製造業は我々の生活に欠かせない製品を数多く生み出し、日本の経済成長を支える重要な役割を果たす産業です。しかし、少子高齢化による労働人口の減少や熟練者の退職などで人手不足問題が深刻化しており、残業時間の増加や生産性の低下などの問題を引き起こしています。
労働力の減少による生産性低下が進めば、業績も不安定になり、さらに人手不足を加速させる可能性があります。製造業における人手不足の問題を解消するには、従業員にとって働きやすい環境を整えつつ、採用の幅を広げて新たな人材を確保することが重要です。
そこで本記事では、製造業における人手不足の実態や原因、解決策、デジタルツールの活用で人手不足の解消に成功した企業の事例を解説します。
目次- 【データ別】製造業における人手不足の実態
- 有効求人倍率は平均よりも高い傾向
- 製造業の就業者数が20年間で123万人減少
- 若者離れと高齢化が同時に進行
- 製造業で人手不足が起きる原因
- 少子高齢化による生産年齢人口の減少
- 人材の流動が一般化
- 3K(きつい、汚い、危険)による負のイメージ
- 従業員教育を行う人材の不足
- 製造業における人手不足の解決策
- 採用枠の拡大で人材を増やす
- 効率的な教育体制を構築する
- 業務のデジタル化を推進する
- 企業のイメージアップを図る
- デジタルツールの導入で人手不足を解消した企業の事例
- 紙帳票のデジタル化で毎月の業務時間を約100時間カット
- チャットツールの多言語化で外国人従業員の働きやすい環境を実現
- 製造業ならではの人手不足問題を解消し、企業の高い生産性や品質を維持し続けよう
【データ別】製造業における人手不足の実態
社内の課題解決に着手する前に、製造業全体における人手不足の傾向を把握することは、根本的な原因や現場の実態に合った解決策を探る上で重要です。そこで、以下3つのデータから製造業における人手不足の実態を解説します。
有効求人倍率
製造業全体の就業者数
若年就業者数と高齢就業者数
業界全体の傾向と自社の実態を照らし合わせながら、年齢層ごとの人手不足の割合を紐解きます。
有効求人倍率は平均よりも高い傾向
有効求人倍率とは、求職者1人に対する求人数の割合を示した数値のことで「公共職業安定所にエントリーしている企業の求人数(有効求人数)÷仕事を探している人の数(有効求職者数)」で算出されます。
有効求人倍率が高くなると求職者1人あたりの求人数も多くなるため、働き口を探す人は仕事を選びやすくなります。一方、企業は自社に適した人材を見つけにくくなり、採用数も減少するのが特徴です。
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和6年11月分)」によると、製造業における2024年11月の有効求人倍率の平均は1.62倍となっています。
有効求人倍率 | |
|---|---|
全業界の平均 | 1.18倍 |
製造業全体の平均 | 1.62倍 |
生産設備制御・監視(金属製品) | 1.04倍 |
生産設備制御・監視(金属製品を除く) | 1.98倍 |
機械組立設備制御・監視 | 0.78倍 |
製品製造・加工処理(金属製品) | 2.17倍 |
製品製造・加工処理(金属製品を除く) | 1.82倍 |
機械組立 | 0.71倍 |
機械整備・修理 | 4.26倍 |
製品検査(金属製品) | 1.12倍 |
製品検査(金属製品を除く) | 1.79倍 |
機械検査 | 1.15倍 |
生産関連・生産類似作業 | 0.91倍 |
参考:一般職業紹介状況(令和6年11月分)参考統計表|厚生労働省
製造業の有効求人倍率は全職業の平均である1.18倍よりも高いことから、他の職業に比べて人材確保が難しい状況にあるといえます。製造業の中でも「機械整備・修理」の有効求人倍率は4.26倍であり、特に人手不足が深刻化しているとわかります。
製造業の就業者数が20年間で123万人減少
経済産業省の「2024年版ものづくり白書」によると、非製造業の就業者数は2003年から2023年の20年間で554万人増加している一方、製造業の就業者数は123万人減少しています。

