DX化に使える補助金として、支給額がもっとも多いIT導入補助金の支給額の増額が発表されています。今回は、補助金の公募開始に備えて検討したいDX化に使えるオススメの補助金・助成金の概要を解説します。
目次- 企業のDX化には、コストはつきもの
- DX化に掛かる具体的なコスト
- DX化で使える補助金・助成金の一覧表
- IT導入補助金
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- 中小企業新事業進出補助金
- 事業継承・M&A補助金
- 中小企業成長加速化補助金
- キャリアップ助成金
- 人材開発支援助成金
- 働き方改革推進支援助成金
- 補助金と助成金の違い
- 国と地方自治体の補助金の違い
- 補助金を活用するメリット
- 1.費用の自己負担を軽減
- 2.取引先からの評価向上
- DX化に使える補助金の申請方法
- 補助金申請時の注意点
- 補助金は後払い
- 実績報告を怠ると補助金の返還になる可能性あり
- DX化を効率的に行う3つのコツ
- DX化のために、まずは申請する補助金を決めよう!
企業のDX化には、コストはつきもの
企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化とは、デジタル技術を活用して業務プロセスやビジネスモデルを変革し、競争力を強化することを指します。
従来からのIT化のように単なるIT機器やソフトウェアの導入だけではなく、会社全体の変革を行い、企業文化や働き方まで変える包括的な取り組みです。このため、DX化を進めるためには、少なからずコストが掛かります。
最小のコストで業務効率化や社員の定着率向上を目指し、効率的なDX化を進めたい企業も多いでしょう。
DX化に掛かる具体的なコスト
コストには、導入する機器やソフトウェアの費用、そして、推進者の人的資源なども必要になります。例えば、DX化でよく取り入れられるシステムとしては、勤怠管理システムや経費申請システム、帳票電子化システムなどが挙げられます。
勤怠管理システム:従業員の出退勤を管理し、労務管理の負荷軽減と効率化を行う
経費申請システム:従業員の経費申請を経理部門が承認・管理を行う
帳票電子化システム:帳票を電子化し、記録管理や承認などの業務負荷を軽減させる
これらのシステムの導入には、初期費用や月ごとの運用費、導入時の認知や教育コスト(教える側の人件費)などが発生します。DX化を行うにはコストが掛かりますが、補助金や助成金を賢く使うことによって、費用の負担を減らすことが可能です。そのため使える補助金や助成金の制度を把握しておくと良いでしょう。
DX化で使える補助金・助成金の一覧表
DX化に使える補助金と助成金の代表的なものを10個まとめています。まずは、記載されている補助金や助成金が自社の事業内容や公募要領に適しているか確認してください。
名称 | 概要 | 所管省庁 | 公式サイト | 問い合わせ先 |
|---|---|---|---|---|
IT導入補助金 | ・中小企業・小規模事業者がデジタル化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導⼊を⽀援する補助⾦ | 経済産業省 | 中小企業基盤整備機構 | |
中小企業省力化投資補助金 | ・中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援 | 経済産業省 | ・中小企業省力化投資補助事業 コールセンター | |
小規模事業者持続化補助金 | ・地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とし、持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓等の取組を支援 | 経済産業省 | https://seisansei.smrj.go.jp/qk83jv00000000hv-att/r6_jizoku.pdf | 中小企業基盤整備機構 |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | ・中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援 | 経済産業省 | 中小企業基盤整備機構 | |
中小企業新事業進出補助金 | ・企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業が対象 | 経済産業省 | https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/shinjigyo_shinsyutsu.pdf | 中小企業基盤整備機構 |
