業務効率化やコスト削減、働き方改革、環境対応などの観点から、紙の書類を電子化する、ペーパーレス化がさまざまな業界で進んでいます。紙による情報管理は非効率や属人化の要因となりやすく、業務全体の生産性や正確性に影響を与えることもあります。
本記事では、ペーパーレス化の概要や業界別の取り組み事例、実践のステップや導入手段について解説します。具体的な成功事例とともに、現場に合ったペーパーレス化の進め方を検討するためのヒントを紹介します。
ペーパーレス化を進めるための具体事例や方法、活用できるツールなどをまとめた資料「現場DX3点セット」は以下のボタンから無料でダウンロードできます。

目次ペーパーレス化とは
ペーパーレス化とは、これまで紙でやり取りしていた書類や資料、記録を電子データに置き換え、業務の効率化や省資源化を図る取り組みです。業界や職種を問わず、多くの企業で導入が進んでおり、デジタル技術を活用した業務改善であるDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するうえでも重要なステップとなります。
近年では、電子帳簿保存法への対応も、ペーパーレス化を後押しする大きな要因の一つです。電子帳簿保存法は、国税関係書類を電子データで保存することを認めた制度で、2022年の改正により要件が緩和され、電子保存やスキャナ保存の活用が現実的になりました。これにより、請求書や領収書といった書類を紙で保存せずに済むようになり、法令対応と業務効率化を同時に進められる環境が整いつつあります。
参考:電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁
業界に関係なく、次のような業務や書類はペーパーレス化が可能です。
経費精算、勤怠管理、給与明細の配布
稟議書、報告書、契約書、請求書などの社内文書
研修資料、教育教材、マニュアル
アンケートや申請書類
会議資料や議事録
ペーパーレス化を業界別に見ると、以下のような事例が挙げられます。
業種 | 事例 |
|---|---|
製造業 | 作業手順書、点検表、品質管理表などの帳票を電子化 |
医療業界 | 問診票、診療記録、会計明細書などをデジタル管理 |
建設業 | 工程表、安全書類、現場報告書をタブレットで共有 |
小売・サービス業 | シフト表、マニュアル、売上報告の電子化 |
教育業界 | 学習教材、授業計画書、成績表などの書類をオンライン化 |
業界別 ペーパーレス化事例
これらの取り組みは、単に紙を使わなくなるというだけではありません。業務データをリアルタイムに共有・活用できるようになり、情報の正確性や業務のスピードが上がります。つまり、ペーパーレス化は業務の効率化だけでなく、業務のクオリティ向上とデータ活用による組織変革にもつながるのです。
加えて、保管スペースの削減や、災害・紛失リスクの低減、テレワークなど柔軟な働き方への対応といった効果も得られます。環境負荷の低減にもつながるため、企業の社会的責任(CSR)やESGの観点からも注目されています。
このように、ペーパーレス化は法令対応を含む業務改善・DX推進・働き方改革・環境対策のすべてに関わる、重要な取り組みとなっています。
参考:ペーパーレス化とは?デメリットと対策、工数削減に繋がった事例を紹介|カミナシ
業界別のペーパーレス化成功事例7選
政府によりDX化が推進され、業界ごとにペーパーレス化のためのさまざまな取り組みが行われています。食品製造や機械製造、ホテル、物流、飲食、建設、印刷の7業種を取り上げ、実際の事例を1つずつ紹介します。
【食品製造】記録表の書式の統一に課題
静岡県に本社を構えるカメヤ食品株式会社は、わさび製品や漬物などの加工食品を製造・販売している老舗の食品メーカーです。品質へのこだわりを大切にしながら、現場の業務改善とともにペーパーレス化にも積極的に取り組んでいます。

