「ペーパーレス化したのに“現場が変わらない”」を越えて、実現した製造現場DX
2026.09.02
佐藤水産株式会社の課題
成果
ペーパーレス化は実現。でも現場と合わない。
佐藤水産がシステム移行を決断した理由
1948年に創業した佐藤水産株式会社は、北海道産の天然鮭を中心とした高品質な海産物の製造・販売を手掛けている。魚の仕入れから製造、加工、小売、外食事業への卸までを垂直統合型で行い、単品で年商約6億円の「鮭のルイベ漬け」をはじめ、約400種類もの商品を展開している。
高い品質とブランド力で全国の食卓に美味しさを届ける同社だが、製造現場である工場での管理業務には長年大きな課題を抱えていた。同社が電子帳票システムを導入したのは数年前のことだ。それ以前は1日に約100枚もの日報や衛生チェックシートが紙で発生しており、品質管理室 課長代理の小竹氏は、当時の状況を次のように振り返る。

「1日に100枚近くの日報や衛生チェックシートを、私がすべて手作業でチェックしていました。とても確認しきれる量ではありませんでした」(小竹氏)
紙の帳票は、現場のリーダー、副工場長、そして工場長によるトリプルチェックを経て承認される運用だった。製造統括 執行役員 兼 工場長の進藤氏は当時をこう振り返る。

「毎日100枚もの紙が上がってくると、私がサインを回すまでに1週間以上かかることもザラでした。会議や出張で1日席を外すだけで、机の上に書類の山ができてしまう。そうなると、だんだん中身をしっかり確認するのではなく、承認のサインをすること自体が目的になってしまっていました」(進藤氏)
システムの導入により、紙の山は姿を消した。しかし、ペーパーレス化は進んだものの、現場の負担は想定したほど軽くならなかった。

「いざ現場のタブレットで入力しようとすると、画面を左右上下にスクロールしなければならず、“使いづらい”という声が上がりました。また、未入力があった場合にエラーを出す設定も複雑で手間がかかるため、十分な設定ができず、結果として記入漏れを防ぎきれていませんでした」(小竹氏)
システムを導入しても、現場が使いにくければ形骸化してしまう。そして、品質を証明するための記録が正しく残っていなければ、保健所や審査会社の監査時に大きなリスクとなる。
「記録の不備が続くと、官公庁に対する会社の信頼が落ちてしまいます。抜き打ちの査察が増えたり、追加の書類提出を求められる頻度が上がったりして、対応のために残業になることもありました」(小竹氏)
ペーパーレス化そのものが目的ではなかったと気づいた同社は、現場で働く従業員がより使いやすく、確実な記録が残せる新たなシステムへの移行を模索し始めた。
一度の失敗を経たからこそ。現場が使いやすいシンプルな操作性と、手厚い導入サポート体制が決め手
二度目のシステム選定にあたり、同社が判断の軸に置いたのは「現場の従業員が実際に使えるかどうか」だった。管理部門だけで機能を比較するのではなく、候補となったシステムを現場の従業員に実際に触ってもらい、その反応を確かめてから判断する進め方をとった。一度、使いづらさによって形骸化しかけた経験があったからこその選定プロセスだった。
3社を比較検討する中で、最終的に選ばれたカミナシ レポートの決め手は、大きく3つあった。“現場での圧倒的な見やすさと使いやすさ”“温度管理や刃物の点検を証拠として残せる写真撮影機能”、そして“導入前後の手厚いサポート体制”である。
「カミナシ レポートの画面は非常にシンプルで、普段使っているスマートフォンのように縦スクロールだけで入力が進められます。現場の従業員に見せたところ、圧倒的に見やすいし使いやすいという評価でした。また、記入漏れを防ぐ設定も簡単に行える点も大きな魅力でした」(小竹氏)

帳票の改訂が発生した際も、都度ベンダーに依頼することなく自社で対応できる点は、旧システムの運用で最も負担を感じていた部分だった。
さらに、写真機能が備わっていることも高く評価された。同社では、刃物の欠け点検や、原料解凍時の温度管理など、厳格なルールが存在する。
「温度のわずかなブレが最終製品の菌数として表れてしまうため、温度管理は命です。カミナシ レポートなら現場の状況や温度計の数値を簡単に写真で残せるため、改ざん防止の証拠になるだけでなく、正しい作業を伝えるマニュアルとしての役割も果たしてくれます」(小竹氏)

「導入前から“いつまでに何をすべきか”というスケジュールが明確で、困ったときのレスポンスも非常に早かったです。これほど手厚く伴走してくれるサポート体制は他にないと感じました」(小竹氏)
一括承認で確認時間が1/8に短縮。
自己管理能力の向上で現場の意識も変化

現在、佐藤水産では3つの工場でカミナシ レポートの活用を進めている。システム移行後の現場の反応は、劇的に変わった。
定量的な効果として最も大きかったのは「一括承認機能」による業務の効率化だ。異常値や未入力が自動で可視化されるため、管理者が全枚数を目で追う必要がなくなり、問題のない帳票は一括で承認できるようになった。進藤氏は、その効果を次のように語る。
「以前は日報の確認とサインのために残業をしていましたが、確認作業にかかる時間が従来の1/8ほどに激減しました。今ではほとんどの管理者が定時で退社できるようになっています」(進藤氏)
さらに、カミナシ レポートの導入は現場の従業員の意識にも良い影響を与えている。
「記入漏れがなくなったことで、再提出のやり取りという無駄な時間が消えました。また、日々の記録が業務の一環としてスムーズに組み込まれたことで、従業員が時間を逆算して業務を進めるようになり、現場の自己管理能力が引き上がったと感じています」(進藤氏)
カミナシ レポートは、離れた拠点を管理する上でも役立っている。千歳の工場にもカミナシ レポートを導入しており、小竹氏は「わざわざ現地に足を運んだり、電話で状況を聞いたりしなくても、手元の端末から離れた工場の進捗をリアルタイムで確認できるのは非常にありがたいです」(小竹氏)
高度な品質管理と、多様な人材が活躍する環境づくり。
さらなるDXを見据えた未来
カミナシ レポートによって適正な管理業務の基盤を築いた佐藤水産は、次なる展望を見据えている。現在は海外流通を担う部署を新たに立ち上げ、海外向けの商品開発と販売を進めている段階だ。輸出が軌道に乗った先には、食品安全マネジメントシステムの国際規格FSSC22000の取得も選択肢の一つとして見据えている。写真で確実な証拠を残せる記録は、取引先のバイヤーに対する安全性と信頼性の証明にも直結している。
北海道の豊かな海産物を全国へ、そして世界へ。従業員が働きやすい環境への投資を惜しまない佐藤水産の躍進は、これからも続いていく。
※本内容は2026年6月現在のものになります。
※記載の会社名、各種名称等は、弊社および各社の商標または登録商標です。


導入事例一覧に戻る





