品質管理システム(QMS)とは?選び方や有効活用方法を成功事例とともに解説!
品質管理システム(QMSソフト)とは
品質管理システム(QMSソフト)は、その名の通り品質管理業務を効率化するとともに、よりレベルの高い業務を行うためのソフトウェアやツールのことです。
システムによって機能は異なりますが、以下のような機能を備えているものが多いでしょう。
帳票作成 |
データを記録するための帳票を作成する機能。システムによってはテンプレートが用意されていたり、近年ではプログラミングなどの知識がなくても帳票アプリが作成できるノーコードツールなども出現。 |
データの記録・収集 |
電子デバイス上での記録が可能。システムによっては写真等の記録が残せたり、IoT連携が可能なものも。システム化によって情報の信憑性の向上やリアルタイム共有を実現できる。 |
異常・逸脱検知 |
異常値が記録された際に、リアルタイムに管理者などに通知する。抜け・漏れなどのヒューマンエラーを防止する機能も。 |
集計・分析 |
今まで人の手でExcel等で行っていた集計・分析を自動で実行。問題箇所の発見や傾向把握をスピーディに行うことができる。 |
確認・承認 |
システムの管理画面上で記録の承認作業が可能。 差し戻し等のやり取りもデジタルコミュニケーションで完結するため、問題解決までの時間もスピーディに。 |
監査 |
内部監査等の記録や改善指摘箇所の一覧化が可能。 指摘箇所の改善結果まで追えるシステムも。 |
品質管理システム(QMSソフト)の導入メリット
カミナシでは全国さまざまな工場にて品質管理システムとしてご利用いただいていますが、今でも製造業における品質管理業務の多くが紙の帳票をベースに実施されているところをお見受けします。紙ならではの課題によって業務効率化が進まないと頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
例えば食品宅配市場のパイオニアである株式会社ヨシケイ埼玉さまの事例では、カミナシによる品質管理業務のデジタル化によって年間2万枚以上の紙の削減をするとともに、管理者負担の軽減を実現されています。
品質管理システム(QMSソフト)を導入することによるメリットは、主には以下です。
- 品質管理業務の効率化やデータの一元管理の実現
- より正確な品質管理データの収集
- ペーパーレス化によるコストや管理の手間の削減
品質管理業務の効率化やデータの一元管理の実現
まず最初に、品質管理システム(QMSソフト)によって品質管理業務の効率化や属人化の解消が見込めます。
例えば点検データなどを紙で記録していた場合、集計するためにはエクセルなどへの転記作業を必要とします。しかし、ソフトウェアに直接データを入力すれば、そのような付帯業務は必要なくなり、集計や傾向分析なども容易にできるようになるでしょう。
さらにエクセルでデータを管理している場合、複数のエクセルファイルが出来上がり、マスターデータの所在がわからなくなってしまうことがあります。
ソフトウェアによる管理によって、情報の一元化を実現し、過去のデータの閲覧なども容易に行うことができるようになるでしょう。
より正確な品質管理データの収集
システムを利用することによって、品質管理のデータをより正確かつ詳細に記録・収集することが可能になります。
たとえばソフトウェアによってはスマートフォンやタブレットで入力を行うことができるため、端末のカメラを使い、現場の写真を取ることもできるようになります。
それによって、現場の状況を遠隔で詳細に把握することができ、品質管理業務のレベルアップを目指すことができるでしょう。
ペーパーレス化によるコストや管理の手間の削減
もちろん、品質管理システム(QMSソフト)の導入によって紙帳票の利用がなくなるため、運用や管理のコストも削減することができます。
品質管理業務では大量の紙帳票を利用するため、システムを導入することで年間数万枚〜数十万枚もの紙を削減することが可能な場合もあります。
ファイリングの手間や帳票を保管するための場所代(家賃)も削減することができるでしょう。
品質管理システム(QMSソフト)の選び方とポイント
品質管理システム(QMSソフト)は、自社にあったものを選べるかがとても重要です。自社の業務にそぐわないソフトウェアを選んでしまった場合、有効に活用することができません。
品質管理システム(QMSソフト)の選定ポイントは以下です。
- “現場にとって” 使いやすいソフトウェアか
- 自社の業務に合わせて柔軟にカスタマイズや拡張ができるか
