特性要因図は、製造現場の品質管理や生産性向上に関する問題の原因を、体系的に示した図です。
製造現場で勤務していても、特性要因図の概要や使い方について詳しく知らない方もいるかもしれません。
本記事では、特性要因図の種類から作成するメリットやデメリット、作成手順、活用する際の注意点を解説します。製造業で働いている方は、本記事で特性要因図について知っておきましょう。
業務の課題や問題を洗い出し、標準化や効率化をするためには、正確に作業内容を伝えることが必要です。人によって教える内容が異なる場合、根本的な解決に繋がりません。そのため、マニュアルを統一し、誰でもいつでも見られる環境にしておく必要があります。マニュアル作成方法やDX化を進めた事例は以下の資料にまとめているので、併せてご覧ください。

目次- 特性要因図とは
- 特性要因図の種類
- 4M特性要因図
- 5M1E特性要因図
- 8P特性要因図
- 簡易特性要因図
- 特性要因図を作成するメリット
- 問題の全体像(関与している要因)が把握しやすくなる
- 要因に対して影響を及ぼす原因が明確になる
- 特性要因図を作成するデメリット
- 似たような要因を記載する可能性がある
- 見やすく描こうとすると時間がかかる
- 特性要因図を作成する手順
- 1.特性(問題点や解決したい結果)を記載する
- 2.特性要因図の中央に横線(背骨)を引く
- 3.要因のカテゴリー(大骨)を書き込む
- 4.具体的な要因(中骨~小骨)を書き込む
- 5.特に影響の大きい要因を絞り込む
- 6.影響の大きい要因に対して解決方法を考える
- 特性要因図を活用する際の注意点
- 要因の数にこだわらない
- 専門知識のあるメンバーで作成する
- 挙げられた要因はできる限り同時に対策する
- 特性要因図を活用して現場の問題解決に努めよう
特性要因図とは
特性要因図とは、特定の結果(特性)が発生する要因や、その要因を引き起こす原因を体系的に整理した図です。製造業やIT業界で広く活用されており、完成形が魚の骨に類似していることから、フィッシュボーン図(fishbone-diagram)とも呼ばれています。

中央に問題点を表す横線を1本引き、その線に枝を足して要因を記載することで、問題点の要因を整理します。整理した要因を引き起こす原因が思い浮かぶ場合は、枝をさらに足して原因を記載していきましょう。
特性要因図の種類
特性要因図の代表的な種類として、以下の4つがあります。
4M特性要因図
5M1E特性要因図
8P特性要因図
簡易特性要因図
特性要因図の種類を把握すると、直面している状況に応じて適切な特性要因図を作成できるようになります。状況別に特性要因図を使い分けて、問題点を効果的に分析できるように、各種類の特徴を把握しておきましょう。
4M特性要因図
4M特性要因図とは、問題点の要因を4種類(人(Man)、機械(Machine)、素材(Material)、方法(Method))に分類して整理する特性要因図の一種です。

人と機械、素材、方法の4Mは製造現場を改善する際に重要になる4つの要素として挙げられます。製造業はもちろん、IT業界や医療業界などでも用いられる分析手法です。
5M1E特性要因図
5M1E特性要因図は、問題点の要因を6つのカテゴリーに分類して整理する手法です。4M特性要因図に、測定(Measurement)と環境(Environment)を加えたもので、製造業の品質管理における要因分析に広く活用されています。
分析の目的に応じて、お金(Money)とメンテナンス(Maintenance)を加えるケースもあります。製造現場の問題点を、より詳細に分析する際に役立つ特性要因図です。

8P特性要因図
8P特性要因図は、問題点の要因を8つのカテゴリーに分類して整理する手法です。カテゴリーはProcedure(手順)、Policy(方針)、Place(現場)、Product(製品)、People(人)、Process(工程)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)が使われます。
価格やプロモーションなど、商品を販売するシーンに焦点を当てたカテゴリーがあるため、サービス業との相性が良い特性要因図です。

簡易特性要因図
簡易特性要因図は、あらかじめ要因のカテゴリーを設定せずに作成する特性要因図です。組織や業界に特有の要因を自由に整理できるため、さまざまな業界で柔軟に活用しやすいのが特徴です。
また、カテゴリー分けの工程がない分、図の作成にかかる時間を短縮できるため、短時間で原因分析を行いたい場合にも適しています。

