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公開日 2026.08 .31

更新日 2026.08.31

【調査データつき】外国人労働者とのコミュニケーション問題、原因と解決策を場面別にわかりやすく紹介

【調査データつき】外国人労働者とのコミュニケーション問題、原因と解決策を場面別にわかりやすく紹介

「うちは受け入れ体制も整っているし、簡単に辞めないだろう」。もし現場や経営層にこうした認識が残っているなら、注意が必要です。2027年4月に施行される育成就労制度では、一定条件下で外国人労働者本人の意向による転籍が可能になります。これまで制度上の縛りで維持できていた人材が、今後は「選ばれる職場かどうか」で明確に選別される時代に入ります。

その根底にあるのが、日々のコミュニケーションの積み重ねです。「指示が正確に伝わらない」「わかっていないのに『はい』と返事をされる」。現場からよく聞かれるこうした声は、実は本人の日本語力や意欲の問題ではなく、構造的な課題であることが調査からわかっています。

コミュニケーション問題は、外国人労働者が日本語を覚えれば解決するとは限りません。日本人スタッフが伝え方を工夫し、あわせて職場の仕組みを整えることが求められています。

この記事では、外国人労働者とのコミュニケーション問題が起きる要因を整理した上で、職場でよくある場面ごとの対策を紹介します。最後にチェックリストも用意しているので、自社の状況を振り返るためにぜひご活用ください。

目次

外国人労働者とのコミュニケーション問題の現状

外国人労働者の受け入れが進む中で、現場ではさまざまなコミュニケーション問題が生じています。

技能実習生および特定技能外国人273名を対象に実施した調査によると、日本で仕事や生活をする中で注意や叱責を受けた経験がある人は57.9%にのぼりました。その具体的な内容として最も多かったのが「『わかっていないのに“はい”と返事をしないように』と言われた」(57.0%)です。

わかっていないまま返事をした理由で最も多かったのは、「わからないことを伝えたいが、日本語ではうまく伝えられず諦めているから」(45.6%)でした。「怒られるのが怖いから」(15.6%)を大きく上回っており、伝えることを諦めてしまう状況が背景にあると読み取れます。

注意や叱責を受けた内容で次に多かったのは「『報告・連絡・相談が足りない』と言われた」(36.1%)です。この理由についても、「わからないことを伝えたいが、日本語ではうまく伝えられず諦めているから」(50.9%)が最多となりました。

伝えることの難しさは、日本語能力が上がるにつれて解消されるわけではありません。

基本的な日本語を理解できるN4レベル層では、日本人と働く際に困ることとして「指示・教育内容が理解できない」(26.1%)に比べ、「伝えたいことがあっても伝えられない」(47.8%)が多い結果となりました。聞き取ることよりも、自分から伝えることに難しさを感じている様子がうかがえます。

日本語能力が高いN1・N2レベルの層であっても、日本人特有の細かなニュアンスまでは理解しきれず、聞き直すことをためらう傾向が見られます(N2レベルで38.9%、N1レベルで28.6%)。日本語能力が高ければ問題が少なくなるとは限らず、悩みの質が変わっていくといえます。

これらの結果から浮かび上がってくるのは、外国人労働者にとっての伝えることの難しさです。日本語能力の向上に加え、わからないことを言い出しやすい環境や、確認しやすい仕組みを企業側が整えていくことが、問題の解消につながります。

こうした調査結果は、技能実習生・特定技能外国人273名を対象にカミナシが実施した調査によるものです。SNSでの待遇情報の共有実態や、日本語レベル別に異なる「壁」の詳細など、より詳しいデータは資料でご確認いただけます。

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外国人労働者とのコミュニケーション問題が起きる3つの要因

現場でのすれ違いは、単に言葉が通じないことだけが原因ではなく、複数の要素が絡み合っています。ここでは、コミュニケーション問題を生む3つの要因を紹介します。

言語の壁

日本語でのやりとりが思うようにできなければ、伝えるべき内容が正確に届きません。

来日したばかりで日本語能力が十分でない場合、日本人スタッフとの日常的な会話や、簡単な業務指示の理解でもつまずきやすくなります。日常会話に慣れている場合でも、業務で使う専門用語や業界独自の言い回しはわからないものです。