画像引用元:2024年版ものづくり白書 第2章 就業動向と人材確保・育成|経済産業省
直近の2022年から2023年にかけては、製造業の就業者数が11万人増加し、全産業に占める製造業の就業者数の割合も0.1%上昇してます。しかし、20年間にわたり低下傾向で推移していることを踏まえると、今後も数値が減少する可能性は十分にあるといえます。
なお、経済産業省が2017年に行った調査では、製造業における約94%の企業が「人材確保に課題がある」と回答し、32.1%の企業が「ビジネスにも影響が出ている」と捉えていることが明らかになっています。

画像引用元:2018年版ものづくり白書 第1章 我が国ものづくり産業が直面する課題と展望|経済産業省
人手不足が深刻化し、売上や業績に悪影響を及ぼさないためにも、製造業では従業員の離職や求職者の敬遠を防ぐ取り組みが必要となります。
若者離れと高齢化が同時に進行
製造業における就業者数を詳しく見ると、若年就業者(34歳以下)数の減少と、高齢就業者(65歳以上)数の増加が同時に進行していることがわかります。
経済産業省の「2024年版ものづくり白書」では、若年就業者数が2003年から2023年の20年間で102万人減少しており、高齢就業者数が30万人増加していることが明らかになりました。

画像引用元:2024年版ものづくり白書 第2章 就業動向と人材確保・育成|経済産業省

画像引用元:2024年版ものづくり白書 第2章 就業動向と人材確保・育成|経済産業省
直近だと若年就業者数は横ばいの数値を示しているものの、高齢就業者数は減少傾向を示しており、熟練者の退職による技術伝承の不足が懸念されます。
実際、経済産業省が2017年に行った調査によると、製造業における多くの企業では技能人材の確保が大きな課題となっていることがわかります。

画像引用元:2018年版ものづくり白書 第1章 我が国ものづくり産業が直面する課題と展望|経済産業省
上記から、製造業では減少傾向にある若年層の人材確保はもちろん、若手のスキルアップに向けた教育体制の整備にも力を入れる必要があるといえます。
製造業で人手不足が起きる原因
製造業で人手不足が起きる原因は以下の4つが主に考えられます。少子高齢化だけでなく、製造業に対する一般的なイメージや従業員教育の不徹底も人手不足の原因として挙げられます。
少子高齢化による生産年齢人口の減少
人材の流動が一般化
3K(きつい、汚い、危険)による負のイメージ
従業員教育を行う人材の不足
当てはまる原因を一つずつ丁寧に掘り下げ、着手すべき課題を見つけることが効率的に人手不足を解消する上で重要です。
少子高齢化による生産年齢人口の減少
少子高齢化による生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の減少は、製造業を含むすべての産業で人手不足を引き起こしています。
総務省統計局が2023年に実施した「労働力調査」によると、日本の生産年齢人口は2013年から2023年にかけて減少し続けており、トータルで544万人減少していることが明らかになりました。特に現場での活躍が期待される25〜44歳の人口は、10年間で574万人減少しています。
生産年齢人口(万人) | 25〜44歳の人口(万人) | |
|---|---|---|
2013年 | 7939 | 3345 |
2014年 | 7831 | 3291 |
2015年 | 7740 | 3232 |
2016年 | 7672 | 3167 |
2017年 | 7620 | 3100 |
2018年 | 7577 | 3029 |
2019年 | 7543 | 2962 |
2020年 | 7511 | 2956 |
2021年 | 7468 | 2863 |
2022年 | 7413 | 2805 |
2023年 | 7395 | 2771 |
参考:労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要|総務省統計局
