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公開日 2025.04 .01

更新日 2025.03.24

適材適所による DX 推進プロジェクト。 人が変わり、組織も働き方すらも変える。 会社に“変革の土壌”を育んだ、初めての現場 DX。

適材適所による DX 推進プロジェクト。 人が変わり、組織も働き方すらも変える。 会社に“変革の土壌”を育んだ、初めての現場 DX。

最優秀賞:株式会社ナニワ

愛知県みよし市で 餡(あん)や、餡子製品はじめとする和菓子、デザートなどの原料を製造している「株式会社ナニワ」。

同社では、在庫の棚卸しで使用する帳票や、業務日報、設備機器の点検票など、日々大量の紙を使用し、現場の従業員の作業負荷も大きなものとなっていました。さらに近年の食の安全に対する要求の高まりを受け、その傾向はますます顕著に。
時代の変化に対応し、お客様の要求に応え、これまで培ってきた信頼を継続していくために、そして、生産性を向上しながら従業員の労務負担を軽減するために、同社は現場DXを本格的に推進。約2年前、製造現場から始まったDXの取り組みは、今、部署を超えて全社へと広がりを見せています。

プロジェクトチームはどのようにして組織され、どのようにして現場DXを推進していったのか。プロジェクトの指揮をとった工場長の杉本様と、推進メンバーの丹羽様、加藤様、渡部様、高宮様にお話を伺いました。

DX推進の専任ポジションを新設。
適材適所のメンバーで推進チームを組織。

―DX推進に取り組んだ背景を教えてください。

杉本様:現場DXを推進し始めたのは、2年ほど前からです。元を辿るとそれより以前、私が品質保証部に所属していた時の体験がきっかけとなっています。当時、現場では記録帳票の作成や承認に多くの時間を割かなければならず、しかも帳票の保管場所も複数に分けられていて、いざ何か記録を取るとなると該当する帳票を探すところから始めなければならない状況でした。

また近年、お客様からの安全に関する要求事項が増え、外部認証の取得・維持にともなう帳票も増えてきていました。1日あたり150〜200ものレポートを毎日作成・ファイリングしていて、現場の従業員は記録のために、また管理職はチェックと承認のために、膨大な労務負担を抱えてしまっていたんです。この状況をどうにかして変えていかなきゃいけない、という気持ちを強く持っていました。

▲【DX推進担当者】工場長 杉本様

―DX推進はどのような流れで進んでいったのでしょうか?

杉本様:2022年9月にとある展示会に参加して、そこでカミナシに出会ったんです。話を聞いてみたら、これはうちの工場でも使えそうだと有用性を感じて、すぐに初回の打ち合わせを設定し、導入の検討に入りました。

丹羽様:それまでも社内でDX推進を検討していたこともあったのですが、なかなか条件やタイミングが合わず導入まで踏み切れていなかったんです。でも、ちょうど同じ時期に杉本さんが製造工場の工場長に就任し、私もシステム担当となり、社内体制的にも整ったことでこれを契機に実行していこうという流れになりましたね。

▲【DX推進担当者】品質保証部係長兼システム担当係長 丹羽様

加藤様:杉本工場長の話を受けて、2023年10月には製造部に「改善アシスト」という専任のポジションが設けられました。改善アシストはその名の通り、製造部門における業務改善全般を推進する役割を担い、『カミナシレポート』の導入にあたってはデジタル帳票を作成することがメインの仕事です。このポジションには、製造現場を熟知し、普段から細かなところにも目が行き届く渡部さんに就いてもらいました。

―新設ポジションへの着任でしたが、渡部さんは不安ではありませんでしたか?

渡部様:はい、抜擢してもらって嬉しかった反面、会社として初めての取り組みでしたし、果たして私で本当にいいのかという不安がありましたね。任命されて、まず何をやれば良いんだろう?というところからのスタートでした(笑)。

▲【DX推進担当者】製造部 改善アシスト 渡部様

―そして、高宮さんが現場の皆さんの声を吸い上げて、渡部さんとのつなぎ役として動いていたと。

高宮様:そうですね。私自身、現場でずっと作業をしているので、皆さんの声を聞きに行くというよりも、「こういうことってできるの?」とか「これはどうなの?」という感じでみんなが聞きにきてくれていました。そうして集まった疑問や要望を随時渡部さんにお伝えしていきました。

