製造現場の責任者であれば、生産性の向上やコスト削減に関する要求を受けることは珍しくないでしょう。しかし、具体的にどこから手をつけ、どのような手法で改善を進めればよいのか、明確な答えを持てずにいる方も多いと思います。
そんな現場の課題解決に威力を発揮するのがインダストリアルエンジニアリング(IE:Industrial Engineering)です。単なる経験や勘に頼るのではなく、科学的な根拠に基づいて作業を分析し、最適な生産システムを設計する手法として、多くの製造業で成果を上げています。
特に近年、デジタル化やIoT、AIといった技術革新が進む中で、従来のインダストリアルエンジニアリング手法をいかに現代の製造環境に適用するかが重要な課題となっています。
本記事では、インダストリアルエンジニアリングの基本概念から具体的な手法、現代の製造現場での実践方法までを解説します。生産性向上や業務効率化を任されている現場責任者の方々が、明日からでも活用できる実践的な内容をお届けします。
目次インダストリアルエンジニアリングとは
インダストリアルエンジニアリング(IE:Industrial Engineering)とは、工場やオフィスなどの作業や業務プロセスを科学的に分析し、効率化やコスト削減、安全性向上などを図るための技術や手法を指します。
インダストリアルエンジニアリングの歴史は19世紀末から20世紀初頭にさかのぼります。フレデリック・テイラーが提唱した科学的管理法を起源として、作業を詳細に観察、測定し、最も効率的な方法を見つけ出すという考え方が確立されました。その後、フランク・ギルブレスの動作分析、ヘンリー・フォードの流れ作業システムなど、さまざまな手法が開発され、現代のインダストリアルエンジニアリングの基盤が形成されました。
現在のインダストリアルエンジニアリングは、人間工学や統計学などをもとに発展を遂げています。単に作業時間を短縮するだけでなく、作業者の負担軽減、品質向上、環境配慮まで含めた改善を目指している点が特徴です。
インダストリアルエンジニアリングが解決する主な課題
インダストリアルエンジニアリングは、製造現場で頻繁に発生する以下のような課題を解決してくれます。
作業効率の低下
品質のばらつき
作業者の負担増大
作業効率の低下に関しては、作業手順の標準化と最適化により、同じ作業でも大幅な時間短縮が実現できます。その結果として、人件費削減と生産量増加の両立が可能になります。
品質のばらつきを抑えるためにも、インダストリアルエンジニアリングは有効です。統計的品質管理手法の導入により、製品品質の安定化や不良品率が低下し、材料費削減と顧客満足度向上につながります。
また作業者の負担については、人間工学に基づく作業環境改善により、労働災害の予防と作業者のモチベーション向上が期待できます。結果的に、離職率低下と生産性向上の好循環を生み出すことにつながります。
インダストリアルエンジニアリングの基本手法3つ
インダストリアルエンジニアリングを実践する上で、まず理解しておくべき基本的な手法が3つあります。
方法研究
作業測定
組み合わせ
特に製造現場では、これらの手法を段階的に適用することで、確実な成果につなげることが可能です。現場改善を進める際の核となる手法について、以下で詳しく解説します。
1.方法研究
方法研究は、現在の作業方法を分析し、より効率的で安全な作業手順を設計するためのインダストリアルエンジニアリングの中核となる手法です。方法研究では、作業を異なる視点から詳細に観察し分析するため、以下の3つの分析手法を使い分けます。
工程分析
動作分析
運搬分析(マテハン分析)
これらの分析手法を段階的に適用することで、マクロからミクロまで幅広い改善機会を発見できます。
工程分析
工程分析は、作業やモノの流れを図式化して問題点を明確にする手法です。製品が原材料から完成品になるまでの全工程を時系列で追跡し、各工程の関係性や問題点を視覚的に把握できます。
まず現状の工程を加工、検査、運搬、停滞、貯蔵の5つの記号を使って工程図に記録します。例えば、以下の図では、◯は加工を表し、矢印は運搬を表しています。そして各工程の所要時間、移動距離、作業者数なども併せて記載し、工程全体の流れを一目で理解できる形に整理しましょう。
次に、この工程図を基に無駄な工程や改善可能な箇所を特定し、改善後の理想的な工程図を作成します。改善前(現状)の工程を図で表すと貯蔵(▽)から始まり、運搬(→)や加工(◯)を経て、検査(□)まで進んでいますが、途中で停滞(D)が発生しています。
