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公開日 2025.04 .09

更新日 2025.04.10

機械トラブルによる製造ロスを減少させる、 一つひとつの小さな積み重ね。 “現場起点”で進めるDX推進とは。

機械トラブルによる製造ロスを減少させる、 一つひとつの小さな積み重ね。 “現場起点”で進めるDX推進とは。

審査員特別賞:栄光堂ファクトリー株式会社

岐阜・東京・大阪に工場を持ち、菓子の製造・卸売業を営む「栄光堂ファクトリー株式会社」。明治10年創業の老舗企業で、キャンディや飴、チョコレート、クッキーなどさまざまなお菓子を取り扱っています。

同社の製造現場で起こっていた紙帳票の問題と、加速するデジタル社会へ対応する必要性を感じていた経営陣からの後押しをきっかけに、DX推進のプロジェクトが本格的に始動しました。推進担当として白羽の矢が立ったのは、DX業務の経験もプロジェクトリーダーの経験もなかった一人の社員。どのように社内を巻き込み、DXを推進していったのか。
本プロジェクトの担当である伊藤様と、加賀様にお話を伺いました。

現場DXへ、老舗企業の改革。
その推進は未経験でも“誠実さ”の光る、
一人の社員に託された。

―DX推進を本格的に進めるきっかけはなんだったのですか。

加賀様:一番は、製造現場で紙帳票による問題が起きていたことです。各部署で、製造業務の始めと終わりに機械の点検をするのですが、点検にまつわる紙帳票が何十種類もあって、一枚一枚確認するだけでもかなりの時間がかかっていました。なおかつ手書きしたものだと読みづらかったり、記入漏れも多く、紙帳票でのチェックに限界を感じていました。

伊藤様:紙帳票の場合、点検項目が文章のみなので、どこをチェックすればいいのか分かりづらく、チェックの精度が人によってバラつきが出ていたことも問題でした。たとえば「バネの位置を調整してください」と書かれていても、「どのバネだろう?」「なんとなくここかな」と理解が曖昧なまま点検を行っている方もいたんです。点検が正確にできていなかった結果、機械調整が不十分なまま稼働することになり、機械トラブルが起きて1時間も生産開始が遅れてしまったことや、製品ロスに繋がる事態も発生していました。

加賀様:製造業は機械を動かして生産することが何より重要ですから、それを止めてしまうのはもっとも避けなければいけないことです。ちょうどそのタイミングで当社の経営陣から、そろそろ現場の自動化を進めたいと打診があったんです。今、製造現場でもデジタル化がどんどん進み、変化が求められています。そういうものに取り組んでいかないと時代に取り残されてしまう危機感を私自身も持っていましたし、何より現場としても、問題が解決して今よりもっと効率良く作業ができるようになるのは理想だと考えていました。

▲【DX推進支援】製造部長 加賀様

―そしてDXを推進する担当として、伊藤さんに白羽の矢が立ったと

加賀様:はい、推進チームは伊藤がメイン担当で、私がサポートするという2名体制で取り組むことになりました。誰が適任かを検討する中で、最終的に伊藤に任せることに決めました。

―メインの担当に選ばれた時、率直にどんな気持ちでしたか?

伊藤様:そもそもこういったプロジェクトの担当になること自体が初めてで、正直なところ自分に務まるのか不安は大きかったです。会社にとって初の取り組みであることや、たくさんの予算をかけて取り組むことにもなりますから、プレッシャーも感じていましたね。

加賀様:全社員一人ひとりを見ていく中で、特に彼女の真面目さや誠実さが光っていたんです。それで彼女なら大丈夫だ、信じて託してみようと。初めてのことですから、取り組みスタート時は重圧で押しつぶされそうになったり、すごく悩んだんじゃないかと思います。

伊藤様:はい、不安は大きかったのですが、まずは自分ができそうなところから一つずつやってみよう、と前向きに捉えて始めてみることにしました。カミナシの導入当初は、基本的な操作もわからなかったんですけど、あれこれ調べながらとりあえずやってみました。紙帳票をデジタルへ移行してみたものを1、2個作成できたところから、これだったら自分にもできそうだと少しずつ自信を持つことができるようになっていきましたね。

何よりも現場目線を大切に。
使う人たちの声を聞き、一つずつ仕組みを整える。

▲【DX推進担当者】品質管理 伊藤様

―まずは、どんなことから取り組み始めたのでしょう。

伊藤様:日常の機械点検の紙帳票をカミナシに移行するところから取りかかりました。紙の帳票の場合、確認すべき箇所が分かりづらいという問題があったので、チェックすべき箇所を画像にして見られるようにすることと、チェックができたらその部分を撮影して記録してもらう方法に変更しました。
改良にあたり、それまでの紙帳票でチェックしていた一つひとつの箇所がどこを指しているのか現場の方にヒアリングを行い、聞いた内容をすぐにカミナシに反映しました。どこを確認すべきか明確になったことで、チェック漏れの問題をほぼ無くすことができました。

―推進していく上で大切にしたことはどんなことですか?

