食品の安全性を可視化する「HACCPマーク」。義務化されたHACCP対応とは異なり、第三者機関による認証を示すこのマークは、企業の信頼を証明する強力な武器となります。しかし、認証には自治体や民間団体など多様な種類があり、「自社にはどれが必要か」「費用や期間はどのくらいか」と悩む担当者も少なくありません。
本記事では、HACCPマークの種類から取得までの具体的なステップ、必要なコストの目安までを分かりやすくまとめました。
あわせて、運用時に見落としがちな表示ルールや誤表示のリスクについても詳しく解説します。正しくマークを活用し、対外的な信頼と社内の衛生管理向上を両立させましょう。品質・衛生管理記録の電子化なら「カミナシ レポート」。概要資料やペーパレス化の事例集は以下からダウンロード可能です。あわせてご覧ください。

目次HACCPマークとは
HACCPマークとは、地方自治体/地域団体(地域HACCP)や特定の業界団体、民間機関などが交付している認証取得を示すマークです。食品の信頼性を可視化するしるしとして、食品製造や飲食店、宿泊事業者などの食品を扱う事業者が取得していることがあります。HACCPの第三者機関からの認証(HACCPマークの取得)は、義務ではないので、取得していない事業者ももちろんいます。
HACCPマークの表示基準や使用ルールは発行機関ごとに異なり、それぞれのガイドラインに沿って運用されています。
HACCPマークの種類
HACCPマークは、国や自治体、業界団体、民間機関など、発行主体によって複数の種類があります。業種や製造規模に応じて異なる認証制度を利用でき、海外では国際基準との併用が一般的です。

HACCPマークの種類は国・自治体が認めているものや業界団体、民間機関、国際基準認証などがある
それぞれの認証は基準や審査方法に違いがありますが、いずれもHACCPの考え方を基盤とし、食品の安全確保を目的としています。複数の認証制度を理解すると、自社に適したHACCPマークを選びやすくなります。
▶ あわせて読みたい!HACCP認証とは?費用や機関、取得までの流れを解説
HACCPマークを取得する目的
HACCPマークを取得する目的は、主に取引先や消費者に食品の安全性を分かりやすく伝えることです。消費者は、衛生管理が徹底された製品であるとわかれば、安心して選べるようになります。取引先や行政にとっても、品質保証や法令順守を示す信頼の証となります。さらに、マークの取得と維持を通じて、企業全体の衛生意識が継続的に高まっていくでしょう。
HACCPマークは、外部からの信頼を得るだけではなく、内部の管理体制を見直すきっかけにもなります。結果として、現場の品質向上や組織の意識改革が一層進んでいくはずです。
HACCPマークを取得する流れと必要なコスト
HACCPマークを取得するには、衛生管理体制を整え、審査を経て認証を受ける必要があります。制度の流れや費用の目安を理解しておくことで、準備不足や見落としによる再審査を防げます。
一方で、手続きの複雑さやコストを十分に把握しないまま進めると、計画が遅れたり予算が膨らんだりするおそれもあるのです。
認証取得までの流れ
HACCPマークを取得するには、衛生管理体制の整備から認証後の維持管理まで、段階的な取り組みが求められます。各ステップの概要を以下にまとめました。
ステップ | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
1.計画 | 衛生管理計画を策定し、社内にHACCPチームを設置する | 体制を整え、危害要因の分析や重要管理点を明確にするため |
2.審査 | 認証機関に申請し、書類審査と現場審査(第1段階・第2段階)を受ける | 管理体制と実施内容が基準を満たしているか確認するため |
3.登録 | ・審査を通過後、認証書の発行を受けてマークを登録する | 認証取得によりHACCPマークの使用をするため |
4.維持 | 定期的に維持審査を実施し、基準の継続適合を確認する | 衛生管理の水準を維持し、認証の有効性を保つため |
一連のプロセスを理解しておくと、認証申請に必要な準備期間や費用の見通しを立てやすくなります。
費用と期間の目安
HACCPマークを取得する際にかかる費用や期間は、施設の規模や審査機関の区分によって異なります。おおよその費用と期間の目安は以下の通りです。
区分 | 費用の目安(税込) | 期間の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