画像引用元:参考:カミナシだからできたISO22000の取得。老舗の食品製造会社が地元食材で世界一のわさび屋を目指す|カミナシ
同社では、各現場で使用する記録表の書式がバラバラであることや、従業員によって記入の仕方にもばらつきもあり、管理や確認作業に手間がかかっていました。また、紙の帳票は保管スペースの確保や、記録の保存・検索にも負担が大きく、課題と捉えていました。
海外輸出に本腰を入れるために、食品安全マネジメントに関する国際規格であるISO22000の認証取得を目指していた同社は、品質管理体制の強化とあわせて、現場の業務を見直し、帳票のデジタル化を進めました。
現場帳票のデジタル化ツールのカミナシを導入した結果、すべての記録表のフォーマットを統一や、担当者がリアルタイムに記録を行える体制の構築ができました。記録項目ごとに入力ルールを設けたり、写真を添付できる機能を活用することで、記録の質と一貫性が高まったと振り返っています。
紙の使用量削減や保管スペースの削減につながり、業務全体の負荷軽減にもなりました。ISO22000の認証取得もスムーズに進めることができ、品質管理体制の強化と業務効率化の両立を実現しました。
参考:カミナシだからできたISO22000の取得。老舗の食品製造会社が地元食材で世界一のわさび屋を目指す|カミナシ
カメヤ食品株式会社が用いた電子帳票ツール「カミナシ レポート」や製造業DXの進め方、その他の成功事例をまとめた「現場DX3点セット」は以下のボタンから無料でダウンロードできます。

【機械製造】点検表の承認に時間を浪費していた
撚り線機などの電線製造機械を手がける株式会社キンレイは、安全管理の徹底を重視し、設備点検業務の効率化を進めてきました。紙の点検表による運用から脱却し、スマートファクトリー(IoTやAIを活用して生産工程を最適化した工場のこと)実現に向けたペーパーレス化に取り組んでいます。

画像引用元:「カミナシはスマートファクトリーへの第一歩」―紙の点検表の電子化をきっかけに、社内のデジタル化を一気に推進|カミナシ
同社では、フォークリフトやクレーンの設備点検を紙の点検表で行っており、点検後は毎朝、管理者が1人ずつ記録内容を確認・承認していました。この承認作業には毎日約75分を費やしており、作業者も管理者も始業前に長時間拘束される状況が常態化していました。さらに、承認作業のために管理者が事務所に待機しなければならず、他の業務に支障が出るという問題も抱えていました。
そこで、点検表の承認業務を省力化し、作業者・管理者双方の業務負担を軽減することが急務と考え、現場帳票のペーパーレス化に着手しました。
検討を重ねた末に、現場の帳票をデジタル化するツールのカミナシを導入し、点検表の電子入力を実現させました。作業者はタブレットを使って点検結果を入力し、管理者は遠隔からでもリアルタイムで承認できる仕組みに変更しました。
また、3ヶ月ごとの定期点検に合わせた帳票の切り替えや、写真添付機能による点検内容の可視化も導入しました。記録の正確性と管理レベルの向上を図りました。
この取り組みによって、工場全体の業務時間は1ヶ月あたり約25時間、管理者は1日あたり約1時間の時間削減を実現しました。始業前の承認待ちも解消され、作業のスムーズな開始が可能になりました。
点検内容がその場で確認できるようになったことで、記録ミスや記入漏れも大幅に減少しました。写真付きの記録が残るため、異常発見時の対応や後工程への情報伝達も迅速化しました。
参考:「カミナシはスマートファクトリーへの第一歩」―紙の点検表の電子化をきっかけに、社内のデジタル化を一気に推進|カミナシ
【宿泊・ホテル業】紙帳票に起因する管理業務や品質のバラつきの解決が困難であった
全国に300を超えるホテルを展開するルートインジャパン株式会社では、業務の標準化と品質管理の徹底が重要なテーマとなっています。紙帳票による情報管理の限界を感じていた同社は、全施設での業務効率化とサービス品質の均一化を目指し、現場のペーパーレス化に取り組みました。

