技能実習制度とは、人材育成を通して発展途上国の経済成長を支援することを目的とした制度です。この制度は2023年までに廃止され、育成就労制度へ移行される予定となっていますが、新制度が導入されるまでは、現行の技能実習制度が引き続き活用されます。
現在も多くの企業が、制度を利用して技能実習生を受け入れています。今後、新制度へスムーズに移行するためにも、現行制度の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
本記事では、技能実習制度の目的や要件、実習生を受け入れる流れなどについて詳しく解説します。技能実習生の受け入れを検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
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目次技能実習制度は2030年に廃止予定
これまで多くの日本企業と外国人実習生をつないできた技能実習制度ですが、今後は廃止される見込みとなっています。この制度の代わりに導入されるのが「育成就労制度」です。育成就労制度は2027年から開始されますが、現行の制度を利用している企業や実習生のために、3年間の移行期間が設けられる見込みです。
2030年に育成就労制度へ完全移行されるまでは、技能実習制度が継続されます。新制度を理解する前に、まずは現行の技能実習制度の内容を押さえておきましょう。
技能実習制度とは
技能実習制度とは、日本企業が外国人を技能実習生として受け入れ、実務を通じて知識や技術を習得させ、発展途上国の経済成長を担う人材を育成することを目的として、1993年に創設された制度です。つまり技能実習制度の最大の目的は、国際貢献といえます。
実習生が日本に滞在できる期間は、基本的に3年間です。1年目は「技能実習1号」、2〜3年目は「技能実習2号」という在留資格(ビザ)が与えられます。さらに、要件を満たした場合は「技能実習3号」という在留資格が与えられ、2年間の実習期間の延長が認められ、その場合、最長5年間の在留が可能になります。
技能実習1号 | 技能実習2号 | 技能実習3号 | |
|---|---|---|---|
在留期間 | 3年間 | 5年間 | |
技能実習1号、2号、3号の在留期間
この実習期間中に、実習生はOJTを通じて特定の職種における知識や技術を身に付けます。実習期間が終了すると実習生は帰国し、日本で習得した技能を活かして、母国の産業発展に貢献することが期待されています。
技能実習2号/3号に移行可能な職種
技能実習制度は高度な技術の習得を目的としているため、技能実習生の受け入れが認められる職種はある程度限定されています。
制度の対象となる職種は「移行対象職種」と呼ばれ、91職種168作業が指定されています(2025年3月時点)。これらの職種は技能実習1号から2号に移行して、合計3年間の技能実習が可能です。
移行対象職種の8つの区分と主な職種、作業の例は次のとおりです。
区分 | 職種(作業)の例 |
|---|---|
農業・林業(3職種7作業) | 耕種農業(施設園芸、畑作・野菜、果樹) |
漁業関係(2職種10作業) | 漁船漁業(かつお一本釣り漁業、延縄漁業など) |
建設関係(22職種33作業) | 建築板金(ダクト板金、内外装板金) |
食品製造関係(11職種19作業) | 加熱性水産加工食品製造業 |
繊維・衣服関係(13職種22作業) | 染色(糸浸染、織物・ニット浸染) |
機械・金属関係(17職種34作業) | 鋳造(鋳鉄鋳物鋳造、非鉄金属鋳物鋳造) |
その他(21職種39作業) | 家具制作(家具手加工)、宿泊(接客・衛生管理) |
社内検定型の職種・作業(2職種4作業) | 空港グランドハンドリング |
さらに、技能実習3号に移行可能な職種は、上記の移行対象職種の中でも定められており、82職種148作業が対象となっています(2025年3月時点)。移行対象職種は年々追加されているので、詳細は厚生労働省のWebサイトで確認してください。
なお、技能実習生が行う業務の範囲は、次のように規定されています。
業務 | 業務内容 | 業務量 |
|---|---|---|
必須業務 | 技能等を習得するために必ず行わなければならない業務 | 全実習時間の2分の1以上 |
関連業務 | 必須作業の技能等向上に直接または間接的に寄与する業務 | 全実習時間の2分の1以下 |
周辺業務 | 必須作業の技能等向上に直接または間接的に寄与しない業務 | 全実習時間の3分の1以下 |
安全衛生業務 | 職場での安全と衛生に関する業務 | 作業ごとに全体の10%以上 |
