予防保全を始める場合や現在の予防保全の体制を見直そうとして費用を見積もると、何にいくらかかるのかが意外に見えないものです。内製と外注のどちらが安いのかも、時間単価や契約料を並べただけでは判断できません。教育や移動、記録の手間といった費用が抜けたまま比べると、始めた後に「思ったより高い」と気づくことになります。
なお、「そもそも予防保全に切り替えるべきか」という判断は、「【試算シミュレーター付き】事後保全と予防保全のコスト比較。自社設備に最適な保全方式の選び方」の記事で解説しています。本記事では、予防保全を実施する前提のもと、誰が実施し、どのように管理するかで費用がどう変わるかに絞って紹介します。
見積もりに含めるべき費用の内訳、実施主体別と管理方法別の費用比較、自社に合う体制の判断基準、費用を抑えて続ける方法の順に解説します。内製・外注・併用の年間総費用を同じ条件で見積もり、自社の設備と人員に合う体制を選べるようになれば幸いです。
目次- 予防保全の費用は実施主体と方法で変わる
- 予防保全にかかる費用の内訳
- 人・技能:点検・交換作業の人件費と教育費
- 部品・工具:部品・消耗品・工具の費用
- 外注・契約:外注・契約・出張の費用
- 停止・管理:計画停止・記録管理・システムの費用
- 誰が実施するかで予防保全の費用を比較
- 自社(内製)
- 設備メーカーや保全会社へ外注する
- 診断・法定点検などを専門業者へ依頼する
- 内製と外注を組み合わせる
- 方法別の予防保全の費用を比較
- 紙の点検表で管理する
- Excelで管理する
- 保全管理システムを活用する
- 状態監視を組み合わせる
- 予防保全の実施体制を決める判断基準
- 設備の重要度・台数・拠点数
- 社内の人数・技能・資格
- 故障頻度・部品調達・停止時間
- 支援範囲・連絡体制・記録の引き継ぎ
- 予防保全の費用を抑えて継続する方法
- 重要設備から優先して始める
- 実績に基づいて周期と作業内容を見直す
- 内製と外注の役割を分ける
- 小規模に試し、年間総費用と効果を測る
- 実施主体と管理方法を決めて予防保全の費用を見極めよう
予防保全の費用は実施主体と方法で変わる
予防保全の費用は、内製か外注かの二択で決まるものではありません。「誰が実施するか」と「どのように管理するか」の掛け合わせで決まります。同じ設備でも、この組み合わせしだいで年間の総費用は大きく変わります。
誰が実施するかでは、自社の担当者、設備メーカー、保全会社、専門業者、そのいずれかの併用によって、費用の構成が変わります。内製なら人件費や教育費、外注なら契約料や出張費、緊急対応費が中心になり、単価の高い安いだけでは比べられません。
どのように管理するかでは、紙の点検表、Excel、保全管理システム、状態監視機器のどれを使うかで、導入時の費用と、入力・集計・保守にかかる継続的な負担が変わります。初期費用が小さい方法ほど、日々の工数という見えにくい費用がかかる傾向があります。
そのため、体制を決める前に、まず費用の全体像をそろえることから始めます。以降で、見積もりに含める費用の内訳を整理し、その上で実施主体別、管理方法別に比較していきます。
予防保全にかかる費用の内訳
予防保全の見積もりでは、目に付きやすい費用だけを拾うと、実際に始めてから差額が膨らみます。見積もりに含める費用と見落としやすい費用を、見積もり時の確認点とあわせて以下の表に整理しました。
費用区分 | 主な項目 | 見落としやすい項目 | 見積もり時の確認 |
|---|---|---|---|
人・技能 | 点検、交換、記録、教育、資格 | 移動、立ち会い、代替要員、引き継ぎ | 社内人件費も時間単価×工数で計上する |
部品・工具 | 交換部品、消耗品、測定器、校正 | 送料、特急手配、保管、廃棄 | 計上時点を購入か使用かでそろえる |
外注・契約 | 定期契約、スポット点検、技術料 | 出張、緊急対応、報告書、再委託 | 対象範囲と追加料金を契約前に確かめる |
停止・管理 | 計画停止、日程調整、記録・集計 | 端末、初期設定、連携、保守 | 初期費用と継続費用を分けて年間化する |