また、日本語の習熟度に関わらず共通して見られるのが、わからないことを聞き返したり、自分の状況を説明したりすることへのハードルの高さです。

質問や説明の言葉が組み立てられず、諦めてしまう傾向が見られます。報告や相談が滞れば、機械の不調や作業手順の間違いに気づいても伝えられないまま、トラブルにつながります。

文化や価値観、考え方の違い

これまで過ごしてきた環境が異なれば、何を「当たり前」とするかの基準も変わり、誤解が生じる原因となります。

たとえば、時間に対する感覚は国や地域によって差があります。始業の何分前に持ち場に着いておくべきか、などの細かなルールは明文化されていないことも多いものです。外国人労働者が自分の基準で行動した結果、日本人スタッフから「時間にルーズだ」と受け取られてしまうことも少なくありません。

宗教にまつわる慣習も、認識のずれがよく見られます。日本では礼拝や食事制限といった宗教的な慣習に触れる機会が少なく、理解や配慮が行き届かないケースがあります。その結果、本人が言い出せずに我慢したり、背景を知らない日本人スタッフに誤解が生じたりします。

「伝えたつもり」による認識のずれ

日本には「空気を読む」という言葉があるように、すべてを言い表さず、状況や文脈から汲み取る伝え方が根づいています。日本人同士なら意図を共有できても、こうした伝え方になじみのない外国人労働者は、言葉の裏にある意味をつかめずに混乱します。

「そこ、ちょっと気をつけてね」と言われても、何にどう気をつけるべきかは示されていません。「なるべく早めにお願い」では、いつまでに終えればよいのかが判断できません。

「言語の壁」で触れたように、わからない部分があっても質問の言葉を組み立てられず、確認が取れないこともあります。認識がずれたまま作業が進めば、想定と違う仕上がりになったり、期限に間に合わなかったりと、後になってから食い違いが表面化します。

外国人労働者とのコミュニケーションを良好にするメリット

外国人労働者とのコミュニケーションが円滑になるメリットは、日々の業務がスムーズに進むだけにとどまりません。ここでは、3つのメリットを取り上げます。

業務効率が向上する

コミュニケーションが円滑になると、情報が早く、正確に届くようになります。認識のずれに気づいてもう一度説明したり、作業をやり直したりする場面が減り、他のスタッフの負担が軽くなります。結果として、本来の業務に充てられる時間が増えていきます。

やりとりのハードルが下がることで、外国人労働者からの発信も増えます。機械の異音や原材料の変色などの異常や、安全に関わる情報が早い段階で共有されるようになり、不良品の発生や事故の防止につながります。

現場が滞りなく回るようになると、生産性が高まり、企業の成長を支える土台となります。

外国人労働者の離職率が低下する

意思疎通が成り立つ職場では、外国人労働者はメンバーとして受け入れられていると安心感を得られ、働きやすさを感じます。反対に、伝えたいことが伝わらない、理解してもらえないという日々のストレスが積み重なると、その職場で長く働き続ける意欲は失われていきます。

2027年4月に施行される育成就労制度では、一定の条件を満たせば本人の意向による転籍、つまり別の企業へ移ることが認められる見込みです。現行の技能実習制度では原則認められていなかった転職が可能になることで、時間や手間をかけて育成した外国人労働者が、早い段階で職場を離れてしまう事態も想定されます。意思疎通の取りやすさは、人材をつなぎとめる要素の一つとなります。

定着率が高まれば、採用にかかる費用や手間を抑えられます。教育にかける時間も減り、従業員が本来の業務に集中できるようになります。

活気あふれる職場になる

国籍を意識せずに声をかけ合えるようになると、職場全体の空気が明るくなります。作業の合間に交わす言葉が増え、休憩時間に雑談が生まれ、チームの結束が強まります。

異なる背景を持つ人と働くことは、日本人スタッフにとっても新しい視点に触れる機会となります。外国人労働者の姿勢に刺激を受け、「自分も頑張ろう」と奮起するきっかけになることも期待できます。

さらに、日本人スタッフだけでは出てこなかった発想に出会う場面も増えます。外国人労働者を通して海外の市場や消費者の感覚を知ることで、商品開発や新たな販路の検討に結びつく可能性もあります。