この停滞や2連続の加工を1つの工程でまとめるなどの改善を行うことで、作業時間を30分(-39%)削減できると予測を立てたのが右側の図になります。

工程分析によって改善箇所の特定(生成AIを用いてイメージ図を作成)
このような工程分析により、以下の成果が期待できます。
不要な運搬や待ち時間の削減でリードタイムを短縮できる
作業の流れが標準化されることにより新人教育の効率化や品質の安定化につなげる
設備配置の最適化や人員配置の改善案を導き出せる
動作分析
動作分析は、作業者の動きを詳細に調べてムダや非効率な動作を排除する手法です。作業を基本動作要素まで分解し、科学的に分析することで、最も効率的な作業方法を見つけ出せます。
作業者の動作を到達、把握、移動、位置決め、組立て、使用、分解、放すの8つの基本動作(サーブリッグ)に分解して記録します。例えば、以下の図では到達をR、把握をG、移動をMで表しています。
ストップウォッチやビデオカメラを使用して各動作の時間を測定し、動作チャートに整理します。その後、不要な動作や改善可能な動作を特定し、両手の動作バランスや作業リズムを考慮した最適な動作パターンを設計します。
改善前(現状)の工程を見てみると、部品Aや工具への到達(R)、把握(G)の後に位置決め(P)、部品Aや工具を放す(RL)作業があり時間がかかっています。このような作業の停滞を電動工具の導入や部品配置の最適化による到達距離の短縮で、作業時間を17秒/個(-38%)削減できると予測したのが右側の図になります。

動作分析による作業の効率化(生成AIを用いてイメージ図を作成)
動作分析を行うことで、個人の作業効率が大幅に向上します。例えば、無駄な動作の排除で作業時間を短縮できたり、作業者の疲労軽減も実現できたりします。
また最適な動作パターンが標準化されるため、熟練者と新人の間の技能差が小さくなり、全体的な生産性の底上げが可能になります。さらに、作業台の高さや工具配置の最適化により、作業環境の改善と労働災害の予防効果も期待できます。
運搬分析(マテハン分析)
運搬分析(マテハン分析)は、運搬の流れや状態を記号や数値で記録してムダを明確にする手法です。材料や製品の移動に伴うコストや時間のロスを定量的に把握し、物流効率の最適化を図れます。
まず工場内の運搬ルートを平面図上に記録し、運搬距離、運搬時間、運搬頻度、運搬量を数値化します。続いて運搬手段(手運搬、台車、フォークリフトなど)も併せて記録し、運搬分析表やフロムツーチャートを作成します。次に、運搬コストを算出し、不要な運搬や迂回ルート、空運搬などの無駄を特定します。
下の図で改善前(現状)のレイアウトを見ると、倉庫から切断、検査、出荷する場所が離れていたり、運搬経路がいろいろな方向に散らばっていて無駄があります。この無駄を作業場所の集約や運搬経路を直線上に配置することで、総運搬距離270m(−60%)の削減を予測したのが右側の図です。

運搬分析(マテハン分析)を用いて物流最適化をした例(生成AIを用いてイメージ図を作成)
運搬分析を適用することで、物流コストの大幅削減が実現できます。例として、運搬距離の短縮や運搬回数の減少により、作業時間を短縮でき、フォークリフトなどの設備稼働率も向上します。また最適な設備配置や倉庫レイアウトの設計が可能になり、在庫管理の効率化にもつながります。
2.作業測定
作業測定は、作業時間を科学的に測定、分析し、標準時間の設定や生産性評価を行うインダストリアルエンジニアリングの手法です。作業測定では、異なる観点から作業時間を分析するため、以下の2つの分析手法を使い分けます。
時間分析
稼働分析
これらの測定手法を組み合わせることで、作業の実態を数値で正確に把握できます。特に生産計画の精度向上や適正な人員配置の実現において、作業測定から得られるデータは不可欠な判断材料となります。
時間分析
時間分析は、作業を細かい単位に分けてそれぞれの所要時間を測定し分析する手法です。作業全体を構成する個別要素の時間を正確に把握することで、科学的根拠に基づいた標準時間の設定が可能になります。
作業を準備、主作業、付随作業、片付けなどの要素に分解し、ストップウォッチを使用して各要素の時間を複数回測定します。その後、測定データから異常値を除外し、平均時間を算出します。さらに作業者の熟練度や作業条件を考慮した評価係数を適用し、余裕時間(疲労、私用、手待ちなど)を加算して標準時間を決定します。
ある作業を準備作業と主作業、付随作業、片付けの4つに分解し、作業時間を10回測定した結果、平均15.7秒となりました。
