紙と感覚からの脱却!DXで築く「客観的品質」と「人が育つ現場」
2025.10.10
フジフーズ株式会社の課題
成果
創業63年を迎える惣菜業界のパイオニアとして、高品質な惣菜製品を製造・販売するフジフーズ。全国に14工場を展開し、日産200万食を生産する同社は、徹底した衛生管理・品質管理により安全・安心で信頼される商品を提供し続けている。
こうしたなか福島工場では、食の安全・安心を追求するため、DX化を積極的に推進している。出荷前の判定ツールとしてカミナシレポートを活用し、始業終業点検の点検項目をデジタル化。点検精度の向上と品質担保、さらに月間約600枚の紙の削減に成功し、業務効率化とコスト削減の効果も実現している。

従業員の業務効率化から生まれる安全安心。福島工場のDX戦略
フジフーズ株式会社は、創業63年を迎えるデイリーメーカーとして、全国14工場で1日あたり200万食を生産する機能を誇る。その一翼を担うフジフーズ福島工場は、1993年8月に稼働を開始し、デリカ、調理パン、洋生菓子などを製造。福島県内のセブン-イレブンをはじめ、一部の商品は東北六県にも供給している。
同工場は、安全・安心な製品を提供するため、早くからDXの必要性を認識し、省人・省力化に注力している。
従業員の業務効率の向上と作業負担の軽減が、結果としてお客様への安全・安心な商品提供に直結すると考え、生産管理システム、ラベル照合装置、教育や人事総務など、多様なDXツールの機能を活用しながら現場運営を行ってきた。
そのなかでも、カミナシレポートは出荷前判定ツールとして活用しており、重要な位置づけという。

長年の「紙と感覚」がもたらす品質と生産性の限界
福島工場では、カミナシレポート導入以前、点検作業の記録は紙帳票が主体であった。この紙ベースの運用は、いくつかの深刻な課題を抱えていたという。
「紙帳票が主体となっていたので、リアルタイムに点検が実施できていたのかどうかが、気になっていました。実際に、現場を巡回する中で『点検記録が抜けているけど本当に大丈夫?』といったようなやりとりも多々あり、苦労していました。刃こぼれなどの異常発見時も、人の熟練度によって判断にばらつきが生じ、どこまでが安全範囲なのか判断がつきにくい状況でした。最終的に安全な状態を担保するために、すべてやり直すという非効率な判断に至ることも少なくありませんでした。」(工場長 高﨑氏)
このような熟練度の差を是正するには繰り返し指導する時間と労力が必要であり、管理者としては心苦しさを感じていたという。
また、全従業員の約20%を占める外国人従業員への教育・指導は特に困難だった。
外国人従業員であるグエン・カイン氏も「紙にチェックする点検は、写真がないからどこを点検するのか全然わかりません」と、紙の限界を実感していた。これにより、点検作業が形骸化し、本来の目的が達成されていない懸念があるような状態だった。

現場に寄り添い、変革を加速するDX推進
これらの課題を解決するため、フジフーズ福島工場はDX化を推進し、カミナシレポートを導入した。カミナシレポートは、始業就業点検、サニテーション、ラインリセットの3つの軸を中心に、紙ベースの点検項目をデジタル化し、客観的な判断が可能なデータへと変換するDX化を進めるものであった。
現場を巻き込むDX推進体制と文化醸成
DXプロジェクトの推進は、品質保証部門が主導しつつ、工場全体でPDCAを回すという方針のもと推進された。品質保証部門は主にチェックや次のアクションを担い、現場への展開では、各製造部門に「推進担当者」を設ける体制が組まれた。特に、デジタルツールへの適応力が高い若手社員を積極的に任命した。
「推進担当については、デジタルツールを扱うという観点から、若い従業員を任命しました。仕事で自身がどう取り組めるか、業務に一緒に携われるかという点で、大きな自信を持ってもらえるきっかけとなり、非常に有効だったと感じています」(工場長 高﨑氏)
適性も考慮しつつ、”現場とのコミュニケーションを図るなかで、一皮剥けてほしい”という期待も込めて選任された。
しかし、カミナシの導入当初は、タブレットの操作に不安を感じる年配の従業員や、「日々の業務に追われて点検項目が増やせない」「本当に大丈夫なのか」といった現場の懸念があった。そこで、DXを推進するにあたっては現場の納得感を重視。点検項目の設定後も場内パトロールで実態を確認し、現場の声を聞きながら修正・追加を行うPDCAサイクルを回した。
ひな形作成や実施スケジュール作成に対しても、現場が主体で行った。これは機械や設備の重要なポイントについて『現場のことは現場が一番よくわかっている』『責任を持つのは現場の社員である』という認識のもと会議で話し合い取り組みを行っていった。現在では10名もの現場社員がカミナシレポートでひな形を作成できるまでになっている。
「我々品質保証部が作ったひな形については、やりにくい、わかりにくいといった声があがっていまして。実際には現場で作成してもらったほうがよいのではないかという考えに至っています」(品質保証部 大山氏)
現場の「気づき」を最大化。 写真と多言語機能の活用で誰でもわかるひな形へ
カミナシのひな形は、「誰でもわかる」ようなビジュアル化を重視して作成された。特に、写真が導入されたことで、野菜カット担当のグエン・カイン氏は「カミナシに写真が載っているから、どこを見ればいいかわかりやすく便利です」と語る。
日本語の漢字が苦手なカイン氏にとって、写真による視覚的な情報は点検ポイントの明確化に大きく貢献した。また、カミナシの多言語機能も活用され、日本語が不得手な外国人従業員でも同じレベルで点検ができるようになった。これにより、熟練度に依存せず、誰でも確実に必要なポイントを記録できるようになったのだ。
デザート課では、過去に充填器のギア破損による異物混入があり、それをパート従業員が発見した事例があった。デザート課 担当の小山氏は次のように語る。
「もともと具体的な点検項目はなかったので、すぐに誰にでも同じレベルで点検できるひな形を作ったほうがいいと考え、運用しています。」(デザート課 小山氏)
カミナシレポートでは歯車を表面、裏面、ギアの凹凸部分を一つずつ写真撮影する精緻な「組み立てチェック」のひな形を現場主体で作成し、運用している。

