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公開日 2025.03 .27

更新日 2025.12.18

製造業におけるMTTRとは?関連指標との違いや計算方法、具体的な改善策を解説 

製造業におけるMTTRとは?関連指標との違いや計算方法、具体的な改善策を解説

MTTR(Mean Time To Repair:平均修復時間)とは、設備やシステムが故障してから修理が完了し、再稼働するまでにかかる平均時間を測る指標です。一般的に、MTTRが長いと、業務効率に大きな影響を与え、コストや生産性にも悪影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、MTTRの定義や計算方法、具体的な改善策をわかりやすく解説します。設備やシステムの稼働率向上に直結するヒントを得たい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

MTTRとは

MTTR(Mean Time To Repair:平均修復時間)とは、設備やシステムが故障してから完全に復旧するまでの平均時間を示す指標です。

この時間には、故障の発見や修理、テストなど、設備が再稼働するまでにかかる全ての時間が含まれます。そしてMTTRの値が小さいほど復旧が迅速で、システムの可用性が高いことを意味します。

例えば、製造ラインで機械が故障した場合、MTTRを短縮することで、生産停止時間を最小限に抑えることが可能です。一方、MTTRが長くなると、修復にかかる時間が長くなり、納期遅延やコスト増加のリスクが高まります。

そのため、MTTRを適切に管理、改善することは、業務の効率化と安定した生産体制の確保のために非常に重要です。

MTTRを算出する目的

MTTRは、設備の可用性やトラブル発生時の対応力を把握するための効果的な指標です。

MTTRが短い場合、障害発生後の復旧が迅速で、設備の可用性が高いことを意味します。また、トラブル発生時の対応力が高く、設備やシステムを素早く回復できることを示します。

例えば、製造業の工場において、機械が故障した場合でも迅速に復旧可能であれば、生産ラインの停止時間を最小限に抑え、高い製造効率を維持することが可能です。

さらに、MTTRの結果を分析すれば、復旧プロセスにおけるボトルネック部分を特定できます。モーターやセンサーといった特定の部品の交換に時間を要しているならば、その問題点を洗い出して改善策を講じることによって、全体の対応時間を短縮し、ダウンタイムによる生産ロスを削減できます。

MTTRの分析と改善を通じて、設備やシステムの可用性を向上させ、業務の安定性を高めることが可能です。

MTTRの計算方法(具体例あり)

MTTRは、修理にかかった合計時間を故障の発生回数で割ることで求められます。計算式は以下の通りです。

MTTR(時間)=総修理時間÷総故障回数

例えば、ある製造ラインで発生した故障の修理に以下の時間を要したとします。(ここでの「故障」とは、設備やシステムの再稼働に修理を必要とした事象のこと)

  • 1回目の故障:修理5時間

  • 2回目の故障:修理4時間

  • 3回目の故障:修理3時間

この場合、総修理時間は5時間+4時間+3時間=12時間です。故障回数は3回であるため、MTTRは以下のように計算されます。

MTTR=12時間÷3回=4時間

計算結果から、1回の故障修理にかかる平均時間は4時間であることがわかります。

このように、MTTRを算出することで修理にかかる時間の傾向を把握し、メンテナンス(点検含む)の改善やダウンタイムの削減に向けた対策を講じられます。

MTTRとMTBF、稼働率の関係

MTTRとMTBFは、設備の信頼性や可用性を評価するための指標であり、稼働率の算出にも使用される重要な要素です。

MTBF(Mean Time Between Failure:平均故障間隔)とは、設備やシステムが故障するまでに正常に稼働した時間の平均を示す指標です。稼働率は、設備やシステムが稼働している時間の割合を示す指標で、以下の計算式で求められます。

稼働率(%)=MTBF÷(MTBF+MTTR)

例えば、製造ラインの機械のMTBFが300時間、MTTRが12時間の場合、以下のように稼働率を算出します。

稼働率=300時間÷(300時間+12時間)≒0.9615

この場合の稼働率は約96.15%です。

計算した結果、修理に要する時間が長く、MTTRが大きくなると稼働率が低下することがわかります。また、故障が頻繁に発生し、MTBFが短い場合も稼働率低下につながります。

そのため、システムの稼働率を最大化するためには、MTTRとMTBFのどちらも適切に管理し、継続的に改善することが重要です。

MTBFについては以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。
▶ MTBFとは?計算方法や評価する際の注意点、具体的な改善策を解説

MTTRとMTBF、MTTF、MTTAとの違い

MTTRと関連する指標に、MTBFやMTTF(Mean Time To Failure:平均故障時間)、MTTA(Mean Time to Acknowledge:平均確認時間)があります。いずれも設備の信頼性や運用効率を評価するために用いられる指標ですが、それぞれ意味や評価対象が異なります。

各指標の違いを以下の表にまとめました。

用語

意味

評価対象

MTBF

平均故障間隔
(故障と故障の間の平均稼働時間)

設備やシステムの信頼性

MTTR

平均修復時間
(故障後の修復にかかる平均時間)

故障後の復旧効率

MTTF

平均故障時間
(修理不能な設備が故障するまでの平均時間)

