株式会社紀州高下水産
業種
製造業(食品製造)
導入規模
1〜50名
利用目的
HACCP, ペーパーレス
承認業務の手間を9割削減し、機械トラブル時の早期復旧も可能に。「こだわりの干物」を製造する紀州高下水産のカミナシ活用法

紀州備長炭を用いた独自製法で「こだわりの干物」を製造・販売する株式会社紀州高下水産は、小規模事業者向けの「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に対応するため、カミナシを導入。従来、「ただ記録しているだけ」だった衛生管理を脱却し、効率的かつ的確な管理体制を実現しています。これにより、大幅な業務効率化や生産機械に不備が発生した場合の早期復旧が可能になるなど、さまざまな導入効果が生まれています。
同社が、カミナシの導入を決めた経緯から、導入の過程や効果、現場の従業員の反応まで、代表取締役社長で干物職人の高下昭人様にお伺いしました。

課題

  • HACCP対応後に予想される業務負荷の増大
  • 「ただ記録しているだけ」の衛生管理の体制
  • 生産機械に不備が発生した際の復旧までのタイムロス

紀州高下水産について

全国ネットの人気番組でも取り上げられた「こだわりの干物」を製造

―株式会社紀州高下水産(以下、紀州高下水産)について教えてください。

高下様:紀州高下水産は、主にあじ、さば、さんま、のどぐろなどの干物を製造・販売する水産加工会社です。従業員数は約10名で、1日に約3,000枚の干物を生産しています。

弊社の干物の特徴は、紀州備長炭を用いた独特の製法にあります。特殊セロファンを巻いた魚を、細かく刻んだ備長炭でサンドし、空気に触れさせることなく、乾燥させます。これにより、魚の劣化を防ぎながら水分を飛ばすことができ、魚本来の旨味が凝縮されます。機械乾燥が主流の干物業界にあって、こうした製法は極めて珍しく、弊社の商品の大きな強みになっています。

商流は飲食店やスーパーなどの小売店への卸売が主ですが、2013年からはECサイトを開始し、ご家庭の食卓にも直接、商品をお届けしています。たびたびメディアに取り上げていただき、全国ネットの人気番組で特集された際には、ECサイトのサーバーがダウンしてしまうほどの盛況ぶりでした。

導入前の課題

HACCAP対応に伴い、「ただ記録しているだけ」の衛生管理から脱却を目指した

──カミナシの導入前にどのような課題があったのでしょうか。

高下様:2021年6月のHACCP完全義務化に伴い、弊社でも小規模事業者向けの「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が求められるようになったのですが、その体制をどのように作るかが課題でした。

以前、弊社では、冷蔵庫・冷凍庫の温度記録や従業員の入室記録、機械の点検表などを紙の管理表やホワイトボードに記録していたのですが、事実上、「ただ記録しているだけ」の状態で、正確に管理できているかといえばかなり疑わしい状況でした。管理表は、日に日に事務所に積み上がっていき、承認後に見直することはほぼありません。時折、取引先のバイヤーさんからお問合せがあり、管理表を見直して作業記録について回答することがあるのですが、その作業に2日ほどかかるのが当たり前でした。

こうした状況のままHACCP対応を進めれば、作業記録は煩雑化し、従業員への業務負荷が大幅に高まると見込まれました。また、紙の管理帳票の印刷や設置、回収、チェック、保管といった一連の作業の要する手間も増大します。知り合いの同業他社にリサーチして、HACCP対応の方法を調べたこともあったのですが、特に目ぼしい成果は得られず、途方に暮れる日々が続きました。

▲株式会社紀州高下水産 代表取締役 高下様

選定理由

作業記録、承認、データの蓄積・閲覧などを、一気通貫に管理できる点を評価

──どのようなきっかけでカミナシをお知りになりましたか。

高下様:HACCP対応について、いろいろと調べているうちにカミナシのWEBサイトにたどり着きました。食品工場でもよく利用されていて、HACCP対応にも利用できると知り、すぐに資料請求をしました。

──カミナシの第一印象はいかがでしたか。

高下様:「わかりやすそう」と感じましたね。フォーマットや画面のデザインがシンプルで、これなら弊社でも使いやすそうだなと。

また、作業記録から承認、データの蓄積・閲覧など、紙の管理表にまつわる作業を一気通貫して電子化できる点にも好感を抱きました。カミナシと同時に、他社の競合製品も資料請求しているのですが、それらの製品は管理表の電子化だけだったり、申請承認のワークフローだけだったりと、機能が限定的でExcelでも代用できる印象でした。そのため、カミナシの導入は比較的すぐに決定しました。資料請求から1ヶ月くらいでしょうか。その後、私と事務員の2名が担当となって、フォーマットの作成などの導入作業を進めていきました。