技能実習では、安全衛生業務も重要な要素の一つとして規定されており、必須業務、関連業務、周辺業務それぞれで時間を確保する必要があります。たとえば、必須業務を年間1,000時間行う場合、そのうち100時間以上は安全衛生業務に当てることが求められます。
技能実習制度のメリットとデメリット
技能実習制度は、実習生にとって技術習得の機会になるだけでなく、受け入れる企業側にもメリットがあります。一方で、デメリットとなる部分があることも事実です。
ここでは、技能実習制度のメリットとデメリットについて解説します。
技能実習制度のメリット
技能実習制度の主なメリットは、次のとおりです。
人材を確保できる
採用コストを抑えられる
職場が活性化される
国際貢献につながる
現在、多くの業界で人材不足が深刻な課題となっています。そのため、労働力を確保できることは企業にとって大きなメリットです。技能実習生の滞在期間には限りがありますが、実習生を定期的に受け入れることで、安定的に人材を確保できます。さらに、技能実習2号を終了することで無試験で「特定技能1号」の資格が認められるので、より長い期間、日本での滞在が可能になります。
また、人材の採用コストを抑えられることもメリットの一つです。通常、コストをかけて求人広告を出しても、必ずしも適切な人材が集まるとは限りません。技能実習制度を利用して実習生を受け入れる場合も費用が発生しますが、日本での技能実習を希望する外国人は多く、ほぼ確実に実習生を確保できます。
さらに、外国人実習生の受け入れにより、職場の活性化にも期待ができます。既存の従業員が実習生に指導する役割を担うことで、仕事に対する意欲が向上する可能性があります。実習生とのコミュニケーションを通じて、職場内の交流が活発になることも考えられます。異文化に触れることは、新たな視点を得る機会にもなるでしょう。
そして、技能実習制度の活用は、企業の国際貢献にもつながります。そもそも技能実習制度は、発展途上国の経済的成長を支援する目的で創設されたものです。実習生が日本で習得した知識や技術を母国に持ち帰ることで、現地産業の発展に寄与できます。実習生の受け入れをきっかけに国際的な協力関係が形成され、長期的な交流が生まれることも期待できます。
技能実習制度のデメリット
技能実習制度の主なデメリットは、次のとおりです。
雇用期間が限られている
技能や日本語の理解が不十分な場合がある
受け入れ手続きに手間がかかる
技能実習生が日本に滞在できる期間は、最長5年と定められています。そのため、時間と労力をかけて育成した人材も滞在期間が終了すると帰国せざるを得ず、企業に定着させることが難しいという課題があります。一定の人材を確保するには継続的に実習生を受け入れる必要があり、人材育成の負担が繰り返される点もデメリットの一つです。
また、技能実習生を受け入れる際、技能や日本語能力の試験を行う規定はありません。初心者レベルから技能や日本語を学ぶ実習生も多く、実習生の指導に想定以上の負担を感じる場合があります。とくに日本語能力については、仕事だけでなく生活にも支障をきたす可能性があるため、企業側のサポートが不可欠です。
さらに、実習生の受け入れに多くの手続きが必要になる点もデメリットといえます。技能実習計画の作成や在留資格の申請などがその一例です。企業だけでこれらの手続きを進めるのは困難なため、監理団体と呼ばれる組織にサポートを依頼することが一般的です。しかし、その分コストが増加する可能性があります。

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技能実習生の受け入れについて
ここでは、技能実習生を受け入れるために知っておくべき要件や手順について解説します。また、近年の技能実習生の傾向についても取り上げるので、受け入れの参考にしてください。
技能実習生の傾向
技能実習生の数は年々増加しています。2012年12月時点での技能実習生の人数は151,477人でしたが、2024年6月には425,714人と3倍近く増えています。その大半がアジアからの実習生(全体の99.8%)であり、最も受け入れ人数が多いのはベトナムの203,977人です。次いでインドネシア、フィリピン、ミャンマー、中国と続き、これらの国で全体の90%以上を占めています。
実習生の国籍 | 受け入れ人数 | 受け入れ人数全体に占める割合 |
|---|---|---|
ベトナム | 203,977人 | 47.9% |
インドネシア | 87,090人 | 20.5% |
フィリピン | 37,914人 | 8.9% |
ミャンマー | 31,069人 | 7.3% |
中国 | 26,780人 | 6.3% |
カンボジア | 14,913 人 | 3.5% |
タイ | 12,025人 | 2.8% |
