タートル図はISO9001やIATF16949でプロセスアプローチを実践するために用いることが推奨されている考え方/ツールです。
本記事では、タートル図の概要や、作成する目的、タートル図に記入する6つの要素、業界ごとの事例、作成手順、作成時に注意すべきポイント、活用方法について解説します。
目次- タートル図とは
- タートル図はプロセスアプローチで用いられる可視化手法
- タートル図を作成する目的
- 生産プロセスを可視化することで社内理解を促進させる
- プロセスにおける課題を抽出しやすくなる
- ISO9001・IATF16949などの監査に対応しやすい
- タートル図に記入する6つの要素
- インプット
- アウトプット
- 人的資源
- 物的資源
- 方法
- 測定
- 【業界別】タートル図の具体例
- 機械製造(自動車産業)でのタートル図の例
- 食品製造業でのタートル図の例
- タートル図の作成手順
- 1.プロセスの範囲を決める
- 2.現場にヒアリングし、6つの要素を洗い出す
- 3.図を作成し、項目ごとの相互関係を明確にする
- 4.全社に共有する
- 5.定期的に更新する
- タートル図を作成するときに注意すべきポイント
- 現場の担当者を交えて作成する
- 視覚的に分かりやすいテンプレートを利用する
- 前後のプロセス(工程)を考慮して作成する
- 組織全体の評価基準・評価指標を明確にする
- タートル図の活用方法
- 業務の改善に役立てる
- 新人教育や多能工育成でのマニュアルに活用する
- チーム間の役割分担を明確にする
- タートル図はISO9001・IATF16949の審査だけでなく、DX推進にも活用しよう
タートル図とは
タートル図とは、ISO9001やIATF16949で推奨されるプロセスアプローチを実践するための図解で、製造業を中心に活用されています。各業務プロセスを、インプットからプロセス、アウトプットの流れと、それを支える4つの要素(人的資源、物的資源、方法、測定)で構成し、上から見た亀の甲羅のような形で記載されることからタートル図と呼ばれています。

タートル図のフォーマット
製造業では、複雑な業務プロセスを可視化し、抜け漏れなく管理や評価をする必要があるため、タートル図が多く用いられています。工程ごとにタートル図を作成することで、品質管理や内部監査の際に、原因や要因の関係性がわかりやすくなります。
タートル図の特長は、視覚的に分かりやすく、網羅性が高いことです。フローチャートのようにインプットやアウトプットの関係を押さえつつ、必要なリソースや評価指標まで一つの図で表現できるため、業務の全体像を一目で把握できます。
タートル図は品質管理や内部監査だけでなく、プロセスの最適化や標準化、継続的な改善活動にも活用できることから、食品業界や医薬品業界など、厳しいプロセス管理が求められる分野でも有効です。
タートル図はプロセスアプローチで用いられる可視化手法
タートル図は、ISO9001やIATF16949で重視されるプロセスアプローチを実践するための代表的なツールです。プロセスアプローチとは、組織内の業務プロセスを一連の相互に関連した活動として捉え、インプットからアウトプットへの流れとその関連性を体系的に管理し、最適化する手法のことを指します。
例えば、製品の組立工程では、部品(インプット)を受け取り、作業を行い、完成品(アウトプット)として次の工程に引き渡すのが一つのプロセスです。そしてそのプロセスには、作業手順、人員、設備、測定方法といった要素が関わっています。一つひとつのプロセスが全体を通してつながり合い、最終的に顧客満足につながる製品やサービスを作り上げています。
タートル図は、こうしたプロセスの構成要素と流れを、一目でわかる図に整理できるのが特長です。図の真ん中にインプット、プロセス、アウトプットの流れを配置し、その上部と下部に人的資源、物的資源、方法、測定の要素を並べることで、各プロセスがどのように構成されているか、どこに課題があるのかを視覚的に把握できるようになります。
プロセスアプローチでは、どのプロセスに何の問題があるのか、改善すべきポイントはどこかといった判断が重要になりますが、タートル図を用いることで情報を整理しやすくなり、部門間の共通理解や改善活動の精度も高まります。
