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公開日 2026.06 .30

更新日 2026.06.30

コンプレッサーの点検とは?法令で定められた点検項目・頻度と記録の残し方を解説

コンプレッサーの点検とは?法令で定められた点検項目・頻度と記録の残し方を解説

工場の生産設備に圧縮空気を送るコンプレッサーは、止まると生産ライン全体に影響が及ぶ重要設備です。一方で、「点検は義務なのか」「何をどの頻度で見ればよいのか」「記録はどう残すのか」と、点検の運用に迷う現場は少なくありません。

コンプレッサーの点検は、毎日の作業前後に行う日常点検、消耗品の交換を中心とした定期点検、法令にもとづく法定点検(定期自主検査)の3つに整理できます。それぞれ目的と頻度が異なるため、混同せずに運用を組み立てることが重要です。

本記事では、コンプレッサー点検の全体像を日常、定期、法定の3つの軸で整理し、法令上の義務、点検項目と頻度、記録の残し方までを解説します。メーカーや点検業者に任せる部分と、現場が自社で行う部分を切り分け、自社で点検運用を整えられる状態を目指します。

目次

コンプレッサーの点検とは

コンプレッサー(空気圧縮機)の点検は、目的と頻度によって以下の3つに分けられます。

  • 日常点検:毎日の作業前後に現場で行う点検

  • 定期点検:消耗品の交換や分解整備など、周期を決めて行う点検

  • 法定点検(定期自主検査):法令にもとづき実施が義務付けられる検査

点検の目的は、安全の確保、故障やエア漏れの防止、省エネ、設備の長寿命化です。圧縮空気は多くの工場で生産設備の動力源になっており、コンプレッサーの不調は生産はもちろん、品質や電力コストにも影響します。

点検の対象や内容は、機種によって一部異なります。レシプロ式、スクロール式、スクリュー式といった圧縮方式の違いや、給油式か無給油式(オイルフリー)かによって、油の管理が必要かどうかが変わります。

本記事では共通する基本項目を中心に解説し、機種固有の項目は、メーカーの取扱説明書が優先になります。

コンプレッサー点検の義務と定期自主検査のルール

コンプレッサーの点検のうち、法令で義務付けられているのは、空気タンク(受槽)が第二種圧力容器に該当する場合の定期自主検査です。

点検の区分と法令上の位置づけは、以下の表のとおりです。

区分

根拠

頻度

記録

日常点検

社内ルール(法的義務なし)

毎日(作業前後)

社内で保管を推奨

定期点検

メーカー指定の周期

運転時間や期間で管理

社内で保管を推奨

法定点検(定期自主検査)

ボイラー及び圧力容器安全規則

1年以内ごとに1回

3年間保存

このほか、設備の条件によっては、高圧ガス保安法や、騒音に関して騒音規制法が関わる場合があります。自社の設備がどの法令の対象になるかは、メーカーの仕様書と法令の条文での確認が必要です。

参考:ボイラー及び圧力容器安全規則|e-Gov法令検索

なお、第二種圧力容器の設置にあたっては、かつて所轄労働基準監督署長への設置届出が義務付けられていましたが、平成2年(1990年)の省令改正により廃止されています。現在は設置届出の義務はなく、個別検定合格の銘板と第二種圧力容器明細書の保管、および使用開始後の定期自主検査が主な義務となります。

空気タンク(第二種圧力容器)の定期自主検査

コンプレッサーの空気タンクが第二種圧力容器に該当する場合、使用開始後、1年以内ごとに1回の定期自主検査が義務付けられています。検査結果は記録し、3年間保存しなければなりません。

ボイラー及び圧力容器安全規則第88条で定められている検査項目は、以下の3つです。

  • 本体の損傷の有無

  • ふたの締付けボルトの摩耗の有無

  • 管及び弁の損傷の有無

第二種圧力容器とは、ゲージ圧力0.2MPa以上の気体を保有する容器のうち、内容積が0.04立方メートル(40L)以上のもの、または胴の内径が200mm以上かつ長さが1,000mm以上のものなどを指します。該当するかどうかは、空気タンクの銘板や仕様書で確認できます。

