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公開日 2025.02 .25

更新日 2026.04.16

フードセーフティーの基本情報とフードディフェンスとの違いについて

フードセーフティーの基本情報とフードディフェンスとの違いについて

近年、世界的に食の安全への意識が高まっていることから、食品製造業や飲食業はフードセーフティの取り組みが欠かせないものとなっています。しかし、何から始めればいいのか分からない、現場での管理方法に自信がないといった悩みをもつ担当者も多いでしょう。

そこで本記事では、フードセーフティの基本概念から、フードセーフティに関連する規格、現場で使える実践方法、企業の事例、よくある質問について解説します。

目次

フードセーフティとは

フードセーフティとは、食品の製造や提供において安全性を確保するための取り組み全般を指します。具体的には、原材料の受け入れから始まり、食品の製造や加工、流通を含む全ての工程で適切な温度管理・品質管理を実施します。

似た言葉にフードディフェンスやフードセキュリティがありますが、それぞれ異なる意味を持ちます。

また、フードセーフティを実現するためには、HACCP(ハサップ)やISO22000といった国際的な規格の理解も欠かせません。

フードディフェンス、フードセキュリティとの違い

フードセーフティとフードディフェンス、フードセキュリティの目的や想定されるリスク、主な対策の点で違いがあります。

フードセーフティ

フードディフェンス

フードセキュリティ

目的

食品の衛生や品質を守る

悪意ある行為から食品を守る

すべての人が安全な食料を安定して得られるようにする

想定されるリスク

意図しない異物混入、微生物汚染など

故意の異物混入、テロ行為など

食料不足、入手困難、栄養の偏りなど

主な対策

衛生管理、HACCP、ISO22000導入、従業員教育など

入退室管理、監視カメラ設置、内部不満の抑止など

生産体制の強化、供給網の安定化、食料支援体制の整備など

フードセーフティとフードディフェンス、フードセキュリティの違い

フードセーフティは、意図しない微生物汚染や異物混入などから食品を守る取り組みのことです。一方、フードディフェンスは、悪意ある人為的な混入や破壊行為を未然に防ぐことを指します。またフードセキュリティは、すべての人が安全で栄養のある食料を継続的に確保できる社会の実現を目指す概念です。

いずれも食品業界において重要な取り組みですが、まずは現場レベルで衛生管理を徹底するためフードセーフティを実施することが食品の安全対策の土台となります。

フードディフェンスについては、以下の記事で詳しく解説しています。
フードディフェンスとは? 過去の発生事例や具体的な対策、フードセーフティとの違いも解説

フードセーフティに関連する規格

フードセーフティを実施するうえで、HACCPやISO22000といった国際的な衛生管理の規格について知っておくと有効です。これらの規格は、根拠に基づいて食品の安全性を確保する仕組みとして、国内外で広く採用されています。ここでは、HACCPやISO22000の特徴や導入のポイントについて解説します。

HACCP

ISO22000

目的

食品の製造工程における危害要因の分析と重要管理点の設定および管理

組織全体で食品安全を管理するため、包括的なマネジメントシステムの構築

対象範囲

主に製造現場(工程)における危害要因を管理する

サプライチェーン全体(原材料の調達〜消費まで)を対象に食品安全を管理する

法的位置づけ(日本)

食品衛生法により、すべての食品等事業者に対し導入が義務化(2021年〜)

取得は任意だが、対外的な信頼獲得や輸出入の条件として活用されることが多い

特徴

科学的根拠に基づいた衛生管理、工程ごとの危害要因を分析し、記録する

HACCPの考え方を含みつつ、経営管理やリスクコミュニケーション、継続的改善などの要素も含む

導入するメリット

・食中毒や異物混入などの未然に防止する
・信頼性を確保できる

・信頼性を確保できる
・組織全体の食品安全意識を向上できる
・リスク対応力を強化できる

取得方法

手法のためISOのような認証制度はなく、導入や運用を行う

ISO認証機関による審査と定期的な更新審査が必要

HACCPとISO22000の違い

HACCP

HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point:危害要因分析重要管理点)は、食品の製造工程における危害要因を事前に特定、分析し、食品の安全性を確保する衛生管理の手法です。

具体的には、食中毒菌の汚染や異物混入といった危害要因(リスク)を把握し、原材料の受け入れから製品の出荷までの全工程で、リスクを除去または低減させることを目指します。

HACCPは、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同機関であるコーデックス委員会によって国際的に認められ、各国への導入が推奨されています。

日本では食品衛生法の改正により、2021年6月からすべての食品事業者に対して導入が義務化されました。HACCPを導入しないことへの罰則は明確に定められていないものの、HACCPを導入することで、消費者はもちろん取引先からも社会的信用を獲得しやすくなるというメリットがあります。

ISO22000

ISO22000は、国際標準化機構(ISO)が策定した食品安全マネジメントシステム(FSMS)の国際規格で、原材料の調達から製造、出荷、消費までのサプライチェーン全体における食品の安全を確保するための仕組みです。HACCPのリスク管理手法を取り入れつつ、経営管理の視点を加えた構成が特徴です。

