも法人で契約しました。それらを使って、会議の議事録の文字起こしをするなども挑戦しています。AIチームを核にして、データ活用をさらに進め、全社的にDXを盛り上げていきたいと思っています。最終的に利益を拡大するなどの成果を作れるようにしていかないといけないですね。

─これから現場DXの推進を検討されている方々へ、メッセージをお願いします。

藤田様:現場の「使いづらい」の声に耳を傾け、寄り添い、システムの微調整をすることを心がけてきました。実際に操作するのは現場の皆さんなので、その方たちが使いづらいと感じる状況は放置できません。現場の声に寄り添うことが大切だと思います。

田中様:現場の方々が使いやすいように自分たちで調整できるのもカミナシの利点で、状況に合わせて工夫してきたことが良かったのかな、と思っています。

また、弊社のDXの基盤にあるのは、やはりタブレットを全従業員に配ったことが一番大きいと思っています。まずデジタル機器に抵抗感をなくすということが一番大事ですね。

そのほかには、同業他社とも定期的に情報共有会を行っています。他社の実例を知り、DXの風を自ら感じることで、動き方も変わります。「自分たちもやるべき」という意識づけのためにも大切な機会と考え、時代の波をしっかり捉えていきたいと思っています。


山一産業株式会社様
業種:製造業(食用製造)
従業員数:45名(2025年11月現在)


執筆者:現場と人 編集部

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