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公開日 2025.12 .04

更新日 2025.12.11

現場DXが生んだ挑戦の連鎖。清掃プロセスを再構築し、さらなる品質向上を実現。

現場DXが生んだ挑戦の連鎖。清掃プロセスを再構築し、さらなる品質向上を実現。

品質向上賞:ナニワ様

利用製品:カミナシ レポート

愛知県みよし市で餡(あん)や、餡子製品をはじめとする和菓子、デザートなどの原料を製造している「株式会社ナニワ」。

2024年の現場DXアワードで最優秀賞を受賞した同社は、生産性向上に向けた取り組みにより、大幅な労働時間の削減を実現しました。その成功に満足することなく、次なる目標として掲げたのが、より多くのお客様から選ばれるための「品質向上」。そこで着手したのが、生あん製造において発生する微生物を減らすための清掃活動のアップデートでした。

オリジナルのプロジェクト名を掲げ、現場と一体となって取り組みを推進。どのような工夫を凝らし、どんな困難を乗り越え、どのように社内を巻き込んでいったのか。昨年に引き続きプロジェクトの指揮をとった工場長の杉本様をはじめ、プロジェクトリーダーの加藤様、丹羽様、そしてDX推進メンバーの鈴木様、渡部様、高宮様、石神様にお話を伺いました。

昨年成し遂げた、生産性の改善。
次なる目標は「品質のさらなる向上」

―ナニワ様は昨年の最優秀賞に続き、今年は品質向上賞を受賞されました。昨年の受賞後、社内ではどのような変化がありましたか?

加藤様:はい、昨年最優秀賞をとったことで、社内でも非常に大きな反響がありました。自分たちの取り組みが見える形で外部から評価されたことで、従業員に自信が生まれ、モチベーションの向上にもつながったと感じます。そんな反応を見て、自分たち自身も「これまでやってきたことが正しかったんだ」と実感することができました。

―DXへの良い雰囲気が醸成されてきている中、今回のプロジェクトはどのようなきっかけで始まったのでしょうか?

杉本様:もともと我々がDXを進めようとしていた一番の目的は「品質向上」でした。昨年行った取り組みである「ストログ」によって、年間500時間の労務時間削減が達成できたことで、改めて本来の目的にフォーカスを当てて取り組んでいこうという流れになりました。ちなみに「ストログ」というのは「ストック(在庫)」と「ログ(記録)」を掛け合わせた造語で、従業員に馴染みやすく、取り組みやすいレポートになることを願って名付けたものです。

▼ 株式会社ナニワ様が最優秀賞を受賞した2024年の取り組みはこちら

―今年はメンバーを5名から7名に増員していますね。その理由と、それぞれが担った役割について教えてください。

杉本様:まずは、私はプロジェクトオーナーという立場で全体を見ていました。

【プロジェクトオーナー】工場長 杉本様

▲【プロジェクトオーナー】工場長 杉本様

加藤様:私は、主にカミナシの推進を行うのが役割でした。また、週に一回デジタル帳票の管理・作成・運用について話し合う「カミナシサミット」のリーダーも任せてもらっていました。

【プロジェクトリーダー】加藤様

▲【プロジェクトリーダー】加藤様

丹羽様:私は加藤さん同様リーダーもしつつ、システム担当をしておりました。プロジェクト内で何か起こった際のサポートやフォロー、意見出しなどです。あとはExcelへの変換だったりシステマチックな部分の対応も行いましたね。

高宮様:私は現場で困っている課題を回収して渡部さんと連携しながら、新たに導入したデジタル帳票が現場で定着するよう動いていく役割です。

石神様:私は今回初めての参加でした。これまで、デジタル帳票を「使う側」から「作る側」になって、1から作れるようになったのは良い経験となりました。

渡部様:私は、デジタル帳票の設定、編集、メンテナンスを担当していました。具体的には、現場の要望を受けてデジタル帳票をどんどん形にしていく役割です。

鈴木様:私も今年からの参加です。渡部さんと連携しながら現場からの要望をまとめる役割を担いました。また、品質向上に向けて外部機関に依頼した菌の調査も並行して進めていました。

【DX推進担当者】石神様、丹羽様

▲【DX推進担当者】石神様、丹羽様

杉本様:当社では、取り組むプロジェクトの内容に合わせてメンバーをアサインしています。例えば今回は、衛生面に関するものだったので、普段から関連業務に携わるメンバーに入ってもらいました。

―品質向上に向けて、どのような改善が必要で、どのようにアプローチしていったのでしょうか?