修理不能な設備やシステムの寿命

MTTA

平均確認時間
(故障発生から確認までの平均時間)

初期対応の迅速さ

MTTRとMTBF、MTTF、MTTAとの違い

MTTRは、故障後に修復が完了するまでの平均時間を表し、設備やシステムの復旧効率を評価します。

MTTFは、修理不可能な設備(使い捨ての部品寿命が尽きると交換を前提とする機器など)が故障するまでの平均時間を示すものであり、消耗品などの交換を前提とする機器や部品に適用されます。

MTTAは、故障発生後にトラブル発生を認識してから実際に対応を開始するまで(例えば、現場への担当者の派遣、原因調査の開始、一次対応の着手など)の平均時間を測る指標です。特に初期対応の速さが求められる環境においては重視されます。

【基本】MTTR改善に効果的な5つの対策

設備のダウンタイムを最小限に抑えるためには、MTTRの改善が欠かせません。そこで、MTTRを改善するためには、以下の基本的な対策から着手することをおすすめします。

  • 現状分析で改善点を明確にする

  • 修理プロセスを標準化し、作業効率を高める

  • 予備品管理を徹底し、ダウンタイムを削減する

  • 現場スタッフの教育を強化し、対応力を向上させる

  • 予防保全を実施し、故障リスクを軽減する

これらの対策を実践することで、現場作業の効率化とスムーズな修復対応を実現し、業務全体の生産性向上につながります。

1.現状分析で改善点を明確にする

設備やシステムの故障発生時に、収集するデータが不十分だと対応に遅れが生じ、MTTRの悪化につながります。そのため、まず現状の故障対応プロセスを詳細に分析し、問題点を洗い出すことが重要です。

具体的には、設備の稼働状況やエラーログ、作業者のメモなどの情報を一元管理し、トラブルが発生しやすい時間帯や条件を特定します。データの連携や情報共有を強化することで、故障の兆候を早期に発見し、予防的な対策を講じることが可能です。

また、故障対応のフローを見直し、特に時間がかかっている工程を特定することも効果的です。例えば、故障の原因究明に多くの時間がかかっている場合、そのプロセスを効率化し、対応時間を短縮する方法を検討します。

このように現状を正確に把握して改善点を明確にすることで、効果的に改善点にアプローチし、MTTRの短縮を実現できます。

2.修理プロセスを標準化し、作業効率を高める

修理手順をマニュアル化することで、作業の無駄を削減し、復旧作業の時間を短縮できます。このように、修理プロセスを標準化することは、MTTRの短縮に有効な対策の一つです。

具体的には、故障対応時に必要な準備作業や確認項目をリスト化し、担当者が次に行うべき作業を迷うことなく実行できるようにします。

また、修理作業を補助するツールの活用も効果的です。例えば、複雑な修理作業において、視覚的に手順を確認できる動画マニュアルを活用すれば、作業者は文字だけでは伝わりにくい部分をスムーズに理解できます。

このような標準化とツールの活用により、現場の作業効率が向上し、結果としてMTTRの短縮が期待できます。

3.予備品管理を徹底し、ダウンタイムを削減する

予備品管理とは、設備や機械の故障時に迅速な対応ができるように、必要な部品を適切に管理することです。

部品の在庫状況を定期的に確認し、必要な部品を確保しておくことで、故障が発生した際の対応を迅速化でき、ダウンタイムを削減できます。。例えば、製造ラインで特定の部品が故障した場合、即座に交換部品が手に入る体制を整えておけば、生産ラインの停止時間を最小限に抑え、納期遅れを防ぐことが可能です。

一方、予備品管理が不十分だと、部品の調達に時間がかかり、生産ラインが長時間停止する恐れがあります。こうした事態を防ぐためには、予測に基づいて必要部品を常に在庫として保持し、管理体制を強化することが重要です。

予備品を適切に管理することで、設備故障から復旧までの時間を短縮し、結果として生産ロスの削減や顧客満足度の向上が期待できます。

予備品管理を実施するポイントについては、以下の記事をご覧ください。
予備品管理とは?目的やポイント、在庫品との違いを解説

4.現場スタッフの教育を強化し、対応力を向上させる

現場スタッフの経験や知識に差があると、対応スピードや質にばらつきが生じ、復旧時間が大きく変動します。そのため、MTTRを短縮するためには、スタッフが故障発生時に迅速かつ的確に対応できるように、実践的なトレーニングを積むことが重要です。

効果的な手法のひとつとして、動画マニュアルの活用が挙げられます。

作業手順を視覚的に伝え、複雑な手順や注意点を誰でも理解できる形で説明することで、経験が浅いスタッフでも迅速に問題を解決できるようになります。また、チーム全体で動画マニュアルを用いたトレーニングを定期的に行うことで、作業手順の共有とスキル向上が図れ、より効率的な故障対応を実現可能です。

