現場と人ロゴ画像

現場DX3点セット
資料ダウンロード

現場DXの
最新情報を受取る

公開日 2025.04 .24

更新日 2026.04.16

リスクアセスメントとは?実施手順や業界別の例、期待できる効果を紹介

リスクアセスメントとは?実施手順や業界別の例、期待できる効果を紹介

リスクアセスメントは現場に潜む危険性を明確にし、労働災害を未然に防いだり従業員の安全を確保したりする上で重要な取り組みの一つです。リスクアセスメントをもとに適切な安全衛生対策を実施することで、従業員の離脱による作業効率の悪化や社会的信用の低下などを防げます。

労働安全衛生法では業種や規模を問わず、労働災害のリスクが懸念される事業者に対してリスクアセスメントが努力義務化されているものの、言葉の意味や具体的な手順を理解するのが難しく、多くの企業では取り組みをスムーズに進められずにいます。

従業員の安全と健康を確保し、労働災害を最小限に抑えるためにはリスクアセスメントの効果や実施手順を正しく理解し、事故につながる危険因子を洗い出して迅速に改善することが大切です。

本記事では、リスクアセスメントの意味や目的、期待される効果や実施手順、業種別の事例を解説します。

リスクレベルを可視化し、対応の優先度をつけるための「リスクアセスメントシート」は、以下のボタンから無料でダウンロードできます。是非ご活用ください。

リスクアセスメントシートをダウンロードする
目次

リスクアセスメントとは

リスクアセスメントとは、労働災害を引き起こす要因となる危険性・有害性を作業現場や各工程から抽出し、これらのリスクを可能な限り除去・低減するための対策を講じる一連の手法です。

重大な事故や健康問題の発生リスクは製造業や建設業に限らず、飲食店や小売業、医療などさまざまな業種に潜んでいます。

顕在化しているリスクに対処することは、安全な職場づくりにおいて重要な取り組みです。ただ、何も起きていないからといって潜在的なリスクを放置すると、労働災害が発生したとき従業員に苦痛をもたらすだけでなく、企業としても社会的信用の低下や損害賠償などの問題に発展しかねません。

可能な限り労働災害を減らして従業員の安全を確保するためには、先取りの対策としてリスクアセスメントを実施し、現場の安全意識を高めて働きやすい環境をつくることが大切です。

重大な事故や健康問題の発生リスクを抑えることで現場の安全性が高まると、安定した生産活動によって良質な製品・サービスの提供が可能になり、顧客満足度や社会的信用も向上して企業の持続的な発展を実現できます。

リスクアセスメントの目的

リスクアセスメントの目的は、職場の危険と対策を把握し、災害のリスクをできる限り最小限に留め、労働災害を起こさない職場づくりを全社員一丸となって行うことです。ちなみに厚生労働省でも、リスクアセスメントの目的を以下のように明示しています。

職場のみんなが参加して、職場にある危険の芽(リスク)とそれに対する対策の実状を把握し、災害に至るリスクをできるだけ取り除き、労働災害が生じない職場にすること。
引用元:プレス事業場におけるリスクアセスメントのすすめ方(p.3)|厚生労働省

リスクアセスメントを組織的・継続的に実施して労働災害を最小限に抑えるためには、経営層や担当者だけでなく現場で働く従業員の協力も欠かせません。現場の従業員だからこそ気付ける細かなリスクの共有によって、確実な低減対策を実行でき、一人ひとりの危機管理能力も高まるため、労働災害を防ぐ行動を意識的に取れるようになります。

従業員の積極的な参加を促す方法としては、リスクアセスメントの目的や手順を説明する、現場の意見をもとに低減対策を立案する、得られた効果を可視化して共有するなどが効果的です。

リスクアセスメントが組織的な取り組みになれば、現場の実態に合った最適な安全衛生対策によって労働災害の発生リスクがゼロに近い職場づくりを実現し、安定した品質の製品・サービス提供や社会的信用の向上が可能になります。