事業承継・M&A補助金 | ・中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、事業承継に際しての設備投資や、M&A、PMIの専門家活用費用等を支援 | 経済産業省 | https://seisansei.smrj.go.jp/qk83jv00000000hv-att/r6mand_a.pdf | 中小企業基盤整備機構 |
中小企業成長加速化補助金 | ・2025年度、新設の大型補助金・売上高100億円を目指す、成長志向型の中小企業の大胆な設備投資を支援 | 経済産業省 | https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/seicho_kasokuka.pdf | 中小企業基盤整備機構 |
キャリアアップ助成金 | ・DX化に使える助成金の要件は、「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2種類があり、人員体制の強化と賃上げが対象・雇用保険適用事業所の事業主(公益法人、特定非営利活動法人、医療法人、社会福祉法人などを含む)が対象 | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouroudou/parthaken/jigyounushi/career.html | 管轄の都道府県労働局かハローワーク |
人材開発支援助成金 | ・人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成 | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html | 管轄の都道府県労働局かハローワーク |
働き方改革推進支援助成金 | ・長時間労働の改善、年次有給休暇の取得促進等、働きやすい職場環境を実現するような取り組む中小企業に対し助成 | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692.html | 管轄の都道府県労働局かハローワーク |
参考:中小企業に関係する国の制度変更を知る | 中小企業基盤整備機構
この表で記載した補助金は7個、助成金は3つです。補助金と助成金の違いは、管轄している機関や審査基準が挙げられます。補助金は経済産業省や地方自治体が管轄し、助成金は厚生労働省が管轄しています。
補助金は、形式要件以外に事業計画書の妥当性や生産性の向上などを基準として、学識経験者や中小企業診断士などの専門家が審査して採否を決めます。採択率は補助金によって違いはありますが、約30%〜70%になっています。
助成金は、形式要件を満たしていることが審査の基準になります。事業計画書の内容を審査されることはありません。
IT導入補助金
IT導入補助金は、DX化やIT化を推進する中小企業を対象とした、IT導⼊補助⾦事務局にIT導⼊⽀援事業者登録申請を行い登録された製品・サービスの内、ソフトウェア購⼊費やクラウド利⽤料(最⼤2年分)などに使える補助金です。
また、IT導入補助金には4種類の公募対象枠(通常枠と複数社連携枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠)があります。DX化で使える申請類型の「通常枠」の採択率は、65.8%になっています(2024年度)。

2024年度のIT導入補助金採択率(単位:件数)
参考:IT導入補助金2024の申請数及び交付決定件数 | 中小企業基盤整備機構 のデータをもとにグラフを作成
中小企業基本法の定義は、下記の通りです。補助金の制度によって「中小企業」として扱われている範囲が異なることがあります。
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
|---|---|
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
IT導入補助金の4種類の公募対象枠は、通常枠と複数社連携枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠があり、枠によって、補助金の支給対象となる製品、サービスが多少異なります。
公募対象枠 | 支給額 | 対象経費 |
|---|---|---|
通常枠 | 5万円〜450万円未満(補助率1/2以内) | ・DX化に使えるソフトウェア購⼊費、クラウド利⽤料(最⼤2年分) |
複数社連携枠 | 基盤導入経費と消費動向等分析経費をあわせて3,000万円 | 1.基盤導⼊経費・ITツールの対象は、会計ソフト、受発注ソフト等・ハードウェアの対象は、PC・タブレット等 |
インボイス枠 | 補助額50万円以下の部分は(補助率3/4以内) | 1.ソフトウェア、オプション、役務等 |