特性要因図を作成するメリット
特性要因図を作成するメリットは、以下の2つです。
問題の全体像(関与している要因)が把握しやすくなる
要因に対して影響を及ぼす原因が明確になる
問題の全体像(関与している要因)が把握しやすくなる
特性要因図を作成する過程で、問題を引き起こしている要因を漏れなく洗い出せます。また、全ての要因をカテゴリーに分けて整理するため、それぞれの要因と問題との関係を一目で把握可能です。
要因が整理されることで、ほかの部署や上層部の人にとっても現場で起こっている問題の全体像を理解しやすくなります。現場で発生している問題点の要因と、対策として考えられる内容を多くの人に共有しやすくなり、社内で問題解決のための協力体制を築きやすくなります。
要因に対して影響を及ぼす原因が明確になる
特性要因図を作成する際に、問題が発生する要因の洗い出しに加えて、各要因が発生する根本的な原因の掘り下げも可能です。表面的な要因だけでなく、より根本的な原因が分かることで、問題解決に向けた効果的な対策を立てやすくなります。
特性要因図を作成し、問題点の分析を丁寧に行うことで、現場の課題を解決できる可能性を高められます。
特性要因図を作成するデメリット
特性要因図を作成するデメリットとして、以下の2点が挙げられます。特性要因図は万能ではなく、作成することでかえって問題解決に時間がかかる可能性があります。特性要因図の使いどころを見極めるために、デメリットも併せて理解しておきましょう。
似たような要因を記載する可能性がある
見やすく描こうとすると時間がかかる
似たような要因を記載する可能性がある
特性要因図を作成する際は、問題が起こっている要因を複数のカテゴリーに分けて、各カテゴリーに当てはまる要因を列挙します。
複数のカテゴリーに当てはまる要因がある場合、それぞれのカテゴリーで似た要因が記載される可能性があるため、重複した要因を書く時間が作業ロスにつながる可能性があります。
また、特性要因図が完成した後、重複している要因がないかのチェックが必要な点も手間がかかるポイントです。要因を書き出す前に、すでに記載しているほかの要因を確認することで、似たような内容を書いてしまう手間を減らせます。
見やすく描こうとすると時間がかかる
特性要因図は、複数の要因を枝分かれさせて記載する図で、情報量が多くなりやすいです。文字や線が被りやすいため、見やすく描くにはスペースに配慮しながらの作成が必要です。
急いで作成したことで特性要因図が見づらい場合、ほかの人と問題の認識共有がしづらくなり、社内で問題解決に取り組む体制を築きにくくなります。見やすい特性要因図を作成するには、文字や線が被らないように調整が必要なため、作成時間が長引きやすい傾向にあります。
後から図を調整する手間が発生しないように、問題点を表す横線を長めに引き、要因の各カテゴリーは間隔を空けて記載しましょう。
特性要因図を作成する手順
特性要因図を作成する手順は、下記の6つです。
特性(問題点や解決したい結果)を記載する
特性要因図の中央に横線(背骨)を引く
要因のカテゴリー(大骨)を書き込む
具体的な要因(中骨~小骨)を書き込む
特に影響の大きい要因を絞り込む
影響の大きい要因に対して解決方法を考える
あらかじめ手順の内容を把握することで、特性要因図をスムーズに作成できます。今回は以下の特性要因図(完成版)を作成するための手順を説明します。ステップごとに追加(記載)する項目をわけて紹介いたします。

1.特性(問題点や解決したい結果)を記載する
まず、問題点や解決したい結果など、要因を分析したい特性を一つ設定します。例としては以下の通りです。
○○(製品名)の不良品率が高い
○○(製品名)の生産効率が悪い
装置の段取り時間が長い
特性が決まったら、特性要因図の右端に記載し、四角で囲みます。特性の内容が長過ぎると囲んだ四角が大きくなり、いびつな特性要因図になるため、簡潔な言葉でまとめましょう。

2.特性要因図の中央に横線(背骨)を引く
特性要因図の右端に特性を記入したら、中央に横線を引き、特性を指すように矢印を描きます。中央の横線は背骨と呼ばれ、何の要因を分析するかを示すものです。特性要因図の中心的なパーツであるため、目立つように太い線で記入しましょう。

3.要因のカテゴリー(大骨)を書き込む
続いて、要因のカテゴリーを考えて、特性要因図に記載します。背骨に対して斜め上または下方向に、大骨と呼ばれる太い線を枝分かれさせて、先端にカテゴリーの名称を記載します。