また、各作業に熟練度や作業条件を考慮した評価係数をかけた正味時間を算出します。この正味時間は疲労や手待ちなどの余裕時間が加味されていないため、それらを含めるとある作業に必要な時間は、18.3秒であることがわかりました。

時間分析をし、標準時間を算出した例(生成AIを用いてイメージ図を作成)
このような時間分析は精度の高い生産計画の立案に重要な役割を果たします。各工程の標準時間が明確になることで、適正な人員配置や納期設定が可能になり、生産効率が向上します。また作業者間の技能格差を数値で把握できるため、効果的な教育訓練計画の策定や公正な評価制度の構築にもつながります。
稼働分析
稼働分析は、作業者や機械がどの作業にどれだけの時間を使っているかを比率で明らかにする手法です。一定期間にわたって稼働状況を観察し、実稼働時間と遊休時間の構成比を把握することで、生産性向上の具体的な改善点を発見できます。
観察対象を一定間隔(通常30秒〜1分)でサンプリングし、その瞬間の作業状態を主作業、付随作業、段取り、待機、休憩などに分類して記録します。
統計的に十分なサンプル数(通常300〜500回)を収集した後、各作業状態の出現頻度から稼働率を算出します。このとき各工程にかかっている時間や工数を瞬間的に観測するワークサンプリング法や連続観測法を状況に応じて使い分けます。
下の図はワークサンプリング法の手順に従って、1日の稼働状況を主作業、付随作業、段取り、待機、休憩の5つに分類した結果を示しています。
稼働率分析の結果を見ると、全体の中での主作業の時間が少なかったり、待機時間が無駄に多かったりという傾向が見えてきます。この結果に対して、待機時間が多い原因を調査し、段取り時間の短縮や作業手順の見直しなどの改善アクションを起こしていくのが稼働分析の狙いです。

ワークサンプリング法によって稼働分析をした例(生成AIを用いてイメージ図を作成)
稼働分析により、隠れた生産ロスが明確になります。機械の実稼働率や作業者の有効作業時間が数値化されることで、設備投資の判断材料や人員配置の最適化が可能になります。また待機時間や段取り時間の実態が把握できるので、具体的な改善対象を特定し生産性向上施策の優先順位付けができます。さらに、改善前後の稼働率比較により、施策効果を定量的に評価できます。
3.組み合わせ
組み合わせは、これまで解説した方法研究と作業測定の結果を統合し、最適な作業システムを構築する手法です。組み合わせでは、複数の要素を総合的に考慮した最適化を行うため、以下の3つの分析手法を活用します。
ラインバランス分析
連合作業分析
プラントレイアウト
これらの手法は相互に関連し合い、一つの改善が他の要素に与える影響も考慮しながら、工場全体のパフォーマンスを向上させます。特に大規模な改善プロジェクトや新工場の設計において、組み合わせ手法の活用は不可欠となります。
ラインバランス分析
ラインバランス分析は、生産ライン各工程の作業量や時間を均等化し、生産効率を最大化する手法です。工程間の作業時間のばらつきを解消することで、作業が停滞してしまうボトルネック工程を排除し、ライン全体の生産能力を向上できます。
まず各工程の標準時間を測定し、サイクルタイム(製品1個あたりの生産時間)を算出します。
次に、最も時間のかかる工程(ボトルネック)を特定し、他工程との時間差を分析します。作業の再配分、工程統合、分割、設備追加などの改善案を検討し、全工程の作業時間を目標サイクルタイムに近づけます。その後、改善後のラインバランス効率を計算して効果を確認します。
下の図では改善前(現状)のままだと工程Bでの作業時間が90秒と、ほかの作業と比べてもかなり多くなっています。そこで工程Bの作業を2つに分割したり、作業手順の見直しなどをおこない、工程間の作業時間の平準化をはかります。
その結果、工程Bがボトルネックとなって90秒かかっていたサイクルタイムが60秒以内に改善し、目標としている生産能力を発揮できるようになると予測したのが右側の図です。

工程をわけ、サイクルタイムの改善をした例(生成AIを用いてイメージ図を作成)
ラインバランス分析により、生産ライン全体の効率が大幅に向上します。ボトルネック解消により生産能力が向上し、在庫の削減も実現できます。また各工程の作業負荷が均等化されることで、作業者の負担格差が解消され、品質の安定化にもつながります。
連合作業分析
連合作業分析は、複数の作業者や機械の組み合わせ作業を分析し、効率化やムダの発見を図る手法です。作業者同士、または作業者と機械の連携における待ち時間や非効率な動作を特定し、最適な作業パターンを設計できます。
