製造業において生産ラインが短時間停止するチョコ停はよくあるトラブルの一つです。このような停止が何度も繰り返されることで、大幅な時間のロスや長時間の生産停止、重大事故などにもつながる可能性があります。その結果、納期遅延や売上減少、会社の信用問題にまで発展するリスクがあるため注意が必要です。
本記事ではチョコ停の概要と、主な発生原因や対策をわかりやすく解説します。頻繁に発生するラインの停止を防いで生産ラインの稼働率を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
チョコ停やドカ停を削減するために企業が実践した事例や役立つツールをまとめた資料は、以下のボタンより無料でダウンロードできます。気になる方はぜひご覧ください。

目次チョコ停とは
チョコ停(ちょこっと停止)とは、製造業において、機械や設備が短時間(数10秒〜数10分程度)停止することを指します。別名、空転ロスとも呼ばれます。
チョコ停は、JIS(日本産業規格)にも登録されている生産管理用語の一つです。「小故障」として位置づけられています。
設備が生産ラインなどの大規模なシステムの一部となっていて,システム全体を停止に至らしめるような重大な故障又は停止が長期間に渡り企業活動に決定的な影響を与える故障を大故障(通称として,ドカ停),逆に設備の部分的な停止又は設備の作用対象の不具合による停止で,短時間に回復できる故障を小故障(通称として,チョコ停)という。
出典:日本産業標準調査会ウェブサイト(https://www.jisc.go.jp/index.html)
チョコ停は、生産活動に大きな影響を与えないことに加え、ベテランの勘や経験によって解決できることが多く、情報が共有されにくい傾向があります。そのため製造現場から設備保全担当へ正しく報告が上がらずに、小さなトラブルが明確になりにくい傾向があります。チョコ停を放置すると将来的に大きなトラブルに発展するおそれがあるため、軽視するとリスクがあります。
チョコ停とドカ停の違い
チョコ停以外のライン設備の停止トラブルとして、ドカ停があります。ドカ停(ドカっと停止)は、復旧までに1時間以上を要する大規模な設備停止を指します。
そのためチョコ停とドカ停の違いは、停止時間の長さが明確に違います。また機械や設備が停止したあとの対応も異なります。チョコ停の場合は、現場の従業員だけでも対応できることもありますが、ドカ停のように1時間以上の停止になると、設備保全担当が現場に来て、対応したり、機械や設備のメーカーへ問い合わせ対応をしてもらったりする必要があります。
ドカ停については、以下の記事でより詳しく紹介しているので、あわせてお読みください。▶︎ ドカ停とは?定義や発生原因と対策、チョコ停との違いを解説
チョコ停で発生したロスの計算方法
チョコ停の影響を可視化するには、設備の生産能力に対して、どのくらい生産できたかを示す指標である生産ラインの稼働率を求めます。通常の稼働率を求める計算式は、実稼働時間から稼働予定時間を割ることで求められます。
稼働率(%)=実稼働時間÷稼働予定時間
しかしチョコ停が発生した場合は、稼働予定時間チョコ停が発生していた時間分を引いた値で実稼働時間を割ることで求められます。
チョコ停の影響を含めた稼働率(%)= 実稼働時間÷(稼働予定時間+チョコ停発生時間)
通常の稼働率から、チョコ停が発生したときの稼働率を引くことでチョコ停の影響による稼働率の低下度合いが測れます。
チョコ停による稼働低下率(%)=通常の稼働率(%)-チョコ停の影響を含めた稼働率(%)
チョコ停を含む製造業のトラブル「16大ロス」
チョコ停を含む製造業のトラブルは、「16大ロス」と呼ばれ、製造業において、日々発生しないように仕組みを整えています。16大ロスの名称と特徴を以下の表にまとめました。
名前 | 特徴 |
|---|---|
チョコ停ロス | ・予期せぬトラブルでライン設備が一時的に停止するロス |
管理ロス | ・原料調達を待つ時間、上からの指示を待つ時間、故障修理にかかる時間などで生まれるロス |
編成ロス | ・他の工程や作業台を待つときに起こるロス |