ISO9001の審査や内部監査でも、タートル図はプロセスが適切に管理されているかどうかを示す証拠として活用されるため、プロセスアプローチを実践する際に欠かせないツールと言えるでしょう。
タートル図を作成する目的
タートル図は、監査のためだけでなく、プロセスを多角的に整理し、課題の可視化や業務改善に活かすために役立つ実践的なツールです。
作成する目的を正しく理解することで、形式だけにとらわれず、自社の実情に即した図を描けます。ここでは、タートル図を作成する主な目的について解説します。
生産プロセスを可視化することで社内理解を促進させる
タートル図を作成する目的の一つとして、生産プロセスを視覚的にわかりやすく整理し、社内の関係者間で共通理解を築くことがあります。
例えば、製品の組立工程がどのように実行されているかを図に落とし込むことで、誰が関わり、どの設備を使い、何をもって成果とするのかが誰でも一目で把握できます。
現場スタッフからマネジメント層まで、職種や役割が異なるメンバーが同じ視点でプロセスを確認できるため、情報共有がスムーズになり、意思決定のスピードも向上します。また、業務の流れを客観的に見直すきっかけにもなるため、無駄や重複、リスクの発見にもつながります。
業務が属人化しがちな現場ほど、タートル図によってプロセスを見える化すると有効です。ルールや手順を明確に定義し、誰が見ても同じように理解できる状態にすることで、新人社員への教育はもちろん引き継ぎ時の効率も格段に高まります。
プロセスにおける課題を抽出しやすくなる
タートル図を作成することで、業務プロセスに潜む課題を明確にし、改善につなげることが可能です。タートル図では、誰が(人的資源)、何を使って(物的資源)、どのように(方法)、どこで評価するか(測定)といった構成要素を明記するため、責任の所在やプロセスの抜け漏れが一目で分かります。
例えば、ある工程で不良品が頻発している場合、タートル図を確認することで、使用設備に異常がないか、作業手順にムリやムダはないか、担当者のスキルは十分かどうかなど、原因を切り分けやすくなります。逆にプロセスが整理されていないと、問題の原因を特定しにくくなり、対応が後手に回るリスクがあります。
また、タートル図を用いることで、各プロセスでのモニタリング項目が明確になるため、不具合や異常が発生しても早期に察知しやすく、迅速に対応できます。これにより、影響範囲を最小限に抑えられ、品質や納期へのリスクを軽減できます。
ISO9001・IATF16949などの監査に対応しやすい
タートル図は、ISO9001やIATF16949といった品質マネジメントシステムの監査対応において、有効なツールです。なぜなら、プロセスごとのインプットやアウトプットに加え、実施手順や責任者、使用設備、評価方法までを一枚に整理でき、監査員に対してプロセスが適切に管理されていることを明確に示せるからです。
特にIATF16949では、工程ごとの責任の所在や使用するリソース、評価基準を明文化することが求められます。タートル図はこれらの要件を一括で満たせる構成となっており、監査時の説明資料として有用です。
監査の現場では、プロセスの背景や理由、チェックタイミングなどを問われることがよくあります。その際にも、タートル図があれば図を見せながら根拠をもって説明しやすいことから、監査対応のストレスや手戻りの軽減が期待できます。
タートル図に記入する6つの要素
タートル図は、以下の6つの要素で構成されます。それぞれの要素の意味と記入する際のポイントを具体例とともに解説します。
インプット
アウトプット
人的資源
物的資源
方法
測定
インプット
タートル図におけるインプットは、対象となるプロセスを開始するために必要な材料や情報、指示などの入力要素を指します。多くの場合、前のプロセスから受け取ったアウトプットとなることから、プロセス間のつながりを理解するうえで重要な要素です。
例えば、製造業の組立工程の場合には、原材料や部品がインプットに相当します。また、物理的なものだけでなく、製造指示書や顧客からの仕様要求、生産スケジュールといった情報もインプットに該当します。
タートル図でインプットを明確にすることで、どの要素がプロセスの品質や効率に影響しているのかを把握しやすくなり、不具合発生時の原因特定や改善にも役立ちます。
アウトプット
アウトプットとは、プロセスの結果として生み出される成果物や情報のことです。次のプロセスに引き継がれるインプットにもなるため、所定の要求事項や品質基準を満たしている必要があります。
