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日常点検のデジタル化で変わった、現場の確かさと取引先からの信頼 

2026.06.09

株式会社大和電化工業所

1ライン当たり十数枚に及ぶ紙帳票の管理が限界に達し、管理者によるチェックが事実上機能していなかった
規格外れが発生しても気づくまでに数日かかり、不適合品が出荷されるリスクを抱えていた
月1回の帳票張り替え作業などに半日を要し、現場の負担が大きかった
ISO継続審査で記録の不備を指摘され、点検体制の抜本的な見直しが急務となっていた

成果

逸脱アラートにより、規格外れをリアルタイムで検知・即日対応できる体制が整った
管理者の点検確認時間が約30分→約5分に短縮。工場の状況も遠隔地から把握可能に
帳票の貼り替えなどの付帯作業(月半日分)が不要に。現場の点検移動時間も約半減
ISO継続審査や取引先からの監査でデジタル管理が高評価。企業としての信頼向上という経営成果につながった

ISO審査での指摘をきっかけに、点検管理のあり方を抜本的に見直す

愛知県大府市を拠点に自動車部品の表面処理(メッキ加工)と樹脂成形を手がける株式会社大和電化工業所は、ISO審査で帳票の記録不備を指摘されたことをきっかけに「カミナシ レポート」を導入。1ラインあたり十数枚、複数ラインで30枚超に及ぶ紙帳票の管理が事実上機能していないという構造的な課題をデジタル化によって解消した。

逸脱アラートによりリアルタイムで異常を検知・対処できる体制が整い、作業者の点検時間は30分超から約5分へと大幅に短縮。ISOの継続審査や取引先からの監査でも高い評価を受け、企業としての信頼向上という経営成果につながっている。

さらに、「カミナシ レポート」で蓄積した記録文化を基盤に、東浦工場では「カミナシ 設備保全」の活用も開始。33台の成形機と130超の金型が稼働する現場における設備保全記録の属人化解消を目指し、誰でも過去の記録を検索・参照できる体制の整備を進めている。

今回は、導入を主導した取締役事業部長の山下大介氏に、導入の背景から現場での変化、そして今後の展望まで話を伺った。

自動車部品のメッキ加工・樹脂成形を担う、愛知の部品メーカー

株式会社大和電化工業所(以下、大和電化工業所)は、愛知県大府市を拠点とし、自動車部品の表面処理(メッキ加工)や樹脂成形を主力事業とする部品メーカーである。主要取引先である大手自動車メーカーや一次サプライヤーに対し、長年にわたって高品質な部品を供給している。

従業員数は約250名で、うち約50名が外国籍従業員だ。外国籍雇用を始めてから約20年が経過し、現在はインドネシア・中国・フィリピンなど多国籍のスタッフも製造現場を支えている。

「帳票に書かれたデータが正確かどうかがわからない」──紙管理の構造的限界

カミナシ導入のきっかけは、ISOの継続審査だった。

大和電化工業所では、各製造ラインの日常点検を紙の帳票に手書きで記録するスタイルを長年続けてきた。横根工場(メッキ加工)では、1ラインあたり十数枚の帳票が3ライン分、合計すると30枚超の紙が毎日積み重なる。東浦工場(樹脂成形)でも、33台の成形機それぞれに月次の点検帳票が2〜3枚あり、月末には120枚以上が一度に集まってきた。課長などの役職者はその膨大な帳票を毎週チェックすることになっていたが、実態はかけ離れていたという。

「管理者が30枚以上ある帳票を毎週すべて細かくチェックして、一つも規格から外れていないか確認することは、おおよそ不可能な状況でした」(山下氏)

現実には紙にハンコを押すのが精一杯だったという。月曜日に書かれた規格外の記録が、金曜日のチェックまで見過ごされるケースも珍しくなく、最悪の場合、不適合品が出荷されてしまうリスクも抱えていた。
また、現場の作業者側にも紙ならではの負荷があった。液濃度・温度・電圧・電流など70工程を超える点検項目を、現場の各所を歩き回りながら確認し、その都度、管理台帳の前に戻って手書きで記載する必要があった。点検1回につき40分以上かかることもあったという。