内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、生産年齢人口は2030年に7,076万人、2035年に6,722万人まで減少すると予測されています。
ベテラン従業員が再雇用・雇用延長などで残り続ければ一定の労働力を確保できるものの、体力や健康面の制約による生産性の低下や、事故の発生リスクが懸念されることから、現場には若手や中堅など第一線で活躍する人材も必要です。
少子高齢化は国全体が抱える問題であり、企業としてできる取り組みも限られるため、人手不足を解消するには新たな人材確保だけでなく、少ない人数でどのように効率良く業務を回すかを考える姿勢が求められます。
人材の流動が一般化
終身雇用が一般的だった時代は、多くの人が1つの企業に定年退職まで勤めていました。しかし、今は終身雇用の衰退や若年層の意識変化によって転職が当たり前になり、複数の企業を渡り歩く人が増えているため、会社に長く残り続ける従業員の確保が難しくなっています。
実際、総務省統計局が行った「労働力調査」では、2021年から2024年にかけて転職者数が増加傾向にあることがわかります。転職希望者数については、2016年から2023年まで7年連続で増加しており、2024年時点で1,000万人が「現在の仕事を辞めて他の仕事に変わりたい」と考えています。

画像引用元:労働力調査(詳細集計)2024 年(令和6年)平均結果の要約|総務省統計局
このような人材の流動化は、製造業においても見られます。
厚生労働省の「雇用動向調査」では、2021年における製造業の入職者数が約66.5万人であるのに対し、離職者数は約78.6万人でした。2022年についても、約73.9万人の入職者数に対する離職者数が約78.9万人と、入社する人より企業を離れる人が多い傾向です。
入職者数(万人) | 離職者数(万人) | |
|---|---|---|
2021年 | 66.48 | 78.61 |
2022年 | 73.9 | 78.8 |
参考:令和4年 雇用動向調査結果の概要 産業別の入職と離職|厚生労働省
上記から、製造業では人材の入れ替わりによって技術伝承が上手くいかず、生産性や品質の低下を招くリスクがあるといえます。
3K(きつい、汚い、危険)による負のイメージ
製造業は現場での作業に対する3K(きつい、汚い、危険)のイメージが強く、就職先の候補から外されやすいため、結果として人手不足の深刻化につながる場合もあります。
多くの求職者が製造業に負のイメージを抱く要因を、下記の表にまとめました。現場の作業環境だけでなく、残業やシフトなどの労働条件に対してネガティブな印象を抱く求職者もいます。
3Kの要素 | 負のイメージを持たれる要因 |
|---|---|
きつい | ・肉体労働 |
汚い | ・粉塵 |
危険 | ・機械の取り扱いによる事故 |
3K(きつい、汚い、危険)による負のイメージとその原因
ただ、実際は単純作業や危険作業の自動化が進んでいたり、厳しい衛生管理基準のもと清潔な環境で作業できたりする企業が多い傾向です。人手不足解消に向けて新たな人材を確保するためには、製造業に対する負のイメージを払拭する手立ても必要となります。
従業員教育を行う人材の不足
従業員教育を行う人材が足りないことも、製造業で人手不足が進む原因として挙げられます。
厚生労働省が実施した「令和5年度能力開発基本調査」によると、製造業(事業所)の85.3%が能力開発や人手不足に関する課題を抱えていることが明らかになっています。そのうち、65.9%の事業所が指導を行う人材不足を具体的な問題点として回答しています。
たしかに人手不足が深刻化している企業では、従業員教育を行う人材の確保が難しいかもしれません。しかし、それを理由に研修や教育を怠ると、従業員は業務に必要な知識・スキルを身につけられず作業負担やストレスも大きくなるため、結果的に離職者数が増える可能性があります。
人手不足による従業員教育の不徹底、その結果離職者数が増加するという悪循環を防ぐためには、人手が足りない状況でも、従業員のスキルを現場で活躍できるレベルまで向上させる環境整備が必要です。