例えば、組立工程では完成した部品や検査結果を記録した帳票がアウトプットとなります。インプットと同様、無形のものも対象になり、作業報告書やシステムへの入力データ、製造実績情報などもアウトプットです。食品業界であれば、包装済み製品や賞味期限ラベル付きの製品などが該当します。
アウトプットを明確に定義することで、次工程への引き渡しがスムーズになり、工程間の連携ミスや品質トラブルの予防にもつながります。
人的資源
人的資源とは、対象となるプロセスを遂行するうえで必要な人材やそのスキル、資格、役割を指します。高度な設備が整っていても、それを活用する人の力量が伴わなければ、安定した品質を保ったり効率的に運用したりすることはできません。
タートル図では、そのプロセスに関与する全ての担当者を明示し、誰が、どの作業を、どのような立場で担っているのかを整理します。
例えば、製造工程であればオペレーターや検査員、ラインリーダーなどが該当し、それぞれに必要な資格や受講済の教育や訓練の履歴もあわせて記載します。自動化された工程であっても、監視やメンテナンス、品質確認を行う担当者が存在するため、人的資源の項目は省略すべきではありません。
また、業務に関わる人数や責任者の氏名や役職まで記載すると、責任範囲を明確にできるため、監査対応や引き継ぎ時にも役立ちます。
物的資源
物的資源とは、プロセスを実行するときに必要な設備や機器、工具、ソフトウェア、インフラなど、モノとしてのリソース全般を指します。これらは作業の品質や効率に直結する重要な要素であり、正確に記載することでプロセスの標準化につながります。
製造工程であれば、自動組立機やトルクレンチ、検査装置などが含まれ、品質確認に使う測定器やスキャナも対象になります。食品業界であれば、温度管理装置や包装機などが該当します。さらに、使用するソフトウェアや電力・水道といったインフラ設備、点検記録や有効期限といった管理情報も、物的資源に含まれます。
物的資源を明示しておくことで、どの装置を使うのかという観点でのバラつきを防ぎ、プロセスの安定性と品質の一貫性を保つことが可能です。
方法
方法は、対象プロセスを正確かつ一貫して実行するための手順や基準、作業条件を指します。人的資源や物的資源が揃っていても、方法が曖昧では品質や生産性が安定せず、業務が属人化したりミスの原因につながったりするリスクがあります。
具体的には作業手順書や作業標準書、検査基準書、作業条件表などが方法に該当します。組立作業においては、締付トルクの数値や使用する順番、作業環境の温度条件などを明示した文書が必要です。食品業界では、加熱温度と時間の基準や衛生手順のような詳細な管理手順が含まれます。
これらの文書はプロセスごとに個別に存在する場合もあれば、共通の業務マニュアルや品質管理規定の一部としてまとめられている場合もあります。いずれにしても、関係者が正しく参照できるよう整理し、最新の状態に維持しておくことが重要です。
方法を明文化することで、業務の標準化ができるだけでなく再現性が高まり、品質の安定や教育の効率化にもつながります。
測定
測定は、プロセスが適切に実行されているか、また成果(アウトプット)が期待される基準を満たしているかを評価するための指標や確認手段を指します。品質の維持や継続的な改善において欠かせない要素です。
具体的には、生産目標に対する実績数や不良率、設備の稼働率、作業時間、合格基準との適合状況などが測定項目として挙げられます。食品業界であれば、温度や時間の記録などが該当します。
単にアウトプットの良し悪しだけでなく、定められた手順どおりに作業が行われているかといったプロセスそのものの実施状況も評価対象に含まれます。
測定指標を明確に設定することで、曖昧な判断を排除し、全員が同じ基準で成果を確認できる状態をつくることが可能です。タートル図における測定は、プロセス管理の信頼性を支える重要な項目と言えます。
【業界別】タートル図の具体例
タートル図を作成する前に、業界ごとの具体例を知っておくと、自社業務の落とし込み方や記載内容のイメージが湧きやすくなり有用です。例として、機械製造(自動車産業)と食品製造業のタートル図を紹介します。
機械製造(自動車産業)でのタートル図の例
自動車産業などの機械製造業では、多くの工程が複雑に連携しているため、タートル図を活用することで各プロセスを整理しやすくなります。ここではエンジン部品の組立工程を例に、タートル図の構成要素を紹介します。