こうした紙管理の問題が、あるISOの継続審査を機に臨界点を迎えた。
審査員が帳票の空白や規格外れを発見。山下氏はその指摘がきっかけとなり、以前から展示会で名前を見かけていたカミナシに即日、打ち合わせを申し込んだ。

そうして最終的にカミナシを選んだ決め手になったのは、同業他社の動向だったという。

「先進的な同業他社の事例を知り、その会社ができているのであれば、自社でも取り組めるのではないかと確信しましたね。それが一番の決め手になりました」(山下氏)

導入は小さく始めて着実に広げる展開方式

2024年1月、まず横根工場から導入が始まった。導入推進の方法は、現場スタッフの中からデジタル化への意欲を示す若手社員を2名選抜し、プロジェクトメンバーに加えた。もともとExcelで点検表のフォーマットを作成していた担当者だ。彼らと課長1名の3名体制で帳票をカミナシへ移行し、現場への展開を進めた。

東浦工場ではタブレット端末での運用からスタートしたが、途中でスマートフォンに切り替えたという。点検場所でスマートフォンを持ちながらその場で入力できる環境に変わったことで、現場の反応は大きく変わった。

「スマートフォンに変えて点検をやるようになったら、現場から『すごい楽になりました』と言われましたね」(山下氏)

なお、現在の導入は横根工場と東浦工場(樹脂成形)の2拠点で実施している。社内には工場が複数あるが、帳票の枚数が少ないラインや所属長側の意向によって導入ペースはそれぞれ異なり、効果が大きく見込まれる工程から段階的に進めるスタイルをとっている。

「リアルタイム」で変わった管理の質。規格外れはその日のうちに対処可能に

「カミナシ レポート」導入後、最も大きく変わったのは「規格外れへの対応速度」だ。
横根工場では、朝の点検で規格値を外れた数値が入力された瞬間に、逸脱アラートが課長や事業部長である山下氏のスマートフォンへ自動通知される。管理者がどの工場にいても、異常の発生をリアルタイムで把握できる。

「アラートのメールが来て、開いたらすでに『処置済みでした』ということもあります。けれど、以前に比べたら状況を把握する速度が格段に早くなっているので、責任者としては安心です」(山下氏)

以前は週に一度の管理者チェックですら見落としが常態化し、「2週間前の数値なんだけど、あれどうなってたの?」という問いに、すぐに回答が得られない状況も珍しくなかった。今ではアラートが飛んだ時点で現場が動き出し、山下氏が確認する前に処置が完了していることも増えたという。

管理者側の確認工数も劇的に変わった。

「以前は3ライン分を見るのに30分以上かかっていたのが、今は5分ぐらいになりましたね。これまでは一つひとつ、OKなのかNGなのかを見分ける必要がありましたが、今はNG(逸脱)のところだけ見れば良くなったので、かなり工数が削減できています」(山下氏)

紙帳票で管理していた時代は、95%が正常な数値の中から5%の異常を探すために30分を費やしていた。今はダッシュボードを開けば逸脱箇所だけが浮かび上がる。工場が違っても、移動することなく状況を確認できることも大きな変化だ。
現場作業者にとっても業務の様相が変わった。東浦工場ではスマートフォンを持って各機械の前でその場で入力できるようになったことで、工場内を行き来する移動が約半分に減ったという。
また、写真記録機能の活用も広がっている。使用した材料の袋のロット番号を写真撮影して記録に残すことで、従来起きていた「昨日のロット番号を今日の記録に使い回す」といった問題がなくなった。
外国籍従業員が多い現場では特に、文字よりも写真による「見える化」の方が実効性が高いと山下氏は感じている。

帳票の貼り替えや回収、保管にかかっていた付帯作業もなくなった。以前は月に一度、120枚以上の帳票を現場に持参して貼り替えたり、使用済みの帳票を回収してファイルに綴じる作業に半日を要していたという。