複数の作業者や機械の動きを同時に観察し、タイムチャートやガントチャートを使って時系列で記録します。その上で各作業者や機械の稼働時間と待機時間を可視化し、作業の重複や空き時間を特定します。
そして、作業順序の変更、役割分担の見直し、機械との同期タイミングの調整などの改善案を検討し、全体の作業効率を最大化する組み合わせパターンを設計します。
下の図では改善前(現状)は作業者Aや作業者Bがそれぞれの作業を待つ待機時間が多く、稼働率が低下しているのが問題として見られます。そこで共同で作業できる工程を整備したり、機械を連続で稼働させたりすることで、各作業の連携を強化します。
その結果、作業者Aや作業者B、機械の稼働率が上がり、サイクルタイムが45秒(−38%)改善できることが見込めます。

適合作業分析によって協調作業を最適化させた例(生成AIを用いてイメージ図を作成)
連合作業分析により、チーム作業の生産性が飛躍的に向上します。作業者間の待ち時間削減により、同じ人数でも生産性向上が可能になります。また機械の自動運転時間を有効活用できるため、設備稼働率の向上と人件費削減を同時に実現できます。
プラントレイアウト
プラントレイアウトは、工場内の設備や作業場所の配置を最適化し、物や作業者の流れを効率化する手法です。生産工程の流れに沿った合理的な配置により、運搬コストや作業時間を大幅に削減できます。
まず製品の生産工程順序を整理し、各工程間の物流量や作業者の移動頻度を調査します。現状レイアウトの問題点を運搬分析や動作分析で特定し、工程間の関連度マトリックスを作成します。その後、関連度の高い工程を近くに配置する原則に基づいて新レイアウト案を作成し、運搬距離、運搬コスト、作業効率の観点から複数案を比較検討します。
改善前(非効率なレイアウト)は、倉庫から切断、穴あけ、組み立てなどの移動経路がバラバラで、各作業間の移動距離もかなり離れていることがわかります。
このような場合、工程順序に沿った一直線の配置や最短距離での移動で済むようにレイアウトを変更するなどが効果的です。
その結果、改善後には移動距離、移動時間ともに−90%削減でき、交差移動による事故も防げるようになっているのがわかります。

プラントレイアウトによる効率化の例(生成AIを用いてイメージ図を作成)
プラントレイアウト(工場の設備や機械、人の動きなどを効率的になるように配置すること)により、工場全体の生産性が劇的に向上します。運搬距離の短縮により物流コストを削減でき、リードタイムも大幅に短縮されます。また作業者の移動時間削減により実作業時間が増加し、生産能力の向上が実現できます。さらに、工程間の連携がスムーズになることで、品質管理の向上や在庫削減効果も期待でき、工場運営の総合的な効率化が図れます。
トヨタ式カイゼンとインダストリアルエンジニアリングの関係性
トヨタ式カイゼンは、現場の作業者が主体となって日常的に小さな改善を積み重ねる活動です。ムダ、ムラ、ムリの排除を基本理念とし、現場の知恵と経験を活かしたアプローチが特徴です。一方で、科学的なインダストリアルエンジニアリングとは密接な関係を持ちながらも、細かく見ていくと違いがあります。
項目 | インダストリアルエンジニアリング | トヨタ式カイゼン |
目的 | 生産性向上や効率化 | |
対象 | 作業や工程などのシステム全体 | |
主体 | 専門技術者や管理者 | 現場の作業者中心 |
改善規模 | 大規模な改革 | 小さな改善の積み重ね |
分析手法 | 統計や定量的分析 | 経験や直感重視 |
トヨタ式カイゼンとインダストリアルエンジニアリングの共通点と相違点
それぞれ目的が生産性の向上なことや対象がシステム全体である点は、共通しています。しかし、主体となるメンバーや改善規模、分析手法などに違いが見られます。
トヨタ式カイゼンは現場の経験や直感を重視しているのに対して、インダストリアルエンジニアリングは管理者が統計や定量的分析を用いて大規模に改革する点が異なります。
インダストリアルエンジニアリングを始めるための実践3ステップ
インダストリアルエンジニアリング(IE:Industrial Engineering)の理論を理解したあとは、実際に現場で活用するための具体的なアクションが必要です。初めてIE活動に取り組む方でも迷わずに進められるよう、実践的な3つのステップを以下の順序で詳しく解説します。
IE活動を始めるための具体的な手順を知る