セキュリティ枠 | 5万円〜150万円以下 | ITツールの導⼊費⽤(サービス利⽤料の最⼤2年分) |
また、IT導入補助金の申請方法は、まずIT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定した後に、以下のSTEP1からSTEP4の順番で申請を行います。
STEP1:IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受け、申請者基本情報を入力STEP2:交付申請に必要となる情報入力・書類添付
STEP3:IT導入支援事業者にて、導入するITツール情報、事業計画値を入力
STEP4:「申請マイページ」上で入力内容の最終確認後、事務局へ提出
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、中小企業の売上拡大や生産性向上を支援するため、IoTやロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援するための補助金です。省力化や業務効率化、労働生産性の向上を目的としています。
また、中小企業省力化投資補助金の支給額は、支給額は企業の従業員規模に応じて決定されます。補助率は、従業員の規模に関わらず2分の1です。
中小企業省力化投資補助金の対象業種や支給額の内訳、対象製品、サービスは以下の表にまとめました。
対象業種 | 支給額 | 対象製品やサービス |
|---|---|---|
| ・従業員数5名以下上限200万円(通常枠)上限300万円(特別枠) | ・清掃/配膳ロボット |
参考:中小企業省力化投資補助金の支給額 | 中小企業基盤整備機構
参考:中小企業省力化投資補事業 製品カテゴリ|中小企業基盤整備機構
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、地域経済を支える小規模事業者の生産性向上と持続的発展を目的とした補助金です。具体的には、商工会や商工会議所の経営相談員に事業計画書の作成方法などに関してサポートを受けながら経営計画を策定し、それに基づいて販路開拓などの取り組みを行う際に、その費用の一部を補助する制度です。
支給額の上限は、50万円となっていて、補助率は3分の2(対象経費の約66.7%が補助される)です。2024年の平均採択率は59%でした。
小規模事業者持続化補助金の対象業種と従業員規模について、下記の表にまとめています。
業種 | 従業員規模 |
|---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
製造業、建設業 | 20人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
小規模事業者持続化補助金の対象業種と従業員規模
参考:小規模企業者の定義 | 中小企業庁
業種ごとの従業員規模に加えて、確定申告済の直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないことも要件となります。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、令和2年から通年で公募を行っている、企業が自社の生産性向上を目指して導入する製品やサービスに対して使える補助金です。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の支給額は、最大で4,000万円と高額なので、事業計画書の審査が非常に厳しく、採択率は30%を下回っています。そのため、DX化だけのために申請するのには適していません。
補助金の対象となるのは、以下のような製品・サービスがあります。
生産ラインの自動化や省力化設備
デジタル技術を活用した製品の開発や導入
サービス業の効率化を図るITツールやシステム
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの最新技術を活用
中小企業新事業進出補助金
中小企業新事業進出補助金は、企業の成長・拡大を目指す中小企業を対象に、新たな市場や高付加価値事業への進出を支援する補助金です。
既存事業とは異なる領域に挑戦し、設備投資を行う企業に対して、一定の要件を満たすことで補助金が支給されます。支給額の従業員規模によって異なり、従業員20人以下の場合は最大で2,500万円、補助下限額は750万円で、補助率は2分の1となっています。
中小企業新事業進出補助金の対象事業や支給額の内訳などは、下記の表にまとめています。
対象事業 | 支給額 | 対象製品・サービス |
|---|---|---|
①付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加すること | ・補助上限額:従業員規模によって異なり、従業員20人以下の場合は最大2,500万円 | ①新市場への進出を伴う製品、サービス |