予防保全の見積もりで見るべき項目・見落としやすい項目
内製と外注の費用差は、実は「見落としやすい項目」の列に表れます。ここを含めずに比べると、安く見えた体制ほど後から費用が増えます。ここからは、4つの区分を順に説明します。
人・技能:点検・交換作業の人件費と教育費
人件費には、点検や部品交換の作業時間だけではなく、記録の作成、現場間の移動、外注作業への立ち会い、新しい担当者への引き継ぎまで含めます。担当者を育てる教育や資格取得の費用も、内製を続けるかぎり発生する費用です。
社内の担当者が作業するから費用はかからない、という整理は禁物です。社内人件費をゼロとして外注と比べると、内製が実際より安く見え、判断を誤ります。
作業時間に加えて移動や記録の時間まで工数に含めると、外注費と同じ土俵で比べられます。
部品・工具:部品・消耗品・工具の費用
部品・消耗品には、定期交換部品、潤滑油、フィルターなどの実費に加えて、測定器の購入や校正の費用も含まれます。見積もりから抜けやすいのは、部品の送料や特急手配の費用、予備品の保管、交換後の廃棄にかかる費用です。
もう1つ決めておきたいのは、費用を数える時点です。部品を購入した時点で数えるのか、実際に使用した時点で数えるのかで、月々の金額は変わります。どちらでもかまいませんが、体制の比較に使うなら同じ扱いに統一します。
外注・契約:外注・契約・出張の費用
外注費は、契約書に書かれた金額がすべてではありません。定期契約とスポット点検のどちらか、技術料や出張費、交通費・宿泊費、緊急対応の割増、報告書作成がどこまで含まれるかを確認します。範囲外の作業が発生するたびに追加費用がかかる契約では、年間の実額が見積もりを超えていきます。
契約を検討するときは、次の2点を押さえておくと比較しやすくなります。
包括契約とスポット契約で費用構造が変わる(包括は定額で対応範囲が決まり、スポットは依頼のたびに都度払いになるため、依頼の頻度で総額の有利不利が変わる)
見積もりは複数社を比較するとよい(同じ条件をそろえた上で、金額と対応範囲を見比べる)
この2点をそろえてから金額を比べると、契約後の想定外の出費を減らせます。
停止・管理:計画停止・記録管理・システムの費用
計画停止の費用は、点検のために設備を止めている時間と、生産計画の調整の手間として発生します。停止をともなう点検が多いほど、作業費以外の影響が大きくなります。
記録・管理の費用には、点検結果の記録と集計の工数、管理に使うシステムのライセンス、端末、初期設定、他システムとの連携、保守を含めます。この区分は管理方法によって金額の構造が大きく変わるため、後述の管理方法別の比較で詳しく扱います。
誰が実施するかで予防保全の費用を比較
実施主体は、内製、設備メーカーや保全会社への外注、専門業者への依頼、それらの併用に分かれます。
一般的には、点検頻度が高く手順を標準化しやすい作業ほど内製が有利になりやすく、低頻度で専門性や資格が必要な作業ほど外注が有利になりやすい傾向があります。
ただし、内製は人件費を時間単価 × 工数で計上し、外注は契約範囲外の追加費用まで含めて比べることが前提です。年間総費用、専門性、対応の速さ、社内の負担がそれぞれ異なるため、まず以下の表で全体を見比べられるようにしました。
実施主体 | 主な費用 | 強み | 注意点・適するケース |
|---|---|---|---|
自社(内製) | 人件費、教育、資格、工具、手順整備 | 日常の変化を捉えやすく、日程調整しやすい | 属人化と要員確保に注意。頻度が高く標準化しやすい作業に向く |
メーカー・保全会社 | 契約料、点検料、部品、出張、緊急対応 | 対象設備の知識と部品調達 | 対象範囲・対応時間・追加料金を確認。メーカー固有の設備に向く |
専門業者 | 診断、測定、校正、資格作業、報告 | 専門技術と第三者評価 | 診断結果を日常の保全へ反映する担当が必要。低頻度で専門性の高い作業に向く |
併用 | 内製費+外注費+連携・管理の工数 | 頻度と専門性に応じて分担できる | 窓口・判断基準・データ共有の明文化が必要。設備が多様な現場に向く |