【場面別】職場で起こりやすいコミュニケーション問題と対策

コミュニケーション問題は、現場のあらゆる場面で起こります。その対策には、意識や心がけですぐに取り組める方法と、ツールを活用して仕組みとして取り入れる方法があります。ここからは、場面ごとに起こりやすい問題とその対策を紹介します。

1.採用・面接

労働条件や業務内容を十分に理解しないまま契約に至ると、働き始めてから「聞いていた話と違う」とギャップを感じます。繁忙期の勤務時間や実際に任される作業の範囲など、面接での説明が言葉だけで終わっていた部分ほど、認識のずれが起こりやすくなります。こうしたギャップは、早期離職の原因となります。

雇用条件や就業規則など、あらかじめ知っておくべき内容は口頭で伝えるだけでなく、書面にまとめましょう。さらに母国語に翻訳して渡せば、その場で理解しきれなくても、後から確認できます。業務内容は、実際の作業風景を撮影した写真や動画、工程を示した図を見せながら説明すると伝わりやすくなります。

面接の場では、翻訳アプリや音声翻訳ツールがあると便利です。一方的に説明するだけで終わらせず、双方向でやりとりできる状態を作るのが理想です。

2.日常業務

口頭での指示が正確に伝わらないという問題は、日々の業務の中でよく起こります。

伝え方で気をつけたいのは、相手の日本語能力に合わせて話す早さや言葉を選ぶことです。話すスピードを落とし、要点を明確にして伝えるだけでも受け取りやすさは変わります。専門用語や業界特有の言い回しを使うことも避けましょう。

あいまいな表現にも注意が必要です。「きれいにしておいて」と言われても、どのような状態を目指すのかが伝わりません。作業後の状態を写真で示す、手順を伝えるなど、具体的に指示をしましょう。

同様に、「何かあったら報告して」という伝え方では、どのような状況を報告すべきか判断に迷います。「機械からいつもと違う音がしたら、〇〇さんに報告してください」と具体的に示せば、迷うことなく声をかけられます。

複雑な内容を伝えたり、理由を説明したりする場面では、翻訳アプリを使って母国語で伝える選択肢もあります。

さらに日常業務でよくあるのが、一度教わった内容を聞き直せないという問題です。これに対しては、外国人労働者が自分のペースで確認できる資料を用意することが有効です。口頭で教えるだけでなく、手順書やチェックリストに内容を落とし込めば、必要なときに何度でも見返せます。動画マニュアルなら、実際の動きまで確認できます。

3.安全教育

安全教育の理解が不十分なまま現場に出てしまうと、緊急時に誤った行動をとり、事故や大きなトラブルにつながる可能性があります。

安全に関わる内容は一度の説明で終わらせず、日を変えて複数回伝えましょう。相手の反応から十分に伝わっていないと感じたときは、別の表現に置き換えて言い直します。

理由や目的をあわせて伝えることも大切です。「ここでは手袋を外してください」だけでは、なぜそうする必要があるのかがわかりません。「手袋が機械に巻き込まれると、手ごとひっぱられてケガをします」と言うと、その重要性が伝わります。

安全に関するルールや注意事項を母国語で確認できるように、マニュアルも整えておきましょう。ここで役に立つのが、多言語に対応したマニュアル作成ツールです。特に動画マニュアルは、自動字幕・音声翻訳機能を備えたものであれば、身振り手振りで説明するよりも正確に手順を伝えられ、担当者が資料をゼロから多言語分作成する手間も抑えられます。

研修の受講状況や理解度をシステム上で管理する方法もあります。誰がどの教育を受けたのか、内容が身についているのかを把握できれば、あいまいな理解のまま現場に出る事態を防げます。

4.面談・フィードバック

外国人労働者の日本語能力が十分でないと、その場で言葉を組み立てることが難しく、本音を伝えられないという問題が起こります。困っていることや評価への疑問があっても、伝えきれないまま面談が終わり、ストレスが蓄積されてしまいます。