中小企業新事業進出補助金の基本的な流れは下記の通りです。
STEP1:事業計画の策定
STEP2:補助金申請書の提出
STEP3:審査・採択
STEP4:事業の実施・報告
STEP5:補助金の支給
申請には、要件を満たす事業計画書の提出が求められ、審査を通過した企業のみ補助を受けることができます。
事業継承・M&A補助金
事業承継・M&A補助金は、中小企業の生産性向上および持続的な賃上げを目的とし、事業承継やM&Aの実施に際して必要となる設備投資や専門家活用費用を支援する制度です。事業承継を5年以内に予定している、またはM&Aを検討している企業などが対象になります。
事業承継・M&A補助金の公募対象枠ごとの支給額や詳細は下記の表にまとめています。
公募対象枠 | 支給額 | 詳細 |
|---|---|---|
事業承継促進枠 | ・補助上限額:事業規模などに応じて、最大2,500万円 | 5年以内に事業承継を予定している企業を対象に、設備投資等の費用を補助 |
専門家活用枠 | ・補助上限額:事業規模などに応じて、最大2,500万円 | M&Aの際に、フィナンシャル、アドバイザー(FA)などのを活用するための費用を補助 |
また、事業承継・M&A補助金は下記4点のような取り組みに対して支給されます。
事業承継に伴う設備投資(新規設備の導入、業務効率化のためのDX化)
M&A実施時の専門家活用費用(フィナンシャル・アドバイザー、仲介業者の費用
PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)に関するコンサルティング費用
事業承継後の業務プロセス改善や組織体制強化に向けた投資
中小企業成長加速化補助金
2025年度に新設される中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業に対し、大胆な設備投資を支援する補助金制度です。特に、企業の成長を加速させるための設備投資を推進し、競争力強化と生産性向上を目的としています。
中小企業成長加速化補助金の対象事業や支給額の内訳などは、下記の表にまとめています。
対象企業 | 支給額 | 対象製品・サービス |
|---|---|---|
①売上高100億円を目指す宣言を行っている企業 | ・補助上限額:5億円 | ①事業拡大に向けた大規模な設備投資 |
中小企業成長加速化補助金の補助対象となる製品、サービスは以下の5つと指定されています。
事業拡大に向けた大規模な設備投資
生産効率向上のための機械・設備導入
DX(デジタルトランスフォーメーション)化に関連する投資(ただし設備投資額が1億円以上)
グローバル市場進出を支援するインフラ投資
省エネルギー・カーボンニュートラル推進のための設備投資
中小企業成長加速化補助金の申請方法は、以下のとおりですが、他の補助金と異なるのがSTEP2の「売上高100億円を目指す宣言」の提出です。申請には、詳細な事業計画書の提出が必要です。事業計画の生産性向上率や実現可能性、新規性について厳密に審査されます。
STEP1:事業計画の策定:売上高100億円を目指す計画と設備投資の内容を明確化
STEP2:「売上高100億円を目指す宣言」の提出
STEP3:補助金申請書の提出
STEP4:審査・採択
STEP5:事業の実施・報告
STEP6:補助金の支給
キャリアップ助成金
キャリアアップ助成金は、DX化を含む人員体制の強化や賃上げを目的とし、「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2種類を中心に支援を行う助成金です。非正規雇用者のキャリアアップと雇用の安定、DX化などによる労働環境の向上を目指す事業主にとって、有効な助成金となります。
キャリアアップ助成金の対象業種や支給額の内訳などは、下記の表にまとめています。
対象業種 | 支給額 | 形式要件 |
|---|---|---|
①公益法人 | ・補助上限額:数10万円~数100万円(助成内容による) | ①雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を設置すること |
キャリアアップ助成金は、下記4点の取り組みを行う企業を支援しています。
正社員化支援:契約社員やパートタイム労働者を正社員へ転換するための制度整備・研修
処遇改善支援:賃上げや労働環境の向上に資する取り組み(DX化を含む)
労働条件の向上を目的としたシステム導入
賃金体系の明確化や労働条件の見直し
キャリアアップ助成金の申請方法は下記のとおりです。
STEP1:キャリアアップ計画の策定
STEP2:労働局への認定申請
STEP3:事業の実施(正社員転換、賃上げなど)
STEP4:助成金の申請(成果報告)