- サポート体制が充実しているか
“現場にとって” 使いやすいソフトウェアか
最も重要なポイントは「“現場にとって” 使いやすいソフトウェアか」という点です。
システムやソフトウェアの導入の際によくあるのが「導入する方」と「実際に利用する方」が違うという問題です。
この場合、導入の際に実際の利用シーンが具体的にイメージできておらず、運用段階になって全く自社の業務に合わなかった、ということが起こり得ます。
品質管理システム(QMSソフト)を選ぶ際には、利用する現場の方に導入プロジェクトにしっかりと入っていただき、共同で選定を行うことが重要です。
柔軟なカスタマイズ性や拡張性
品質管理業務は、会社によって管理項目やフォーマットが異なる場合がほとんどです。パッケージ化されたソフトウェアでは、自社の業務にマッチせずに活用が進まない場合があります。
また、カスタマイズに時間やコストがかかってしまうものもあります。検査項目をカスタマイズするのに数ヶ月、数百万とかかってしまってはスピーディに業務を改善することもできず、顧客の信頼を損ねることにもつながります。
修正が必要なタイミングで、すぐにカスタマイズや拡張ができるシステムを選ぶと良いでしょう。
例えば「信州プレミアム牛」をはじめとする銘柄肉を豊富に取り扱う精肉卸を軸に、食肉加工やECサイト事業も展開する吉清グループさまでは、「どれだけ楽にできるか」を特に重視してカミナシをお選びいただき、記録帳票のひな形作成の時間は「30分程度。パソコンに慣れている人なら5〜10分でできると思います」と仰っていただいております。
サポート体制が充実しているか
導入したばかりの新しいソフトウェアは「使い方がわからない」「デジタルツールへの嫌悪感」など様々な理由で活用が進みません。ただ品質管理システム(QMSソフト)を導入しただけでは、品質管理業務の改善は見込めないのです。
そのため、ソフトの提供会社がどのようなサポートをして、活用までしっかり伴奏してくれるのか、見極めることも重要でしょう。
品質管理システム(QMSソフト)は、自社の現場ニーズや業務内容、信頼性や使いやすさなどを考慮し、慎重に選ぶことをおすすめいたします。
品質管理システム(QMSソフト)導入・活用のポイント
品質管理システム(QMSソフト)を有効活用するためには、現場にしっかりとシステムと運用を浸透させる必要があります。
そのためには、以下のポイントを意識することが重要です。
- 現場のニーズを把握し、自社にあったシステムを選ぶこと
- 現場の方だけでなくマネジメントの方も推進プロジェクトに携わること
- 導入後のサポートが充実しているシステム・ソフトを選ぶこと
現場のニーズを把握と自社にあったシステムの選定
まず最初に、現場のニーズをしっかりと把握する必要があります。
「現場でどのような課題が発生しているのか」「どの業務に時間やリソースを割いていて、削減すべき部分はどこなのか」などです。
品質管理システム(QMSソフト)を実際に利用する方は現場の方ですので、現場を起点にシステムの検討を行うことが重要です。
現場課題を把握したら、自社の業務や課題にあったシステムを選定していきます。
前述した通り、「”現場にとって”使いやすいソフトウェアか」「自社の業務に合わせてカスタマイズがしやすいか」などの視点で、活用を見据えた選定基準を設定しておくことが必要でしょう。
マネジメントの方も推進プロジェクトに携わる
システムやソフトウェアの導入に際しては、現場の方、経営やマネジメントの方のどちらが欠けても成功しません。
新しいプロジェクトやシステムを導入する際には、時には強いリーダーシップも必要です。品質管理システム(QMSソフト)の重要性を伝え、活用に向けて積極的な働きかけがあってこそ、システムの導入が成功するのです。
現場のニーズや課題を把握し、システム選定基準や業務への落とし込みを行う現場推進リーダーと、経営的なコストやROIの判断を行う経営の両輪が噛み合って初めて導入が成功するのです。
実際に品質管理システム(QMSソフト)の導入に成功された、味噌やあま酒をはじめとする糀食品を製造している株式会社宝来屋本店さまでは、取締役の方も推進プロジェクトに携わり、方針や導入の意思決定を行われています。
導入初期だけではない継続的なシステムサポート
品質管理システム(QMSソフト)の導入後も、機能の理解や活用の成功パターンを知るためにも、システム会社のサポート体制が充実していることは極めて重要なポイントです。
品質管理体制の強化や業務の効率化という目標に対して、しっかりと伴走してくれる会社を選定することで、目標達成までの近道となります。