製造業における人手不足の解決策
製造業の人手不足を解消するためには、採用活動を積極的に行うだけでなく、求職者の応募数減少や従業員の離職につながる根本的な原因にアプローチする必要があります。
製造業における人手不足の解決策は、以下の4つです。業務の見直しや企業のイメージアップなど、会社の内部・外部の両方に働きかけることで、従業員が長く残り続ける職場づくりが可能になり、生産性向上や良質な製品の提供を実現できます。
採用枠の拡大で人材を増やす
効率的な教育体制を構築する
業務のデジタル化を推進する
企業のイメージアップを図る
目に見える効果がすぐに現れなかったとしても、長期的な視点で継続的に取り組むことが人手不足を招く根本的な原因を解消し、従業員の業務負担を減らしながら効率良く生産活動を行うためには大切です。
採用枠の拡大で人材を増やす
少子高齢化が進む中、従来の採用活動で新たな人材を確保するのは難しいと思われます。そこで、今まで積極的に雇用してこなかった人材にも視野を広げる採用枠の拡大を検討しましょう。製造業では、以下の人材が新たな採用枠として注目されています。
シニア世代
女性
外国人
単純に採用枠を広げるだけでは企業の魅力が伝わらず、応募者数の増加も見込めません。積極的に雇用を進めるターゲットを絞り、働きやすい環境を整備することで求職者の興味を引き、自社に適した人材の採用につなげられます。
シニア世代の再雇用
シニア世代は実務経験が豊富なため、現場で高いスキルを発揮するだけでなく若年層への技術伝承も可能です。熟練者ならではのスキルやノウハウを広く伝えることで、従業員全体の作業レベル向上につながり、生産性・品質アップも期待できます。
経済産業省の「2024年版ものづくり白書」では、技術伝承の取り組みを行っている事業所のうち70.5%が、シニア世代の再雇用・雇用延長によって指導者を確保していると明らかになりました。
シニア世代に新人教育や研修を任せれば、他の従業員は担当工程の作業や業務改善に注力でき、生産性向上や安定した品質の製品提供につなげられます。
ただし、再雇用の場合は従業員の給与水準が下がるため、退職前と同じ量や質の業務を任せると満足度低下や離職につながるおそれがあります。あくまで決められた給与や労働時間の範囲内で、業務負担が大きくならない配慮をしながら人手不足を補いましょう。
女性の活躍を推進
男性に比べて就業者の割合が低い、女性の人材確保を視野に入れるのも一つの手です。「2023年における製造業の女性就業者数が男性就業者数の半数以下」という経済産業省の調査結果からも、多くの女性が製造業で活躍できる可能性は十分にあるといえます。

画像引用元:2024年版ものづくり白書 第2章 就業動向と人材確保・育成|経済産業省
また、2016年には「女性活躍推進法」や2017年には「改正育児・介護休業法」の施行など、女性にとって働きやすい職場環境の整備に向けた全国的な取り組みも進んでいます。
ただ、実際には育児や介護など、家庭の事情でやむを得ず退職する女性が一定数いるのも事実です。柔軟な働き方を実現できる職場環境の整備を進めつつ、女性向けの採用活動も積極的に行うことで新たな人材確保につなげ、従業員の負担軽減や生産性向上を実現しましょう。
外国人従業員の採用
外国人向けの雇用制度である育成就労制度(技能実習制度)を活用すれば、外国人従業員の受け入れもでき、生産性向上につながる人材を確保できます。
育成就労制度は国内の人手不足問題に対応するため、技能実習制度に代わって新しく設けられた外国人雇用の制度です。育成就労外国人(技能実習生)を受け入れることで、企業は採用活動を行わなくても安定的に新たな人材を確保し、効率的に良質な製品を生み出し続けられます。
厚生労働省が2023年に実施した「外国人雇用実態調査」によると、製造業では約51万人の外国人を雇用しており、そのうち37.6%の約19万人が技能実習生として採用されていることがわかりました。
製造業全体における外国人労働者数 | 510,601人 |
|---|---|