定期自主検査の対象外になるケース

第二種圧力容器に該当しない空気タンクには、定期自主検査の義務はありません。対象かどうかは、まずゲージ圧力0.2MPa以上という前提条件を確認した上で、次の2つの寸法条件のどちらか一方を満たすかどうかで判断します。

  1. 「内容積が0.04㎥(40L)以上」

  2. 「胴の内径が200mm以上かつ長さが1000mm以上」

上記のいずれかに該当すれば対象になります。たとえば内容積が40L未満でも、胴の寸法条件を満たせば対象となります。なお、ゲージ圧力が0.2MPa未満であれば、寸法にかかわらず第二種圧力容器には該当しません。

以下のフロー図で簡易的に対象かの判定ができます(あくまで参考として使用し、必ず最新情報をもとに判定するようにしましょう)。

定期自主検査が対象外になるケースを判定するフロー図

対象になるかどうかは圧力と容器の寸法の組み合わせで決まるため、自己判断せずメーカーの仕様書と法令の定義を照らし合わせて確認します。義務の対象外であっても、安全と設備保護の観点から、日常点検と定期点検は実施が望まれます。

コンプレッサーの日常点検項目

日常点検は法的な義務ではありませんが、故障の予兆を早期にとらえ、突発停止を防ぐための基本の活動です。

毎日の作業前後に行う主な点検項目を、頻度別に以下の表に整理します。

点検項目

確認ポイント

頻度

ドレン抜き

タンク内の水分を排出する

毎日(作業後)

異常振動・異音

運転中の異音、振動の有無

毎日

圧力・吐出温度

圧力計が規定範囲か、温度が高すぎないか

毎日

油量・油質(給油式)

油量、汚れ、乳化の有無

毎日〜週次

エアフィルター

吸気フィルターの目詰まり

週次〜月次

オイルフィルター

汚れ、交換時期

月次

それぞれの項目について、確認のポイントを解説します。

空気タンクのドレン抜き

空気を圧縮すると、空気中の水分が凝縮してタンク内にドレン(水分)としてたまります。作業後にドレンバルブを開き、たまった水分を排出します。

ドレンを放置すると、タンク内部の腐食が進んで圧力容器としての強度が低下するほか、配管に水分が流れ込んでエア品質の低下や機器の不具合につながります。毎日の習慣として徹底したい項目です。

異常振動・異音の確認

運転中に、普段と違う振動や音がないかを確認します。ベルトの緩み、ベアリングの劣化、取付ボルトの緩みなどは、振動や音の変化として現れることが多いためです。

「いつもと違う」と気づくには、正常時の状態を現場が共有できていることが前提になります。点検表に確認欄を設け、毎日同じ観点で確認する運用が有効です。

圧力・吐出温度の確認

圧力計の指示値が規定範囲に収まっているか、吐出温度が高すぎないかを確認します。

圧力の異常は配管のエア漏れや負荷の変化、吐出温度の上昇はオイルの劣化や冷却不良、過負荷のサインである場合があります。数値で確認できる項目のため、記録を残して推移を見ると、異常の早期発見につながります。

油量・油質の確認

給油式のコンプレッサーでは、オイルゲージで油量が規定範囲にあるか、油の汚れや乳化(白濁)がないかを確認します。オイルの劣化は、温度上昇や部品の摩耗を招きます。

無給油式(オイルフリー)の機種では、この項目は対象外です。自社の機種がどちらかを確認した上で、点検表を整備します。

エアフィルター・オイルフィルターの点検

吸気側のエアフィルターの目詰まり、オイルフィルターの汚れを確認し、必要に応じて清掃または交換します。

フィルターの目詰まりは、吐出能力の低下や消費電力の増加に直結します。週次から月次を目安に状態を確認し、メーカー指定の周期で交換します。

コンプレッサーの定期点検とオーバーホール

日常点検に加えて、周期を決めて行う定期点検と、分解整備(オーバーホール)があります。目安は以下の表のとおりです。

項目

内容

目安

法定点検(定期自主検査)

