わずか半年で120名に浸透。作業方法・設備情報・報連相をDXし、スマート工場に向けた基盤を構築
2026.04.08
株式会社ミモト
成果
製造業におけるデジタル変革(DX)は、ツールを導入し、現場へ根付かせること自体がゴールではない。真に重要なのは、現場に定着したデジタル基盤から得られるデータを、いかに付加価値の創出や経営レベルの変革へと繋げていくかという視点だ。
そこで、株式会社ミモトでは、その第一歩として、将来的なデータ活用を見据えた情報の集約を図るべく、まず個別に運用していた動画マニュアルや社内コミュニケーション、紙中心だった設備保全、製品検査業務を、カミナシが提供する4つのプロダクトに統合するところから始めた。
半年という比較的短期間で約120人の組織へ浸透させることができた背景には、「次世代によりよい形で会社を引き継いでいきたい」というプロジェクトリーダー・酒井忠昭氏の強い思いがある。カミナシの導入背景について、常務取締役の河原 寛司 氏、取締役・品質保証部長の濱田 勲生 氏、生産技術部長の酒井 忠昭 氏、総務部 総務課 班長の数井 麻美 氏に話を聞いた。

製造現場と事務所の往復が生んでいた“アナログ管理”の限界

株式会社ミモトの製造現場では長年、「目に見えない工数の流出」が課題となっていた。特に設備保全では、不具合を発見・修理した後に事務所へ戻り、デスクトップPCでExcelの修理記録表に情報を再入力する運用が常態化していた。このような情報の二重入力や移動に伴う時間は、修理作業者の負担となるだけでなく、生産性向上に直結しない業務でもあった。その結果、本来注力すべき改善活動や付加価値の創出に向き合う時間が圧迫されていたという。
酒井氏は、当時の状況を「紙での運用が続いていたため集計のハードルが高く、改善に向けた分析まで踏み込むことが難しい状況でした。紙運用から脱却できないことが組織全体の改善スピードを鈍らせていたと感じています」と振り返る。
こうした課題は設備保全にとどまらない。例えば、5年前に電子日報ツールを導入したものの、システムの柔軟性や拡張性が乏しく、結局は多くの点検業務で“紙のチェックシート”に頼る運用から脱却できずにいた。
「ツールを導入しているにもかかわらず、集計や分析に多大な手間がかかり、有効活用できていませんでした。そのため、データをもとに設備の状態を把握したり、生産性向上を議論したりする段階まで至りませんでした。いわば、活用されないデータがただ蓄積されている状態だったのです」(酒井氏)
ツール導入で終わらない、活用まで見据えた提案が社内決裁を後押し