技能実習生数 | 192,327人 |
※2023年時点において育成就労制度は未施行のため「技能実習生」と表記
参考:令和5年外国人雇用実態調査の概況|厚生労働省
スキル習得や就労に対する意識の高い外国人従業員がいることで、積極的に話しかけたり業務を教えたりする前向きな気持ちが社内全体に生まれやすくなるため、コミュニケーションが活発化して良好な職場づくりにもつなげられます。
ただし、外国人従業員は日本語を完璧に習得しているわけではありません。言語の違いがネックになる可能性もあるため、業務効率化や生産性向上につなげるにはマニュアルやチャットツールの多言語化など、コミュニケーションを円滑にする手立てが必要となります。
効率的な教育体制を構築する
従業員教育を行う人材不足による作業効率の低下や離職率の増加を防ぐには、熟練者の優れたスキルを効率的に広められる体制を構築しましょう。
具体的には、いつでも正しい手順を確認できるよう熟練者の作業する様子を動画マニュアルに残す、誰でもすぐに理解できる作業手順書を用意するなどがあります。
熟練者の動きや手元の様子を動画に残せば、言語化が難しい注意点やコツもひと目で伝わり、他の従業員に聞かなくてもスムーズに作業を進められます。新人からベテランまで、誰でも作業内容がわかる手順書があると、全体の作業レベルが統一され、安定した品質の製品を提供できます。
シニア世代の再雇用・雇用延長でも技術伝承を行う人材は確保できるものの、教え方を工夫しなければ指導に時間を要し、余計な教育コストがかかる可能性もあります。「見て覚える」指導法では正しいスキルを習得できず、現場で活躍できる人材を効率的に育てられません。
効率的な教育体制を構築することでムダな時間やコストが削減され、必要なスキルを確実に伝えられると、業務効率化・標準化が進んで良質な製品の安定的な提供につながり、顧客満足度が向上して売上アップを実現できます。
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業務のデジタル化を推進する
業務のデジタル化を推進して作業効率が上がると、より少ない人数で仕事を回せるため新たな人材確保が不要になります。採用・教育コストをかけずに人手不足を解消したい企業は、デジタルツールの導入を検討しましょう。
デジタル化の具体的な方法には、紙の帳票やマニュアルのペーパーレス化、IoT機器の導入によるデータの見える化、ロボットの導入による製造工程の自動化などが挙げられます。
あまり重要度は高くないものの、従業員の負担を圧迫している業務からデジタル化を進めれば、短期間で作業効率化や生産性向上などの効果が見込めます。その結果、人手不足の状態でも効率的な生産活動が可能になり、従業員の満足度向上による離職防止も実現できます。
デジタル化を推進するにあたり、ツールやシステムの導入・運用コストはかかるものの、ムダなコストの削減や品質の安定化による顧客満足度の向上など、長期的に見ると高い費用対効果が期待できます。
企業のイメージアップを図る
製造業に対する3K(きつい、汚い、危険)のイメージは、求職者の応募数を大幅に減らす要因の一つです。そこで製造業への就職に対する心理的負担を下げるため、企業のイメージアップを図り、清潔かつ安全な印象をアピールしましょう。
業務内容や労働時間などの「きつい」イメージを払拭する場合は、運搬作業を機械で効率化したり、福利厚生・教育体制が整備されたりしている部分をアピールすることで、求職者にプラスのイメージを与えられます。
作業場に関する「汚い」イメージについては、現場の清潔さ、従業員の働く様子を写真や動画に残し、SNSやホームページで公開する方法が効果的です。「危険」なイメージをなくすには、危険な作業をロボットで自動化している映像を見せたり、工場見学を実施して安全な製造工程を見てもらったりする方法が考えられます。
上記の戦略によって製造業は清潔・快適な環境で安全に働けるというイメージに転換されると、多くの人が抱くネガティブな印象が払拭され、若年層や女性の求職者の増加が見込めます。