画像引用元:紙の帳票は組織拡大の阻害要因。国内最大級のホテルチェーンがカミナシの導入を決めた理由とは?|カミナシ
同社では、これまで業務記録やチェックリストを紙の帳票で管理していました。現場ごとに記録の方法や内容に差があり、情報の記入漏れや保管ミスが発生しやすい状況でした。加えて、紙の記録を集計・管理する業務にも多くの時間がかかり、全国の施設で業務品質にバラつきが生じていることが大きな課題でした。
2025年までに500店舗展開を目指している中で、管理体制の効率化とサービス品質の均一化が求められていましたが、紙の帳票管理の限界を感じていた同社は、現場業務の見える化と標準化を実現できるツールとして、帳票のデジタル化を検討しました。そして、全施設で一貫した品質管理を実現するために、デジタル化ツールであるカミナシの導入を決定しました。
業務記録やチェックリストをタブレットで入力できるようにし、各現場からの情報をリアルタイムで本部と共有できる仕組みを構築しました。また、デジタル化にあわせて業務プロセスの見直しと標準化も実施し、現場の混乱を防ぎながらスムーズな定着を図りました。
帳票のペーパーレス化を推進した結果、年間約14万枚の紙帳票削減が見込まれ、印刷や保管にかかるコストも大幅に削減されました。情報共有がリアルタイムで可能になり、記録の確認・管理業務が効率化されました。
サービス品質のばらつきも軽減され、どの施設でも一定の基準に基づいた対応ができるようになったことも成果の一つです。また、本部が現場の状況を即時に把握できるようになり、マネジメント体制の強化にもつながっています。
参考:紙の帳票は組織拡大の阻害要因。国内最大級のホテルチェーンがカミナシの導入を決めた理由とは?|カミナシ
【運輸・物流】紙ベースの点検承認業務が煩雑でコストも負担になっていた
医薬品の輸送を行う株式会社グリーンサービスでは、車両点検の紙帳票による管理に課題を抱えていました。業務負担の軽減と点検品質の向上を目的に、全営業所でペーパーレス化を推進しています。

画像引用元:ドライバーと車両の安全を保証し営業停止リスクを防ぐ。18営業所の車両点検をカミナシでペーパーレス化|カミナシ
同社では、営業所ごとにドライバーが紙の帳票で車両点検を行い、所長が承認・保管する運用を行っていました。しかし、この点検承認業務は手間がかかるうえに煩雑で、業務負担の大きさが課題でした。年間50〜60万円かかっていた用紙代も無視できないコストとなっており、さらに点検の記録方法に統一性がなく、点検品質にもばらつきが生じていました。
そのような課題を抱える中、親会社である中北薬品株式会社がDX方針を掲げたことを受け、同社でも業務のデジタル化を検討することになりました。特に、法令で義務づけられている日常点検や定期点検を正確に、かつ効率的に管理する必要があることから、まずは紙帳票をデジタル化し、現場の業務改善を図ることを決断しました。検討の結果、カミナシの導入を決めました。
同社では18営業所にカミナシを導入し、車両点検業務のデジタル化を推進しました。点検結果はタブレット端末を使用して記録され、各営業所の点検状況が管理画面でリアルタイムに把握できるようになりました。
また、点検項目ごとに写真を添付できる機能を活用することで、タイヤの摩耗やブレーキランプの不具合といった小さな異常も視覚的に共有できるようになりました。営業所長による承認業務も端末上で完結できるようになり、従来の紙ベースでの運用に比べて大幅に効率化されました。
最終的に同社では、年間50〜60万円の用紙コストを削減しました。さらに紙の回収・保管業務が不要になったことで、所長やドライバーの負担も軽減されました。点検データはリアルタイムで確認できるため、点検漏れや記録ミスも防げるようになりました。点検品質のバラつきが解消され、安全性の向上にもつながっています。
参考:ドライバーと車両の安全を保証し営業停止リスクを防ぐ。18営業所の車両点検をカミナシでペーパーレス化|カミナシ
株式会社グリーンサービスが用いた電子帳票ツール「カミナシ レポート」や製造業DXの進め方、その他の成功事例をまとめた「現場DX3点セット」は以下のボタンから無料でダウンロードできます。