伊藤様:まず、「現場の方々と一緒に作るんだ」という気持ちで取り組むことを心がけました。現場のことを一番わかっているのは現場の方たちですし、一方的に「こうしてください!」と言われても抵抗感が生まれるだけです。私自身も以前、製造の現場にいたことがあって気持ちを想像することができたので、現場を無視して進めることはしないようにと思っていました。
また、現場の方が使いやすいものにする、という点を強く意識しましたね。カミナシのテスト運用期間でも、まずは現場ごとの状況を直接聞いた上で取りかかるようにしました。そして、実際に現場の方に使っていただいた上で「こう直してほしい」と要望があれば、できるだけすぐに対応する。勝手に進めて「いや、現場でほしいのはこうなんだけど…」といった、求めているものとのズレが起こらないよう進めました。

―現場目線に立って進めていく、ということですね。

伊藤様:そうですね。そのテスト運用期間で、現場の方々に紙帳票よりもカミナシレポートの方が分かりやすく記録もしやすい、と認識を持っていただけたことで、DXへの抵抗感もほとんど生まれることなく、その後もスムーズに推進していくことができたのかなと思います。

加賀様:最初の頃は、現場社員の反応も「何か始まったな」くらいの他人事のような感じだったんです。でも、進むにつれて意見がどんどん出てくるようになっていって。伊藤が現場の声を何よりも大切にして積極的にコミュニケーションを取り続けたことは、とても重要なステップだったんだなと感じます。一生懸命な姿を見て、周りの社員も巻き込まれるように、協力する雰囲気ができあがっていったのではないかなと。
実は取り組みが始まってからこれまで、現場からは一度も不満や反発の声は上がってきたことがないんですよ。

―現場の声を大切にしていった結果、どんな成果に繋がったのでしょうか?

伊藤様:新しい帳票は、ありがたいことに現場のみなさんから「画像で点検項目を確認できて、すごく分かりやすくなった」「紙帳票に比べてとても見やすい」という声をいただけています。
今カミナシを導入して1年ほどですが、大垣と伊賀にある2工場で、紙帳票全135種のうち78種類をカミナシへ移行することができました。また、両工場で合わせて年間約14,500枚の紙の削減に成功。さらに、機械トラブルによる製品ロスも減らすことができ、包装量が4t/月も増加したんです。

―すごい成果ですね。定量面だけでなく、定性的な部分では変化はありましたか?

加賀様:毎日の紙の確認作業が30分程度も減らすことができました。機械点検の精度にばらつきがなくなり、機械トラブルが少なくなったことで現場の残業時間がほとんどなくなりました。

伊藤様:製造業務であるトラブルがあった時のことなんですが、「カミナシにこういう点検フォームを追加してもらいたい」と、現場の方からのリクエストがきたことがあったんです。カミナシ導入前は何かあっても対策を行うことができず、何度も同じようなトラブルが発生していました。でも今は、気づいたらそのままにせず再発防止のために手を打てる。現場のみなさんが、どんどん自分ごととして捉え、前向きに取り組んでくれている、そういう雰囲気が広がっていることがとても嬉しいです。

DXは前進し、社内に広がる前向きな雰囲気。
一番の収穫は、期待を大きく超え、成長した担当社員。

―改めて、ここまでの取り組みを振り返っていかがですか?

伊藤様:現場の方が使うものだということを忘れずに進める、そのために、感想や意見を聞くためのこまめなコミュニケーションを取っていくということは、やはり大切だったなと思います。
そして、一人で抱え込まず、周りに頼ったり、力を借りるということもとても重要なことだったと感じます。私も立ち止まってしまった時には、すぐにカミナシのヘルプページを活用したり、カスタマーサクセスチームに相談をしていました。カミナシレポートの運用状況を確認いただいたり、紙帳票をデジタル化する際にアドバイスをもらったり、他社さんの事例を教えてもらったり。そのおかげで、迷いながらも進め続けることができたのだと思います。

―メイン担当として進めたDX推進、成長できたと感じる部分はありますか?

伊藤様:もともと、コミュニケーションを積極的に取ることや人に指示を出すことも得意でありませんでした。でも、プロジェクトで現場の方々とやりとりすることを心がけていく中で、だんだんとそういった苦手意識もなくなってきて。自分自身の成長したところかなと感じています。今では以前よりも人と関わっていくことに抵抗がなくなっています。

加賀様:初めから期待はしていましたが、いざ始まってみると一つひとつ確実に進めてくれて、また期待を遥かに上回って見事にやり遂げてくれました。とにかく一生懸命に取り組み、現場目線に立って丁寧なコミュニケーションを積み重ねたことが、信頼を生み、現場を巻き込んでいく方向に繋がったのではないかと感じます。今では、他の工場のカミナシ運用のサポートも、率先して取り組んでくれていて。すっかり人が変わったというか、まさかここまで成長するとは思っていなかったので、とても嬉しく思っています。

―最後に、DX推進を検討されている方々へ、メッセージをお願いします。

加賀様:紙帳票からカミナシへ移行したことで、紙の削減やチェックにかかる時間、管理する側の負担も大きく減り、効率良く業務が行える環境へ変化することができているなと実感しています。

DX推進を、知識や経験なく担当されることになった方は、プレッシャーや不安、思うように進まず悩まれる場面もあるかもしれません。そんな時は、ぜひ社内の周りの方やカミナシの力を最大限に借りながら進めてみていただきたいです。きっと、一歩ずつ前進することができるはずです。そして、DX推進を通して、その方の大きな成長や自信へと繋がっていくと思います。
これから取り組まれる企業様や担当者の方には、大きなチャンスと前向きに捉え、ぜひ頑張ってみていただきたいです。まだまだ我々も道半ばではありますので、ともに頑張っていけたらと思います。


栄光堂ファクトリー株式会社
業種:製造業(菓子製造)
従業員数:136名(2024年3月時点)


執筆者:現場と人 編集部

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