サポート体制については、以下の視点で判断すると良いでしょう。
- 導入時に、機能理解のための手厚いレクチャーやサポートはあるか
- 導入完了後も、活用の幅を広げるためのサポートプログラムはあるか
- ヘルプページやチャットサポートなど、疑問を素早く解決できる体制があるか
サポート体制は、導入時のみ充実していてもあまり意味がありません。システムを導入した後も会社の状況や現場の業務も変化していくため、そこに対応していくためにはシステムや仕組みもカスタマイズしていく必要があります。
そのような際、サポート体制が充実していなければ長期的に活用をしていくことは難しくなる可能性がありますので注意しましょう。
品質管理システム(QMSソフト)は、ただ導入しただけでは品質管理の強化や業務削減を実現することはできません。
選定のポイントを把握し、推進体制をしっかりと構築したうえで導入していくことをおすすめいたします。
QMS(品質管理システム)に関する規格・認証
上記では、品質管理をより強化するためのシステムについてご紹介いたしました。
ここからは、一般的に知られている品質管理の規格についていくつかご紹介します。
以下のような規格を取得することで、第三者機関や団体から品質に関して高い水準を保つ体制やオペレーションを整えることができていると認められた証になります。
これらの取得は、顧客からの信頼を獲得するとともに、新規の顧客を開拓することにもつながってきますので、ぜひ検討してみてください。
ISO「International Organization Standardization(国際標準化機構)」
ISOは、もっとも一般的な規格の一つでしょう。
特にISO9001は世界170カ国、100万以上の組織が利用しているQMS(品質管理システム)の規格です。
ISO9001は「組織(会社など)が提供する商品やサービスの品質向上」目的としており、「顧客満足」を満たすための継続的な業務プロセス改善をしていく仕組みを運用し続けることが肝要な規格となります。
製品やサービスの種類に関わらず、いわゆるQCDのバランスをとり、顧客に対する満足度向上を目指すQMS(品質管理システム)です。
また、ISO22000は食品安全に関するマネジメントシステムとして、食品製造業などを中心として取得されている規格です。上述したISO9001と食品の品質管理手法であるHACCPを掛け合わせた規格であり、食品に関するQMS(品質管理システム)と言えるでしょう。
JIS「Japanese Industrial Standards(日本産業規格)」
JIS規格は、産業製品に関する規格などを定めた日本独自の国家規格です。
品質管理システムに当たるのはJIS Q 9001となります。
JIS Q 9001は前述のISO9001を日本語訳したもので、世界規格であるため英文で策定されているものを、日本で円滑に利活用する目的として発行されています。
よって、JIS Q 9001の要求事項を満たすことでISO9001の認証も取得することができます。
FSSC22000「Food Safety System Certification 22000」
FSSC22000は、食品安全のためのマネジメントシステムです。
この認証はグローバルな食品安全に関わる承認機関であるGFSIからも認められている規格であり、日本でも高い食品安全マネジメントができていることの証憑としてポピュラーなものでしょう。
この規格は前述のISO22000にHACCPの考え方を追加し、管理手法等をより厳密化したものでです。
日本国内はもちろん、海外に向けて拡販を考えている食品企業は、こちらの認証を習得している会社も多いでしょう。
SQF「Safe Quality Food」
SQFも食品安全に関するマネジメントシステムです。
FSSC22000との違いとしては、FSSC22000はマネジメントシステムを認証する規格であり、SQFは製品の品質に対する認証規格であることです。
そのためSQFは特定の製品に対して認証取得が可能であり、取得した製品にはSQFの認証マークを貼付することが可能になります。
品質管理システム(QMSソフト)の導入に成功した事例
実際に品質管理システム(QMSソフト)を導入し、成果が出た事例を3つご紹介します。
「本当に成果がでるのか」「運用のイメージが湧かない」「未経験でも活用できるのか」と不安を抱いている方の参考になれば幸いです。
HACCP対応で複雑化した品質管理を効率化し、75%の作業時間削減を実現!