【飲食業】紙での管理が業務効率の低下を招いていた
ロイヤルホストやてんやを展開するロイヤルフードサービスでは、衛生管理に関わる紙帳票の運用が現場負担の原因となっていました。店舗業務のDX推進の一環として、全ブランドでペーパーレス化に取り組んでいます。

画像引用元:カミナシを活用し、「ロイヤルホスト」「てんや」など全国約350店舗のDXを推進中。店舗から紙の帳票を削減し、全社的な業務効率化や品質管理の強化を実現|カミナシ
同社では、HACCP対応を含む衛生管理記録を紙の帳票で運用していました。各店舗には常時10枚以上の紙帳票が設置され、差し替えやファイリングに毎日30〜40分を要するなど、業務負担が大きい状況でした。
また、記録内容の本部共有にも時間がかかり、迅速な対応が難しいことや、筆記用具や紙を厨房に持ち込むことによる衛生面のリスクも課題となっていました。
同社では全社的に、店舗業務のDXを推進しており、業務効率の改善と品質管理体制の強化を進めていました。とくにHACCPへの対応を背景に、衛生管理の記録精度向上と効率化の両立が急務でした。帳票のデジタル化を進めるためにカミナシの導入を決定しました。2020年6月に2店舗での試験導入を実施し、2021年6月までにてんや約120店舗、ロイヤルホスト約220店舗、その他ブランドを含めて約350店舗にカミナシを導入しました。各ブランドごとに最適な帳票の型をDX推進チームがノーコードで構築し、現場に展開し、タブレット端末を使用して帳票への入力を行うことで、紙の運用を全面的にデジタル化しました。
この取り組みにより、1店舗あたり月間約40枚の紙帳票を削減し、帳票の差し替えや保管業務の手間を大幅に削減しました。記録はリアルタイムで本部と共有できるようになり、情報の集約と対応スピードが向上しました。さらに、厨房への筆記用具の持ち込みが不要となったことで、衛生管理の質も高まりました。
参考:カミナシを活用し、「ロイヤルホスト」「てんや」など全国約350店舗のDXを推進中。店舗から紙の帳票を削減し、全社的な業務効率化や品質管理の強化を実現|カミナシ
【建設業】車両や重機の安全確認に不安を抱えていた
道路舗装や土木工事を行う美保テクノス株式会社では、安全確認業務の効率化を目的に、重機点検のペーパーレス化を推進したことで、現場の記録精度と対応スピードを大きく向上させました。

画像引用元:カミナシで 一人あたり月22時間の業務時間を削減し「建設業界の2024年問題」を乗り越える|カミナシ
同社では、車両や重機の安全点検を紙の帳票で管理していました。点検内容は作業員が手書きで記録した後、事務所に提出される運用でしたが、手書きによる記入ミスや記録のばらつき、確認作業の遅れが発生していました。
また、情報共有までにタイムラグがあり、重機の異常に即座に対応できないリスクも存在していました。さらに、帳票の整理や保管にも工数がかかり、全体的に非効率な状態でした。
以前からBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入など、建設業のDXに積極的に取り組んでいました。その一環として、車両や重機の点検業務もデジタル化したいと考えていたところ、現場帳票のデジタル化に特化したカミナシの存在を知り、導入を決定しました。
カミナシ導入後は、紙の点検表を廃止し、タブレット端末での入力に切り替えました。現場での点検結果はその場で記録され、リアルタイムに事務所や管理者が確認できます。また、点検項目の入力におけるチェックリスト形式や写真添付機能を活用することで、記録の標準化と証拠性の高い情報共有が可能になりました。特にベテラン従業員にも馴染みやすい画面設計が功を奏し、スムーズに現場に浸透しました。
ペーパーレス化を推進した結果、一人あたり月22時間の業務時間を削減。日々の点検作業が効率化され、情報の共有も迅速になったことで、異常への対応スピードが大幅に向上しました。記録ミスの減少とともに、車両・重機の管理精度も上がり、安全管理レベルの向上にも寄与しています。
参考:カミナシで 一人あたり月22時間の業務時間を削減し「建設業界の2024年問題」を乗り越える|カミナシ
美保テクノス株式会社が用いた電子帳票ツール「カミナシ レポート」や製造業DXの進め方、その他の成功事例をまとめた「現場DX3点セット」は以下のボタンから無料でダウンロードできます。