STEP5:審査・補助金の支給
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、事業主が雇用する労働者に対し、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練等や研修を計画的に実施した場合に支給される補助金です。特に、新規事業の立ち上げや事業展開に伴い、DX化に必要なスキルの習得を支援するための研修費用や研修期間中の賃金の一部が助成されます。
人材開発支援助成金の対象業種や支給額の内訳などは、下記の表にまとめています。
対象業種 | 支給額 | 形式要件 |
|---|---|---|
①労働者を雇用している事業主(法人、個人事業主を含む) | ・上限額:労働者一人当たり20万円~80万円(企業規模や研修、訓練内容により異なる) | ①職業訓練、スキルアップ研修 |
人材開発支援助成金の申請方法は下記の流れで進めます。
STEP1:研修計画の策定
STEP2:労働局への申請・認定の取得
STEP3:研修の実施
STEP4:助成金の申請(実施報告)
STEP5:審査・助成金の支給
働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金は、DX化の推進や長時間労働の改善、年次有給休暇の取得促進など、働きやすい職場環境の実現に取り組む中小企業を支援する制度です。企業が労働環境の改善を進めることで、現場で働く人々のモチベーションが上がり、生産性向上や離職率の低下による定着率向上が期待されます。
働き方改革推進支援助成金の対象業種や支給額の内訳などは、下記の表にまとめています。
対象業種 | 支給額 | 形式要件 |
|---|---|---|
①労働者災害補償保険の適用事業主であること | ・賃上げ率3%以上:6万円~最大60万円 | ①労働時間短縮のためのDX化や業務効率化システムの導入 |
働き方改革推進支援助成金の申請方法は下記の流れで進みます。
STEP1:改善計画の策定(労働時間削減、年次有給休暇の取得促進など)
STEP2:労働局への交付申請
STEP3:計画の実施(設備投資・社内ルール改正・研修の実施など)
STEP4:助成金の申請(実施報告書の提出)

紙の帳票に追われて現場の改善が進まない、属人化が解消できない...そんな悩みを抱える現場責任者の方も多いのではないでしょうか。
こうした課題は「現場業務の標準化とデジタル化」が不十分なことに起因します。
本資料では、タブレットを使った5つの活用シーンと、業界別の導入成功事例を紹介。
明日から現場で何を変えるべきか、そのヒントを得られる内容です。
補助金と助成金の違い
補助金と助成金は、どちらも国や自治体が企業や個人に対して資金支援を行う制度ですが、補助金の所轄省庁は主に経済産業省や中小企業庁であり、助成金の所轄省庁は厚生労働省です。そして、補助金と助成金は、支援の目的や審査基準に相違があります。補助金と助成金の主な違いは、下記の表にまとめています。
項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
所轄省庁 | 経済産業省 | 厚生労働省 |
審査基準 | 事業計画の妥当性や成長性 | 形式要件を満たしているか |
採択率 | 30%~70% | ほぼ確実に受給可能(形式要件満たせば) |
目的 | 生産性向上、事業成長 | 雇用環境の改善、労働者の待遇向上 |
補助金は、主に企業の成長支援や生産性向上を目的とし、助成金は、雇用環境の改善や労働者の待遇向上を目的とすることが一般的です。また、補助金は、事業計画の実現可能性や生産性の向上率などが専門家によって審査されて採否が決まります。しかし、助成金は、形式要件を満たしていれば採択される点に違いがあります。
国と地方自治体の補助金の違い
補助金は、事業者や個人が特定の事業や活動を行う際に、国や地方自治体が返済義務のない資金を提供する制度です。しかし、国が提供する補助金と地方自治体が提供する補助金では、その目的や特徴、適用範囲が異なります。この章では、それぞれの特徴と相違点について解説します。
まず、大きな違いは予算の規模です。国の補助金は通年で行われますが、地方自体の補助金は予算規模が小さいので、補助金の支給額が国と比較すると少なく、予算が無くなると募集を締め切ります。このため、地方自治体の補助金は早ければ数か月で終了することもあります。
国と地方自治体の補助金制度の相違点について、下記の表で解説します。
項目 | 国の補助金 | 地方自治体の補助金 |
|---|---|---|
管轄機関 | 各省庁(経済産業省、中小企業庁、農林水産省など) | 都道府県、市区町村などの地方自治体 |
目的 | 国家レベルの産業政策や経済対策 | 地域ごとの課題解決、地域振興 |
対象 | 全国の企業・個人 | 地元企業・住民が中心 |
