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過去の失敗と現場との二人三脚が、老舗食用油メーカーのDXを加速

2026.06.25

加藤製油株式会社

製造に用いる帳票や設備関連のデータが整理されておらず、必要な記録をすぐに取り出せる状態になかった
ISO取得に伴う書類作成・チェック業務が膨大で、確認業務の形骸化や業務負荷の増大という問題が現場に生じていた
以前にもグループウェア導入を試みた経緯があったが定着せず、DXへの機運が社内全体で高まりにくい状況が続いていた

成果

カミナシ レポートの導入により、ISO対応を含む紙帳票業務のデジタル化が進み、記録の精度向上と業務負荷の軽減を実現した
カミナシ 設備保全の導入後、4ヶ月で紙の運用からシステムへの移行が完了、導入後半年で約300件の修理・作業履歴の記録が蓄積できる状態に
従業員のデジタルへの抵抗感が低下し、DXを次のステップへと広げていく土壌が全社的に形成された

カミナシシリーズの導入により、デジタルでの業務が当たり前の会社に

岡山県で食用油などの製造・販売を行う加藤製油株式会社では、代表取締役社長の加藤氏と工場長の雁木氏が二人三脚でカミナシシリーズを活用した社内DXを実現した。創業84年の老舗企業として長年アナログな業務環境が根付いていた同社では、過去のグループウェア導入の失敗などの苦戦を糧に、現場を深く知る人物を巻き込む推進スタイルを採用。その結果、カミナシ 設備保全はわずか4ヶ月で社内に定着、カミナシ レポートを活用しISO対応が可能な業務基盤への変革と、目覚ましい成果を上げている。

アナログな現場と、DX推進を阻んできた苦い経験

加藤製油株式会社は、1941年4月の創業以来84年にわたって岡山県で食用油の製造・販売を手掛けてきた老舗企業だ。従業員数は55名(2025年10月時点)と中小規模ながら、食品安全への高い意識のもと、取引先に安心して利用してもらえる体制を維持してきた。

しかし一方で、社内の業務環境は長らくアナログな状態だった。加藤氏が2009年に入社した当時も、旧型のワープロソフトが使われていたり、個人スケジュールがExcelで共有されている状況が続いていたという。加藤氏は入社以来、デジタルツールの導入を何度か提案してきたが、新たなシステムへの移行に慎重な組織文化の中ではなかなか前に進まなかった。ようやく2019年にグループウェアの導入が承認されたが、それ以前にもグループウェアを導入して定着しなかった苦い経験があり、DXへの熱量は社内全体でそれほど高くない状態が続いていた。

工場長の雁木氏もまた、現場での課題を長年感じていた一人だ。紙ベースの帳票は保管されているものの整理が追いついておらず、膨大な紙資料の中から必要な記録を自分で探し出さなければならない状況だった。設備関連の資料やデータも分散したまま管理されており、故障リスクの低減や初期対応の迅速化に向けてデータを一元管理したいという思いは以前から持っていたが、具体的な手立てが見つからずにいた。

また、同社ではISO認証を取得しているが、それに伴う書類作成・チェック業務の多さも現場の負担となっていた。審査においては細かく管理できているという評価を受けていたものの、現場では「管理のための管理」という状態になりつつあり、点検項目の増加が形式的な確認や業務負荷の増大につながっていた。

最初の失敗が教えてくれた、「現場を知る人材」の重要性

DX推進に向けた機運が一気に高まったのは、2022年に岡山の企業が「日本DX大賞 中小規模法人部門」で大賞を受賞した講演を聴講したことがきっかけだ。受賞企業の副社長が加藤 氏の幼馴染だったという縁もあり、それまでは「人員の余裕がないからまだ先でいい」と先送りにしていたDXへの取り組みに対する考え方が変わった。社内リソースだけでDXを推進し、組織が着実に改善されていくという他社の話を聞き「このままでは周回遅れになる」という強烈な危機感を覚え、本格的に動き出すことを決意。複数のセミナーに参加しながら情報収集を進め、2023年にカミナシ レポートの導入を決めた。

ところが、導入は思うように進まなかった。加藤氏がプロジェクトリーダーとして充缶部門への導入を試みたが、現場業務への理解が十分でなかったため、帳票のひな形作成の段階でどの項目が重要かを判断しきれず、なかなか帳票づくりが進まなかった。さらに、トップダウンで先行して進めたことで現場からの協力も得にくく、定着には至らなかった。

この経験から加藤氏は、紙の項目をそのままデジタルに移し替えるだけでは不十分であるということを認識。記録が業務改善につながる仕組みとして根付くためには「現場をよく知る人物がプロジェクトに参加することが不可欠」と考え、工場長の雁木氏に協力を仰いだ。