IEで活用できる分析フォーマットとソフトウェアを探す
IE関連の情報収集と専門家ネットワークを構築する
これら3つのステップを順番に実行することで、IE活動を確実に軌道に乗せることが可能です。順番に解説します。
【ステップ1】IE活動を始めるための具体的な手順を知る
IE活動を成功させるためには、基本の分析手法の正しい使い方と適切な対象の選択が重要です。まず工程分析、動作分析、時間分析などの基本的なIE分析手法の使い方とデータ収集のポイントを理解しましょう。
測定時は作業者への事前説明で協力を得て、通常の作業状態を観察することが精度向上の鍵となります。また複数回の測定による統計的処理と、異常値の適切な除外により信頼性の高いデータを収集できます。
次に、ボトルネック工程の特定方法や効果が出やすい小さな成功体験から始めるための対象選びの考え方を学びましょう。全工程の中で最も時間のかかる工程や待ち時間の多い箇所を優先的に分析し、改善効果を数値で示すことで現場の理解を得られます。
初回は作業手順の標準化や工具配置の改善など、投資不要で即効性のある改善から始めることをおすすめします。小さな成功を積み重ねることで現場の信頼を獲得し、より大きな改善プロジェクトへの道筋を作ることにつながります。
【ステップ2】IEで活用できる分析フォーマットとソフトウェアを探す
効率的なIE活動には適切なフォーマットとソフトウェアの活用が不可欠です。まず工程分析表、作業分析シート、動線分析用テンプレート、標準作業組合せ表などの基本フォーマットを準備しましょう。これらのテンプレートは手作業でも作成できますが、Excel形式で準備しておくことで集計や分析作業が効率化されます。
次に、ストップウォッチや業務内容と時間をワンタップで記録できるタイムスタディアプリ、動画撮影機材など、作業時間の正確な測定と分析のための道具を選定します。スマートフォンのタイムスタディアプリは複数の作業を同時に測定でき、データの自動集計機能も活用できます。動画撮影は後から詳細分析が可能で、作業者への負担軽減も可能です。
さらに、Microsoft Visio、AutoCAD、SketchUpなど、工場やオフィスレイアウトの設計、改善案の可視化に役立つソフトウェアを調査しましょう。
各種分析手法を活用することで改善案を視覚的に提示でき、関係者との合意形成がスムーズになります。初期投資を抑えたい場合は、無料のレイアウト作成ソフトから始めることも可能です。
【ステップ3】IE関連の情報収集と専門家ネットワークを構築する
IE活動の継続的な発展には、知識のアップデートと専門家とのネットワーク構築が重要です。まずIE専門書籍や雑誌を収集したり、IEセミナーや研修会に参加したりして、実践的なスキルの習得を目指しましょう。日本IE協会や製造業系の学会が主催する研修会では、最新の手法や事例を学べるだけでなく、同じ課題を持つ他社の担当者と交流する機会も得られます。
次に、企業見学会や改善事例発表会に足を運んで実際の成功事例や失敗体験から学び、自社での適用イメージを明確にしましょう。理論だけでは理解しにくいIE手法も、実際の現場での適用例を見ることで具体的な進め方が見えてきます。
またIE専門のコンサルタントや大学研究者とのネットワーク構築により、困難な課題に直面した際の相談先を確保できます。社内だけでは解決困難な問題も、外部専門家の知見により突破口を見つけることが可能になります。継続的な学習と人的ネットワークがIE活動成功の基盤となります。
インダストリアルエンジニアリングで持続的な生産性向上を実現しよう!
本記事では、インダストリアルエンジニアリングの基本概念から実践方法までを解説しました。インダストリアルエンジニアリングは単なる時間短縮手法ではなく、科学的根拠に基づいて作業システム全体を最適化する総合的なアプローチです。
方法研究(工程分析、動作分析、運搬分析)により現状の問題点を明確化し、作業測定(時間分析、稼働分析)で改善効果を定量的に評価できます。さらに組み合わせ手法(ラインバランス分析、連合作業分析、プラントレイアウト)により、個別改善を全体最適へと発展させることが可能です。
また実践3ステップに沿って基本的な分析手法の習得から始め、継続的な学習とネットワーク構築により専門性を高めていくことが重要です。まずは自分の身近な作業を5分間じっくり観察して、効率化できることはないか問いかけてみましょう。小さな気づきから始まる改善活動が、やがて大きな生産性向上につながります。インダストリアル






