【印刷・パッケージ業】取引先からの問い合わせに早期対応ができてなかった
食品用パッケージの製造を手がける株式会社ほしゆうでは、紙帳票による情報管理が取引先対応や品質管理の課題となっていました。業務の精度とスピードを高めるため、帳票の全面的なデジタル化を進めています。

画像引用元:製造部のデジタル化の一歩目にカミナシを導入。毎月3,000枚以上の帳票がゼロに|カミナシ
同社では、製造現場で毎月3,000枚以上の紙帳票を使用し、検品や作業記録を紙で管理していました。記録の保管や検索に手間がかかり、取引先からの問い合わせに迅速に対応できないことが大きな課題でした。また、記入ミスや記録漏れのリスクもあり、品質管理の正確性にも不安が残る状態でした。
品質や納期を守るために、記録の検索性と保存性を高めるために製造現場の帳票をノーコードでデジタル化できるツールのカミナシを導入しました。現場作業を止めることなく、これまでの帳票業務をそのまま再現できる点が導入の決め手となっています。デジタル化によって問い合わせ対応のスピードと正確性を高め、現場の負担も軽減したいという狙いを持ち、活用を推進していきました。
カミナシ導入後、これまで紙で運用していた検品記録や作業内容の記録を電子化しました。現場ではタブレットを使ってチェック内容を入力し、写真や選択式入力で記録の精度を担保しています。
帳票の構成や項目は既存の紙帳票と同じ形式に設定し、現場の混乱を最小限に抑える工夫もしています。また、作業終了後には自動的にデータが保存されるため、紙の保管や整理業務も不要になりました。
帳票を電子化した結果、、月3,000枚以上使用していた紙帳票がゼロになり、紙代や帳票を保管するスペースの削減に成功しました。記録の検索性が向上したことで、取引先からの問い合わせにも迅速に対応できるようになり、信頼性の向上にもつながっています。写真付きの記録により、万一のトラブル時にも状況を正確に把握できるため、社内の品質管理意識も高まりました。
参考:製造部のデジタル化の一歩目にカミナシを導入。毎月3,000枚以上の帳票がゼロに|カミナシ
ペーパーレス化を進める方法
ペーパーレス化を効果的に進めるには、業務全体を見渡したうえで、段階的に取り組むことが重要です。紙の書類や帳票をなくすだけではなく、業務フローの見直しや社内ルールの整備、デジタルツールの活用など、多面的な準備が求められます。やみくもにツールを導入しても、現場に即していなければ定着せず、かえって混乱を招くおそれもあります。
そこで本章では、ペーパーレス化をスムーズに進めるための5つのステップと、実際に活用できる具体的な手段を紹介します。業務の棚卸しから始めて、自社に合ったやり方で着実に進めていけば、無理なく継続的に効果を出すことができます。
ペーパーレス化を進めるための5ステップ
ペーパーレス化を成功させるためには、段階的に進めていくことが重要です。ここでは、現場に無理なく定着させるための基本的な進め方を、5つのステップに分けて紹介します。
紙を使っている業務を棚卸しする
デジタル化の対象を選定する
電子化の方法を検討・導入する
社内ルールを整備する
定着と効果検証を行う
1.紙を使っている業務を棚卸しする
ペーパーレス化を進めるには、現在の業務で紙を使用しているものの洗い出しから始めましょう。帳票や契約書、申請書類、報告書、会議資料など、部門ごとに使われている紙の書類を把握します。あわせて、それぞれの書類の目的と業務フロー、頻度、保存期間なども確認し、どのように使われているかを明確にします。