実施主体別の主な費用と注意点
どの主体にも強みと注意点があり、費用の安さだけで選ぶと運用が続きません。自社の設備と人員に照らして、次の各項を確認していきます。
自社(内製)
自社(内製の費用は、担当者の人件費を中心に、教育、資格取得、工具、手順書の整備、担当者が不在のときの代替要員の確保で構成されます。設備のそばに担当者がいるため、日常の変化に気づきやすく、生産に合わせた日程調整がしやすいことが強みです。
一方で、作業が特定の人に依存する属人化、専門性が必要な診断への対応、繁忙期に点検が後回しになる未実施、退職や異動による技能の喪失が代表的なリスクです。内製を選ぶなら、手順書と記録で技能を共有し、1人に依存しない体制まで含めて費用を見積もります。
設備メーカーや保全会社へ外注する
外注の費用は、契約料、点検料、部品代、出張費、緊急対応費、報告書作成費で構成されます。対象設備を熟知したメーカーなら、交換部品の調達や保守手順の面で心強く、自社に専門人材がいなくても一定水準の保全を維持しやすくなります。
確認しておきたいのは契約の範囲です。対象設備はどこまでか、受付時間と駆けつけまでの対応時間、作業の再委託の有無、範囲外作業の追加料金を事前に確かめます。ここが曖昧なまま契約すると、緊急時に想定外の費用と待ち時間が発生します。
診断・法定点検などを専門業者へ依頼する
専門業者への依頼は、振動や絶縁などの精密診断、測定器の校正、資格が必要な法定点検、第三者としての報告が対象になります。費用は診断・測定・校正・資格作業・報告書の単位で発生します。自社にない専門技術と、利害から独立した評価を使えることが価値です。
注意したいのは、診断結果を受け取って終わりにしないことです。結果を日常の点検計画へ反映する責任者を決めておかないと、費用をかけた診断が改善につながりません。
内製と外注を組み合わせる
内製と外注の併用は、日常点検と故障時の一次対応は内製で行い、精密診断、大規模な整備、法定点検は外注する、というように頻度と専門性で分ける方法です。多くの現場にとって現実的な選択肢ですが、内製費と外注費に加えて、両者をつなぐ連携・管理の工数がかかることを見落とせません。
分担を決めるときは、連絡窓口、外注を呼ぶ判断基準、点検データの共有方法、緊急時の役割を文書で明確にします。ここが口頭のままだと、故障時に「どちらが対応するのか」で時間を失い、停止の損失が費用差を打ち消します。
方法別の予防保全の費用を比較
方法は、紙の点検表、Excel、保全管理システム、状態監視の4つに大きく分けられます。比較のポイントは初期費用だけではなく、入力・集計・更新・教育・連携といった継続的な負担まで含めることです。向き不向きとあわせて、以下の表に並べました。
方法 | 初期費用・準備 | 継続負担 | 向く状況・注意点 |
|---|---|---|---|
紙 | 小さい・帳票の作成・印刷 | 配布、回収、転記、保管、検索、集計 | 小規模で定型の点検に向く。設備・拠点が増えたときの工数に注意 |
Excel | 小さい・台帳・様式の作成 | 入力の統一、版管理、集計、権限、マクロ保守 | 少人数・限られた範囲に向く。管理者への依存に注意 |
保全管理システム | 一定の金額が必要・台帳整備、初期設定、端末、連携、教育 | ライセンス、入力、運用管理、保守 | 複数の設備・拠点に向く。現場が入力できるかを小規模に試して確認 |
状態監視 | 一定の金額が必要・センサー、通信、設置、解析の設定 | データ確認、しきい値・モデルの更新、保守 | 重要設備に向く。検知後の点検・判断の手順が必要 |
予防保全にかかる費用(初期、ランニングコスト)、注意点
初期費用と継続負担は、おおむね逆の関係にあります。始めやすい方法ほど日々の工数がかかりやすく、初期投資が大きい方法ほど日々の負担を抑えやすくなります。自社の設備数と拠点数を念頭に、4つの方法を順に見ていきます。
紙の点検表で管理する
紙の点検表は、帳票を作って印刷すればすぐ始められ、初期費用を小さく抑えられます。機器の操作を覚える必要がないため、教育の負担も軽くなりやすい方法です。