機械製造業(自動車産業)・組み立て作業プロセスのタートル図の例
上記の図のように、プロセスに必要な要素を体系的に整理すると、品質の維持・向上だけでなく、監査対応や教育にも活用しやすくなります。特に自動車業界のようにIATF16949の審査を受ける場合は、プロセスごとのタートル図を整備しておくことが実務上も大きな武器になります。
食品製造業でのタートル図の例
食品製造業では、原料の受け入れから加工、包装、出荷に至るまで、多くの工程で衛生管理や品質管理が求められます。タートル図を活用することで、各プロセスに必要な人的資源、物的資源、評価、方法などを明確にし、安全で安定した製造体制の確立に役立てることが可能です。
以下は、惣菜の加熱調理工程のタートル図の例です。

食品製造業・加熱調理プロセスのタートル図の例
食品製造業では、安全性や衛生、品質が密接に関わるため、タートル図での要素の整理が有効です。さらにHACCPと併せて活用することで、監査対応や現場教育にも強いプロセス設計が可能になります。
タートル図の作成手順
タートル図を作成する際に、先に手順を理解しておくと、誰が見てもわかりやすく、現場で活用しやすいタートル図を作成しやすくなります。以下の基本的な作成手順を、ステップごとに解説します。
プロセスの範囲を決める
現場にヒアリングし、6つの要素を洗い出す
図を作成し、項目ごとの相互関係を明確にする
全社に共有する
定期的に更新する
1.プロセスの範囲を決める
まず、どのプロセスを対象にするのかを定めます。プロセスの範囲は、図全体の構成や記載内容に影響するため、重要な工程です。プロセスの範囲があいまいだと、記入すべき要素が膨らみすぎてしまったり、逆に重要なポイントを見落としてしまったりする可能性があります。
プロセスの範囲が広すぎると記載項目が多くなりすぎて図が複雑になり、狭すぎるとプロセスの流れ全体が見えづらくなるので注意が必要です。対象とするプロセスの範囲は、1枚のタートル図で説明しやすいかで判断するのがおすすめです。
2.現場にヒアリングし、6つの要素を洗い出す
タートル図の中心となる6つの要素(インプット、アウトプット、人的資源、物的資源、方法、測定)を正確に整理するためには、現場へのヒアリングが欠かせません。
なぜなら実際に運用しているプロセスを正しく反映させる必要があるからです。実際の業務内容や判断基準を現場から吸い上げることで、図と実務のズレを防ぎ、より実用的なタートル図が完成します。
まずは該当プロセスの現場担当者やリーダーにインタビューを行い、作業手順書やQC工程表、教育記録、設備台帳などの関連資料も併せて確認します。その際、ヒアリング用のチェックリストや記入フォーマットを事前に用意しておくと、聞き漏れを防ぎ、後の整理がスムーズになるのでおすすめです。
また、1人の担当者に頼るのではなく、複数の関係者とすり合わせることで、より網羅性の高い情報収集が可能になります。
3.図を作成し、項目ごとの相互関係を明確にする
6つの要素について現場から情報収集したら、以下の順にタートル図にまとめていきます。まずは、図の中央に対象プロセス(例:組立、検査など)を配置します。

次に、左側にインプット、右側にアウトプット、上部に人的資源と物的資源、下部に方法と測定を記入します。
図を作成する際は、矢印や線を加えて、各項目の関係性やプロセスの流れを示すと、より完成度が高くなります。ExcelやPowerPointを用いて作成すると、自社内でテンプレート化して使い回すこともでき、メンテナンスもしやすくなるのでおすすめです。

4.全社に共有する
タートル図は、社内全体で共有し、共通認識を持つことが重要です。タートル図を全社に共有することで、現場と管理層の間でプロセスの理解に差が生まれにくくなり、全員が同じ基準で業務を進められるようになります。
全社に共有する前に、タートル図の初稿を関係部署(現場リーダー、品質管理、設備保全、管理職など)に展開します。ここで各担当者からのフィードバックを受け、実態とずれている部分や記載の重複や不足を修正し完成させます。
次に、完成したタートル図を全社に共有します。共有後は、タートル図が形骸化しないよう各部門でのミニ研修や活用事例の紹介などを実施し、理解を促進させると効果的です。
5.定期的に更新する