デジタルツールの導入で人手不足を解消した企業の事例
採用枠の拡大や企業のイメージアップは人手不足の解消に効果的ですが、成果が出るまで時間がかかる可能性もあります。そこで、比較的短期間での成果が見込めるデジタルツールを導入した企業の成功事例を紹介します。以下が主な成果です。
紙帳票のデジタル化で毎月の業務時間を約100時間カット
チャットツールの多言語化で外国人従業員の働きやすい環境を実現
計画的にデジタルツールを導入すれば、少ない人数でも仕事を回せる効率的な生産体制を構築し、従業員の業務負担も大幅に軽減できます。自社の現状と照らし合わせながら、どのようなデジタルツールが効果的なのか検討しましょう。
紙帳票のデジタル化で毎月の業務時間を約100時間カット
水産事業と観光事業を展開している株式会社阿部長商店では、現場にアナログな業務が根強く残っており、水産加工食品の製造部門では、品質管理におけるほぼすべての業務が紙の帳票で行われていました。

画像引用元: 事業拡大に伴い煩雑化し続ける管理業務の課題をカミナシで解決|株式会社カミナシ
人手不足も大きな課題であり、業務効率化に向けたツールを探す過程で出会ったのが、管理業務のデジタル化を実現するカミナシです。
現場には「管理は紙を使うもの」という固定概念があったため、はじめは導入に苦労しました。ただ、毎日の朝礼で工場長がカミナシの利用を促す、操作方法をレクチャーする説明会を複数回実施するなどの取り組みを粘り強く行った結果、カミナシは現場の従業員に定着していきました。
同社では、カミナシの画像機能を活用し、物品に記載されたロットナンバーを撮影・添付することで転記ミスや誤記入などのリスクを大幅に軽減し、工場全体でも約100時間/月の業務時間削減に成功しています。今後は紙の帳票のデジタル化だけでなく、カミナシに搭載されている集計・報告機能の活用で、さらに現場の業務効率化を進める予定です。
チャットツールの多言語化で外国人従業員の働きやすい環境を実現
有名な銘柄肉を豊富に扱う精肉卸を中心に、食肉加工やECサイト事業を展開している吉清グループでは、人手不足を背景に技能実習生や外国人従業員の段階的に採用していたものの、業務内容が正しく伝わらない、労働環境や給与に関するやり取りに時間がかかるなど、言語の壁による意思疎通の難しさを感じていました。

画像引用元:「言語の壁」を解消し、技能実習生・特定技能外国人も働きやすい環境を実現|株式会社カミナシ
少しでも負担を減らすため、メッセージアプリや翻訳ツールも活用しましたが、現場の実態に合わず従業員の負担が大きくなり、コミュニケーションに時間を要することで他の業務にも支障が出ていました。
そこで導入したのは、従業員同士のコミュニケーションを円滑にする「カミナシ 従業員」です。「カミナシ 従業員」では、日本語で送った文章が外国人従業員の画面で自動翻訳されるため、導入前よりもスムーズなコミュニケーションが可能になりました。
また連絡を取る相手によってアプリを切り替えなくても、全従業員と1つのツールでやり取りできることから、管理者の負担も大幅に軽減しています。従業員からも「有給休暇の申請をしやすくなった」という声が上がっており、働きやすい職場環境をつくる上で大きな効果を実感しています。
製造業ならではの人手不足問題を解消し、企業の高い生産性や品質を維持し続けよう
製造業における人手不足の問題を解消するためには、社内の現状から根本的な原因を探り、現場の実態に合った解決策に取り組む必要があります。
積極的に採用活動を行うだけでなく、業務効率化や企業のイメージアップなど、さまざまな角度から改善を図ることが従業員にとって働きやすい職場環境をつくり、求職者の応募数を増やすためには大切です。
目に見える効果がすぐに現れなかったとしても、長期的な視点で継続的に取り組むことで、人手不足を招く根本的な原因を解消し、従業員の業務負担を減らしながら効率良く良質な製品を生み出し続けられます。
本記事をもとに社内で抱える人手不足問題を解消し、高い生産性や品質を維持して顧客満足度の向上につなげましょう。