その分、費用は運用の工数として現れます。帳票の配布と回収、記録の転記、ファイルの保管、過去記録の検索、集計のたびに人手がかかります。設備数や拠点数が増えたとき、この工数がどこまで膨らむかを確認した上で選びます。
Excelで管理する
Excelは、業務用のパソコンに既にソフトが入っている場合、、追加の導入費をかけずに台帳と点検様式を整えられます。集計や並べ替えも紙より扱いやすくなります。
Excelでの管理による課題は、運用する中で顕在化していきます。入力形式のばらつき、ファイルの版管理、複数人での同時編集、閲覧権限、集計用マクロの保守が代表的です。作った担当者が異動・退職しても管理を継続できるか、という視点で運用体制を確認しておくと良いでしょう。
保全管理システムを活用する
保全管理システムには、初期設定と設備台帳の整備、ライセンス、現場で使う端末、他システムとの連携、担当者の教育、保守の費用がかかります。紙やExcelに比べて導入時の負担は大きい一方、点検計画、実績、部品、費用を一元管理でき、転記や集計の工数を減らせます。
選定時は、どこまでを一元管理の対象にするかと、現場の担当者が迷わず入力できるかを確認します。入力されないシステムは、費用だけが残ります。なお、設備台数・拠点数が増えるほど、紙・Excelの集計工数は増え、システム化のコストメリットが相対的に大きくなります。
状態監視を組み合わせる
状態監視は、センサー、通信、解析、保守の費用が加わる一方、設備の状態データを点検頻度や実施時期の判断に使えるようになります。時間基準で一律に行っていた点検・交換を、状態に応じて調整する材料が得られます。
ただし、状態監視を導入すれば予防保全が自動で完結するわけではありません。データを確認し、しきい値を見直し、判断する運用はそのまま残ります。
なお、状態監視のデータから将来の故障時期を予測して対処する保全方式は、予知保全と呼ばれます。詳しい仕組みは「予知保全(予兆保全)とは?予防方法との違いやAIやIoTを活用した導入ステップを紹介」の記事で解説しています。
予防保全の実施体制を決める判断基準
実施体制は、費用の安さだけで決めると、故障対応の遅れや運用の頓挫という形で総費用が増えます。設備のリスクと体制の継続性まで含めて判断するために、次の5つの軸で自社の状況を確認します。
判断軸 | 確認質問 | 選択への影響 |
|---|---|---|
設備リスク | 停止、安全、品質への影響は大きいか | 高いほど専門支援・緊急対応を重視 |
規模 | 設備台数・拠点数・移動時間はどの程度か | 多いほど標準化・集計・システム化を検討 |
社内能力 | 人数、技能、資格、代替要員は足りるか | 不足分を教育・外注で補う |
部品・復旧 | 部品納期、メーカー保守期限、復旧時間は | メーカー・専門業者との契約条件に反映 |
継続性 | 記録の引き継ぎや契約終了時の移行はできるか | 属人化と、委託先を変えにくい契約条件を確認 |
予防保全の実施体制を決める判断基準
5つ目の継続性は、支援範囲や記録の引き継ぎと切り離せないため、最後の項でまとめて扱います。それぞれの軸を、順に具体化します。
設備の重要度・台数・拠点数
最初に確認するのは、設備が止まったときの影響です。停止による利益への影響、安全や品質への影響、代替設備の有無で設備の重要度を分け、重要度の高い設備ほど手厚い体制を割り当てます。
あわせて、設備の台数と拠点数、拠点間の移動時間を確認します。台数が多く拠点が分散しているほど、点検の移動と記録の集計に工数がかかり、標準化やシステム化の価値が高まります。
社内の人数・技能・資格
内製でどこまで担えるかは、人数だけではなく中身で決まります。必要な技能と資格、これまでの経験、教育にかけられる時間、繁忙期や夜間・休日の対応、担当者が休んだときの代替要員まで確認します。
足りない部分を教育で補うのか、外注で補うのかが、実施主体の分担を決める材料になります。無理に内製へ寄せると、点検の未実施という形で費用が跳ね返ります。
故障頻度・部品調達・停止時間