リスクアセスメントが必要な理由

リスクアセスメントの実施は、労働安全衛生法によって努力義務化されています。

2005年に改正された労働安全衛生法では「建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性など労働者の就業に係る全てのもの」を対象に、リスクアセスメントの実施が努力義務化されました。
参考:労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第28条の2|e-GOV法令検索

その後、2016年の改正ではベンゼンやトルエンなどを含む896の化学物質(2024年4月1日時点)を扱う事業者に対しても、リスクアセスメントの努力義務化が規定されています。
参考:労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第57条の3|e-GOV法令検索

リスクアセスメントの実施は、化学メーカーなどの製造業だけでなく、飲食店やサービス業など化学物質を現場で取り扱う事業者も対象です。

また労働災害の発生状況から見ても、企業におけるリスクアセスメントの実施は必要だといえます。厚生労働省の「令和5年 労働災害発生状況」によると、2022年における「休業4日以上の死傷者数」が132,355人だったのに対し、2023年は135,371人と3,016人増加していることが明らかになりました。

2021年

2022年

2023年

休業4日以上の死傷者数

130,586人

132,355人

135,371人

参考:令和5年 労働災害発生状況|厚生労働省

できる限り死傷者を減らすためにも、労働災害の危険性を抱える企業では、リスクアセスメントを実施して業務改善や職場環境の整備を行い、従業員の安全を確保することが求められます。

リスクアセスメントで期待される効果

リスクアセスメントによって期待される効果は、次の4つです。労働災害の発生リスクを抑えられるのはもちろん、従業員の危機管理意識が高まることで職場全体の安全性が向上し、顧客・取引先からの信頼アップにもつなげられます。

  • 現場に潜むリスクの可視化と共有が可能になる

  • 合理的な優先順位に基づく安全衛生対策を進められる

  • 残されたリスクについて守るべきルールを明確化できる

  • 安全を最優先に考える文化が職場全体に生まれる

リスクアセスメントで高い成果を出すためにも、どのようなメリットがあるのか押さえておきましょう。

現場に潜むリスクの可視化と共有が可能になる

リスクアセスメントでは、危険性や有害性の高い作業や機械・設備を徹底的に洗い出すため現場に潜むリスクが明確になり、先回りの対応で重大な事故や健康問題の発生を未然に防げます。

リスクを可視化することで、どのような対策が効果的なのか検討しやすくなるのはもちろん、明確な基準による業務ルールの共有で、従業員のスキルや経験に関係なく誰もが同じレベルで労働災害に備えられます。

たとえば、高所作業における開始前の点検で何をチェックしたら良いのかわからない場合は、リスクアセスメントによって事故につながる危険因子を可視化することで、項目の追加基準が明らかになり、確実な点検の実施で従業員の安全を確保できます。

他にも、製造現場においてフォークリフトと従業員が同じ動線を使っていると判明した場合は、接触リスクがある旨の注意喚起や新たな動線のルール化など、全体への共有を図ることで労働災害の発生リスクを減らせます。

このように、潜在的なリスクを誰にでも見える形で共有すると、現場の従業員は高い危機意識を持って業務に取り組めます。その結果、組織的なリスクアセスメントの実施が可能になり、働きやすい職場づくりや企業イメージ向上を実現できます。

合理的な優先順位に基づく安全衛生対策を進められる

リスクアセスメントでは現場に潜む危険性や有害性の特定だけでなく、リスクの発生頻度や労働災害が起こった場合に予測される病気・怪我の程度に関する分析も行います。そのため、どのリスクから対処すべきか合理的な方法で優先順位を決定し、効率的に安全衛生対策を進められます。

特に製造業や建設業には危険を伴う業務が多々あり、従業員の安全を確保するためには膨大な量の作業や機械・設備を見直さなければなりません。しかし、すべてのリスクを一気に減らそうとしてもムダな時間や労力がかかり、中途半端な結果に終わってしまう可能性があります。

そこでリスクアセスメントを実施し、客観的データをもとに優先順位をつければ、重大な事故や健康問題につながる危険性の高いリスクから低減を図れます。余計なコストをかけなくても短期間で効果を実感できるため、企業全体で安全衛生対策を進めやすくなり、結果的に労働災害の発生リスクが限りなくゼロに近い職場づくりを実現できます。

