MTBF(Mean Time Between Failure:平均故障間隔)とは、設備やシステムの信頼性を評価するうえで重要な指標で、設備やシステムが故障するまでに正常に稼働した時間の平均を指します。
設備が長時間故障せずに稼働するほど数値は高くなりますが、MTBFを評価指標として活用する際にはいくつかの注意点があります。本記事では、MTBFの定義や計算方法、評価する際の注意点、具体的な改善策を詳しく解説します。MTBFを効果的に活用したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次MTBFとは
MTBF(Mean Time Between Failure:平均故障間隔)とは、設備やシステムが故障するまでに正常に稼働した時間の平均を示す指標です。数値が大きいほど、設備の信頼性が高く、長期間にわたって安定して稼働することを意味します。
MTBFを用いることで、設備故障の発生タイミングを予測し、最適なメンテナンス計画を策定できます。これにより、設備の予期せぬ稼働停止を最小限に抑え、円滑な業務運営や生産性の向上につながります。
信頼性の高い設備を維持するためには、MTBFの数値をできるだけ高く保つことが求められます。
MTBFの計算方法(具体例あり)
MTBFの計算方法は、総稼働時間を故障回数で割ることで求められます。
MTBF(時間)=総稼働時間÷故障回数
例えば、ある製造ラインの機械が次のように稼働した場合を考えます。
300時間正常稼働した後に故障
修理後、250時間稼働後に再び故障
再修理後、260時間稼働後に再び故障
これを計算式に当てはめると、MTBFは以下のように計算されます。
MTBF=(300+250+260)÷3=270時間
計算の結果、この機械は平均して270時間ごとに故障する可能性があると考えられます。
MTBFを算出することで、設備の信頼性を定量的に評価し、保守計画や予防保全を立てる際の判断材料として活用することが可能です。
MTBFから読み取れること(故障率や稼働率との関係)
MTBFは故障率や稼働率と密接に関係しています。これらの関係を理解することで、設備やシステムの信頼性に関するインサイトを得ることが可能です。
まず、MTBFと故障率の関係について説明します。故障率とは、単位時間あたりに発生する故障の頻度を示す指標で、MTBFとの関係は以下の式で表されます。
MTBF=1/故障率
MTBFの数値が高いことは、設備やシステムが故障するまでの平均的な稼働時間が長いことを示しています。稼働時間が長いほど故障の発生頻度が少なくなるため、MTBFと故障率は反比例の関係にあると言えます。
つまり、MTBFが高い値を示すほど、設備の故障リスクが低く、長期間にわたって安定した稼働が期待できます。逆に、MTBFが低い場合は、設備が頻繁に故障し、メンテナンス(点検含む)や修理の頻度が増えることが予想されます。
次に、MTBFと稼働率の関係についてです。稼働率とは、設備やシステムが稼働可能な時間の割合を示す指標で、MTBFからMTBFとMTTR(平均修復時間)を総和で割ることで求められます。
稼働率(%)=MTBF÷(MTBF+MTTR)
MTTR(Mean Time To Repair:平均修復時間)とは、故障が発生してから設備が復旧するまでの平均時間を表します。
そのため、MTBFが長く、MTTRが短いほど、設備やシステムの稼働率が高くなり、全体の利用可能時間が増加つまり、MTBFを向上させることは、設備やシステムの稼働率の向上につながります。
設備やシステムを設計する際には、MTBFと故障率、稼働率の関係を理解し、長期的な信頼性と効率的な運用を確保するための対策を講じることが重要です。

MTBFとMTTR、MTTFとの違い
MTBFと類似する用語に、MTTRとMTTF(Mean Time To Failure:平均故障時間)があります。いずれも設備やシステムの運用効率を評価する際に使われる指標ですが、それぞれ意味や評価対象が異なります。以下の表に違いをまとめました。
用語 | 意味 | 評価対象 |
|---|---|---|
MTBF | 平均故障間隔 | 設備やシステムの信頼性 |
MTTR | 平均修復時間 | 故障後の復旧効率 |
MTTF | 平均故障時間 | 修理不能な設備やシステムの寿命 |
MTBFとMTTR、MTTFとの違い
MTBFはシステムの信頼性に関する評価を目的とする一方、MTTRとMTTFは主に故障の発生や修復に関する評価を目的としています。
MTTRは故障後の修理にかかる平均時間を示し、システムの復旧速度を評価する指標です。MTTFは修理不可能な設備が故障するまでの平均時間を示し、設備の寿命を予測する際に使われる指標です。
