HACCPの対象となる食品事業者は、食品の製造・加工・調理・販売・輸入に関わるほぼすべての業種に及びます。2021年の制度改正により、原則すべての食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理の導入を義務づけられており、“HACCPは一部の大企業だけが対応すればよい”という時代はすでに終わっています。
まず対象業種についてですが、厚生労働省のガイドラインに基づくと、以下のような事業者が含まれます。
食品製造業(例:惣菜、菓子、冷凍食品、レトルト、発酵食品など)
食品加工業(例:精肉、カット野菜、魚介類加工など)
飲食店・給食施設(例:レストラン、社員食堂、学校給食、病院給食)
食品卸・小売業(例:スーパー、コンビニ、食品卸業者)
輸入食品販売業者
つまり、製造業だけでなく、調理・販売・提供を行うすべての食品関係事業者が対象です。一方で、すべての事業者に同じ水準のHACCP対応が求められているわけではありません。実務上は、事業者の規模や業種に応じて2つの運用レベルに分かれています。
1. HACCPに基づく衛生管理(高度対応)
→ 大規模事業者や輸出入対応企業など。HACCPの7原則12手順に基づき、CCP(重要管理点)の設定、記録、検証、是正措置などを厳密に実施。
2. HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(簡易対応)
→ 小規模営業者、地域密着型店舗など。業界団体が作成した業種別手引書に従い、自社の業態に即した衛生管理計画を作成・記録。
つまり、小規模の事業者やリスクの低い業種では、フルHACCPに準じた対応ではなく、簡略化された自主衛生管理計画の策定でも認められています。これは、事業規模によって負担感が偏らないようにするための制度設計です。
ただし、例外がある一方で、「HACCPを全くやらなくてよい」という業者は基本的に存在しません。販売量が非常に少ない家庭的製造(例:農家が自家消費分を販売)など、一部限定的な業態を除き、衛生管理計画の作成・記録・保管の義務は求められます。また、輸出を視野に入れている企業や、取引先が大手企業である場合、HACCP対応の有無が商談条件になることも増えています。制度対応だけでなく、信頼構築・競争力確保の観点からも、HACCP運用は“食品事業者としての基本インフラ”になりつつあるのが現状です。
義務ではなくても、食品に関わる企業としての信頼を損なわないためにも、HACCPの概念を取り入れた職場環境を風土化することは大切です。経営陣だけでなく、すべての従業員が衛生管理に厳しく管理できる仕組み作りがが求められます。
そのためにも紙ベースではなく、普段からHACCPに準じた衛生管理の記録管理を行い、データベースとして残していく対応が求められます。
カミナシでは、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画の策定・記録・更新を簡単にデジタル化できる支援機能を提供。中小規模の食品製造業や飲食事業者でも、制度対応と業務効率化を両立した運用をスムーズに構築できます。