残されたリスクについて守るべきルールを明確化できる

企業によっては業務内容や作業環境の変更が難しい、予算が足りず新しい機械・設備を導入できないなどの事情で、現場におけるすべてのリスクをゼロにするのが難しい場合もあります。

しかし、リスクアセスメントでは残されたリスクについて守るべきルールも明確化できるため、十分な対処が難しい環境下でも労働災害を未然に防ぐ方法を周知することで従業員の安全を確保できます。

たとえば特定の化学物質を扱う際は、手袋・マスク・保護メガネの装着を義務化する、作業終了時における換気や清掃の手順をマニュアル化するなどの対策を講じることで、健康問題の発生リスクを最小限に抑えられます。

労働災害によって引き起こされる病気・怪我の程度など客観的なデータをもとにルールを守るべき理由を説明すると、現場で共有する際も従業員の理解と協力を得やすくなり、組織的な取り組みを進められます。

労働災害のリスクを完全に排除できなくても、可能な限り抑える対策を検討し、現場での周知徹底を図ることで従業員の安全や健康を守り、高い生産性や作業効率を維持して顧客満足度の向上につながる製品・サービスを提供できます。

安全を最優先に考える文化が職場全体に生まれる

リスクアセスメントによって現場を巻き込んだ取り組みを進めると、従業員一人ひとりの危機管理意識が向上し、職場全体に安全を最優先に考える文化が広がりやすくなります。

たとえば、リスクの可視化・共有によって従業員がどのような場面で労働災害が起こりやすいのかを把握できると、異常に気付いたときも機械を確認したり上司に報告したりする行動が増えて事故の発生を未然に防げます。

現場の安全性を維持する行動が当たり前のこととして定着されるため、従業員が互いに声を掛け合ってルールを遵守する、重大な事故につながりかねないヒヤリハットの事例を共有して労働災害を防ぐノウハウが蓄積されるなどの効果も期待できます。

ヒヤリハットの事例共有時にネタに困ったら...!以下の記事を参考にしてください。
▶ ヒヤリハットのネタ切れを防止する9つの方法を紹介。スグに使える事例もあり

経営層や担当者だけでなく、現場の従業員も自分自身の安全を最優先に考えることができれば、単なるルールや注意喚起だけでは実現できない安全な職場づくりが可能になり、顧客・取引先からも信頼できる会社と認識され持続的な発展を遂げられます。

従業員の働きやすさも向上することで離職を防げるため、人手不足による生産性・作業効率の低下を防ぎ、安定した品質の製品・サービスを提供して企業全体の売上アップにつなげられます。

リスクアセスメントを進める5つの手順

リスクアセスメントは、以下5つの手順で進めましょう。現場の従業員も含めた複数名のチームで進めることが、多様な視点に基づく適切なリスクアセスメントを実施するポイントです。

  1. 従業員向けの事前説明を行い、推進メンバーを選任する

  2. 労働災害につながるリスクを特定する

  3. 特定したリスクの重篤度・発生頻度を見積もる

  4. 優先順位を決定し、リスク除去・低減対策を実行する

  5. リスクアセスメントの効果検証を行う

初めてリスクアセスメントを実施する企業には、厚生労働省が公開している以下の記録表を活用するのがおすすめです。記録表を活用しながら5つの手順に沿って取り組みを進めると、少ない労力やコストで現場の実態に合った安全衛生対策を実行できます。
参考:リスクアセスメント記録表|厚生労働省

1.従業員向けの事前説明を行い、推進メンバーを選任する

リスクアセスメントを実施する際は、まず社長や工場長などの経営層から従業員向けに事前説明を行いましょう。

現場に潜むリスクを徹底的に洗い出し、労働災害を未然に防いで安全な職場づくりを実現するには全従業員の理解と協力が欠かせません。

経営層がリスクアセスメントの必要性を訴えることで、会社としての本気度や従業員の安全を最優先に考える姿勢が伝われば、組織的な取り組みが可能になり成果を出しやすくなります。

