グローバル人材育成賞:リジョイスカンパニー様
利用製品:カミナシ 従業員/カミナシ 教育

首都圏を中心に、医療機関のさまざまな業務のアウトソーシングを展開する、「株式会社リジョイスカンパニー」。清掃、設備管理、警備、滅菌、医療事務、介護助手など幅広い業務を約70施設で担っています。
近年、医療の現場では人材不足が深刻化し、外国籍スタッフの採用が急増。同社でも従業員数3,800名のうち約150名が多国籍のスタッフです。国籍も、文化も、言語も異なるスタッフとの仕事現場は、多様な課題に直面します。書類が読めない、日本の“当たり前”が通用しない、業務内容を誤認していた…。その都度、サポートや再教育など管理側の負荷も積み重なっていました。その状況を打破するために、同社が選択したのがDXツールの活用でした。多言語コミュニケーションツールや、動画マニュアルの導入など、伝わる仕組みの追求によりグローバルな人材育成を実現しています。
試行錯誤の末に見えてきた、文化や言語を超えたコミュニケーションの価値とは。プロジェクトを推進した事業部門長の亀岡様、事業所長の清水様、マネージャーの渡邉様に話を聞きました。
文化も言語も違う仲間が増えた現場で、
まず見直すべきは、伝える“仕組み”。
─御社がDXを意識するようになったのは、いつごろからでしょうか?
清水様:当社の場合は「DXをするぞ」と、目標を立てて取り組んでいったわけではありません。どちらかというと、現場からの声や必要に迫られてITツールの導入に踏み出していったという流れです。
でも振り返ってみると、これまでに勤怠管理や経費精算のシステムを導入したり、清掃ロボットを導入したりと、徐々にデジタル化は社内でも進んでいて、「これがDXなのか」と後から実感していきました。

▲【DX推進担当者】所長 清水様
亀岡様:現場としては、デジタル化やDXを推進したいという思いはありました。けれど、当社の業務はクライアントである医療機関からのアウトソーシングのため、業務内容は基本的にすべてオーダーメイドです。スタッフの管理においても、勤務地や働き方なども千差万別で、なかなか一元管理が難しい。そういった面で、現場のDXには踏み切りにくかったのかなと思います。
─すべてがオーダーメイドということは、管理側の対応負荷もあったのではないでしょうか。
清水様:私が担当する事業所には約250名のスタッフが在籍しているのですが、それぞれのスタッフが250通りの動きをしているので、業務内容の確認は、仕様書や作業手順書・基準作業表など、さまざまな資料を詳細にチェックする必要があります。
その他にも多様な管理資料があり、書類は大量に存在しています。医療に関連する業務でもあることから、記録や書類をきっちり管理する必要もあり、管理負荷は大きかったように思います。
―外国籍スタッフの割合はどれくらいなのですか?
亀岡様:全社では3,800名のうち150名ほどが外国籍スタッフです。主な国籍は、ベトナム、ネパール、ミャンマーで、コロナ禍以降、外国籍の方の雇用が増えていきました。

▲【DX推進担当者】事業部門長 亀岡様
清水様:働き手が少なくなってきている今、外国籍スタッフの存在は非常に大きな戦力です。当社ではベテランの日本人スタッフの方々も頑張ってくださっているのですが、それだけではとても足りません。また、今後は世代交代という課題も抱えています。外国籍スタッフの雇用は、当初は非常に慎重だったのですが、今は会社全体のバランスを考えながら前向きに採用しています。
─DX以前にはどのような課題があったのですか?
渡邉様:スタッフの中には日本語が不慣れな方もいるため、書類に書かれている内容がうまく理解できず提出が遅くなる、業務を教えてもなかなか伝わらない、役所や銀行の手続きができないなどの課題が顕在化していました。
また、スタッフ更衣室でのマナーを理解しておらず、他のスタッフから注意してほしいとの意見もありました。本人に注意しても、それがなぜダメなのか理由が伝わらない。日本での“当たり前”は通用しないのだと、文化の違いから発生するトラブルに頭を悩ませていました。