過去の故障履歴から、故障頻度と復旧までの時間を確認します。あわせて、部品の納期と、メーカーの保守対応期限も調べておきます。保守期限が近い設備は、部品調達や技術支援の面で外部契約の条件が変わるためです。
ここで注意したいのは、単価が安い体制でも、故障時の復旧が長引けば停止の損失で総費用が増える可能性があることです。緊急時に誰がどれだけ早く動けるかまで含めて、体制の費用を評価します。
支援範囲・連絡体制・記録の引き継ぎ
外部と契約する場合は、支援範囲と連絡体制を具体的に確認します。点検の範囲、報告書の内容、点検データの所有者、作業の再委託の有無、受付時間と現地到着までの時間、一次対応を誰がするかが確認項目です。
さらに、契約が終わるときのことも最初に決めておきます。蓄積した点検記録を自社へ引き継げるかどうかで、委託先を変えるときの負担が大きく変わります。記録が引き継げない契約は、見た目の費用以上に自社を縛ります。
予防保全の費用を抑えて継続する方法
予防保全の費用を抑えるといっても、点検の頻度を一律に下げるような削減は、安全や品質を犠牲にして故障の損失を呼び戻します。費用を抑える基本は、対象の絞り込みと運用の見直しでムダを減らすことです。
重要設備から優先して始める
すべての設備を同じ頻度・同じ方法で点検する必要はありません。停止したときの影響、安全・品質への影響、故障の頻度で設備を分類し、重要設備に手厚く、影響の小さい設備は簡素に、とメリハリを付けます。
対象を絞ると、初期の費用と工数を抑えながら、効果の出やすいところから予防保全を定着させられます。
実績に基づいて周期と作業内容を見直す
点検の周期と内容は、決めたら終わりではありません。点検結果、故障の発生、交換した部品、作業時間、停止時間を記録し、実績に照らして「過剰な点検」と「不足している点検」を見直します。状態の良い設備の点検間隔を延ばせれば、費用はそのまま下がります。
ただし、メーカーの推奨基準や法令で定められた点検は、費用を理由に頻度を下げてはいけません。見直しの対象は、自社の裁量で決めている部分に限ります。
内製と外注の役割を分ける
費用を抑える分担の考え方はシンプルです。頻度が高く手順を標準化しやすい作業は内製で行い、頻度が低く専門性や資格が必要な作業は外注に任せます。逆の割り当てをすると、低頻度の作業のための教育費や、定型作業の契約費がかさみやすくなります。
大切なのは、それぞれの作業をなぜその主体に割り当てたのか、理由を持って分けることです。理由があれば、状況が変わったときにも分担を見直せます。
小規模に試し、年間総費用と効果を測る
体制を一気に切り替えるのではなく、まず小規模に試します。対象設備、期間、担当、費用の範囲、評価指標を決めてから始めると、結果を判断に使えます。試行期間の目安は3ヵ月〜半年程度で、点検の周期を最低でも数回りできる長さを確保します。
効果は、点検実施率、作業工数、故障件数、停止時間、緊急対応の費用を導入前後で比較して確認します。数字で効果を確かめてから広げることで、費用のかけ過ぎも、効果の出ない継続も避けられます。
ここまでの5つの軸を、実際に自社の状況にあてはめて考えてみましょう。以下の質問に答えると、内製・併用・外注のどの体制が向いているか、傾向を診断できます。
実施主体と管理方法を決めて予防保全の費用を見極めよう
予防保全の費用は、誰が実施するかと、どのように管理するかの掛け合わせで決まります。見積もりの手順は、対象設備の整理から始まり、必要な専門性の確認、実施主体の分担、管理方法の選択、年間総費用の算出、小規模な検証、という流れです。
費用の内訳では、人件費・教育、部品・工具、外注・契約、停止・管理の4区分に、移動や立ち会い、引き継ぎといった見落としやすい項目まで含めます。実施主体と管理方法は、費用の安さだけではなく、設備のリスク、社内の人員、記録の引き継ぎやすさまで含めて選びます。
内製と外注のどちらか一方が正解ということはありません。自社の設備と人員に合う組み合わせを、小さく試して数字で確かめながら見極めていきましょう。





