リスクアセスメントの実施について伝える際は、労働災害を徹底的に防ぐという目的だけでなく、具体的な実施手順や従業員にとってのメリットも説明すると、現場の抵抗感を軽減できます。

事前説明を行った後は、安全管理者や複数の工程をまとめる管理者、現場の従業員などを含めたリスクアセスメントの推進メンバーを選任しましょう。

現場の実態をよく知る従業員もメンバーに入れることで、顕在化されていない危険性・有害性を可視化しやすくなり、重大な事故や健康問題につながるリスクを低減して働きやすい職場づくりにつなげられます。

2.労働災害につながるリスクを特定する

リスクアセスメントの推進メンバーを選任できたら、次は現場の作業環境や機器・設備、原材料などから労働災害につながるリスクを特定します。

多くの場合、同時にすべてのリスクを調査するのは難しいことが想定されます。そのため最初は、リスクが明確になっていないものの、重大な労働災害を引き起こす危険性の高い業務から調査を進めましょう。

作業現場や各工程のリスクを特定する手順は、以下のとおりです。実際に現場を観察すると、従業員の作業する様子からリスクを特定しやすくなります。

  1. 対象となる作業のマニュアルや作業手順書を用意する

  2. 対象となる作業の工程を細分化する

  3. 細分化した工程について、危険の有無を意識して現場を観察する

  4. 機械・設備は故障することや人はミスを犯すという前提で再度現場を観察する

特定されたリスクについては、労働災害が起こる流れを想定して、以下のように「〜なので、〜して、〜になる」という形式で書き出しておくと、次のステップで互いに認識のズレが生じることなく、正確な見積もりができます。

特定したリスクの記載例


機械にガードがついていないので、作業中に手が巻き込まれて、骨折などの重傷を負う可能性がある


製品の仕様書や機械・設備に関するレイアウト、ヒヤリハットなども活用することで、労働災害が発生する原因や現場で実行すべき対策のヒントを得やすくなり、効率的にリスクアセスメントを進められます。

3.特定したリスクの重篤度・発生頻度を見積もる

現場に潜む危険性・有害性が明確になったら、特定したリスクの重篤度や発生頻度をそれぞれ数値化し、どのリスクから対処すべきか検討しましょう。

労働災害を引き起こす危険性・有害性の度合いを明確にすることで、客観的指標に基づく合理的な優先順位付けが可能になり、リスクアセスメントの効果を高められます。

なお、リスクの重篤度とは労働災害が起こった場合に従業員が被る病気や怪我の程度、リスクの発生頻度とは、重大な事故や健康問題を引き起こす危険性・有害性に従業員が近づく頻度のことです。

リスクを見積もる方法は、主に「マトリクス式」と「加算法」の2種類があります。マトリクス式とは、横軸と縦軸に当てはめた重篤度と発生頻度の2観点をクロスさせて対象となるリスクを見積もる方法です。

マトリクス式でリスクを見積もった例

画像引用元:事例でわかる職場のリスクアセスメント(p.2)|厚生労働省

加算法とは、リスクの重篤度と発生頻度を一定の基準で数値化し、それらを足したり掛けたりして見積もる方法を指します。

加算法でリスクを見積もった例

画像引用元:事例でわかる職場のリスクアセスメント(p.2)|厚生労働省

重篤度と発生頻度については、会社独自の基準で数値化しても問題ありません。ただし、適切なリスクアセスメントを実施するためには「なぜその数値なのか」を論理的に説明できる明確な基準を定めましょう。

現場の従業員を含めた複数名で見積もりを行うと、多角的な視点からリスクレベルを評価できるため抜け漏れのない対処が可能となり、結果的に徹底した労働災害の未然防止を実現できます。

4.優先順位を決定し、リスク除去・低減対策を実行する

リスクの見積もりが終わったら、優先度の高い業務から順に低減対策を検討・実行しましょう。労働災害のリスクを除去・低減するための安全衛生対策は、大きく分けて4種類あります。高い効果が期待される方法から、以下の順に沿って実行することが確実にリスク除去・低減を実現させるためには大切です。

