コミュニケーション賞:河内屋様
利用製品:カミナシ 従業員

富山県で1947年に創業した、老舗かまぼこメーカー「株式会社河内屋」。お土産やギフトをはじめ、有名店のおせちにも採用されるなど、付加価値の高い商品を追求しています。現社長の河内肇様は早くからITの可能性に目を向け、独自ドメインの取得やオンラインショップを展開。そして3年前、息子である河内廷紘様が専務として地元に戻り、その流れを加速させるかたちでDXを推進していきました。
これまで電話や対面中心だった社内コミュニケーションを変えていこうと、当初から導入を検討していたのがコミュニケーション基盤の整備でした。従業員数は約50名。平均年齢は40代後半、うち6名は外国籍のスタッフという職場環境の中で、誰もが無理なく使える仕組みを構築する必要がありました。
コミュニケーション基盤が変わったことで、社内にはどんな嬉しい変化が生まれていったのでしょうか。プロジェクトの指揮をとった専務の河内様にお話を伺いました。
長年築きあげてきた
DXを受け入れる土壌。
─DXを意識しはじめたのは、いつごろからでしょうか?
河内様:私は以前は東京でECを展開する食品宅配企業に勤めていたのですが、3年前に地元の富山県に戻ってきました。その時点で父である社長は既にDXを意識しており、私が入社したときには、業務のシステム化や効率化を実現するクラウドサービスなどは導入済みでした。そのほかにも、早い段階から「kamaboko.co.jp」のドメインを取得したり、オンラインショップやブログを立ち上げるなど、IT化の先駆者でもありましたね。柔軟に受け入れる土壌を社長が作ってくれていたからこそ、会社全体がITやDXに対して前向きだったので、本当に助かっています。

▲【DX推進担当者】専務取締役 河内様
─河内様の入社前からすでにDXははじまっていたんですね。
河内様:さまざまなクラウドサービスは入れていたのですが、なかなか運用というところまではいっていないのが実状です。給与明細が紙で配布されていたり、前職とのギャップを感じたことをきっかけに、まずは給与明細の電子化と従業員情報のクラウド管理に着手しました。これまでは給与計算や労務も外部に委託していたのですが、これを機に内製化をしています。また、稟議書やExcelで行っていた原価計算をアプリに置き換えたりと、バックオフィス周りのDXを幅広く進めていきました。
─その流れの中で、新たにコミュニケーション基盤を構築しようと思ったきっかけは何だったのですか?
河内様:当初からコミュニケーションには課題を感じていました。DXを推進するうえでもっとも大事なことは、現場の皆さんがいかに効率的に業務を進められるかだと思います。現場には70歳以上の方や外国人の方もいます。だからこそ、どんな人でも使いやすいシンプルなコミュニケーション基盤が必要です。現場の方々のスキルや業務を理解したうえで、仕組みを作っていかないと逆効果になってしまうと考えていたので、情報収集をしながら慎重に検討しました。
─推進は河内様が、お一人で進められたのですか?
河内様:誰もが簡単に使えるための情報の整理や、マニュアルを作成するなどの準備は、総務の担当者と二人三脚で進めていきました。現場でマニュアルの内容をレクチャーしたり、不明点があれば総務が意見を吸い上げてくれるなど、困りごとを一つひとつ一緒に解決してくれましたね。

─コミュニケーションツールの導入について、現場の反応はどうでしたか?
河内様:最初は「新しいチャットって何?」みたいな反応もありましたが、そこはマニュアルなどを使って丁寧に説明をしました。それまで使っていた別アプリのグループ機能は役割を終えたので、社内コミュニケーションを一本化する方針を事前に共有しました。使い分けのルールとしては、社外からのメールを社内に共有する場合や、履歴を残しておきたい重要な情報は従来通りメールで。対面での伝達が必要な情報は、必ず口頭でも伝える。大前提として、相手に伝わってこそのコミュニケーションなので、そうしたルールも合わせて示しました。

▲休憩所に設置されたマニュアル
─現場からの大きな反発はなかったのでしょうか?
河内様:そうですね。もともとチャットやメールを使っていなかった人たちは、「コミュニケーションが取りやすくなった」という前向きな反応が多く、比較的スムーズでした。一方で、店長など管理職の皆さんからは、「確認しなければならない範囲が増える」という意見も一部ありました。ただ、全従業員が同じように情報を共有していくために必要なアップデートであることを丁寧に説明し、「慣れれば絶対に大丈夫だから」とある意味そこはトップダウンで進めつつも、頻繁に現場に顔を出してフォローするように心がけていました。

コミュニケーションの見える化が
廃棄ロス削減やボトムアップ活性化に貢献。
─新しいコミュニケーション基盤が定着するまでに、どのくらいの期間がかかりましたか?
河内様:半年ほどですかね。製造現場に受け入れてもらうのには時間がかかり、なかなか発信がありませんでした。ある日、富山県から食中毒注意報が発令された際に、製造の管理者が「お知らせ機能」を活用して、工場内に注意喚起を促していた時は、現場にもカミナシが浸透してきたなと感じました。社員同士の会話でも「それ、チャットで送りますね」と自然に出てくるようになり、共通のコミュニケーション環境として浸透してきていると徐々に手応えを感じられるようになりました。「こうやって使えば便利なんだ」という理解も進んできたと思います。