小規模施設 | 約15万〜30万円 | 約8〜12か月 | 衛生管理計画の策定から審査完了まで運用準備に時間を要する場合もある |
一般規模施設 | 約30万〜50万円以上 | 約10〜14か月 | 現場審査や改善対応の期間を含む |
民間機関 | 新規30万円/更新20万円(2年ごと) | 約1年 | 新規取得後も、年次または2年ごとに維持審査を実施 |
認証取得までの期間は、衛生管理計画の整備や社内教育、現場審査、改善対応といった工程を含めて約1年程度が一般的です。更新や維持運用では、毎年または2年ごとに再審査が行われ、基準への適合を継続的に確認します。
参考:総合衛生管理HACCP認証協会【公式】|HACCP取得費用
HACCPマークを正しく表示するためのルールと注意点
HACCPマークを使用する際は、ガイドラインに沿った正しい表示が欠かせません。表示ルールを誤ると、法令違反や誤認を招き、せっかく築いた信頼を損なうおそれがあるためです。制度に基づいた正しい運用を理解しておけば、消費者や取引先からの信用を維持できます。
ここからは、HACCPマークを正しく表示・運用するための基本的なルールと、誤表示を防ぐための注意点を整理します。
HACCPマークを正しく表示するための基準
HACCPマークを使用する際は、ガイドラインに沿った正確な表示が求められます。認証番号と発行機関名を明記し、誰が認証した製品かを明確に示します。
たとえば、「認証番号:HACCP-12345/認証機関:○○県HACCP認証センター」のように記載しましょう。一方で、認証機関名を省略したり、未認証の商品にマークを付けたりすると、誤認表示とみなされるおそれがあります。
虚偽や誤認を防ぐためには、食品表示法に基づいた運用が欠かせません。法律に沿った表示を行うことで、消費者に誤解を与えず、公正な情報提供が実現します。
また、消費者庁や自治体が表示内容を監督しており、適正な使用が求められています。表示基準を遵守すれば、行政指導や改善命令を受けるリスクを防げます。
誤表示がもたらすリスクと対応策
HACCPマークの誤表示は、企業の信頼を大きく損なう原因です。表示内容が不適切な場合、更新期限切れのマーク使用であっても契約違反や不適切表示と判断される可能性があります。
虚偽の表示を行った場合は、行政からの指導や罰則の対象になる可能性があるでしょう。もし違反が確認されれば、改善報告の提出や販売停止などの措置が求められます。
また、誤表示は企業イメージに深刻な影響を与えます。信用を失うだけでなく、再審査の対象となり、今後の取引にも影響が及びかねません。
誤表示を防ぐには、マークの使用期限やガイドラインを常に確認し、社内で表示管理を徹底します。定期的なチェック体制を整え、問題が発生した際は迅速に修正を行いましょう。
誤表示が発生した際に被害範囲を最小限に抑えるには、対象ロットを正確に追跡できる仕組みが不可欠です。
▶ あわせて読みたい!食品製造業におけるトレーサビリティとは?メリットやシステム活用事例を紹介
HACCPマークを正しく使用するためのポイント
HACCPマークを適切に使用するには、日常的な管理体制を明確にする必要があります。まず、社内で表示管理責任者を定め、マークの使用基準や手続きの管理を一元化します。
パッケージやラベルを変更する際は、マークの位置やサイズを再確認しましょう。意図せず基準を外れた表示を行うと、再印刷や商品回収につながるおそれがあります。
さらに、第三者審査の際には最新版のガイドラインを参照し、最新基準に基づいた運用を維持します。常に最新情報を確認しながら、誤表示を防ぐ体制を継続的に整えましょう。
HACCPマークを正しく運用したいと考える場合は、カミナシの現場DXツールの活用がおすすめです。取り上げた事例にもあるように、ツールを活用してHACCPマークの信頼を支える「衛生管理文化」を組織全体に定着させましょう。
HACCPマークの信頼は日々の運用で築かれる
HACCPマークは、取得して終わりではありません。日々の衛生管理を継続して運用する姿勢こそが、信頼の基盤になります。
制度を正しく理解し、現場で実践を重ねるには、厚生労働省や農林水産省などが発信する一次情報を参照する必要があります。最新のガイドラインを把握し、制度の理解と現場での運用を両立させましょう。
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