最初にタブレットの利用を開始した充缶部門では定着しなかったものの、別部門にはタブレットを使いたがっているスタッフがいることを把握していた雁木氏は「定着しやすい部門から始めてみてはどうか」と加藤氏に提案し、自らプロジェクトをリードすることに決めた。

雁木氏は大学時代は化学系を専攻し、入社後は品質管理・分析から製造部・生産管理部門へと歩みを重ね、工場全体のマネジメントや設備更新・エネルギー管理など幅広い業務を担ってきた人物だ。工場改善の過程でプログラミングを独学で習得した経験があり、工程の自動化や省力化を行なってきたが、DXとしては停滞していた。しかし、現場の実態を深く理解しているという強みが、カミナシ レポートのひな形作成において最大の武器となった。

「使うと楽になる」を体感させる現場への広げ方

雁木氏がプロジェクトに加わってから、推進の速度は一変した。毎日驚くほどのペースでひな形を作成し続け、みるみるうちに運用が工場全体へと広がっていった。

現場への定着において雁木氏が徹底したのは、「使う側にとってのメリット」を前面に出して広めるアプローチだ。作成したばかりのデジタル帳票をその場で試してもらい、「記入作業が楽になりますよね」と使い勝手の良さを現場の作業者たちに感じてもらう。一度使ってみると徐々に慣れが生まれ、そこからタブレットの台数を増やして運用のサイクルに組み込んでいく流れを繰り返した。説明して納得してもらえれば、1週間も経たないうちに移行が完了するケースも多かったという。

加藤氏はプロジェクトリーダーとして全体を統括しながら、現場に近い雁木氏が従業員の声を拾い上げることで、運用定着が大きな問題なく進んだと振り返る。トップダウンで先走った最初の失敗と、現場を知る人材との二人三脚という転換が、スピード定着の鍵となった。

 

設備保全DXへ拡張。わずか4ヶ月でシステム移行を完了

「カミナシ レポート」が社内に定着した後、2025年6月には次のステップとして「カミナシ 設備保全」の導入に踏み切った。設備関連の資料やデータを一元管理することで「故障リスクを予防的に把握したい」という雁木氏の長年の課題意識が、解決への一歩を踏み出した。

それまで設備の重要なメンテナンスは、担当オペレーターの経験と勘に依存する部分が大きく、「ここは壊れやすい」「ここは問題が起きやすい」という個人の知識をもとに都度対応してきた。しかし、しかし、加藤製油では新鮮さを重要視していることもあり、製造した油を早期に出荷することを基本としている。出荷タイミングが大きくずれるような長期的な設備停止は事業に深刻な影響を与えかねないため、台風による大規模な製造停止の経験もある中で、日常的な小さな設備停止についても早期に手を打ちたいという思いが強くあった。

「カミナシ 設備保全」の定着が導入から定着まで4ヶ月という短期間で実現できた背景には、「カミナシ レポート」の導入という下地があった。同じロゴマーク・近いUIという親しみやすさが、現場のスタッフにとって新しいツールへの心理的なハードルを大幅に下げた。導入から半年で約300件の修理・作業履歴が記録され、過去は起票すらされなかった些細な修理や作業もデータとして蓄積されるようになった。このデータは「将来的な予防保全の分析やAIを活用したアシスト機能との連携においても大きな意味を持つ」と加藤氏は期待を寄せる。

誰でも管理できる仕組みへ。DXが人材の課題への対策に

現時点での成果は数値的な業務効率化にとどまらない。現場従業員のデジタルへの抵抗感が低くなり、次のDXへと踏み出しやすい土壌が全社的に育まれている。バックオフィス面では会計・給与・勤怠のデジタル化がほぼ完了しており、人事管理のデジタル化を次のステップとして見据えている。

加藤氏が中長期的な視点で重視するのは、DXによる「誰でも管理できる仕組みづくり」だ。食用油の製造工程はシンプルで品種も限られているが、これまでの安定した運営は優秀なベテラン従業員の存在に依るところが大きかった。今後、世代交代が進み新たな人材が加わっていく中で、これまでのクオリティをどう維持するかは切実な課題だ。DXによって業務の標準化と知識の蓄積が進めば、人手不足という構造的な問題にも対応する力になると加藤氏は語る。

「DXは完璧にやることではなく、まず動いてみることから始まる」と話す加藤氏。過去の失敗を乗り越え、現場との二人三脚で一つひとつ課題をクリアしてきた経験が、老舗企業の次の可能性を広げ続けている。

※本記事に記載されている役職、および活用製品をはじめとする各種情報は、2025年10月のインタビュー当時のものです。

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加藤製油株式会社

  • 設備保全

利用目的

設備保全,

利用サービス

カミナシ レポート、カミナシ 設備保全

従業員規模

〜100名

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