食肉卸・加工・販売を行う群馬ミート株式会社では、2021年6月からのHACCP完全義務化に対応するなかで、製造部や品質管理部、管理職など、複数の領域が業務負担に悩んでいました。
ラベルの運用や記入ミスや記入漏れの確認など、紙での運用による負荷が課題になっていたのです。そこで作業記録を電子化できるシステムの導入を検討しはじめ、カミナシを導入いただきました。
検品記録、細菌検査、拭取り検査、落下菌検査など、さまざまな記録をカミナシに置き換え、年間に10,000枚以上の用紙削減などの成果を実現しています。
詳細はこちら:HACCP対応で複雑化した品質管理をカミナシで効率化し、75%の作業時間削減を実現
あきらめず目指した品質管理の向上、製造工程のトレースも実現
徳島銘菓「マンマローザ」を提供し、県内9店舗を展開する老舗洋菓子メーカーの株式会社イルローザでは、売上拡大を目指すための一つとしてトレーサビリティの強化を課題としていました。
それまではトレースシステム実現のためのコストのハードルが高く、システム化の検討を重ねては立ち消えとなっていました。そんな中、外部開発顧問からカミナシを紹介され、HACCP対応のためのツールとして使えるほか、課題だったトレースも実現できることがわかり導入を決定いただきました。
カミナシ導入後は問題原因のトレースやチェック項目の抜け・漏れの解消だけでなく、業務スピードも速くなったといいます。
詳細はこちら:あきらめず目指した品質管理の向上、カミナシ導入で製造工程のトレースも実現
なぜ品質管理システム(QMSソフト)としてカミナシが選ばれるのか
現場DXプラットフォーム『カミナシ』は、品質管理業務の効率化や属人化の解消、さらには業務のレベルアップに活用できるソフトウェアです。
デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社が発行した市場調査レポート『デスクレスSaaS市場の実態と展望 2024年度版』の「ノーコードモバイル帳票作成ツール市場」において、プロセス製造業への出荷金額のシェア第1位を獲得しています。
工場の元責任者が考えた「現場が使いやすいシステム」
カミナシは、工場で実際に働いた経験から、現場課題を解決するために作られた品質管理システム(QMSソフト)です。
現場の方が「理解しやすい」「間違えない」「紙よりも簡単に記録できる」ように作られているため、今までデジタル化に抵抗があった方でもスムーズに活用いただくことができます。
さらに、40カ国以上に対応した多言語翻訳機能によって、海外実習生などを多く受け入れている企業でも活用が進んでいます。
2024年6月現在、全国10,000現場で導入が進んでおり、多くの現場の品質管理業務の効率化を実現しています。
自社の現場アプリが専門知識不要で作れるカスタマイズ性の高さ
カミナシはクリックだけで簡単に自社専用のアプリが作れる品質管理システム(QMSソフト)です。
プログラミングなどの専門知識が不要なので、システムの変更・修正が必要な際にも、自分たちでスピーディに対応が可能です。
実際に、カミナシの約96%のお客様は、IT部門の方ではなく品質管理部門や製造部門などの方がアプリの作成から運用までを部門内で完結して推進できています。(当社調べ)
「はい」「いいえ」などの簡単な選択肢や写真の撮影など、様々な項目を組み合わせることができるので、自社の業務にあった品質管理システム(QMSソフト)を実現することができるでしょう。
「導入支援プログラム」と「活用支援プログラム」による手厚いサポート
カミナシでは、導入から3ヶ月間の「導入支援プログラム」と4ヶ月目以降の「活用支援プログラム」を用意しています。
専門の支援担当が、お客様1社ごとに最適な活用提案を行い、品質管理業務の効率化やレベルアップを実現するために伴走いたします。
全国10,000現場での導入経験から得られた、成功に近づくためのポイントもお伝えいたしますので、安心して品質管理システム(QMSソフト)導入を実現いただけます。
実際に青果卸事業を展開する有限会社かねやまさまでは、他のソフトでは実現できなかったことをカミナシでは実現できたためにシステムの切り替えを行ったと仰っていただいております。
品質管理システム(QMSソフト)導入にお困りの方はお気軽にお問い合わせください。