審査基準 | 競争的で厳格な審査が必要 | 比較的申請しやすい場合が多い |
採択率 | 低め(30%〜70%) | 高め(要件を満たせば採択されやすい) |
補助金を活用するメリット
補助金を活用するメリットは、費用負担の軽減と信用力の向上、そして事業計画の精度が向上することです。この章では、これら2点のメリットを解説します。
1.費用の自己負担を軽減
補助金を活用する最大のメリットは、事業にかかる費用負担を軽減できることです。事業の拡大や設備投資、新規事業の立ち上げには多額の資金が必要ですが、補助金を活用することで自己資金の負担を抑えながら、事業を推進することが可能になります。
具体的な例として、下記2点があります。
設備投資補助金を活用すれば、新たな機械やITシステム導入のコストを削減
研究開発補助金を活用すれば、革新的な技術開発に必要な資金の負担を抑制
2.取引先からの評価向上
補助金は、公的機関の審査を経て採択されるため、事業計画が公的に評価されたことを示す証拠となります。これにより、下記2点のような信用力向上の効果が期待できます。
金融機関からの融資を受けやすくなる:補助金を獲得した企業は、金融機関にとって「信頼できる事業者」とみなされ、融資の審査が通りやすくなる
取引先からの信用度が向上する:補助金を受けたことで、経営の安定性や成長の可能性が高いと判断され、新たな取引の機会が増える可能性がある
DX化に使える補助金の申請方法
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために活用できる補助金は多数存在しますが、適切な手続きを踏まなければ不採択となります。具体的には以下の8つのステップで進めます。
公式サイトから申請用紙をダウンロード
事業計画書の作成
申請に必要な書類を準備
申請書類を定められた方法で提出
申請書の審査・採択
補助事業の実施
実績報告書の提出
補助金の支給
補助金の申請は、まず公式サイトから申請用紙をダウンロードすることから始まります。補助金の公募は1次公募から始まり、年度によっては15次前後まで公募が行われることがあります。
公募期間が終了した申請書も同じページからダウンロード出来るようになっている場合が多いので、適切な申請書を確認してダウンロードしてください。違う公募期間の申請用紙をダウンロードして申請すると書類不備として不採択になるので、注意が必要です。
次に補助金申請の核となる事業計画書の作成です。審査の際に最も重視されるポイントの一つであり、下記5点の要素を明確に記載する必要があります。特に5番目の「審査の観点」は審査の際に重視される事項が書かれているので、書き漏らしや薄い内容で提出した場合は不採択になる可能性があります。
DX化の目的と事業内容(どのようなデジタル技術を導入するのか)
期待される効果(業務効率化、生産性向上、コスト削減など)
補助金の活用計画(資金の使途)
スケジュールと実施計画
公募要領に記載されている「審査の観点」を重視
申請書類ができたら、提出の準備を進めます。事業計画書のほかにも下記4点の書類が必要です。
企業概要書(法人登記簿謄本など)
財務諸表や納税証明書
事業遂行能力を示す書類(過去の事業実績など)
DX化に関する見積書や導入計画書
書類に不備があると申請が受理されないため、事前にリストを作成し、漏れなく準備しましょう。
書類の準備ができたら、郵送もしくは電子申請で提出します。いずれかで指定されている場合が多く、申請方法を誤ると受理されません。提出前に必ず公募要領を確認するようにしましょう。
また、近年、電子申請の際に良く起こる間違いの中に、Word(ワード)やGoogleドキュメントのコメントを付けたままでPDF化して提出するケースがあります。コメントが付いた状態で申請した場合は不採択になるので、注意してください。
提出した申請書は、専門家や審査委員によって評価されます。審査のポイントとしては、下記3点があります。
事業の妥当性(DX化の目的や導入の必要性)
費用対効果(補助金による事業の影響)
実現可能性(スケジュールと実施計画の具体性)
採択結果は公式サイトなどで発表されます。不採択の場合は、不採択との結果だけが通知されて、理由などは開示されません。採択を目指して、入念な準備をしてください。
また、補助金の交付決定後は、事業計画書に沿って下記3点に留意しながら補助事業を実施します。
予定していたDX機器の導入
システムの開発・運用
社員のデジタル教育・研修 など
計画と異なる使途で資金を使用すると、補助金が支給されない可能性があるため、適切な運用が求められます。
事業計画書の提出完了後、補助金の最終手続きとして実績報告書を提出します。事業に費やした領収書や財務諸表の提出が必要となりますので、紛失などには注意してください。また、事業計画書に記載された内容とは違う製品、サービスの購入は認められませんので、計画書に記載された内容を確実に実行してください。ポイントは下記3つです。