加藤様:当社で製造している「生あん」は微生物が繁殖しやすく、品質劣化の進行も速い製品です。そのため、製造するエリア、設備、備品は高度な衛生レベルを保つことが求められます。製品規格の基準は既にクリアしているものの、より多くのお客様に選ばれるために、これまで以上の衛生レベルを実現したいと考えていました。

昨年からの取り組みにより、清掃活動に使える時間を確保できたため、今回はその「清掃活動の質」を高めることを目標にしました。微生物の棲家を特定し、計画的に退治する。そのプロセスをアップデートするために、私たちは「カシュカシュ」という名前のプロジェクトを立ち上げ、取り組みを進めていきました。

【DX推進担当者】高宮様、石神様、丹波様、渡部様、鈴木様

▲【DX推進担当者】高宮様、石神様、丹波様、渡部様、鈴木様

目指すは、微生物を大幅に減らすこと。
新プロジェクト「カシュカシュ」始動。

―改めて「カシュカシュ」について具体的に教えてください。

加藤様:生あん製造工程における微生物の棲家を見つけ、適切な対策を講じることをゴールとしたプロジェクトです。微生物の一般的な基準値を目標に設定して実行・検証・評価しながらプロジェクトを進めました。

杉本様:ちなみに「カシュカシュ」の名前は鈴木が命名したんですよ。

鈴木様:「カシュカシュ(cache cache)」はフランス語で「かくれんぼ」を意味します。微生物の棲家を見つけるという今回のプロジェクトの目的に合わせて名付けました。ちょうど取引先からいただいた紅茶セットの中に「カシュカシュ」というフレーバーがあって、いろいろな味が隠れているという意味を知り、今回のプロジェクトにぴったりだなと感じたのがきっかけでした。

―「ストログ」もそうですが、ネーミングの文化がとても素敵ですね。プロジェクトはどれくらいの期間で進められたのでしょう?

杉本様:始動は2025年7月頃です。その少し前から外部機関と連携し、微生物の棲家を調査していました。その結果を踏まえてデジタル帳票作成へ進んでいきました。

―始動からデジタル帳票作成まで、かなり短期間ですよね。大変ではありませんでしたか?

渡部様:デジタル帳票の大部分を私が作成していましたが、ほとんど苦労はありませんでした。事前に鈴木さんが「こうしたい」という要望を共有してくれていたので。

杉本様:もともと、定期清掃作業にあたり鈴木さんが要望をまとめ、渡部さんに連携していく体制が構築できていたんです。そのため作成をスピーディに行うことができましたね。

―「カシュカシュ」を進めていく中で、苦労したことはありましたか?

鈴木様:まず、現場の皆さんに話を聞いて、どこに菌が発生しやすいのかを洗い出していきました。それをもとにデジタル帳票を作成し掃除を進めていったのですが……、掃除をした直後は逆に菌がすごく増えてしまうんです。結果を見てかなり落ち込みましたが、とにかく継続しました。すると、一週間ほど経った頃から効果が出てきて。現場の方から「良かったですね!」と声をかけてもらったときは、本当にホッとしました。

―作成したデジタル帳票を現場で運用し定着させるために工夫されたことはありますか?

鈴木様:外部機関と協力しながら、重点的に清掃するべき箇所を調査しました。また、清掃作業の量がどれくらいになるか把握するため、社内情報共有ツールで作業時間、方法、頻度を現場担当者にヒアリングし、清掃スケジュールを組み上げました。さらに、写真や動画などを活用して誰もが見てわかるデジタル帳票を作成。「再現性の高い清掃手順」と「チェックが容易な帳票」にすることを心掛けました。

運用を開始してからいただいたアドバイスは、都度、反映していきました。さらに検証項目を設けて、取り組みの妥当性と有効性を評価。その評価結果を社内情報共有ツールで発信し、清掃のPDCAを回していきました。

実を結んだ「成果」と「文化醸成」。
しかし、立ち止まらず、さらなるDXへ。

―プロジェクトを通して、得られた成果はありますか?