導入の成果

カミナシの活用で、生産機械に不備が発生した際の復旧にかかる時間が半減。適切な衛生管理に取引先からの評価も向上

──カミナシの導入により、どのような効果が生まれていますか。

高下様:まずは、HACCP対応を実現できたことです。現在、弊社では冷蔵庫・冷凍庫の温度管理や従業員の入室記録など、HACCP対応に必要な衛生管理をカミナシで行っています。もし、紙の管理表のままであれば、作業記録や承認に多大な時間を要していたと思いますが、カミナシのおかげで衛生管理は非常にスムーズです。以前、紙の管理表の承認には1日10分ほど要していましたが、現在では1分程度で完了できます。つまり、承認にかかっていた手間が約9割削減され、月間では9時間の業務効率化効果が生まれています。

また、経営者の立場としては、ほぼリアルタイムで現場の状況を把握できるようになった効果が大きいです。特に、生産機械の不備に関する対応は大きく変わりました。以前、瞬間凍結機や真空パック機といった生産機械に不備が見つかった際には、従業員から私に連絡が届き、さらに私が修理業者に連絡をして、生産機械を修理してもらうといった流れでした。これでは復旧に2日ほどかかってしまい、工場の生産力が落ちてしまいます。しかし現在は、生産機械の不備をカミナシに記録すると、画面上に修理業者の連絡先が表示される設定をしているため、従業員が直接、復旧作業を依頼できます。加えて、タブレットで破損部分を撮影して共有できるため、離れた場所にいても不備の状況が把握可能です。カミナシを導入して以降、2回ほど不備が発生しましたが、いずれも半日程度で生産機械を復旧できています。

そのほか、カミナシを導入したことで、バイヤーさんなどの取引先からの評価も高まっています。食品工場には、衛生管理の状況などを確認するため、取引先のお客様がしばしば視察に来られます。そのときに、カミナシでの衛生管理をお見せすると、非常に良い反応をいただけます。やはり、取引先としても「過去の作業記録をすぐに確認できる」「経営者がほぼリアルタイムで現場の状況を把握できる」という環境は、信頼性が高いと感じるのではないでしょうか。

現場の声

現場への定着のコツは「導入段階で従業員に操作に慣れてもらうこと」

──カミナシの導入について、現場からの反応はいかがでしたか。

高下様:従業員がタブレットでの作業に馴染めるかは不安でした。弊社の従業員の平均年齢は45歳くらいで、上は60代の従業員も勤務しています。なかには、タブレットの操作に馴染みがないメンバーもいて、カミナシの導入に戸惑いの声も聞こえていました。

そのため導入時には、試作の段階でフォーマットを従業員たちに見せて、画面を触ってもらいながら、操作に慣れてもらうようにしました。その結果、徐々に抵抗感は薄れ、現場にも無理なく定着していきました。

今では、むしろタブレットのほうが使いやすいと評判です。紙の管理表は不衛生ですし、水を扱う作業場では濡れてボロボロになることもあるので、従業員たちも扱いづらかったはずです。そうした状況を脱却できたのは、従業員にとっても大きな変化だったと思います。

今後の展望

目指すは工場内の完全ペーパーレス化!業務マニュアルにも作成し、教育コストの削減も狙う

──カミナシの活用について、今後の展望をお聞かせください。

高下様:まずは工場内のペーパーレス化を目指します。現状は、生産数の管理など、一部に紙の管理表が残存しているので、それらをカミナシに移行し、近いうちには工場内の完全ペーパーレス化を実現したいです。

また、カミナシを衛生管理以外にも活用して、業務効率化を図っていくつもりです。例えば、現在、検討しているのが業務マニュアルの作成です。干物の冷凍時間や漬け込み時間、真空パックの方法、ラベルの貼り方、出荷先や取り扱う魚の情報などをカミナシ上に集約し、マニュアルとして表示できれば、新人教育の手間やコストが大幅に削減できます。こうした活用を通じてカミナシの適用範囲を広げ、工場運営をより効率的にしていきたいですね。

──最後に、読者に向けて、カミナシ活用のポイントをお聞かせください。

高下様:導入は、現場を把握している方が推進されるほうが良いのかなと思います。私は経営者ですが、今でも現場に入る機会も多いので、現場の事情や従業員の要望を取り入れながら、導入を進めることができました。もし、大規模な組織や工場の経営者の方で、現場で作業する機会が少ないのであれば、工場長などを推進リーダーに据えて導入を進めていくほうが、現場の要望に沿ったシステムを構築できるのではないでしょうか。

──高下様、本日はありがとうございました!