本体の損傷、ふたの締付けボルトの摩耗、管及び弁の損傷

1年以内ごとに1回

消耗品の交換

オイル、各種フィルター、ドレントラップ

メーカー指定の周期

オーバーホール

分解整備

運転時間で管理(機種により異なる)

定期点検で確認する項目

定期点検では、日常点検より踏み込んだ確認と消耗品の交換を行います。吸気フィルターの清掃や交換、オイル交換、ドレントラップの点検、ベルト張力の確認などが代表的な項目です。

周期は、運転時間または期間のどちらか早い方で管理するのが一般的です。メーカーの取扱説明書に指定された周期を基準に、自社の稼働状況に合わせて計画を立てます。

オーバーホールの目安と種類別の違い

オーバーホール(分解整備)は、内部部品の摩耗や劣化を分解して整備する作業で、累積の運転時間で管理します。

実施の目安となる運転時間は、レシプロ式、スクロール式、スクリュー式といった機種によって異なり、メーカーや使用環境によっても変わります。自社の機種のメーカー指定値を確認し、運転時間を記録しておくことが、計画的なオーバーホールの前提になります。

コンプレッサー点検を怠ったときのリスク

点検を怠った場合、次のようなリスクがあります。

  • エア漏れやフィルターの目詰まりによるエネルギーロスで、電力費が増加する

  • 突発故障により、コンプレッサーから圧縮空気を受けている生産ライン全体が停止する

  • 空気タンクの腐食が進行し、圧力容器の事故につながるおそれがある

  • 第二種圧力容器に該当する設備で定期自主検査を実施していない場合、法令違反になる

コンプレッサーは「動いていて当たり前」と見なされやすく、点検が後回しになりがちな設備です。しかし、止まったときの影響範囲が大きいからこそ、日常点検と定期点検の習慣化が安定稼働を支えます。

点検記録の残し方と効率化

点検は、実施するだけではなく記録を残すことで効果を発揮します。定期自主検査の記録は3年間の保存が義務です。日常点検の記録も、異常の傾向をつかみ、点検が実施されていることを示す証跡として保管が望まれます。

あわせて、ボイラー及び圧力容器安全規則第89条により、定期自主検査で異常が認められた場合は、補修その他の必要な措置を講じることも義務として定められています。点検の記録と、異常発見時の対応・処置の記録をあわせて残しておくことが重要です。

紙の点検表やExcelで記録を管理する場合、記入、回収、集計に手間がかかり、記録が設備ごと、部署ごとに分散しやすいという課題があります。点検表が形骸化し、チェックだけが形式的に続く状態にもなりがちです。

点検記録をデジタル化すると、点検の実施率や異常の傾向を可視化できます。点検表を電子化するメリットや効率化の事例は以下のの記事で解説しています。

設備保全システムを活用すれば、定期点検のスケジュールを計画保全として管理し、日常点検で見つけた小さな異常を現場の作業員がその場で報告して、データを確実に残す仕組みを整えられます。「カミナシ 設備保全」も、こうした点検記録のデジタル化を支援するサービスの1つです。

コンプレッサーの点検を習慣化し、安定稼働を守ろう

コンプレッサーの点検を、日常点検、定期点検、法定点検(定期自主検査)の3つの軸で解説しました。

空気タンクが第二種圧力容器に該当する場合は、1年以内ごとに1回の定期自主検査と記録の3年間保存が義務です。あわせて、ドレン抜きや異音の確認といった日常点検を毎日の習慣にし、消耗品の交換やオーバーホールを計画的に行うことで、突発停止と無駄な電力消費を防げます。

執筆者:鎌田 大輝

食品や飲料、機械製造業に関するテーマの記事執筆・編集を多く担当。公式情報に基づいた、誰でもわかりやすい表現での情報発信を心がける。

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