加藤様:まず、微生物の数を約半数まで減らすことに成功しました。また、新たなデジタル帳票への移行率も80%まで完了し、定着が進んでいます。

―大幅な減少ですね!成果に繋がった社内を巻き込むための工夫などはありますか?

杉本様:生あん製造の経験豊富な熟練社員にもプロジェクトに参画してもらい、清掃方法や頻度を伝授してもらう機会を設けました。これまで手順を継承できていない状況でしたが、写真と動画のマニュアルをデジタル帳票内に組み込みました。これにより、作業が属人化せずに誰でも同じ精度の清掃作業が可能になりました。熟練社員が積み重ねてきた「経験」を会社の「財産」にすることができましたね。

―現場とのコミュニケーションは普段から取っていたのでしょうか?

鈴木様:いえ、今回のプロジェクトを通して初めて深く関わるようになりました。ほぼ毎日のように現場へ足を運び、清掃方法を教えてもらっていましたね。今では現場の方から声をかけてきてくれるようになり、「今日は◯◯さんが休みで大変なんだよ」といった世間話もできる関係になりました。

実は、今回の現場DXアワード受賞の知らせを聞いた時、一番に現場へ報告に行ったんです。するとこちらが言う前に「ありがとうございました!」と言っていただいて……。本来お礼を言うべきなのは私たちなのに……、胸が熱くなる瞬間でした。

―プロジェクトを通して、それぞれ変化や成長を感じたことはありますか?

鈴木様:菌の数を減らすというミッションを果たす上で、一方的な指示ではダメで、現場の方々の意見を取り入れながらどうやったら上手くいくかを考えるようにしました。人ときちんと向き合うことを改めて意識できたのは一番の成長ですね。

渡部様:昨年は、現場から質問や相談を受けても、自分自身も分からなかったため対応ができず悔しい思いをすることが多かったんです。でも今年は、昨年の経験を踏まえてフォローできる場面も増えて、そこは嬉しかったです。

石神様:私は作成されたデジタル帳票を現場の方々へ繋ぐ役割を担ってきましたが、導入3年目ということもあり、現場の理解がとても進んでいてとてもやりやすくなっている印象を受けました。

―とても順調にDXが進んでいるように感じますが、ゴールへの到達度は現在何%くらいでしょう?

加藤様:昨年と同じ答えになりますが、40%ですね。DXは、やればやるほど成し遂げたいこともどんどん増えていきます。未熟であることを自覚し学び続けていきたい、常に先へ先へと成長し続けていきたいという想いが込められた数字です。今後も40%という数字は変わらないかもしれませんね。

―満足することなく挑み続けたいというポジティブな意志を感じます。次に取り組んでいきたいことはありますか?

杉本様:2025年10月から基幹システムの完全移行を進めています。直近で成し遂げたいのは、DXツールを使って基幹システムを構築していくこと。今はそこに注力していますね。

丹羽様:今までのプロジェクトは社内で完結するものが多かったんですが、基幹システム構築となると、外部の方を巻き込んでいかないといけない。問い合わせや確認も増え、負荷は大きいですが、これまでの取り組みを通じて「まずは相手の話を受け止める」という傾聴文化が根付いてきたこと、そして新しいチャレンジに慣れてきた従業員が多いことで前に進めています。おかげで年内完全移行も見えてきました。

杉本様:プロジェクトを進めていく上ではもちろん困難もあります。ただ、みんな過去に取り組んできた経験値があり、解決を重ねてきた成功体験がある。だから、プロジェクトの内容は変わっても、また、苦労することがあったとしても、立ち止まらずにどんどんトライしていける。そういうマインドになってきているのだと思います。

―最後に、これから現場DXに取り組もうとされている方へメッセージをお願いします。

杉本様:ここまで、失敗も経験しながら一つずつ積み重ねてきて、ようやく自分たちがやりたいことが明確になってきました。これから現場DXに挑まれる企業様もすぐに結果が出るとは限りません。でも、無駄になることはないと信じて進んでほしいです。私たちもまだまだチャレンジの途中なので、ぜひ、ともに頑張っていきましょう。


株式会社ナニワ
業種:製造業(食品製造)
従業員数:130名(2025年10月現在)


執筆者:現場と人 編集部

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