タートル図は作成したあとも、実際の業務変化にあわせて定期的に見直し、更新することが重要です。人員の異動、設備の入れ替え、新しい手順の導入、測定基準の変更など、プロセスに影響を与える要素は常に変化します。
しかし作成後に更新しないままでは内容が古くなってしまい、監査時に不整合を指摘されるリスクや、社内の混乱を招く恐れもあります。
そこで定期的(3ヶ月に1回、半期ごとなど)に見直しの機会を設け、現場のリーダーや品質管理担当者と内容を照合するのがおすすめです。このとき、更新作業を一部の人だけで完結させず、必ず現場の声を取り入れることが大切です。また、改訂後の内容は関係者に周知し、古い版が誤って使われないよう文書管理も徹底します。
タートル図を作成するときに注意すべきポイント
タートル図は、業務の見える化や改善活動に有用なツールであるものの、作成方法を誤ると形式だけの資料になってしまう恐れもあります。事前に注意すべきポイントを知っておくと、実用的なタートル図になりやすくなります。そこでタートル図を作成するうえで注意すべきポイント4つ解説します。
現場の担当者を交えて作成する
視覚的に分かりやすいテンプレートを利用する
前後のプロセス(工程)を考慮して作成する
組織全体の評価基準・評価指標を明確にする
現場の担当者を交えて作成する
タートル図に現場の実態を正確に反映させるためには、作成時に現場の担当者やオペレーター、ラインリーダーなど実務をよく知る人を交えて進めることが重要です。現場の声を取り入れることで、実際の工程との食い違いを防ぐだけでなく、タートル図を通じた改善のヒントも得やすくなります。
また実際に作業をしているパートスタッフや設備保全担当者からも話を聞くと、実際はこの工具は使っていない、手順書と異なる方法で作業しているといった気づきが得られることがあります。こうした情報は、タートル図の作成だけでなく、業務の標準化や工程改善につながるため貴重な情報と言えます。
視覚的に分かりやすいテンプレートを利用する
タートル図を作成する際は、社内共通のテンプレートを利用すると有効です。部署ごとに異なるレイアウトや記載ルールで作成してしまうと、プロセス間のつながりが分かりにくくなり、タートル図によって全体最適を図ることが難しくなってしまいます。
共通のテンプレートを利用することで、製造→検査→出荷の流れを一貫して見直す場合など、複数のプロセスを横断して管理する場面では、インプットとアウトプットの接続や、使用する設備や評価基準などの整合性をスムーズに確認しやすくなります。
また複数のタートル図の比較や分析がしやすくなり、プロセス改善や監査対応の質も格段に向上するため、タートル図を作成する前には共通テンプレートを整備することをおすすめします。
前後のプロセス(工程)を考慮して作成する
タートル図は基本的に1プロセス単位で作成されますが、製造工程はプロセス単体で完結することはほとんどないため、前後のプロセスとのつながりを考慮して作成する必要があります。
例えば、あるプロセスのアウトプットが組立済み部品の場合、次の工程ではその部品をインプットとして受け取り、さらに検査や包装といった作業が続きます。
しかし、各部門が個別にタートル図を作成してしまうと、出力と入力の定義が微妙にずれてしまい、前工程で出力されるはずのものが次工程では扱われていないといった問題が起こりかねません。
特に、前後のプロセスの担当部署が異なる場合や、拠点が分かれているケースでは、事前のすり合わせをせずに作成を進めると、後から整合性のズレに気づき、修正に時間がかかってしまうこともあります。こうしたトラブルを防ぐには、タートル図を作成する前に必ずプロセス全体の流れを俯瞰し、関係部門との情報共有やレビューの場を設けておくと有効です。
組織全体の評価基準・評価指標を明確にする
タートル図を実務で活用するには、各プロセスを単体で評価するのではなく、組織全体の目標と合わせた評価基準や評価指標の設定が重要です。プロセスが適切に機能しているかを判断するためには、その成果(アウトプット)をどう測るかという視点が欠かせません。
タートル図には測定の項目がありますが、ここに記載される指標は、単なる現場目線の数値だけではなく、会社全体のKPI(重要業績評価指標)や目標と連動している必要があります。例えば、製造プロセスであれば不良率や稼働率、品質管理部門では検査通過率や苦情件数、営業部門では納期遵守率や成約率といった具合に、各部門の成果を数値で可視化することで、組織全体としての改善活動にもつなげられます。