カミナシとの出会いは2025年4月。酒井氏がインターネットで「設備保全」と検索したことがきっかけだ。当初は、設備点検や修理記録をデジタル化し、現場で完結できる保全管理ツール「カミナシ 設備保全」のみの導入を検討していた。
しかし打ち合わせを重ねる中で、現場データを自動で集計・可視化し、分析や改善に活用できる「カミナシ レポート」、連絡や情報共有を一元化し既読管理まで行えるコミュニケーションツール「カミナシ 従業員」、動画やマニュアルによって業務教育を標準化し、受講状況まで管理できる「カミナシ 教育」もあわせて導入することで、コスト面と会社全体での窓口一本化、さらにはツール間の連携によるスムーズな管理体制が実現できることが見えてきた。
「社内の打ち合わせで上がった課題をカミナシ社の担当者に伝えると、すぐに回答が返ってきたことが印象的です。その内容をもとにWeb会議で議論を深め、懸念点を一つずつ整理することができました。また、カミナシさんは契約前にもかかわらず、東京から弊社のある石川まで何度も足を運び、説明やヒアリングを行ってくださった点も、前向きに映りました」(濱田氏)
さらに酒井氏は、各機能をカミナシに統合した理由を次のように振り返る。
「経済面でのメリットも大きな判断材料でしたが、窓口を一本化できる点も魅力でした。以前は動画マニュアルやコミュニケーションツール、電子日報ツールを個別に契約しており、管理が煩雑になっていました。これらをカミナシに統合することで、将来的に現場で『何かあればカミナシを見ればいい』という環境をつくっていけると考えました」
そこで酒井氏は、カミナシの本格導入に向けて社長への決裁用としてA3用紙1枚に集約した企画書を作成した。企画書には導入した場合と現状維持の場合の費用比較に加え、4つのサービスが現場にもたらす効果、移行までのスケジュールが分かりやすく整理されていた。河原氏は、この取り組みが導入の円滑な推進を支えたと話す。
「酒井が作成した企画書は、費用や担当者、進行スケジュールが明確に整理されていて、誰が見ても彼のやる気が伝わるものになっていました。そのため社長も『これなら実現できるだろう』と判断し、迅速な決裁につながりました。実は計画上、本格導入は2026年1月以降の予定でしたが、想定を上回るスピードで進み、2025年10月には運用を開始することができたのです」
小グループ説明会で120名の現場へ着実に浸透
DX導入を成功させた工夫とは
120名規模の組織にとって、新しいシステムの導入は現場の負担になりやすい。そこで総務課の数井氏は、無理なくカミナシを定着させるために小グループ制の説明会を開催した。

「全員に一度に説明するのは難しいと考え、10名ほどのグループに分けて10回以上の登録説明会を行いました。『カミナシ 従業員』の導入時には会議室に集まってもらい、私とアシスタントの2人でサポート。一人ひとりのスマートフォンを確認しながら、ID登録から基本操作までその場で案内しました。この進め方によって、取り残される人を出さずに導入できたと感じています」(数井氏)
導入後、まず変化が表れたのはコミュニケーション面だった。以前のツールでは、パスワードを忘れたままログインしなくなるケースがあり、情報が行き届かない状態が課題となっていた。しかし「カミナシ 従業員」への切り替えに合わせてアカウントを整理し、改めて操作説明を行ったことで、この問題は解消されたという。

現在は管理側が閲覧状況をリアルタイムで確認できるため、重要事項の既読率も向上している。加えて、事務担当者が現場へ直接出向く回数が減った点も大きな変化だ。
「以前は『いま声をかけると作業の手を止めてしまうのではないか……』と気を遣う場面が多くありました。今はチャットで連絡できるため、送る側も受け取る側も心理的な負担が軽くなったと感じています」(数井氏)
「カミナシ 教育」の活用も着実に広がっている。既存サービスから移行したことで機能が拡張され、マニュアル作成と受講管理を一元化できた。現場では、自主的に動画を作成して共有する文化が根付きつつある。
「現在では業務マニュアルにとどまらず、昇格者の意気込みや新入社員の自己紹介を動画で配信するなど、工夫した活用も進んでいます。朝礼で後方まで声が届きにくいといった物理的な課題も動画配信によって解消され、全従業員が同じ情報を理解できる環境が整いました」(濱田氏)

設備保全の領域でも大きな変化が見られた。不具合を発見したその場でタブレットから写真を撮影して、「カミナシ 設備保全」を活用し、記録まで完了できる現場完結型のフローが確立されたのである。これにより、事務所に戻ってExcelへ入力する作業が不要となり、削減できた時間を付加価値の高い業務に充てられるようになった。

河原氏は次のように語る。
「これまで紙に〇を付けるだけだった点検項目がデジタル化され、データの蓄積が進みました。その結果、修繕費削減に向けた分析の土台が整いつつあります。カミナシの使いやすさは、現場が自分たちのツールとして自然に使いこなすうえで大きな支えになっています」