動作ロス | ・ライン設備のレイアウトにより、作業員の余分な動作や歩行などが発生するロス |
自動化置き換えロス | ・自動化が可能な作業をしていないことによって生じるロスで、手作業が発生することによるロス |
測定調整ロス | ・品質維持のための測定や設備調整にかかる時間やコストのロス |
故障ロス | ・機械や設備が故障することによって発生するロス |
シャットダウンロス | ・計画的な設備の停止や生産量が少ないものの製造を開始する際に発生するロス |
段取り調整ロス | ・製品の切り替え時に行う機械の設定変更や工具交換などの準備作業にかかる時間やコストのロス |
速度低下ロス | ・設備の設定スピードと実際の稼働スピードに差があると発生するロス |
立ち上がりロス | ・機械を作動させる際に、初期の品質が安定しないことにより起こるロス |
刃物交換ロス | ・工具や刃物の摩耗や劣化により、それらを交換する際に発生するロス |
不良手直しロス | ・不良品を修正、再生産する際に発生するロス |
エネルギーロス | ・設備を稼働させるために必要な電気や燃料、ボイラーで発生する熱、エアー圧や排水などのロス |
歩留まりロス | ・使用した原材料に対し、良品として生産できなかった分のロス |
型・治工具ロス | ・製品を作るために必要な治具、工具、金型などの補修にかかる時間や金銭的コストによるロス |
製造業のトラブル「16大ロス」の名称と特徴
チョコ停の発生原因
チョコ停の発生原因には、主に以下のようなものがあります。原因を把握し、適切な対策、対応を取ることで、チョコ停の発生確率を減らせます。
機械・設備の清掃やメンテナンス不足
不適切なラインバランス
前工程での品質不良
センサーの読み取りエラー
ヒューマンエラー
機械・設備の清掃やメンテナンス不足
機械は埃や削りくずなどが貯まると動作が不安定になることがあります。そのため、こまめな清掃を怠り金属や木材の加工時に発生するくずが残ったまま作業を続けると、機械が正常に動かなくなるリスクがあるため注意が必要です。
また機械の継続使用により、部品は劣化します。定期的なメンテナンスを怠ると、摩耗した部品の交換が適切に行われず、動作異常が発生しやすくなります。これもチョコ停のリスクを高める原因の1つです。摩耗している部品はないか定期的にチェックし、適切に部品の交換を行いましょう。
不適切なラインバランス
製品や部品の流れる速度や量が適切に設計されていない場合、生産ラインが停止する原因になります。特に一部の工程で過負荷がかかると、ラインバランスが悪くなりやすくなります。
なるべく各工程の負荷が均一になるように、人員の配置や生産量の調節をしましょう。
前工程での品質不良
前工程で加工された材料の品質が低かったり、不揃いだったりすると、組み立てや加工が困難になります。その結果、再加工や調整が必要となり、チョコ停が発生するリスクが高まります。
対処方法として、材料や部品の品質にばらつきが出ないよう、製造過程での品質管理を徹底することが挙げられます。不良品をあらかじめ選別し、ラインに流れないようにするのも有効な対策です。
センサーの読み取り誤差
設備や機械に取り付けるセンサーは、太陽光の入り具合や経年劣化などの要因で精度が低下することがあります。一時的な読み取りエラーによるロスは、チョコ停の原因になりえます。
例えば、温度センサーが機械内部の過熱状態を検知できずに機械が停止する場合もあります。他にも光学センサーのレンズが汚れていると、誤ったデータを取得し、不適切な不良判定を出すこともあります。
ヒューマンエラー
ヒューマンエラー(人為的なミス)も、チョコ停の発生原因の一つです。例えば、作業員が誤ってボタンを押したり、手順を間違えたりすると、ライン設備が停止し、チョコ停が発生します。
ヒューマンエラーをゼロにすることは難しいですが、可能な限り減少させることはできます。そのためには、作業員の教育訓練を徹底し、標準作業手順書(SOP)を整備することが大切です。
ミスをなくすためには、チェックリストの活用も効果があります。チェックリストの使い方について詳しくは以下の記事をご覧ください。