こうした取り組みによって、スタッフ一人ひとりの対応速度が向上し、その結果として復旧時間の短縮につながります。

動画マニュアルを作成するコツやおすすめのツールについては、以下の記事を参考にしてください。
動画マニュアルの作り方。撮影・編集時のコツと代表的なツールまとめ

5.予防保全を実施し、故障リスクを軽減する

MTTRを短縮するためには、故障の発生自体を抑える予防保全も効果的です。予防保全とは、設備やシステムが故障する前に、定期的にメンテナンスを実施する保全方法です。

予防保全を行うことで、故障が発生する前に部品の交換や修理を行い、突発的な故障を未然に防止できます。例えば、製造業の場合、重大なトラブルを回避するために、機械部品の摩耗状態を定期的にチェックし、故障の兆候が見られた時点で部品を交換するなどの予防策を実施します。

こうした予防的な取り組みを強化することで、設備やシステムの状態を常に把握できます。そのため、万が一故障が発生しても、その原因や部品の状態を素早く特定することが可能です。その結果、修理が必要な時に迅速に対応できる体制が整い、MTTRの改善につながります。

予防保全の概要や具体的な対策について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご確認ください。
予防保全とは?予知/事後保全との違いやデメリット、具体的な対策を紹介

記録のしやすさで、対応の早さと品質を引き上げる

報告の遅れや転記作業の手間が積み重なると、対応のスピードや情報の精度に影響が出やすくなります。

カミナシ設備保全では、現場からスマホで素早く記録し、そのままチーム全体に共有できます。紙やExcelに頼らず、“記録した瞬間から動ける”状態をつくりたい方におすすめです。

▼こんな方におすすめ

  • 報告の抜け漏れや記入ミスを減らしたい

  • QRコードで設備ごとの記録をすぐ呼び出したい

  • 現場と管理部門のやり取りをスムーズにしたい

【応用】高度な技術を活用したMTTR改善方法

基本的な対策を実施した後、さらなる効果を追求するためには、高度な技術を導入することが効果的です。以下に紹介する最新技術を活用することで、故障対応をさらに迅速かつ効率的に実行できるようになります。

  • IoTとセンサー技術を活用してリアルタイムにデータを収集する

  • AIによるデータ解析で故障パターンを予測する

しかしながら、いきなりIoT(モノのインターネット)やセンサー技術、AI(人工知能)を導入することは、多くの企業にとって現実的ではないかもしれません。

高度な技術の導入には、まず業務のデジタル化が不可欠です。作業記録の効率化や精度向上を図ることで、IoTやAIといった高度な技術の効果を最大限に引き出すことができます。以下に、段階的な導入に向けた具体的な活用方法を紹介します。

1.IoTとセンサー技術を活用してリアルタイムにデータを収集する

IoTとセンサー技術は、設備の状態をリアルタイムで監視し、故障の兆候を早期に発見するための非常に強力なツールです。

定期的なメンテナンスを主とする従来の保守方法では、異常が発生してから対応するケースが多く、その分ダウンタイムや修理にかかる時間が長くなる傾向があります。一方、これらの技術を活用すれば、温度や振動、圧力などのデータを24時間体制で収集し、設備の異常をリアルタイムで検知することが可能です。

例えば、異常を示す温度や振動をセンサーが検出した際、そのデータをもとに計画的な部品交換を行うことで、突発的な故障を防ぐことが可能です。

2.AIによるデータ解析で故障パターンを予測する

AIを活用したデータ解析は、故障の兆候を予測するための非常に効果的な手段です。IoTセンサーが収集した膨大なデータをAIが解析し、過去の故障履歴や異常パターンを学習することで、将来起こりうる問題を高精度で予測できます。

例えば、振動の変化や温度の急激な上昇が故障を引き起こす兆候であると判明した場合、AIはそのパターンを学習し、リアルタイムでアラートを発信します。この予測機能により、必要な部品を事前に準備し、修理作業を計画的に実施することが可能です。

ただし、AIによるデータ解析を実施する前に、まずは記録をデジタル化し、データの収集基盤を整備する必要があります。そのうえでAIを段階的に導入することで、保全作業の効率化と迅速化を実現し、事後対応型の保全から予兆に基づいて対応する予知保全への移行が可能となります。

IoTやAIを活用した予知保全の導入ステップについては、以下の記事を参考にしてください。
予知保全(予兆保全)とは?予防方法との違いやAIやIoTを活用した導入ステップを紹介

MTTRを改善し、設備の信頼性と可用性を高めよう

MTTRの改善は、設備の稼働率向上に直結します。現状分析や修理プロセスの標準化、予備品管理、スタッフ教育、予防保全といった基本的な対策から始まり、段階的にIoTやAI技術を活用することで、より効率的な故障対応が可能になります。

カミナシ 設備保全は、現場での点検やトラブル報告を即座に記録し、工場内の設備情報を一元管理できる設備保全システムです。デジタル化の第一歩としてカミナシ 設備保全を活用すれば、設備ごとの履歴を蓄積し、故障予測やデータ分析を効率的に実施できるようになります。

MTTRを改善し、設備保全を強化したい方は、以下の資料でカミナシ 設備保全の詳細をご確認ください。

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執筆者:現場と人 編集部

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