MTTRについては以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。
▶ 製造業におけるMTTRとは?関連指標との違いや計算方法、具体的な改善策を解説
MTBFを活用して信頼性を評価する際の4つの注意点
MTBFは、設備やシステムが故障するまでの平均時間を示す指標ですが、その数値だけで信頼性を正しく評価することはできません。実際の運用においては、次の4つの注意点を考慮し、誤った結論を導くリスクを避けることが重要です。
使用環境や条件によって数値が変動する
故障時期を正確に予測できるわけではない
故障の深刻度や影響度が考慮されない
MTBFと耐用年数には直接的な相関がない
これらのポイントを理解することで、MTBFをより実効性のある評価指標として活用し、実際の運用に即した適切な判断ができるようになります。

1.使用環境や条件によって数値が変動する
MTBFの数値は、設備や機器が使用される環境や条件によって大きく変動することがあります。
例えば、温度や湿度が高い環境、または振動や衝撃が加わるような過酷な状況では、機器の故障リスクが増加し、MTBFが短くなることが一般的です。そのため、MTBFを評価する際には、設備や機器が実際に使用される環境や運用条件を十分に考慮する必要があります。
さらに、故障の定義もMTBFの計算結果に影響を与える要因となります。
例えば、設備の一部が正常に動作しなくなる場合と完全に停止する場合とでは、故障回数のカウント方法が異なります。故障回数のカウントが異なれば、算出されるMTBFの数値も変動するため、適切な評価を行うためには、事前に故障の定義を明確にしておくことが重要です。
2.故障時期を正確に予測できるわけではない
MTBFは、設備やシステムの信頼性を評価するための指標ですが、特定の故障時期を正確に予測するものではありません。あくまで過去のデータに基づいた平均的な数値であり、すべての製品がその期間内に故障しないという保証はありません。
例えば、ある設備が1,000時間ごとに故障する傾向があっても、次の故障がその時間内に発生するわけではなく、短期間で故障する場合もあります。そのため、MTBFの数値に依存することなく、他の指標と組み合わせて総合的に評価することが大切です。
3.故障の深刻度や影響度が考慮されない
MTBFの数値には、故障の深刻度や影響度が反映されていないため、同じMTBFの数値をもつ設備であっても、実際の信頼性や使用者に与える影響が異なることがあります。
例えば、頻繁に小さな不具合が発生する機器と、まれに重大な故障を引き起こす機器では、業務への影響範囲が大きく異なります。
軽微なトラブルが頻繁に発生することは、業務に支障をきたす原因となり得るため、故障内容や影響度も十分に考慮し、総合的に信頼性を評価することが重要です。
4.MTBFと耐用年数には直接的な相関がない
MTBFが高い設備やシステムは一般的に故障が少ないと考えられていますが、必ずしも設備の耐用年数が長かったり、長期間安定運用が可能だったりするとは限りません。例えば、ある工業用機械のMTBFが非常に高い場合でも、長期間の使用を経て消耗部品が劣化し、予期せぬ故障が発生する可能性は大いにあります。
故障の発生段階は、主に初期不良が発生する初期故障期間、比較的安定して稼働する偶発故障期間、そして製品の消耗によって故障率が高まる摩耗故障期間の3つに分類されます。MTBFはこれらのうち、偶発故障期間の故障率を反映した指標であり、全体の耐用年数を示すものではありません。
そのため、MTBFが高いからといって、その設備が長期間安定して使用できる保証にはならない点に注意が必要です。
設備の劣化状況を正しく把握し、MTBF改善につなげる
MTBFは偶発故障期間の信頼性を測る指標であり、実際の耐用年数や摩耗故障のリスクを把握するには、日々の停止時間・点検記録・部品の劣化状況を正確に記録しておくことが欠かせません。情報が紙やExcelに散在していると、摩耗傾向の見落としや故障原因の特定が難しくなり、MTBFの数値だけでは判断できないトラブルの再発防止に取り組みにくくなります。
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MTBF改善に効果的な4つの対策
設備の故障によるダウンタイムを減少させ、稼働率を最大化するためには、効果的な対策を講じる必要があります。以下に、MTBF改善に向けた4つの具体的な対策を紹介します。
故障リスクを減らすための設計変更を行う
予防保全を徹底する
設備の操作やメンテナンスに関する教育を強化する