▶ わかりやすいチェックリストの作り方を紹介!業務ミスや記録漏れをなくすための3つの工夫
作業ミスや異常の記録を正しく残し、再発防止につなげる

ヒューマンエラーを減らすには、作業中に起きたミスや異常の内容、その発生状況を正確に記録し、チームで共有して改善に活かせるようにすることが欠かせません。紙のチェックリストや個人メモでは情報が残りにくく、同じミスが繰り返され、チョコ停の再発や生産ラインの停止につながるリスクが高まります。
カミナシ設備保全では、現場からスマホで素早く記録し、そのままチーム全体に共有できます。紙やExcelに頼らず、“記録した瞬間から動ける”状態をつくりたい方におすすめです。
▼こんな方におすすめ
報告の抜け漏れや記入ミスを減らしたい
QRコードで設備ごとの記録をすぐ呼び出したい
現場と管理部門のやり取りをスムーズにしたい
チョコ停の対策・改善方法
チョコ停の対策・改善方法は主に3つあり、すべて実施し、日々改善していくことが求められます。一朝一夕で改善できるものではなく、従業員一人ひとりが意識的に取り組むことで徐々に減らせることなので、対策の周知も徹底しましょう。
チョコ停の発生状況を記録する
記録したデータから原因を分析する
作業員の教育訓練を徹底する
チョコ停の発生状況を記録する
チョコ停は数分程度で復旧できるため、発生状況を正確に把握できないことが多くあります。しかし、チョコ停の発生を防ぐためには、状況を細かく記録することが大切です。具体的に記録することは、ラインが停止した原因や発生時刻、復旧までにかかった時間などです。
繁忙期はライン稼働率を高めることが重視されますが、小さなチョコ停を見逃し続けると、いずれ大きなトラブルに発展するリスクがあります。チョコ停が発生した際には、その都度内容を把握し、共有できる体制を整えることが重要です。
チョコ停が発生した作業については、要因別チェックシートを用いて記録し、一番回数が多かった要因を特定する方法がおすすめです。この記録をもとに、どの要因を優先的に改善すべきかを判断できます。
例えば、過去の記録から特定の操作ミスが原因でチョコ停が多発していることがわかった場合、チェックリストを作成し、作業方法を随時確認することで対策が可能です。「機械が正しい設定になっているか?」や「バルブは閉じられているか?」のようなチェック項目用意し作業前の確認を徹底することで、チョコ停の発生を防げるようになります。
記録したデータから原因を分析する
チョコ停の発生データを基に、以下の3つのような分析手法を用いて原因を探ることも重要です。
4M分析
なぜなぜ分析
パレート分析
4M分析
4M分析とは、Man(人)・とMachine(機械)、Material(材料)、Method(方法)の4つの観点から改善策を導く分析方法です。
分析の観点 | 評価項目 |
|---|---|
Man(人) | ・従業員のスキルや研修状況 |
Machine(機械) | ・機械の性能 |
Material(材料) | ・原材料や部品の品質 |
Method(方法) | ・作業手順 |
例えば、不良品の発生がチョコ停の原因となる場合、4M分析で要因を洗い出すなら、Man(人)では作業員のスキル不足、Machine(機械)では機械の清掃や点検不足が影響していることが考えられます。
また、Material(材料)では品質のばらつきや、Method(方法)では不良品の判断基準が明確でないことが挙げられます。このような分析から、要因を明らかにし、具体的な対策を考えます。
4Mについては、以下の記事でより詳しく紹介しているので、あわせてお読みください。
▶︎ 製造業の品質管理で重要な4Mとは?各要素と活用方法を解説
なぜなぜ分析
なぜなぜ分析は、「なぜ」という問いを5回繰り返すことで問題の本質を明らかにする分析手法です。表面的な原因ではなく、根本的な原因を特定し、適切な対策を講じることを目的とします。
例えば、作業手順の誤りによってチョコ停が発生したとします。しかし、単に作業者のミスが原因だと考えるだけでは、根本的な解決にはなりません。なぜなぜ分析を行うことで、次のような原因が明らかになる可能性があります。作業者のミスを起点になぜなぜ分析をすると、以下のような要因を導き出せます。