ISO継続審査や取引先からの監査で「グッドポイント」。デジタル化が信頼の証明に

カミナシ導入後に迎えたISOの継続審査で、変化は如実に現れた。
従来は紙の帳票を積み上げて提示するスタイルだったが、現在はシステム上の記録と逸脱時の対処フローをそのまま見せる形に変わった。「NG発生時は管理者にアラートが飛び、処置しなければ次に進めない仕組みになっている」と説明すると、審査員から受け漏れのない体制として高く評価された。
また、ISO審査だけではない。取引先からの監査でも、デジタルによる点検・管理体制が好評を得た。

「ISOの審査員にデジタル対応していることを伝えると、『しっかり記録している』と評価されました。また、取引先からの監査も同様です。経営としては、企業としての信頼を向上できたことが成果として感じる部分ですね」(山下氏)

デジタル管理の見える化は、今や商談の場でも武器になっている。「こういう取り組みをしています」と見せることで、品質管理に対する本気度を示すことができる。山下氏が30年以上製造現場を経験してきた立場からすれば、記録の正確性は製品の信頼性と直結する問題だ。それをデジタルで担保できるようになったことの意義は大きいという。

設備保全は「次の積み重ね」へ。属人化からの脱却を目指して

「カミナシ レポート」の安定稼働と並行して、東浦工場では「カミナシ 設備保全」の活用を本格化させている。

東浦工場には33台の成形機と約130型の金型が稼働中だ。これまで金型のメンテナンス記録はExcelファイルが点在するだけで、情報が一元化されていなかった。担当者の記憶が事実上のデータベースとなっており、その人がいない場面では過去の記録を参照することが事実上できなかった。

「カミナシ 設備保全」の導入によって目指しているのは、定期保全のスケジュール管理と保全記録の一元化だ。「以前似たような故障があったはずだが、いつのことだっけ」という情報を誰でも検索して引き出せる状態にし、写真付きで修繕方法を残すことで技術の属人化を防ぐ。

現時点では、「カミナシ 設備保全」の活用はデータ整備の段階にある。「カミナシ レポート」で実現した「記録の確かさ」を設備保全の領域にも広げていく取り組みが着実に進んでいる。

現場の小さなストレスをなくすことが、品質を守ることになる

最後に、山下氏はカミナシ導入を検討している企業へのメッセージを語ってくれた。

「導入を検討している管理監督者は、一度、自ら点検表のチェック業務をやってみた方が良いですね。これは本当に紙でやり続ける必要があるのか、どこに無駄が生じているのかを実感すると、導入時もどう進めるべきか、誰を巻き込むべきかが自然と見えてくると思います」(山下氏)

山下氏が導入を決意した背景には、現場経験者としての“実感”があった。クリアファイルに挟まれた帳票を抜いて、書いて、また差し込む。小さなスペースに小さな文字で数値を書く。忙しい日には「後で記録しよう」と後回しにしてしまう。そのすべてを自分もやってきた。

「一番叶えたかったのは、現場の従業員に無駄な苦労やストレスをなくすことでした。私も長らく現場を経験しているので、毎日『無駄な作業だな』と思いながらやっていましたから」(山下氏)

帳票の問題は、単なる効率化の問題ではない。現場で働く人が「やってもやらなくても同じだ」と感じてしまう仕組みは、品質管理そのものを形骸化させる。タブレットやスマートフォンを持って現場を歩き、その場でスイスイ入力できる環境は、記録の正確性を担保するだけでなく、現場の「やる気」を引き出す仕組みでもある。

大和電化工業所のカミナシ活用は、まだ進化の途上にある。設備保全の本格展開はもちろん、他の機能の活用も視野に入れている。現場の「確かさ」を積み重ねながら、品質と生産性の両立を目指す取り組みはこれからも続く。

※本事例に記載の情報は、2026年5月取材時点のものです。

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株式会社大和電化工業所の企業ロゴです。

株式会社大和電化工業所

  • 設備保全

  • 業務標準化

  • 信頼度向上

利用目的

設備保全、品質管理、信頼度向上

利用サービス

カミナシ レポート、カミナシ 設備保全

従業員規模

〜300名

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