種類

内容

具体例

1.本質的対策

危険な作業の見直しや撤廃など

危険な溶剤を安全性の高い薬品に変更する

2.工学的対策

機械や設備の導入など

機械に安全カバーやインターロックを設置する

3.管理的対策

マニュアル整備や立入り禁止措置、従業員教育など

危険を伴う作業についてマニュアルを改定し、従業員向けの研修を行う

4.個人用保護具の使用

保護具の装着など個人単位で行える対策

防じんマスクや防毒マスクの着用を義務付ける

リスク除去・低減対策の優先順位

4の個人用保護具の使用は、本質的対策・工学的対策・管理的対策では十分に対処しきれないリスクに対して実施するものです。そのため、基本的には3つの低減対策で労働災害のリスクを除去・低減するのが望ましいといえます。

現状の技術や機械・設備の制約などで対応が困難なリスクについては、残留リスクとして記録表に概要や現場で守るべきルールを記載しておきましょう。

対処しきれないからといって放置せず、次年度の安全衛生計画などに反映させて継続的に解決を図ることが、現場の安全性を高めて従業員の命や健康を守るためには大切です。

5.リスクアセスメントの効果検証を行う

リスクへの低減対策を講じた後は実施状況を記録し、推進チームで定期的に効果検証を行ってリスクアセスメントの取り組みが適切だったか、見直しや改善が必要かどうかを検討しましょう。

想定した結果と異なる部分があったり、新たなリスクが発生していたりする場合は再度リスクアセスメントを実施し、改善策を講じることで安全衛生管理の質を継続的に高めつつ従業員の働きやすい職場環境をつくれます。

効果検証の方法としては、再度リスクの見積もりを行って対策前後の数値を比較する、ヒヤリハットや災害件数の推移を確認する、安全確保に向けたルールが守られているか現場を観察するなどがあります。

加えて、現場の従業員から「以前より安全に作業できていると感じるか」や「新しいルールは実行しやすいか」などの意見を集めるヒアリング・アンケートを行うと、数値化できない定性的な要素の評価も可能となり、より効果を高める改善策を検討できます。

リスクアセスメントの改善後も実施状況を記録に残し、次年度以降に引き継げば回数を重ねるごとに対策レベルも高まるため、結果的に全従業員が安心して働ける職場づくりや企業イメージの向上、安全を最優先に考える企業文化の醸成などを実現できます。

【業種別】リスクアセスメントの実施事例

厚生労働省が公開している「リスクアセスメント実施事例集」から、以下3つの業種でどのようにリスクアセスメントを進めているのかを紹介します。自社の状況に近い事例を参考に、効率的かつ確実なリスクアセスメントの進め方を検討しましょう。

  • 食品製造業

  • 機械製造業

  • 道路貨物運送業

事例集では、他にも設備工事業や印刷業、倉庫業や小売業などさまざまな業種のリスクアセスメント実施事例を紹介しています。過去の事例から成功のヒントを掴み、自社の取り組みに反映させることで確実性の高いリスクアセスメントを実施できます。

食品製造業

食品製造業は、包丁やスライサーによる切傷、加熱機器による火傷といった労働災害の発生リスクを抱えています。

本事例における食品製造の企業では、包装工程において製品が正常に入らず、従業員が手で修正しようとしたとき機械に巻き込まれるリスクを抱えていました。従業員の手が機械に巻き込まれると単なる切傷では済まされず、指の切断や死亡事故に発展する可能性もあります。

食品製造業においてリスクアセスメントを行った例

画像引用元:リスクアセスメント実施事例集(p.16)|厚生労働省

同社では災害防止対策として安全教育を行い、異常事態には機械を止めるよう徹底していました。ただ、それだけでは十分な効果があるといえなかったため、リスクアセスメントによって工学的対策による低減対策が実行されました。

具体的に実行したのは、危険を察知したときすぐに機械を止められる緊急停止スイッチを設置することです。その結果リスクレベルが軽減し、以前に比べて労働災害の発生を未然に防ぎやすくなりました。今後の課題としては、怪我につながる危険箇所をカバーで覆う措置が検討されています。