指導するOJT(On the Job Training:職場内訓練)トレーナーによって伝え方が異なっていた
マニュアルが修正されておらず、最新の手順と異なっていた
マニュアルの更新が現場で共有されていなかった
このように単なる作業ミスではなく、マニュアル管理の問題が根本原因であることがわかれば、より適切な改善策を講じられます。
▶ なぜなぜ分析とは?失敗しないための効率的なやり方を使用事例を使って解説
パレート分析
パレート分析は、チョコ停の発生原因を特定し、優先的に対策すべき項目を明らかにするための手法です。棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた「パレート図」を活用することで、最も影響を与えている原因を可視化できます。
縦軸にチョコ停の発生回数、横軸に発生要因を設定し、棒グラフを作ります。このとき、チョコ停の原因を発生回数の多い順に左から並べることで、どの要因がライン停止の主な原因になっているのかが一目でわかるのです。影響の大きい要因を特定し、優先的に対策を講じることができます。
作業員の教育訓練を徹底する
チョコ停を防ぐためには、作業員の教育訓練を強化し、ヒューマンエラーを最小限に抑えることも重要です。特にOJTによる教育では、指導方法や内容が教育担当者により異なるため、作業員の理解にばらつきが生じやすいという課題があります。このような状態では手順ミスが発生しやすく、結果としてチョコ停につながるリスクが高まります。
対策として、教育内容の統一と作業手順の標準化があります。例えば、各現場の作業に合わせた詳細な手順書を作成し、作業員が正しい方法を確実に身につけられる環境を整えることも1つの手段です。また動画マニュアルを活用することで、視覚的にわかりやすい教育を行えます。
さらに教育は一度きりではなく、定期的に理解度をチェックしながら継続することが大切です。正しい手順を学んでも、実際の現場で繰り返し確認しなければ、時間とともに忘れてしまう可能性があります。

「現場では稼働率、経営層はROI。目標がかみ合わず、改善が空回りする…」このような悩みの多くは、役職ごとに重視するKPIが異なり、連携できていないことが原因です。
そこで有効なのが、KPIを「役職別ピラミッド構造」で整理し、全体で一貫性ある目標設計を行うアプローチです。
本資料では、OEE・MTTR・点検実施率などの重要指標とその活用法を体系的に紹介。
分断されたKPIをつなぎ、現場と経営をつなぐヒントが得られます。
チョコ停とは何かを把握し対策を実施しよう
チョコ停とは、主に製造業などのライン設備がわずかな時間のみ停止してしまうトラブルのことです。原因には、設備の清掃やメンテナンス不足や作業員のボタンの押し間違いなどのヒューマンエラーが挙げられます。
対策としては、チョコ停の発生を記録・分析しつつ、従業員の教育を徹底することが求められます。チョコ停の発生を正確に記録したいときは、カミナシ 設備保全のような現場の従業員がすぐに記録ができるサービスを活用するのがおすすめです。チョコ停を予防し、ライン設備の稼働率を向上させましょう。
「カミナシ 設備保全」なら設備の情報を一括管理できる
チョコ停を防ぐには、設備の状態を正確に把握して適切な保全を行うことが重要です。しかし手書きで記録を管理すると、業務量が増加し、記録漏れが発生しやすくなります。
そこでカミナシ 設備保全を活用すれば、保全計画や部品管理、修理履歴などの設備情報をデジタル化して一箇所に集約することが可能です。さらに、見逃されがちなチョコ停も、現場からスマートフォンで簡単に報告が行えます。チョコ停の情報共有がスピーディーになり、過去の発生状況を記録・分析することで、根本的な原因の特定も可能になります。
カミナシには動画マニュアルを簡単に作成できるサービス(カミナシ 教育)もあるため、設備管理と教育の両面からアプローチしチョコ停の発生を防ぎ、工場の稼働率向上を考えている方にはおすすめです。