設備保全システムを導入し、機械の状態を一元管理する
これらの対策を実践することで、予期せぬトラブルを防ぎ、設備の長期的な安定性を確保することが可能です。対策を進めることで、生産ラインの稼働率を向上させ、コスト削減も達成できます。
1.故障リスクを減らすための設計変更を行う
設備やシステムの設計段階で潜在的な故障原因を洗い出し、それに対する対策を講じることが、後々の故障を未然に防ぐための重要な役割を果たします。したがって、MTBFを向上させるためには、設計時に故障リスクを最小限に抑える施策を実施することが重要です。
例えば、部品選定において温度や湿度などの外的要因に耐性のある素材を使用することで、環境変化による故障リスクを軽減できます。また、重要な部品に冗長性をもたせる設計を採用することで、一部品の故障がシステム全体に影響を与えることを防げます。
このような設計変更を取り入れることで、故障リスクを低減し、MTBFを効果的に改善することが可能です。
2.予防保全を徹底する
設備を正常に稼働し続けるためには、予防保全の実施が効果的です。予防保全とは、故障が発生する前にメンテナンスを実施し、部品の摩耗や劣化を早期に発見して対処する活動のことです。例えば、重要な部品の摩耗や損傷が進行する前に、定期的に部品を交換したり、潤滑油を適切に補充したりすることで、故障リスクの低減とMTBFの向上が期待できます。
また、設備の運転状況を定期的に確認することで、潜在的な問題を早期に発見できます。
近年は、設備に取り付けたモニタリングシステムを活用し、異常を事前に検知する技術の導入が進んでいます。この技術を活用することで、故障が本格化する前の対応が可能となり、設備のダウンタイム削減を実現できます。
予防保全の定義や種類、具体的な対策について詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひ参考にしてください。
▶ 予防保全とは?予知/事後保全との違いやデメリット、具体的な対策を紹介
3.設備の操作やメンテナンスに関する教育を強化する
MTBFを改善するためには、現場で働くスタッフへの適切な教育を通じて、問題を早期に発見し、トラブル発生前に迅速に対処できる体制を構築することが重要です。
例えば、メンテナンスを複数の社員が担当できるように教育することで、作業の属人化を防ぎ、設備の稼働率を安定的に維持できます。また、設備の操作に関するトレーニングを実施することで、誤操作や過度な負荷が原因となる故障のリスクを低減することが可能です。
このように、スタッフ全員が設備の状態を正しく把握し、適切に対応できる環境を整えることは、故障の頻度を減らし、設備の信頼性を高めることにつながります。
4.設備保全システムを導入し、機械の状態を一元管理する
設備保全システムは、設備の稼働データや不具合情報を一元管理できるため、現場で発生する小さな異常を見逃さずに対処できるようになります。
例えば、機械の異音が発生した際、現場スタッフがシステムに情報を記録することで、保全担当者はすぐに記録をチェックすることが可能です。このリアルタイムな情報共有により、異常が深刻化する前に素早く対応できます。
また、過去の点検データや修理履歴を活用することで、同様のトラブルが発生しないように予防策を講じることが可能です。頻繁に故障する部品がある場合、その交換時期を見直すことで、故障による設備の機能停止を未然に防止できます。
このように、設備の状態をリアルタイムで監視・分析することで、計画的なメンテナンスが可能となり、MTBFを効果的に改善できます。
設備保全の考え方や目的について理解を深めたい方は、以下の記事をあわせてご確認ください。
▶ 設備保全とは?メンテナンスとの違いや目的、考え方・種類を徹底解説
MTBFの理解を深め、効果的な改善策を実践しよう
MTBFは、設備が故障するまでの平均稼働時間を示す指標で、数値が大きいほどその設備の信頼性が高いことを意味します。
MTBFの向上につながる改善策の一つとして、設備保全システムの活用が挙げられます。設備保全システムを導入することで、点検内容のデジタル入力や写真付き報告、不具合のリアルタイム共有ができるため、現場での点検や不具合報告を効率化し、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
カミナシ 設備保全は、現場での迅速な点検記録や問題報告をサポートし、工場内の設備情報を一元管理できる設備保全システムです。QRコードを読み込むだけで点検記録のフォーマットが立ち上がるので簡単に記録ができます。

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