また市場の変化や新しい製品ラインの追加、内部体制の見直しなどによって、評価項目の優先度や意味合いが変わることもあるため、評価指標は定期的に見直す必要があります。

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タートル図の活用方法
タートル図はISOなどの審査書類として使われることが多い一方で、現場でも有効活用できます。タートル図の具体的な活用方法を紹介します。
業務の改善に役立てる
新人教育や多能工育成でのマニュアルに活用する
チーム間の役割分担を明確にする
業務の改善に役立てる
タートル図は、プロセスの見える化だけではなく、現場の課題発見と業務改善にも役立ちます。6つの要素を整理することで、プロセスのどこに問題が潜んでいるのかを構造的に分析できるからです。
例えば、不良率が高い製品のプロセスをタートル図にすると、どの装置が使用され、誰が作業し、どんな手順で進めているのかが明確になります。ある設備の使用時にのみ、不良が多発していることが判明すれば、装置のメンテナンス状況や操作方法の見直しといった、的確な対策につなげることができます。
また、タートル図には測定項目も含まれるため、改善前後での効果検証にも活用できます。稼働率や不良率といった指標の変化を定量的に追えることで、改善が本当に有効だったのかを判断しやすくなります。つまり属人的な感覚や思いつきによる改善ではなく、根拠のある改善活動が可能なのです。
継続的な品質向上やコスト削減を目指すなど、実践的な改善ツールとして積極的にタートル図を活用すると有用です。
新人教育や多能工育成でのマニュアルに活用する
タートル図は、プロセスを構成する要素を一枚にまとめて視覚的に示せることから、教育ツールとしても効果的です。特に新人教育や多能工の育成では、現場の全体像を理解させる手助けになります。
例えば、新人スタッフに対してどの装置を使い、誰が何をチェックしているのかといった基本情報を、タートル図を使って説明することで、業務の流れや担当範囲を直感的に把握しやすくなります。インプットからアウトプットまでのつながりや、評価の基準までをひと目で確認できるため、断片的な知識ではなく、プロセス全体を理解したうえでの習得が可能です。
チーム間の役割分担を明確にする
タートル図は、各プロセスに必要な要素を明文化するだけでなく、チームや部門ごとの役割分担を明確にするためのツールとしても有効です。プロセスの中で、誰が、どの範囲まで、どのような責任で、関わっているかを可視化することで、曖昧な業務の境界線を整理できます。
例えば、製造部門と品質管理部門が連携する工程において、検査をどの時点で、誰が、何を基準に実施するかが不明確なままだと、検査漏れや手戻りの原因になります。タートル図を用いてそれぞれの担当範囲を記載すれば、工程ごとの責任の分岐点が明確になり、無駄な重複作業や指示の行き違いを防ぐことが可能です。
また、新たなプロジェクトやラインの立ち上げ時にも、タートル図を活用することで、関係者間の認識を合わせやすくなります。会議で、ここは製造でやるのか、品質管理がやるのかといった曖昧なやり取りを減らし、あらかじめ各チームのタスクや責任を共有、合意しておくことで、業務の立ち上がりがスムーズになります。
タートル図はISO9001・IATF16949の審査だけでなく、DX推進にも活用しよう
タートル図は、ISO9001やIATF16949の監査対応にとどまらず、現場の改善や人材育成、部門間連携の強化など、実用的に活用できるツールです。近年では、タートル図によって業務を可視化することで標準化が実現しやすくなることから、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進と相性が良い点にも注目が集まっています。
DXを実現するには、タートル図のような業務を見える化するツールと、現場データをリアルタイムに収集し、活用する仕組みが欠かせません。そこでおすすめなのが、現場帳票システムのカミナシ レポートです。
カミナシ レポートの詳細や現場DXの成功事例をまとめた、現場DX3点セットは、以下のボタンから無料でダウンロードできるので参考にしてください。