技能実習生として受け入れている人数が多い国(2024年6月時点)
参考:在留外国人統計統計表|出入国在留管理庁
令和5年度の統計によると、技能実習生が実習を受けている職種で最も多いものは、そう菜製造業の33,118人です。次いでとび、耕種農業、溶接、プラスチック成形と続きます。移行可能職種の8つの区分で見ると、建設関係や食品製造関係が多い傾向がみられます。
職種(区分) | 技能実習生の人数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
そう菜製造業(食品製造関係) | 33,118人 | 9.5% |
とび(建設関係) | 24,205人 | 6.9% |
耕種農業(農業・林業関係) | 20,250人 | 5.8% |
溶接(その他) | 17,552人 | 5.0% |
プラスチック成形(その他) | 15,048人 | 4.3% |
実習を受けている技能実習生の人数が多い職種(2023年度)
参考:令和5年度業務統計|外国人技能実習機構
技能実習生を受け入れるための2つの方式
技能実習性を受け入れる方式には、企業単独型と団体監理型の2種類があります。
企業単独型は、ほかの組織を介さずに企業独自で技能実習生を直接受け入れる方式です。企業規模が大きく、外国に事業所を持つ会社や、外国に取引先がある会社が採用しています。
団体監理型は、技能実習生の受け入れに監理団体と送出機関が関わる方式です。現在、技能実習制度を利用している企業の98%以上が、この団体監理型を採用しています。
監理団体とは、技能実習制度において日本企業と実習生のサポートを行う組織です。技能実習生の入出国手続きの支援、配属までの日本語教育、受け入れ企業の手続き支援などを行います。さらに定期的な監査や訪問指導、実習生の相談対応なども行っており、技能実習制度の総合的なサポートを行う組織といえます。
また送出機関は、日本企業が希望する職種や人数に応じて、現地で技能実習生を募集する組織です。実習生の受け入れ時は監理団体と送出機関が協力し、技能実習生を受け入れたい日本企業と、日本で技能を習得したい外国人をつなぎます。
技能実習生の要件
技能実習生に求められる主な要件は、次のとおりです。
習得する技能が単純ではないこと
18歳以上であること
帰国後、修得した技能が必要な業務に従事する予定があること
過去に同じ内容の技能実習を受けていないこと
企業単独型の場合、実習生は日本企業の海外事業所や、その会社に関係する外国企業で働いていることが要件に加わります。さらに、海外の事業所から転勤や出向という形で日本に来ることが求められます。
団体監理型の場合、実習生は実習を受ける業務と同じ種類の仕事に、母国で従事していることが要件となります。加えて、母国の公的機関からの推薦も必要です。以下に企業単独型と団体監理型で規定されている技能実習生の要件をまとめました。
技能実習生の要件 | 企業単独型 | 団体監理型 |
|---|---|---|
共通 | ・習得する技能が単純ではないこと | |
異なる点 | ・日本企業の海外事業所や、その会社に関係する外国企業で働いていること | ・実習生は実習を受ける業務と同じ種類の仕事に、母国で従事していること |
技能実習生の要件は、企業単独型と団体監理型で異なる点がある
介護職種の実習を受ける場合は、日本語能力試験のN4に合格していること、またはN4と同等以上の日本語能力があることが求められます。日本語能力試験のN4は、日常生活で触れる文章や会話など、基本的な日本語を理解できるレベルとされています。
技能実習生を受け入れ可能な人数
技能実習を適正に実施するために、企業が受け入れ可能な実習生の人数には上限が定められています。受け入れ可能な人数は、受け入れ企業の常勤職員の人数に応じて決まります。
企業が1年間に受け入れ可能な技能実習生の人数(基本人数枠)は、次のとおりです。
実習実施者の常勤職員の総数 | 技能実習生の人数 |
|---|---|
301人以上 | 常勤職員の20分の1 |
201〜300人 | 15人 |
101〜200人 | 10人 |
51〜100人 | 6人 |
41〜50人 | 5人 |
31〜40人 | 4人 |
30人以下 | 3人 |
技能実習生を受け入れ可能な人数
たとえば、常勤職員が80人の企業であれば、毎年最大6人の実習生の受け入れが可能です。そのため、毎年6人ずつ受け入れ、実習生が3年で帰国する場合、最大18人が同時に企業で実習を受けることになります。
さらに、優良基準に適合した企業や監理団体は、基本人数枠の2倍の人数を受け入れることが可能になります。優良基準に適合していると認められるには、外国人技能実習機構へ優良要件適合申告書を提出し、技能実習制度における過去の実績や講習の受講歴、実習生の受け入れ体制などに関する審査をクリアすることが必要です。