▲【DX推進担当者】製造部 高宮様

杉本様:渡部も高宮もそうですが、それぞれの個性や特性を見極めて、「適材適所」を意識してカミナシ推進チームを組織していきました。

それと、実は社内にカミナシの導入を受け入れてもらうために、もう一つ手を打っていました。従業員に傾聴スキルを学ぶオンラインセミナーを受けてもらったんです。まずは相手の話を否定せずに聞くという「聞く姿勢」をみんなに身に付けもらいました。そして多くの従業員に聞く姿勢が浸透したところで、カミナシを導入する。そうすると、聞く姿勢について学んでいますから、みんな否定をしないんですね。まずは受け入れて、使ってみるという流れができる。こうしてカミナシを使う以前の社内風土づくりから仕掛けていったのもポイントです。

DXにより在庫の見える化を実現。
動作のムダ、加工のムダ、不良のムダを解消。

―それでは具体的なDX推進の取り組みについて教えてください。

加藤様:弊社の商品である各種「生あん」の入出庫管理でカミナシを活用しました。生あんは、「①社内製造」「②別部署にて加工使用」「③顧客へ出荷」などの異なる使用用途があり、①の社内製造による入庫数量から、②③による出庫数量を差し引いた在庫を適宜把握する棚卸しが必要なんです。これまでは、この作業にあたって、膨大な作業負荷が発生していました。また、入出庫数量の数え間違いによる作業のやり直しや、在庫不足・過剰在庫から起こる製造計画のズレ、さらには棚卸しに時間がかかってしまうことによる品質低下といった問題も起こっていたんです。動作のムダ、加工のムダ、不良のムダ…、これらのムダを解消するために、カミナシ推進メンバーを中心に取り組みをスタートしました。

▲【DX推進担当者】製造部 製品課 製品課長 加藤様

渡部様:メンバーは週に一回集まって「カミナシサミット」という会議を開催し、デジタル帳票の管理・作成・運用について各観点から意見の擦り合わせや改善を繰り返し行っていきました。

まずは当工程の現状や抱えている課題を担当者から改めてヒアリングし、カミナシレポートでデジタル帳票を作成、課題に対する対応を進めていきました。棚卸し作業の対象となる各製品にQRコードを発行し、台車に表示して、カミナシレポートで運用を実施したところ、「在庫の見える化」を実現することができました。それまで手数えで行っていたのがカミナシでの自動計算になったことで、数え間違いによる在庫の不足や過多がなくなり、毎日3人で180分もの時間を費やしていたのが1人で30〜60分で済むようになるなど、作業負担の軽減や作業精度の向上、不良在庫の削減などにつながりました。

また、当初想定していなかったのですが「賞味期限」や「出荷可能期日」をアラートでお知らせできるようになったことで、品質管理も向上しました。この生あんの工程だけでも、1日あたり作業時間120分の削減、1年(250日間)で換算すると3万分の削減となり、金額にすると180万円の改善効果を試算しています。

―素晴らしい成果ですね。御社ではこちらの工程のレポートを独自の愛称で呼んでいるとお聞きしました。

杉本様:「カミナシ」というネーミングにならって「ストック(在庫)」と「ログ(記録)」の略称で「ストログ」と呼んでいます。カミナシは、キャッチーで浸透しやすく、かつ目的が明確に分かる名前ですよね。ストログもそれを意識して、従業員に馴染みやすく、取り組みやすいレポートになることを願って名付けました。最初は「持ち出し記録表」という名称だったんですが、ストログにしてからは狙い通り現場に浸透するようになりました。作業担当者の口から「ストログ」という言葉が発せられるたびに、よし!と手応えを感じましたね。

カミナシ導入により現場の意識が変化。
社内に変革の土壌が形づくられていった。

―DX推進によって現場ではどんな変化がありましたか?

高宮様:ストログ以外にも、日常点検や温湿度記録、毛髪・傷点検、定期清掃点検などでカミナシレポートを活用しています。これまではそれぞれ必要な帳票を探し出して、印刷する手間があったのですが、今はカミナシでスムーズに記録できるようになって作業量はだいぶ減りましたね。

加藤様:1日に使う紙の量もこれまでに比べて約6割は削減できていると思います。また、画像や動画も簡単に載せることができるので業務報告もしやすいですし、設備機器の日常点検も正常な状態の写真と見比べながらチェックができるようになるなど、業務環境はかなり改善されましたね。また、リアルタイムでコミュニケーションがとれるので、トラブル発生時に現場から報告が上がってくるスピードも早くなり、報告の精度が向上しました。

渡部様:カミナシを導入したことで、現場の皆さんの意識が変わり、現状を改善しようという声も少しずつ増えていきましたよね。また、導入当初は不安の声がありましたが、今ではタブレットを使う状況が当たり前になって、つい先日導入した部署の方は「うちにもやっと来た!」と喜んでくれました。会社の雰囲気がどんどん変わっていって、そんな変化を目の当たりにすると私も頑張ろうってやりがいがさらに増します。

―DX推進は、どんなペースで進められたのでしょうか?