この対策としては、その場で答えを求めず、準備して面談に臨める形にするとよいでしょう。「最近困っていることはありますか」「業務で難しいと感じる場面はどこですか」などの質問事項を事前に渡しておけば、あらかじめ考えをまとめられます。面談中は翻訳アプリを使い、日本語で言い表せない部分は母国語で伝えてもらうとよいでしょう。

また、日本人スタッフによるフィードバックが正確に届かないという問題もあります。日本人はよく、相手に配慮して遠回しに指摘します。しかし外国人労働者には、改善してほしいという意図が伝わりません。

「もう少し頑張ろう」といったあいまいな言い方を避け、何をどのレベルまでやればいいのかを具体的に伝えましょう。このとき、本音と建前を使い分けず、伝えるべき内容をそのまま言葉にすることが大切です。

口頭で伝えるだけで終わらせず、フィードバックの要点をテキストにまとめておくのも有効です。母国語に翻訳して渡せば、面談の場で理解しきれなかった部分も、後から読み返して確認できます。

5.普段の生活

業務上のやりとりは問題がなくても、仕事以外の場面での接点がなければ、外国人労働者は職場の中で孤立を感じやすくなります。

職場になじむまでは、交流のきっかけを意図的に用意しましょう。昼食の時間に外国人労働者を交えたランチ会を企画すれば、業務とは切り離した会話が生まれます。飲み会やスポーツを楽しむ集まり、花見などの季節の行事も、言葉を交わす場となります。

アプリのお知らせ機能を使い、外国人労働者の紹介を配信する方法もあります。出身国や趣味、好きな食べ物といった情報が共有されていれば、話しかけるきっかけをつかめます。

生活面での困りごとを相談できる相手がいないことも、課題の一つです。体調を崩したときの病院探し、住まいの設備の不具合、在留資格の更新手続きなど、日常生活で対応に迷う場面は少なくありません。日本での暮らしに慣れないうちは、問い合わせ先を調べること自体が難しいものです。

これに対しては、定期的な面談やヒアリングの機会を設け、暮らしの悩みを聞くという方法があります。業務の教育担当者とは別に、生活面をサポートする担当者を置いてもよいでしょう。

アプリのお知らせ機能は、生活情報の共有にも活用できます。行政手続きの案内、ゴミの分別ルール、地域のイベント情報などを、母国語で自動翻訳して配信できる仕組みがあれば、困ってから調べる手間も、担当者が都度翻訳する手間もなくなります。

今すぐ試せる!コミュニケーション改善チェックリスト

ここまで紹介した対策の中には、ツールの導入を待たずに、意識や工夫だけで今日から始められるものもあります。以下は、すぐに取り組める内容を一覧にまとめたものです。自分の現場に置き換えて、できていること、これから取り入れられることを整理してみましょう。外国人労働者とのコミュニケーションは、仕組みで変えられる

外国人労働者とのコミュニケーション問題は、言語の壁だけでなく、文化や価値観の違い、日本人特有の「伝えたつもり」による認識のずれなど、複数の要素が絡み合って生じます。日本語を学ぶ本人の努力だけに委ねていては、コミュニケーション上のすれ違いは解決しません。そこで求められるのが、仕組み化です。

職場のルールとして定めたり、手順書やマニュアルを整備したりすることで、伝えたことが正しく届き、相手からも質問や報告、相談が上がってくる状態が生まれます。

外国人労働者は、人手不足を埋めるための労働力ではなく、ともに現場を支える仲間です。仕組みを整え、日々のコミュニケーションを積み重ねて、国籍を超えて協力し合える職場を目指しましょう。

本記事で紹介した内容の元になっている調査では、SNSでの情報共有の実態や、日本語レベル別(N4・N1)に異なる本音、OJTの構造的な限界と解決の方向性など、より詳しいデータと具体策を紹介しています。自社の受け入れ体制を見直すきっかけとして、ぜひあわせてご覧ください。

外国人材273名に聞いた。「辞める会社」と「残る会社」外国人材の8割が転職を検討する時代。企業に求められることとは?をダウンロードする


執筆者:いしもと めぐみ

病院や保育園での栄養士経験と食品メーカーで品質管理担当として勤務した経験を活かした食品製造に関する記事を執筆。現在はフリーランス管理栄養士として、食品製造や食・健康に関するライティングをおこなう。

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