機械製造業

機械製造業は、プレス機やロール機などの可動部における巻き込まれ事故、有害物質の吸入など怪我や健康問題を引き起こすさまざまなリスクを抱えている業種の一つです。

本事例における機械製造の企業では、サンダー作業をする際に安全メガネを着用するよう呼びかけていたものの、従業員の定着率が低かったために鉄粉が目に入るリスクを抱えていました。鉄粉が目に入ると炎症を起こすだけでなく、視力低下や失明に至る恐れもあります。

機械製造業においてリスクアセスメントを行った例

画像引用元:リスクアセスメント実施事例集(p.24)|厚生労働省

同社では、管理的対策として安全メガネの着用を義務化し、ルールを守るよう従業員に向けて徹底的な指示を行いました。その後、再度リスクアセスメントを行ったところ「サンダー作業における労働災害の発生リスクは大幅に軽減した」という評価結果に至りました。

今後は、より幅広い工程における従業員の安全を確保するため、工場内作業者への安全メガネ着用の徹底を図ることが検討課題として挙げられています。

道路貨物運送業

道路貨物運送業では、交通事故や荷物の積み下ろし作業時における事故、トラックの荷台からの落下などの労働災害が発生するリスクを抱えています。

本事例における道路貨物運送業の企業では、タンプ上での荷積み作業中にバランスを崩して転落するリスクに対処する必要がありました。荷台から落下すれば骨折などの大きな怪我につながるだけでなく、走行する車に巻き込まれて交通事故に発展するかもしれません。

道路貨物運送業でリスクアセスメントを行った例

画像引用元:リスクアセスメント実施事例集(p.32)|厚生労働省

リスクの見積もりを行った結果、作業前のミーティングで注意喚起を行うだけでは不十分だと評価されたため、同社では低減対策を検討し、工学的対策としてダンプ上にワイヤーと安全帯を導入しました。

具体的には、上図のように荷台の全部から後部にワイヤーを通して固定し、そこに安全帯を装着することで労働災害のリスク軽減に成功しました。今後の検討課題としては、管理的対策として全員が確実に安全帯を装着するよう周知徹底を行い、全従業員が安全な環境で荷積み作業ができる仕組みを整えることが挙げられています。

リスクアセスメントを正しく実施し、全従業員が安心して働ける職場づくりをしよう

リスクアセスメントを実施すると、現場に潜むリスクの可視化と共有、安全を最優先に考える企業文化の醸成などが可能になり、信頼性の高い企業として持続的な発展を実現できます。

リスクアセスメントを実施する際は、従業員への事前説明を行った上で複数名のチームを組み、工程の細分化や現場の観察を行って労働災害につながるリスクを特定しましょう。特定したリスクは客観的な数値で評価し、明確に優先順位を付けてからリスク除去・低減対策を実行することで、目に見える成果を実感しやすくなります。

安全衛生対策の実行後は定期的に効果検証を行い、改善を繰り返しながら管理レベルを高めることが、従業員の安全を確保したり顧客・取引先からの信頼を獲得したりする上で大切です。

本記事をもとにリスクアセスメントを正しく実施し、全従業員が安心して働ける職場づくりをしましょう。

リスクアセスメント時に正しい教育を行うために必要なマニュアルをカンタンに作れる「カミナシ 教育」。動画をアップロードするだけで、字幕付きの作業方法マニュアルが作成可能!多言語翻訳にも対応しているので、外国人従業員のいる会社でも安心して活用できます。マニュアルDXの進め方などをまとめた資料は、以下のボタンからダウンロードできます。ぜひご覧ください。

無料でマニュアルDX3点セットをダウンロードする

執筆者:鎌田 大輝

食品や飲料、機械製造業に関するテーマの記事執筆・編集を多く担当。公式情報に基づいた、誰でもわかりやすい表現での情報発信を心がける。

おすすめコンテンツ

現場DXを支えるカミナシサービス一覧

TOP 

> 品質管理

> リスクアセスメントとは?実施手順や業界別の例、期待できる効果を紹介