─導入の前と後では、どのような変化がありましたか?
河内様:導入後も姿勢自体は変わっていませんが、以前は連絡手段がチャット、メール、電話、FAXと分散していたため、アカウントを持っていない従業員には情報が届きにくい状況でした。そのため、経営側からの発信も全員には浸透していなかったと思います。
現在は、今月の売上や決算状況、さらには円安による仕入れの厳しさなども含め、経営情報をよりオープンに共有できる体制が整いました。「会社が今どんな状況にあり、どんな方向に進んでいるのか」が具体的にわかるほうが、社員も気持ちよく働けますし、自分の仕事がどう会社に貢献しているのかも実感できると思います。
また、これまで総務は何か伝えることがあるたびに製造現場に白衣に着替える手間が発生していましたが、今は全従業員と総務との1on1チャットの仕組みができたので、その必要もなくなり、スムーズに連絡できる環境になっています。
─定量的な変化は、どうでしょうか?
河内様:コミュニケーションは定量化しづらい部分がありますが、具体的に起きた事例でいえば、余剰商品を抱えていた店舗が、売れそうな店舗とコミュニケーションを取り、商品を移動させて販売できたことがありました。以前は電話やFAXでやり取りをしていましたが、お店が忙しければ電話がつながらないこともあったので、気軽かつ迅速にコミュニケーションが取れるようになったのは大きいですね。事前に販売店の情報を共有することで、店舗で発生する廃棄ロスの8割を削減することができました。金額で言えば、それほど大きなインパクトではありませんが、店舗や工場でのロスは、ゼロに等しい数字になってきています。

─定性的な変化は、どうでしょうか?
河内様:販売に関していえば、店舗間の連携が増えましたね。催事のときも店舗同士で協力してシフトを調整するなど、「みんなで協力し合うぞ!」といった一体感が強まっています。私はボトムアップを意識しているのですが、全員が気軽に声を上げられる環境ができたことで、従業員からの意見が吸い上げやすくなりました。もし今の仕組みがなかったら、課題発見のスピードはもっと遅くなっていたと思います。
また商品づくりにおいても、コミュニケーションがスムーズになっていますね。あるとき、かまぼこ職人さんと店舗がやり取りする中で、デザインやアイデアを具体的にカタチにしてみましょうという話が出てきたことがあって。その流れで、新卒の社員が「こういう商品があったらいいと思うのですが、試作してみてもいいですか?」とチャットで上層部に提案してきたんです。普段は自分から発信するタイプではなかったので、社長も工場長も驚いて、すごく喜んでいましたね。こうした変化は、全員が意見を言いやすいボトムアップの土壌ができてきた結果だと感じています。

▲河内屋の人気商品「棒S(ボウズ)元祖スティックチーズ」梱包する様子
DXが目的にならないよう
現場レベルまで情報を整理。
─現状、DXは目標値に対してどのくらい進んでいますか?
河内様:肌感では、全体の40%くらいは進んだのかなと感じています。紙のほうが効率的な場面もあるので、すべてをデジタル化したいというわけではありませんが、現在は受発注業務に関わる請求書のDXを進めているところです。また、ISOやPマーク関連もDXが進んでいないため、今後はそのあたりにも着手していきたいですね。

―これから現場DXの推進を検討されている方々へ、メッセージやアドバイスをお願いします。
河内様: DXという言葉が一人歩きして、DXが目的にならないようにしてほしいとは思いますね。会社の業種や状態によってはDXが適していない場合もあると思うので、まずは目の前の事業がどういう状態かというのを現場レベルまでしっかり見て整理すること。そのうえで、 DXツールを導入した方が業務効率化や費用対効果があると判断したら、そこで初めて検討することが大事なのかなと。私も以前はインターネットで調べるだけでなく展示会にも行くなど、自分の足を使って情報をつかみに行っていました。今回の現場DXアワードの懇親会などもいい機会だと思いますので、他社の方々と情報交換をしたいなと思っていますね。
あと、DXを進めてみて思うのは、『カミナシ 従業員』のようなツールを導入するにあたっての準備や社内浸透には、実行役となるキーパーソンが欠かせません。弊社も社長一人だけでは難しいところがあったので、自分がその役割として取り組めたことは大きかったと思います。
―今後の展望を教えてください。
河内様: 今回は『カミナシ 従業員』の導入によってコミュニケーションの基盤ができ、従業員を中心に活用していますが、将来的には業務委託の配送ドライバーさんにも利用してもらえないかと考えています。他にも、売り場の写真を共有してもらうなど、営業面での活用ももっと広げられるのではないかと期待しています。

株式会社河内屋
業種:製造業(食品製造)
従業員数:50名(2025年11月現在)





