▲【DX推進担当者】マネージャー 渡邉様
―言語の壁がある中で、普段、現場ではどのようにコミュニケーションを取っていたのでしょうか。
渡邉様:スタッフは病院内のさまざまな場所で業務をしています。伝達事項があるときは、一人ひとり会いにいって直接話をしたり、事務所へ呼び出す伝言メモを貼って伝えたりと、非常に手間でした。また、日本語がまだ不慣れな方に対しては、日本語が流暢な外国籍スタッフに通訳をしてもらったり、スマートフォンで翻訳アプリを駆使して伝えるなど、もどかしいコミュニケーションでしたね。時間もすごくかかっていました。
清水さん:外国籍スタッフの方の中には、「わからない」と言えずに頑張ってしまう人もいて。理解してくれたと思っていても、実は違っていた…ということが起きていました。本人も悪気があるわけではなく、わからないことを聞きにくかったのだろうと思います。だからこそ、言いやすい、聞きやすい環境をどう作るかがずっと課題でした。
―そのような中で、多言語で情報を伝える仕組みが必要だったのですね。
亀岡様:現場の状況から見ても、何か多言語ツールを導入して対応しなければと思っていました。そんな矢先に『カミナシ 従業員』の存在をあるイベントで知り、その場で一緒に説明を聞いた会長も興味を示していたので、導入が一気に進みました。
地道に、粘り強く、丁寧に。
導入初期のプロセスでコミュニケーションの基盤を構築。
―どのような体制で進められましたか?
亀岡様:主には、現場の責任者と現場スタッフ、書類関係を扱う事務スタッフ、そして動画編集に知見があり、若い感性で動画作成が出来る者で進めています。
私はプロジェクトオーナーとして全体の管理を担いました。入社35年で現場を知り尽くした清水をリーダーに、渡邊にはスタッフのフォローを中心に担ってもらい、SNSで自身でも動画制作を行なっている橋本を撮影担当として抜擢しました。
―プロジェクトを進める中で苦労した点はありますか?
渡邉様:『カミナシ 従業員』導入時は、最初の設定に苦戦しました。スタッフには個人のスマートフォンからログインをしてもらうのですが、通知が来ない、パスワードを忘れたなど、はじめは毎日のように問題が発生していました。外国籍スタッフが使っているスマートフォンは日本にはないキャリアのものだったりして、こちらも操作がわからず対応に苦労しましたね。

▲外国籍スタッフにログイン方法や設定方法を伝えている様子
―設定さえ上手くいけば、その後は問題なく皆さん活用できたのでしょうか。
清水様:徐々にという感じでした。例えば「チャット」機能で通知が来たら必ず見て返信してねと伝えるのですが、しばらくすると返信がなくなってしまって。理由を聞いてみると「ログインできなくなった」と言われ、またやり方を伝えていくという具合です。
渡邉様:とにかく地道ですよね。管理画面上で既読状況が見えるので、未読の人には理由を聞いたり、事務所にはログイン用のQRコードを貼っておき、その場で再設定ができるようにしました。こうした小さな積み重ねの結果、1〜2ヶ月程で8割ぐらいのスタッフが安定して使えるようになりました。
―そのほか、現場の皆さまへの浸透として工夫されている点はありますか?
渡邉様:はじめは「お知らせ」機能を使って全体に向けて発信をしていたのですが、やがて全体向けでは“自分ごと”として捉えづらくなってしまったようです。そこで、個別チャットに切り替えて、本人宛にメッセージを届けるようにしました。すると、自分に向けたメッセージだと認識してもらえて、チャットでのやり取りが活発になりました。
清水様:管理側の立場で言うと、本当は個別に送るよりも「お知らせ」で全員に一気に周知できる方が楽です。しかし、少し手間がかかっても、今は個別ででも情報を確実に伝えていくことを重視しています。
―手間はかかるけれど、個別の方がより丁寧にケアできるというメリットはありますね。
清水様:あとは発信する内容にできるだけ興味を持ってもらえるような工夫もしています。例えば、ミーティングの内容をまとめて多言語で送ったり、動画や写真を使って視覚的にわかるようにしたり。とにかくスタッフに「これは便利で良いシステムだ」ということを理解して、喜んでもらえるように進めています。個人的には効率化はもちろんですが、DXとは少し違う視点で人間関係が円滑になっていくことに大きな喜びと効果を感じています。