カテゴリーの分け方は特性要因図の種類によって変わるため、あらかじめ作成する種類を考えた上で、カテゴリーを決めましょう。
分析する対象によっては、特性要因図の種類ごとに決まっているカテゴリーだけでなく、独自に考えた分類を追加しても問題ありません。
4.具体的な要因(中骨~小骨)を書き込む
続いて、大骨から中骨という線を枝分かれさせて、線の先に問題点が起こる要因を記載します。中骨の要因を引き起こしている原因がある場合は、中骨から小骨という線を枝分かれさせて、原因を記載します。

小骨のレベルまで原因を掘り下げて、見やすく整理することで、具体的な対策を検討しやすいです。抜け漏れがないように、考えられる限りの中骨と小骨を記載しましょう。
5.特に影響の大きい要因を絞り込む
中骨と小骨を記載して要因を洗い出した後は、特に対策するべき要因を選定します。重要度の高い要因から対処することで、取り上げた問題(特性)を効率的に解決しやすいためです。

機械の生産効率や良品率など、以前から計測しているデータがある場合は、数値を確認しながら各要因の重要度を考えましょう。特にデータがない場合は、現場での経験や専門的な知見をもとに、複数人で話し合って優先順位を考えます。
目安として、各カテゴリーに一つずつ重要度の高い要因を挙げるようにしましょう。
6.影響の大きい要因に対して解決方法を考える
影響の大きい要因を絞り込んだら、取り除くための具体的な解決方法を考えます。解決方法は、誰が、いつまでに、何をするかが明確に分かるように、具体的かつ実行可能な内容に落とし込みましょう。
問題解決のために実際に動かなければ、要因図を作成した意味が薄れてしまうため、実行に移しやすいように具体的な解決方法を策定することが大切です。
特性要因図を活用する際の注意点
特性要因図を作成する際は、以下の3つに注意しましょう。
要因の数にこだわらない
専門知識のあるメンバーで作成する
挙げられた要因はできる限り同時に対策する
注意点を把握することで、特性要因図を作成する際につまずきやすいポイントをあらかじめ対策できます。現場の問題をよりスムーズに解決できるように、注意点もよく確認しておきましょう。
要因の数にこだわらない
特性要因図を作成する目的は、問題を解決するための要因の洗い出しであり、多くの要因を列挙することではありません。仮に4つのカテゴリーのうち、2つのカテゴリーで要因がまったく列挙されなかった場合でも、特性要因図として使用可能です。
無理に要因の数を増やそうとすると、重要度の低い要因や重複する要因が増え、かえって分析が煩雑になる可能性があります。ほかに要因が思い浮かばないと判断したら、早々に特性要因図の作成を終わらせて、要因の対策立案に移りましょう。
専門知識のあるメンバーで作成する
必要以上に多くの人数で特性要因図を作ろうとすると、議論が本題から脱線し、作成に時間がかかるおそれがあります。また、現場に詳しくない上層部の人が参加している場合、実権のある人の意見が優先されることで、見当違いの要因が列挙される可能性もあります。
特性要因図は、現場の作業者や技術者、品質管理担当者など、専門知識があり現場の状況をよく理解しているメンバーで作成するのが理想です。正しい知識を持っている人だけで話し合うことで、正確な要因が記載された特性要因図を作成できます。
挙げられた要因はできる限り同時に対策する
特性要因図の作成を通じて挙げられた要因は、相互に関連し合って問題を引き起こしている可能性があります。そのため、一つの要因に絞って対策を講じて、ほかの要因が手つかずになると、十分な改善効果が得られない場合があります。
また、一つずつ要因を取り除こうとすると問題解決に時間がかかり、現場改善のモチベーションの低下にもつながりかねません。
問題解決のためには、複数の要因に関して可能な限り同時進行で対策するのが効果的です。リソースの制約で同時進行が難しい場合は、影響の大きい要因の中で、さらに優先順位をつけて順番に取り組みましょう。ただし、一つひとつの解決に時間をかけないように注意が必要です。
特性要因図を活用して現場の問題解決に努めよう
特性要因図は、製造現場で起きている問題の原因を、体系的かつ視覚的に整理できるフレームワークです。
特性要因図を作成することで、問題点と要因の関係性が一目で把握できるため、社内での認識共有や改善活動が効率化されます。また、作成した特性要因図を保存しておくことで、別の問題に直面した際の参考資料として活用できるため、継続的な業務改善にもつながります。
一方で、重複する要因を列挙したり作図に時間がかかったりするため、運用する際は注意点(適切な要因数、メンバー選定、同時対策)を理解することが大切です。本記事で解説した内容を参考に、特性要因図を用いて現場の問題解決に取り組みましょう。






















