本記事は、YouTubeチャンネル「ゲンバとヒト日本の変革に挑む」で公開された対談動画『【製造現場DX】紙だらけの工場がデジタルに変わるまで【大和電化工業所・密着・Part02】』の内容を基に作成したサマリー記事です。
紙ベースの管理から脱却し、スマートフォンやタブレットを活用したデジタル変革(DX)へ舵を切った製造現場。若手社員や外国人従業員がシームレスに躍動する、大和電化工業所における「現場主導のデジタル化」のリアルと具体的なメリットについて、最前線の声を交えてお届けします。製造現場の最前線で今何が起きているのか、ぜひ動画本編でご覧ください!
目次動画本編はコチラ
1. 壁一面の紙からデータ管理へ:生産管理デジタル化がもたらした「異常の見える化」
製造現場のデジタル化は、単なるペーパーレスにとどまらず、現場のコミュニケーションと管理体制に劇的な変化をもたらします。壁一面を埋め尽くしていた紙の管理表を完全撤廃し、大型モニターによるリアルタイムのExcelデータ管理へと移行したことで、業務のあり方がガラリと変わりました。
従来は、顧客ごとの品番や作業者名、ロットナンバー、数量、薬品濃度にいたるまで、すべての製造記録を紙の管理表に手書きで記入していました。しかし、紙による運用には以下のような深刻な課題が存在していたと言います。
作業者によって文字の綺麗さにバラつきがあり、誤読や確認ミスの原因になる
過去の履歴や製造データを遡って探す際に、膨大な保管資料から見つけ出すのが困難
管理者が直接現場の用紙を確認しに行かなければ、記入漏れや進捗の遅れに気づけない
これらの課題を解決するため、同社では生産管理のデータ一元化を敢行しました。工場の壁に設置された大型モニターを見れば、メッキ処理の投入計画から完了時間、遅延状況までがリアルタイムに表示されます。
これにより、進捗の遅れや異常値が一目で把握できるようになり、誰かに聞きに行かなければ分からなかった情報が、モニターを見るだけで全員に共有される環境が実現しました。さらに、薬品の補給計算などもすべてデジタル化され、記入漏れや手計算による人為的ミスを完全にシャットアウトしています。
2. 現場の反発を乗り越える:「1年計画の改善」とチームで挑むボトムアップの進め方
新しいデジタルツールや仕組みを導入する際、現場の抵抗感や反発は避けて通れない大きな壁です。大和電荷工業所では、現場にシステムを無理やり押し付けるのではなく、1年かけてじっくりと定着させる「伴走型」のアプローチを採用しました。
当初は従来のやり方を変えることへの抵抗感が少なからずありましたが、同社ではマクロを組んだExcelシステムの導入にあたり、半年から1年を見据えた長期の改善計画 を策定しました。社内のシステム担当者と現場の若手社員が強固な協力体制を築き、対話を重ねながら進めたことが成功の鍵となっています。
実際にシステムが稼働し始めると、現場からは「これまで手書きしていた作業が、エンターキーを1回押すだけで正確な時間が自動入力される」「圧倒的にこちらの方が便利だ」という実感が徐々に広がっていきました。
現場への定着をスムーズにするために重要となるマインドセットは、以下の2点です。
現場を巻き込むチームビルディング:経営層や管理職がシステムを強制するのではなく、現場も一緒になってシステムを構築していくプロセスを踏む
デメリットではなくメリットを伝える:変化による負担(デメリット)ばかりに目を向けさせるのではなく、「自分たちの業務がどれだけ楽になるか(メリット)」を丁寧に伝えて巻き込む
このように、現場ファーストでベネフィットを提示し続けた結果、若手社員自らが「次は手順書を紙から動画マニュアルにアップデートし、タブレットで見られるようにしたい」という自発的な構想を立ち上げるまでに意識が変化しています。
3. 言葉の壁を越えるツール活用:外国人従業員と築く強固な組織力
深刻な労働力不足に直面する日本の製造業において、外国人従業員(技能実習生・特定技能生)の存在は欠かせません。同社のメッキ部門でも14名ほどのフィリピン人従業員が活躍していますが、そこには言葉と文化の壁を克服するための緻密なコミュニケーション設計がありました。
いくら事前に日本語を勉強してきたとはいえ、製造現場の複雑な指示やニュアンスをすべて正しく理解することは困難です。そこで同社では、以下の取り組みを通じて 意思疎通のミス(思い違い)を解消しています。
翻訳機能とデジタルツールの活用:言葉だけでは伝わらない作業内容を、翻訳アプリやタブレットの動画を用いて視覚的に説明する
ピア・リーダーシップの確立:先輩の実習生が「特定技能生」へとステップアップし、リーダーとして後輩と会社との間に入り、コミュニケーションのハブとなる
デジタルツールによるサポートと、外国人従業員同士の横のつながりを強化した結果、現在では特定技能生が現場のリーダー的存在として周囲を牽引するまでに成長しています。
また、業務外のコミュニケーションも活発で、全社員対象の忘年会や、協力会社を含めたボウリング大会などの社内イベントに実習生も積極的に参加しています。「忘年会ではフィリピン人従業員が1番盛り上がっている」と笑顔で語られるほど、お互いの文化を尊重し合える良好な人間関係と、活気ある職場環境が醸成されています。
4. 全社員の半分が30代以下!スマホ・タブレット導入が生んだ「歩かない現場改善」
大和電荷工業所は、全社員の約半分を34歳以下の若手が占めるという、製造業としては非常に若い年齢構成を誇ります。この若いエネルギーと、スマートフォンやタブレットを駆使した現場改善が見事に融合し、圧倒的な業務効率化を生み出しています。
年齢層の離れたベテラン社員と若手社員のギャップを埋めるため、同社では「班長以上」を対象としたコミュニケーション研修や勉強会を定期的に開催しています。ここでも「こうしなさい」と型を押し付けるのではなく、各現場で行われている工夫やいい取り組みを情報交換し、お互いに真似し合うフラットな場を設けています。
こうした柔軟な風土の中で、スマートフォン(カミナシ レポート)やタブレットを用いた日常点検・生産実績記録のデジタル化が急速に進みました。
整形現場の班長は、デジタル化によってもたらされた劇的な変化を次のように振り返ります。
「これまではA4用紙を片手に、広い工場内を歩き回って各機械の日常点検を行っていました。また、月1回や週1回の頻度で、機械に取り付けられている紙の点検用紙を差し替える作業自体が大きな負担でした。
現在は、スマートフォン1台で全機械の日常点検が完了します。データはパソコンで管理者が一括確認できるため、紙の回収や確認の手間もありません。歩行歩数も減り、削減された時間を別の付加価値の高い仕事に充てられるようになりました。若手の意見を『じゃあ、やってみよう』とすぐに取り入れてくれる上司の存在が、本当にありがたいです」
今回の対談から見えてきたのは、単に「紙をデジタルに置き換える」という表面的なDXではなく、ツールを通じて現場のストレスを減らし、誰もが働きやすい環境を主体的に作り出す「ヒト主導の変革」の姿でした。
若手のアイデアが即座に反映され、外国人従業員ともデジタルと笑顔でつながる大和電化工業所の取り組みは、これからの日本の製造業が目指すべきひとつの「勝ち筋」を示しているのではないでしょうか。
動画本編もぜひご覧ください。






