▲現場で外国籍スタッフに使い方を伝えている様子
“伝わる”から生まれる信頼感。
相互の理解がより良い環境を作っていく。
―DXを通してどのような成果や効果がありましたか?
渡邉様:これまで書類の説明や提出に要していた時間が大幅に短縮できました。以前は、銀行口座を作るのに何週間もやりとりに時間がかかっていましたし、提出書類一つとっても、3日〜1週間は当たり前にかかっていました。今では夕方にPDFファイルを送付すれば、翌朝には完了しているというスピード感です。
清水様:コミュニケーション面でも大きな変化がありました。個別チャットで直接会話ができるようになったおかげで、外国籍スタッフからも質問がたくさんくるようになり、双方が言いやすく、聞きやすい環境ができてきたと思います。
また、クライアントからの指摘についての伝達も改善しました。ハブとなる方を通してしまうと、その方の優しさもあって正しく指摘内容が伝わないこともあったんです。直接「こういう理由でこういう指摘があなたに届いています」と伝えることで、本人にも納得してもらえ、改善ができるようになりました。
―言語の壁を超えて、まさにチームとしてひとつになっていく過程ですね。
清水様:本当にそうですね。言葉の壁を超えてコミュニケーションがとれることで、心の距離も縮まったように思います。人柄が見えてきたり、気さくに会話ができるような関係性になれたというか。
きっと外国籍スタッフも、管理スタッフとの会話や事務のやりとりでストレスを感じていたはずです。そういうものを少しでも取り払うことができたのは、DXに取り組んで本当に良かった点です。

渡邉様:私たち管理側も、外国籍スタッフに対する理解が深まったと感じています。例えば、休みたいと突然言われると「この人、突然言ってきたな」と思ってしまいますが、本当は理由をうまく日本語で説明できないだけだったんです。理由を聞くと「歯医者に行く日に財布を落としてしまって、予約を変更したら、この日しか予約が取れないと言われた」という感じです。
―新たに多言語対応の動画マニュアル・研修システムも導入されましたよね。
亀岡様:はい、動画マニュアルについては、まさに今取り組み中です。当社では外国籍スタッフだけではなく、障がい者支援にも力を入れています。実習を受け入れる中で、障がい者の方から「口頭指示がわからない」という声が上がりました。文字や画像、動画を組み込んだ指示やマニュアルがあれば、こういった声も解消していけるので、幅広く活用できると考えています。
―すでに動画を活用した事例はあるのでしょうか?
清水様:はい。とある現場で、自動ハンドソープのディスペンサーが破損してしまうという問題が月に2〜3回発生していました。原因は、ディスペンサーを外す際に誤った向きで力を加えたことによる破損だったのですが、口頭では非常に伝わりづらい部分でした。3秒ほどの動画を作ってスタッフに共有したところ、破損件数はゼロになりました。
―即効力がありますね。
亀岡様:スタッフも動画の方がわかりやすいと言ってくれるので、今後は積極的に動画による教育を充実させていきたいです。具体的には、トイレ清掃の手順や病室、処置室の清掃など一連の業務に関わるものを準備中です。
清水様:撮影担当の橋本が、どんな方にも伝わりやすく、理解しやすい動画になるように工夫をしてくれています。長々とした説明的な動画だと飽きてしまうので、短尺でシンプルに作業の流れがわかりやすいものにして、重点的に見せたいポイントでは画角を変えるなど撮影も試行錯誤しているようです。
―今後の活用に期待ですね。最後に、これからDXに踏み出したい企業へ向けて、メッセージをお願いします。
清水様:当社は、外国人雇用にフォーカスし今回のプロジェクトを進めてきました。これからは、どんな業界でも働く人材が不足して、AIやロボットを駆使する時代がやってきます。それでもまだまだ作業現場では人の力を必要としていますので、外国籍の方を雇用することは有効な対策と言えます。人材が充足し、若い働き手が生き生きと働く未来への取り組みとして、DXを推進してい

くのは新たな一歩なのではということを伝えたいですね。多様な人が生き生きと働ける。そんな未来の風景を想像して今後もDXを進めていきたいです。
株式会社リジョイスカンパニー
業種:サービス業(医療関連)
従業員数:3,800名(2025年11月現在)




