点検の実施率向上へ データの見える化が促す現場の意識変革
こうしてカミナシレポートの導入を着実に進めていったが、点検記録のデータを見える化すると、点検の実施率が高い部門、改善が必要な部門が明確になった。
点検の実施率向上に向け取り組んだ、製造課 課長の齋藤氏はこう振り返る。
「品質保証部からの包装部門の点検実施率改善の指摘を受け、まず社員への点検の重要度・理解度の落とし込みを徹底しました。他工場の事故・事例を朝礼で共有し、危機意識を高めました。ライン全体を見渡して比較的軽微な作業を担当する従業員にラインリセットの作業実施を依頼するなど、適材適所の配置転換も行いました。」(製造課 齋藤氏)
齋藤氏の改善への取り組みはこれだけに留まらない。点検実施率がいい部門に情報共有してもらい、自部門での運用にも取り入れるなど、積極的に改善活動を行い実施率の向上に努めた。

客観的で信頼性の高い記録が導く 品質向上と事故ゼロ
そして「人が育つ」現場へ
カミナシレポートの導入は、月間約400枚から600枚の紙帳票の削減と、紙のチェック時間、ファイリング業務、保管コストなどを大幅に削減し、業務効率化に大きく貢献した。
また、デジタル化された点検記録は、その客観性において大きな効果を発揮した。
「記録をリアルタイムに行えること、機器の写真を撮影し、細かい設問形式で点検が行えることで、従業員の力量に限らず確実に必要なポイントを記録として取れるといったところは客観的に見て有効だなと感じております」(工場長 高﨑氏)
これにより、人の熟練度による判断のばらつきがなくなり、客観的で信頼性の高い記録が取れるようになった。
また 品質問題の早期発見とヒヤリハット検知のスピード向上について、デザート課の小山氏と品質保証部の大山氏は語る。
「機器のトラブルに関して、パート従業員さんから『この傷大丈夫?』など、細かな報告もたくさんあがってくるようになりました」(デザート課 小山氏)
「記録の実施状況が見える化されたことで、今まで見えていなかった点検状況が、カミナシによって、より正確に判断できるようになりました。これにより、これまでヒヤリハットで食い止められていた問題をさらに早く検知し、出荷前にそれらをすべて阻止できるといったメリットが得られました。」(品質保証部 大山氏)
これらの取り組みは、重大事故の未然防止にも貢献している。
福島工場ではカミナシ導入後、大きな事故は発生していない。精緻な「組み立てチェック」のひな形や、ラインリセット時の写真機能活用により、以前は難しかった部品の欠落やラベルの誤貼付の発見につながっている。
そして、今回のカミナシレポート推進プロジェクトは、若手社員の成長と主体性においても大きな変化が得られた。
「DX推進担当として若手を任命したことで、責任を持って仕事をする立場となり、仕事に対して主体的に動けるようになりました。やはり、従業員の折衝で苦労したり、どうしてもうまくいかないこともあったりするんですが、そういった場面に直面したときに、先輩の声を聞くなど、繰り返しやっていくことで、考え方もだいぶ客観性や多面性を持てるようになって、確実に成長しているんだなと感じています。今までは、ベテランの従業員が、リーダーシップを持って、非常に高い意識で製造を支えてくれていたのですが、やはり高齢化の課題もあり、ベテランの方が抜けていく中で、組織を再構築していく必要がありました。キーワードとなっていた若手社員、外国人従業員と一緒に一丸となって生産活動をするという意図と、デジタルツールが非常にマッチしました。」(工場長 高﨑氏)
フジフーズ福島工場におけるDX化の取り組みは、単なるデジタルツールの導入に留まるものではない。これは現場の意識改革と自律的な改善を促し、部門間のコミュニケーションを活性化させることで、工場全体の生産体制と品質管理を強化した事例であると言える。
同社は、カミナシをはじめとする様々なDXツールを駆使し、データに基づいた客観的かつ高精度な品質保証体制を確立している。これにより、今後も食の安全・安心を追求し、継続的なDX推進を通じて、消費者へ提供する製品の信頼性を一層高めていくに違いない。



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