具体的には、手洗いの徹底や温度管理などの衛生管理だけでなく、それらのルールが現場全体に浸透しているか、改善が継続されているかまで管理します。ISO22000を取得することで、リスクの低減や業務効率の向上、取引先からの信頼獲得など、多くのメリットを得られます。

フードセーフティの実践方法

フードセーフティを実践する際は、衛生管理を徹底するだけでなく、トレーサビリティの整備や従業員への教育、社会全体の意識を向上させることが重要です。実際に現場で取り組めるフードセーフティの実践方法について以下3つの方法を紹介します。

  • 食品のトレーサビリティを徹底する

  • リスク管理について社内教育をする

  • フードセーフティへの関心を高める活動をする

食品のトレーサビリティを徹底する

フードセーフティを実践するうえで、食品トレーサビリティを徹底することは重要です。食品トレーサビリティとは、食品がどこでどのように生産、加工、流通されたのかを追跡、記録できる仕組みで、フードセーフティを支える重要な基盤です。

万が一トラブルが発生しても、どの段階に原因があるのかを迅速に特定し、商品回収などの適切な対応が可能になります。導入の基本ステップは以下の通りです。

  1. 入荷先や出荷先を明確にする

  2. 製品ごとに識別(ロット管理)する

  3. ロットと出荷先を紐づける

  4. 情報を社内や出荷先に共有し、記録する

  5. 内部監査で運用状況を定期的に確認する

このとき全ステップを通して、情報の正確性と一貫性を保つことが重要です。記録漏れや曖昧なデータがあることで、有事の対応に支障をきたしてしまうからです。

また商品を最小単位で管理することも欠かせません。ロットを細かく設定することで、商品回収の範囲を限定でき、コストや顧客への影響も最小限に抑えられます。その結果、企業の信頼性の向上や、フードロスの削減も期待できます。

リスク管理について社内教育をする

食品の安全を確保するうえで、リスク管理に関する社内教育は欠かせません。なぜなら、すべての従業員がリスクマネージャーであるという意識が、現場のフードセーフティ文化を支えるからです。

食品事故は、知識や意識の不足によるヒューマンエラーによるものがほとんどです。そのため、従業員に対する定期的な教育と訓練が重要と言えます。

教育内容は、異物混入や食中毒リスクの理解、HACCPやトレーサビリティの基礎、正しい手洗いや衛生管理手順などとすることをおすすめします。また、食品ラベルの読み方や保存方法など、消費者視点の教育も加えると、意識の幅が広がるでしょう。

しかし知識を一方的に教えるだけでは現場で実践されにくく、教育が形骸化してしまいます。そのため小テストやロールプレイなどを実施し、従業員の理解度を確認しながら継続的に教育することが大切です。

教育記録の管理や動画マニュアルをカンタンに作成できる「カミナシ 教育」は、製造業を含む幅広い業界で使われています。マニュアルのDX化で効率化した企業の事例やマニュアルの作り方のコツなどをまとめた資料は、以下のボタンからダウンロードいただけます。ぜひ参考にしてください。

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フードセーフティへの関心を高める活動をする

フードセーフティは、食品事業者だけでなく、すべての人に関わる社会的責任と言えます。食中毒や異物混入は私たちの日常に潜むリスクであり、安全な食品がなければ、健康、教育、経済、さらには持続可能な社会の実現も困難になるでしょう。そのため、一人ひとりが食品の安全に関心を持ち、行動を起こすことが求められています。最近では、以下のような活動を実施する企業も増えてきました。

  • 世界フードセーフティデーなどの啓発イベントに参加する

  • 社内でフードセーフティ週間を実施する

  • SNSで#foodsafety(ハッシュタグ)をつけて情報発信する

特にSNSでは、信頼性のある情報とともに、ポスターや動画、インフォグラフィックなどのビジュアルコンテンツを使うと、関心を引きやすくなるのでおすすめです。

食品の安全に対する意識を社会全体に広げる活動は、事故の予防にも、信頼される組織づくりにもつながります。

フードセーフティの事例

フードセーフティの考え方や手法を理解していても、実際にどのように現場で活かされているのかが分からなければ、具体的な行動にはつながりにくいものです。ここでは、実際にフードセーフティに取り組んでいる企業や施設の事例を紹介します。

日本マクドナルド株式会社

日本マクドナルド株式会社では、原材料調達から店舗提供まで一貫したフードセーフティ管理を実施しています。国内外のサプライヤーには独自の厳格な基準に基づく監査を行い、関連法令や規制要求事項の遵守だけでなく、GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)やHACCPの考え方に基づいた品質管理体制を構築しています。

生産地、加工場、物流、店舗それぞれに管理ルールを定め、毎日の清掃や温度管理、従業員教育を徹底しているのが特長です。

また、製造から提供までの各工程のトレーサビリティを実施することで、トラブルがあった際に迅速に原因を追求し対策を取れる体制を構築しています。さらに、栄養成分やアレルゲン情報をウェブで公開し、消費者への透明性と信頼の確保も重視しています。
参考:食品安全・品質への取り組み|日本マクドナルド株式会社