技能実習生を受け入れるまでの手順
技能実習生を受け入れるまでには、いくつものステップがあります。ここでは、一般的に採用されることが多い団体監理型について、実習生の受け入れ手順を解説します。
1.監理団体と契約する
まずは技能実習生の受け入れをサポートしてくれる監理団体を選びます。受け入れ企業にとって監理団体は、実習生の入国前から実習を終えて帰国するまでをトータルでサポートしてくれる、大切なパートナーです。実習を成功させるためには、適切な監理団体を選ぶ必要があります。
監理団体を選ぶ際は、対応可能な地域、実績の多い職種、監査体制、費用などを調べ、複数の団体を比較することが大切です。パートナーとなる監理団体を決定したら、契約を結びます。
監理団体は、外国人実習機構のサイトで検索が可能です。住所や受入れ可能な国が掲載されているので、参考にしましょう。
参考:監理団体の検索(Search for Japanese Supervising Organizations)|外国人技能実習機構
2.採用計画を立てる
監理団体と話し合いながら、採用計画を立てます。採用計画には、以下のような内容を含める必要があります。
受け入れる実習生の国籍
実習生の受け入れ時期
実習を行う職種
実習生の人数
また通常の求人と同様に、給与や就労時間、残業などの労働条件についても明確に決めておきましょう。
3.求人を行う
採用計画に沿って作成した求人票を、監理団体を通して現地の送出機関/送り出し機関(現地で日本で働きたい人を募集し、日本へ送客する機関)に提出します。
送出機関は、求人票の内容に従って技能実習生を募集します。一般的に、応募者数は求人数を上回ることが多く、送出機関が求人数の2〜3倍程度になるように候補者を選抜します。
4.面接する
求人票の提出から約1ヶ月後に、実習生の面接を行います。以前は、受け入れ企業の担当者が送り出し国を訪れて面接する「現地面接」が行われていましたが、現在はオンラインで実施する「Web面接」が主流となっています。
面接では質疑応答のほか、ペーパーテストや実技試験、体力テストなどを実施してもかまいません。
面接により選ばれた実習生は、入国までの間に現地で日本語や日本の文化に関する教育を受けます。家電などになじみがない実習生もいるため、生活についての指導も行われます。これらの教育を担当するのは、現地の送出機関です。
5.必要書類を作成する
実習生の受け入れに必要な手続きは、主に以下の3つです。
外国人実習機構へ技能実習計画の認定申請を行う
出入国管理庁へ在留資格を申請する
送り出し国の日本大使館などにビザを申請する
技能実習計画とは、実習生が行う作業の内容や期間などを詳細に説明するものです。監理団体のアドバイスを受けながら作成を進めましょう。なお、技能実習計画の審査は1〜2ヶ月程度かかります。
技能実習計画の認定後に、出入国管理庁に実習生の在留資格を申請します。この手続きは、監理団体が代理で行うことが一般的です。
在留資格が認定されると、ビザの発給が可能になります。この手続きは送り出し国の大使館や領事館にて行うため、送出機関が担当します。
6.受け入れ体制を整える
企業側も、実習生を受け入れる体制を整える必要があります。以下の準備を進めましょう。
技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員を選任する
社会保険や労働保険に加入する
住居や生活必需品を用意する
受け入れ企業は、技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員を各1名以上選任する必要があります。
技能実習責任者は、技能実習の管理や運営を担当します。技能実習責任者になるためには、技能実習責任者講習を修了しなければなりません。また責任者として、技能実習指導員と生活指導員、技能実習に関わる従業員を監督できる人を選ぶ必要があります。さらに技能実習責任者は、技能実習の進捗管理、帳票類の作成、実施状況の報告なども行います。
技能実習指導員とは、実習生に技能習得の指導を行う役割を担う人です。そのため技能実習指導員は、実習生に指導する技能について5年以上の経験をもつ常勤職員でなければなりません。
また、業種ごとに1名以上の指導員を選任する必要があります。現場が分かれたり指導員が休業したりする場合に備えて、複数名選任しておくとよいでしょう。
生活指導員とは、実習生の日常生活をサポートする役割を担う人です。実習生は日本での生活に慣れるまで、さまざまなトラブルに遭遇することが予想されます。