事業の成果と効果(DX化によりどのような改善があったか)
補助金の使途明細(領収書や請求書などの証拠書類)
導入したシステム・設備の運用状況
実績報告書の審査が完了すると、最終的に補助金が支給されます。
DX化に活用できる補助金の申請には、多くの手順が必要ですが、適切に準備を行えば資金調達の大きな助けとなります。特に、申請書類の準備や事業計画書の作成は慎重に行い、ミスのないように進めてください。
補助金申請時の注意点
補助金は事業者にとって資金調達の有効な手段ですが、申請や実績報告書の提出には慎重な計画と実行が必要です。定められた手続きを怠ると、補助金の返還義務が発生します。場合によっては、補助金の不正請求として刑事告訴される可能性もあります。下記のポイントに注意して進めてください。
補助金は後払い
補助金は事業を実施した後に支給されるため、前もって資金を準備する必要があります。補助事業を開始する前に、自己資金や融資の確保が必要です。補助金を使った円滑な資金繰りを行うためには、下記3点に注意しましょう。
事業の途中で資金不足にならないよう、資金計画を立案する
補助金をあてにしすぎず、運転資金の管理を徹底する
補助金ありきの事業計画は避ける
補助金を受給するためだけに事業計画を立てるのは危険です。補助金が採択されなくても事業を継続できる計画を立てる必要があります。
また、補助金を受給することを最優先にして策定した事業計画は、採択後に実行不可能となる可能性があります。さらに、自社事業の成長性や持続可能性に貢献しない計画は、補助金を受給したとしても、トータルで考えるとマイナスになる可能性もあります。
自社事業の成長と競争力向上を最優先にした事業計画を立案して、結果として補助金が使えれば良いと考えてください。
実績報告を怠ると補助金の返還になる可能性あり
補助金を受け取った後も、一定期間の実績報告義務が発生します。補助事業に使った費用は必ず領収書を受け取り保管しましょう。事業計画の進捗や実績を記録し、正確に報告できる体制を整えることが必要です。報告を怠ると、最悪の場合は補助金の全額返還を求められます。
また、補助金を受給した後も、数年間にわたり補助事業の継続や報告が求められます。一時的な資金調達ではなく、長期的な視点で事業運営を行ないましょう。
DX化を効率的に行う3つのコツ
最後に、せっかく支給された補助金や助成金を有意義に使うために、DX化を効率的に行う3つのコツを紹介します。
DX化は、単なるIT機器の導入とは違い、企業の生産性を向上し、競争力を強化すると共に、働き方改革を進めて社員の定着率を改善する大きな取り組みになります。このため、DX化を推進するためには、業務への支障を抑えて、段階的に改革を進める慎重な対応が必要です。主に以下の3つを抑えることがポイントです。
小規模な業務のDX化からスタートし、段階的に拡大する
現場の意見を取り入れ、使いやすいシステムを選ぶ
補助金や助成金を活用してコストを最小限に抑える
まずはじめに、DX化を進めるには、小規模な業務からスタートし、段階的に拡大していくのが望ましいです。
DX化を一度に大規模に進めると、コストや担当している社員の負担が大きくなり、現場の混乱を招く可能性があります。そのため影響度合いの小さい、優先度の高い業務から取り組み、PDCAを回しながら業務範囲を徐々に拡大すると、スムーズなDX化が可能になります。
次に必要なことは、実際にシステムを使う現場の社員の同意と協力です。特に、社外に出ることが多い営業部門や、納期に追われて多忙な開発、製造部門などの意見は慎重に取り扱う必要があります。
そして、経営層や管理職だけで決めるのではなく、業務フローを理解している従業員の意見を反映させ、繁忙期を避けるなどの配慮も必要です。また、現場で働く人々が受け入れられやすいシステムを選ぶことも重要になります。
3つ目に重要なのが、国や自治体の補助金や助成金を活用し初期費用を含む、コスト負担の軽減です。デジタルガバメントを推進する政府や行政機関は、DX化で使える補助金の支給額を増額しています。
IT化で使える補助金や助成金の中にDX化で使える項目が設定されているので、内容を確認し、有効活用していきましょう。
DX化のために、まずは申請する補助金を決めよう!
DX化を推進するにはコストが必要になりますが、適切な補助金を活用することでコストの負担を軽減することが可能です。補助金は国と地方自治体で目的が異なり、申請時には後払いである点や実績報告の義務を理解する必要があります。
補助金の選定では、事業計画の実現可能性が鍵となり、IT導入補助金の成功事例からも業務効率化や売上増加に貢献することが分かります。適切な補助金を選び、事業の成長と競争力の強化を実現しましょう。