テーブルマーク株式会社

テーブルマーク株式会社では、国内外17か所の自社グループ工場で国際規格FSSC22000を取得しています。

HACCPやISO22000の考え方を含む食品安全マネジメントシステムを導入し、原材料から製造、出荷までの全工程で最新のハザード分析と厳格な管理を行っています。

また、商品の生産履歴を単品レベルで追跡可能なトレーサビリティシステムを一部導入し、迅速かつ正確な対応を実現しました。さらに、国内外すべての製造工場と原材料供給業者に対して定期監査を実施し、厳しい基準を満たした施設のみで生産を行う体制を徹底しています。
参考:食の安全への取り組み|テーブルマーク株式会社

山崎製パン株式会社

山崎製パン株式会社では、食の安全、安心を守るため食品安全衛生管理本部を設置し、約450名の専門スタッフが本社と全国の工場で連携しながら徹底した管理体制を構築しています。細菌検査や製品表示確認、異物混入防止、設備の点検清掃に加え、従業員教育なども実施しています。

また、米国のAIBによるフードセーフティ指導、監査システムを導入し、作業方法からメンテナンス、清掃、有害生物管理に至るまで、国際基準に基づいた衛生対策を行っています。さらに、アレルゲンの厳格な管理やインラインシフター(ふるい)による小麦粉の中に紛れた異物除去、生産設備の見える化、多角的なリスク管理の徹底など、製造から配送まで一貫した安全管理を実践しています。
参考:食の安全・安心への取り組み|山崎製パン株式会社

フードセーフティについてよくある質問

最後に、食品製造業や流通業、小売業、飲食サービス業などの現場でフードセーフティに取り組む担当者によくある質問を紹介し、解説します。

フードセーフティに必要な資格は?

食品の安全管理に携わる担当者にとって、フードセーフティに関する資格を取得することは、知識と信頼性を高める手段として非常に有効です。日本で代表的な資格としては、食品衛生責任者があり、飲食店や食品製造業などを営む場合に必須とされる資格です。保健所の講習を受けることで取得可能です。

さらに高度な知識を求める場合は、HACCP管理者養成講習(公益社団法人日本食品衛生協会)食品表示検定(一般社団法人食品表示検定協会)などの講座や民間資格もあります。これらを受講、取得することで、HACCP制度や食品表示ルールへの理解が深まり、品質管理や社内教育にも役立ちます。資格を持つことで、社内外の信頼性が高まり、キャリアアップにもつながるでしょう。

しかし資格取得がゴールではなく、現場での継続的な実践と学びが不可欠です。最新の法改正やガイドラインに対応できるよう、定期的に情報収集することをおすすめします。

フードセーフティのデンジャーゾーンとは?

デンジャーゾーン(危険温度帯)とは、細菌が急速に増殖しやすい温度帯のことを指します。一般的に10℃〜60℃の範囲をデンジャーゾーンと言い、この温度帯で食品を放置すると、食中毒の原因となる細菌が短時間で増殖するリスクが高まります。

調理後の食品を常温で長時間置いておくことや、冷却が不十分なまま保存することは、デンジャーゾーンに食品をさらす典型的なケースです。また、弁当や総菜などを製造する現場では、この温度帯の管理が不十分だと重大な衛生問題につながりかねません。

食品の衛生リスクを避けるには、冷蔵は10℃以下、加熱は60℃以上をキープすることが基本です。調理後は速やかに提供、冷却し、保存時は温度記録を行うといった管理体制が必要になります。特に夏場や大量調理を行う現場では、温度管理を徹底することでフードセーフティにつながるでしょう。
参考:HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた食品衛生管理の手引き[飲食店編]|厚生労働省

フードセーフティを社内で徹底するにはマニュアル整備が必須

フードセーフティは、食品を扱うすべての現場に欠かせない取り組みです。安全な食品を提供することで、企業の信頼を守るだけでなく、社会的責任を果たすことにもつながります。

社内でフードセーフティを徹底するには、誰でも理解しやすいマニュアルの整備が不可欠です。特に、多様なスタッフが関わる現場では、文字だけのマニュアルでは理解に差が出やすく、属人的な運用になる恐れもあります。

そこで有効なのが動画マニュアルの活用です。視覚と音声で具体的な手順や注意点を伝えることで、理解度が高まり、教育効果が飛躍的に向上します。

カミナシ 教育では、現場の作業を撮影しデータをアップロードするだけで、自動で字幕を作成したり、言語を翻訳したりすることが可能です。手間なく動画マニュアルを作成できるだけでなく、受講管理もできることから多くの食品現場に導入されています。

マニュアルをDX化して効率化した方法やカミナシ 教育の概要資料は、以下のボタンからダウンロードできます。安心で安全な環境を作るために参考にしてみてはいかがでしょうか?

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執筆者:現場と人 編集部

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