丹羽様:デジタル帳票の作成は当初1部署作るのに2ヶ月ほどかかっていましたが、慣れるにつれてスピードアップして最近では毎月1部署ずつ作成・導入することができていました。1年目は全体の4分の1くらいの展開ペースでしたが、2年目となる今年は残り4分の3を一気に展開することができました。現在社内では約40台のタブレットが活用され現場DXが進んでいる状態です。

▲『カミナシ レポート』でデジタル化されている帳票の推移

杉本様:タブレットを使いながら仕事をするという土壌さえできてしまえば、スピードは加速度的に増していくんですよね。カミナシ導入とともに地固めしながら生み出していった変革の土壌によって、社内に「PDCA」という考え方が根付き、現在では文書管理や動画マニュアル、労務管理などのシステム導入も進んでいます。カミナシで培った土壌があるから、他のシステムの浸透が驚くほどスムーズで、加速している感覚がありますね。生産部門以外の総務部門などにもその勢いが広がって、社内業務のデジタル化を一気に進めることができています。

―現在の現場DX率は、理想とする何%くらいでしょうか?

杉本様:カミナシ導入当初の目標設定からすると90%と答えていたと思うのですが、現状では40%くらいですね。でもこれは否定的な数字ではありません。実際にDXを進めていくと、次から次へといろんな可能性が見えてきて、やりたいことがどんどん広がってしまうんです。一つひとつ目標を設定して、それが達成できるともちろん嬉しい。でも、「じゃあ次はこれ」という新しい欲が出てきてしまって。だから、気持ちとしては100%と言いたいんだけど、でも、やっぱり40%ですね。

現場で働く人が幸せになることを目指して、
さらなる現場DX推進を。

―最後に、これから現場DXに取り組もうとされている方へ向けて、メッセージをお願いします。

丹羽様:多くの企業の場合、品質保証部門や管理部門の方が現場DXの推進担当になることもあるかと思います。その場合、ポイントになるのがいかに現場を巻き込むか。弊社でいう工場長のように、全体の指揮をとり、組織構築や人員配置をできるようなポジションの人がいると工場に一体感が生まれて導入がすごくスムーズになると思います。適材適所でチームを組織して、ぜひ現場DXを推進していってください。

加藤様:現場DX推進に必要なのは、現場の声を聞く力、押し切る力、そしてサポート力だと思います。聞く力がある人のところには情報が集まってきます。そういう人が主導することで、多くの人を巻き込むことができます。一方で全員の賛成を待っていては、DXは進みません。だから、時には押し切って決断することも必要です。そして、現場まかせにするのではなく、しっかりサポートしていくこと。みんなで力を合わせて、チーム、会社全体で同じ方向を向きながら取り組んでいくことが大事だと思います。

高宮様:システムを導入して現場に丸投げして終わりではなく、現場に丁寧に向き合うことが大切だと思います。説明書を読んでもわからないことは多いですし、何ができて何ができないのか、何に不便を感じていて何ができたらいいのかなど、現場の疑問や不安に寄り添うことを徹底していくといいのかなと思います。

渡部様:デジタルの帳票を作る上で大事にしてきたのは、使ってくれる人の顔をちゃんと想像することでした。現場の人の顔をリアルに思い浮かべて、その人たちが少しでも使いやすくなるものを作ることを大前提に、使う人が果たして幸せになれるのかを常に考えて、いろんなことを進めていくのが大事かなと思います。

杉本様:私が大切にしていた推進メンバーの選出条件は、「自分のしたことで誰かをハッピーにしたい」というサプライズ精神を持った人でした。そして、メンバーに認識してもらいたかったことは、相手を理解すること。英語で「理解する」は「understand」です。この言葉のように「相手の下に立って理解する」姿勢が、DX推進には大事になってくるのではないでしょうか。

現場DXの効果は大きく、デジタル化によって働きやすい環境が整備されたことで若手の離職率が低下したり、生産性が上がったことで来期は週休2日制を導入するという話も経営層から出てきています。もちろん、いろいろな取り組みによる複合的な結果ではありますが、現場DXもその要因の一つであることは間違いありません。弊社もまだまだ道半ばです。ぜひ一緒に推進していきましょう。


株式会社ナニワ
業種:製造業(食品製造)
従業員数:119名(2024年10月現在)


執筆者:現場と人 編集部

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