監理団体もサポートを行いますが、日々発生する細かな問題に対しては生活指導員のフォローが求められます。生活指導員は常勤職員であれば誰でも就任可能です。
また、技能実習生には日本の労働基準法やそのほかの関連法が適用されるため、社会保険や労働保険に加入しなければなりません。実習生の住居や生活用品も準備しておきましょう。
7.技能実習生の入国と配属
受け入れの手続きや準備が整えば、いよいよ実習生の入国です。実習生は企業に配属される前に、約1ヶ月間の入国後講習を受講します。この講習では日本語や日本の文化、マナーに関する学習、技能実習法や労働基準法などを学ぶ労務講習が行われます。
入国後講習を修了すると、実習生は企業へ配属されます。企業が技能実習生の受け入れを決定してから実際に配属されるまで、最短でも7ヶ月程度かかるため、余裕をもったスケジュールで進めましょう。
技能実習制度の流れ
ここでは、技能実習生が企業に配属されたあとの流れについて解説します。
企業に配属された実習生は、技能実習1号の在留資格をもって1年目の実習を開始します。2年目以降も実習を継続するには、技能検定基礎級に合格しなければなりません。この試験は、学科試験と実技試験が必須です。
また受け入れ企業は、2号技能実習計画の認定を申請する必要があります。計画が認定され、在留資格の変更申請が承認されると、実習生は技能実習2号として2〜3年目の実習を受けられるようになります。技能実習2号の在留資格は2年間ですが、在留期限の更新は1年ごとに必要です。
実習期間は基本的に3年間です。しかし、以下の条件を満たすと、実習生は技能実習3号の在留資格を取得して、2年間の実習期間の延長が可能になります。
技能実習生が技能検定3級試験に合格すること
監理団体が優良基準に適合した一般監理事業であること
受け入れ企業が優良基準に適合すること
受け入れ企業や監理団体が優良基準に適合すると、前述のように実習生の受け入れ人数枠の拡大が可能になり、加えて技能実習3号の在留資格も取得できるようになります。
監理団体には、特定監理事業と一般監理事業の2種類の区分があります。特定監理事業は技能実習1号と2号までしか受け入れられませんが、一般監理事業に移行すると、技能実習3号の受け入れも可能になります。
技能実習3号を取得した実習生は、4年目の実習を開始する前または実習開始後1年以内に、1ヶ月以上の一時帰国を行うよう定められています。5年間の実習を終えた実習生は習得した技能を活かして、母国の発展に貢献する人材となるでしょう。
なお、技能実習2号を良好に修了した実習生は、在留資格を特定技能1号に切り替えて、滞在期間を延長できる可能性があります。ただし、技能実習の内容と特定技能1号での業務が関連していることが条件となります。特定技能とは、人材の確保が困難な職種において、一定の技能を有する即戦力となる外国人を受け入れるための在留資格です。
特定技能に移行できる分野は限られており、移行には手続きも必要です。しかし、育成した実習生に長く活躍してもらうための選択肢として、特定技能への移行も検討してみましょう。
技能実習制度の問題点
これまで数多くの実習生を育成してきた技能実習制度ですが、今後は廃止され、育成就労制度に移行する見込みです。技能実習制度が廃止されるのは、次のような問題点が指摘されたためです。
実習生が人手不足を補う労働者として扱われている
労働環境が悪いにもかかわらず転職できない
技能実習制度の本来の目的は、人材育成を通じた国際貢献です。しかし実際には、労働力不足を補うために利用されるケースが増加しています。
さらに、違法な低賃金や賃金の未払い、長時間労働、ハラスメントなどの問題も浮き彫りになっています。ところが、実習生は原則として実習先の転籍が認められておらず、劣悪な労働環境に置かれてもほかの企業へ移れません。その結果、失踪する実習生が後を絶たないのが現状です。
これらの問題を解決するために技能実習制度は廃止され、新しい育成就労制度が開始される予定となっています。
技能実習制度を理解して、新制度へスムーズに移行しよう
技能実習制度は、国際貢献に寄与することを目的に創設されました。しかし現在は、本来の趣旨とは異なる形で運用されるケースが増え、さまざまな問題が指摘されています。そのため、2027年から育成就労制度が導入され、2030年までに技能実習制度は完全に廃止される見込みです。
しかし、新制度への移行をスムーズに進めるには、現行の技能実習制度について正しく理解することが大切です。実習生の受け入れを検討している企業は、現在の制度について把握するとともに新制度の最新情報にも注目し、適切に対応していきましょう。

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