「会社をより働きやすい環境で次世代に継承したい」
リーダーの強い想いが推進力に
とはいえ、120名規模の組織で、長年続いたアナログな慣習を変えるのは簡単ではない。なぜ、これほどの熱量を持ってカミナシを推進できたのだろうか。酒井氏は、その原動力を「生産技術課としての使命感と、個人的なやりがいにある」と語る。
「私が芯に置いているのは、働きやすい環境を整えて生産性を向上させ、次世代へより良い形で会社を継承していくことです。そのためにはまず、カミナシの力でアナログからデジタルへ移行し、設備の稼働率や修繕費を数値化して見える化する必要があります。さらに、手書きや承認に費やす『生産性に寄与しない時間』を排除し、全員が付加価値を生む作業とは何かを考える時間を確保することも重要です。そして、見える化したデータを分析・改善に繋げることが皆のモチベーションアップに繋がると信じています」
カミナシは、酒井氏自身が導入したいと推薦したシステムだからこそ、責任感や使命感もある。しかしそれ以上に、現場の仕事が楽になり、皆の業務が正当に評価される未来を作ることが、酒井氏自身の「やりがい」であり「楽しさ」に変わっているという。
「もちろん、まだ全てが理想通りではありません。現在はまだ試行錯誤の真っ最中で、システムの活用方法を模索している道半ばの状態です。ですが、現場の仲間たちが日々、動画マニュアルやチャットを自分ごととして使ってくれているのを見ると、このシステムを『無くてはならない存在』に育てていきたい、皆の想いに応えたいという気持ちがより強くなります」(酒井氏)
データを企業の利益に変える
10年後のスマート工場構想を見据えて

ミモトが描く未来は、10年後の「スマート工場」実現だ。単なるペーパーレス化にとどまらず、蓄積したデータを活用して工場全体の生産性を高め、継続的な改革につなげる構想だという。河原氏はこう解説する。
「スマート工場の実現には、収集・分析したデータを現場の改善に留めず、経営レベルの変革へと発展させることが不可欠です。勘や経験に頼らないデータ経営を確立し、デジタル化を直接的な利益へと結びつける。そして、その成果を次なる成長への事業投資へと還元し、持続的な好循環を築いていきたいと考えています」

さらに同社は、カミナシに蓄積された膨大なデータを土台とした「AI活用」にも意欲的だ。AIが現場の微細な変化を検知し、改善提案を自動で行う機能の実現を見据えている。
「AIが人間では気づきにくい予兆を教えてくれるようになれば、効率化はさらに加速するはずです。同時に、あらゆる情報が集まる『現場のDXプラットフォーム』として、カミナシを使い倒したいと考えています。今後は現場の安心・安全を支える機能拡張にも期待を寄せています」(酒井氏)
最後に、「どのような企業にカミナシを勧めたいか」を聞いたところ、総務の数井様と取締役/品質保証部長の濱田様から以下の回答が得られた。
数井氏は「連絡手段が十分に整っていない、あるいは情報が一部にとどまってしまっていると感じている企業にとって、誰もが使いやすい仕組みになるのでは」とコミュニケーション面での効果に期待を寄せる。
濱田氏は「帳票を紙からデータ化することで、蓄積した情報を活用できるようになった」と振り返る。
「『カミナシ 設備保全』で帳票を入力しながら、『カミナシ 教育』で動画マニュアルを確認すれば、手順の迷いを減らせるのがありがたいです。こういったツールをまだ導入できていない会社に使ってほしいですね」
株式会社ミモトは、複数のカミナシ製品を導入し、アナログな製造現場管理の長年の課題を解決。マルチプロダクトを活用したDX推進によってデータを活かしたスマート工場への確かな一歩を踏み出した。今後もさらなる改善を続け、製造業の未来を切り拓くことが期待される。


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株式会社ミモト
品質管理
設備保全
教育
コミュニケーション
業務標準化
利用目的
品質管理、設備保全、教育、コミュニケーション、業務標準化
利用サービス
カミナシ レポート、カミナシ 設備保全、カミナシ 教育、カミナシ 従業員
従業員規模
〜300名
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