この段階で現場の担当者にもヒアリングを行い、実際の運用や困りごとを把握します。業務の全体像を可視化しておくことで、後の優先順位付けやシステム選定に役立ち、ペーパーレス化の取り組みが現場に合った形で進められるようになります。
2.デジタル化の対象を選定する
次に棚卸しした紙業務の中から、デジタル化すべき対象を選定します。すべてを一度に電子化するのではなく、効果が大きく、かつ実現しやすい業務から段階的に進めることで成果の実感が得やすくなります。
たとえば、紙の保管量が多かったり、作業時間が長かったり、情報共有に時間がかかる業務などを優先的に進めます。
また、法令や業界特有のルールによって、紙の保存が求められるケースもあるため、法的要件の確認も欠かせません。対象の選定は、実際にデジタル化に取り組む部門と連携しながら進め、現場の理解と協力を得ることで成功への道が拓けます。
3.電子化の方法を検討・導入する
対象業務が決まったら、電子化する具体的な方法を検討します。スキャナで紙をPDF化するだけでなく、帳票入力システムやワークフロー管理ツール、電子契約サービス、クラウドストレージの活用など、業務の性質に合わせた方法も検討しましょう。
また、既存の業務フローをそのまま電子化するのかフロー自体を見直すのかも検討のポイントです。ツールの導入にあたっては、使いやすさや既存システムとの連携、セキュリティ面も確認が必要です。現場での試験導入(トライアル)を経て、課題や使い勝手を把握しながら段階的に展開すると、混乱を防ぎつつスムーズな移行が可能になります。
4.社内ルールを整備する
電子化した仕組みを社内で定着させるには、ルールの整備が不可欠です。紙のときとは運用が変わるため、入力の手順や承認フロー、保存ルール、ファイル名の命名規則、セキュリティ対応などを明文化し、全社員に周知します。
また、従来の慣習で紙を使っていた場面についても、紙を使わない目的や代替手段などの背景を含めて説明すると、実際の作業がイメージでき、現場の理解が深まります。
ルールは一度作って終わりではなく、運用しながら必要に応じて見直しを行う柔軟性も大切です。ルールと現場運用のズレを最小限に抑え、形だけの電子化にとどまらない、本質的な業務改善が実現してください。
5.定着と効果検証を行う
ペーパーレス化は導入して終わりではなく、定着させ、効果を確認しながら改善していくことが大切です。導入後は、実際に現場で問題なく使われているかや、業務の効率は改善されているか、紙の使用量は減ったかなどを定期的に確認します。
必要に応じてアンケートやヒアリングを実施し、現場の声をもとにルールやシステムの改善を行います。また、具体的な成果を数値で可視化し、社内に共有することで、他部署への展開やさらなるデジタル化への意欲にもつながります。定着と検証を継続的に行えば、ペーパーレス化の効果を最大限に引き出せます。
ペーパーレス化を行うための手段
ペーパーレス化を推し進めるには、自社の業務に合った適切な方法を選ぶことが重要です。単に紙をなくすだけでなく、業務の流れそのものを見直し、業務効率や情報管理の質を向上させます。ここでは、具体的な手段を紹介します。
申請・承認の電子化
帳票や文書のPDF化とクラウド保存
電子契約サービスの利用
タブレット端末の活用
スキャナー・OCRを使った紙のデータ化
外部支援サービスの活用
まず、社内の申請・承認業務は、ワークフローシステムなどを活用することで電子化が可能です。これにより、紙の申請書類の印刷や押印、回覧といった手間が不要になり、リモート環境でもスムーズに処理できます。
帳票やマニュアルなどの紙資料は、PDF化してクラウドに保存することで、共有や検索が容易になります。過去の紙資料も、スキャナーやOCR(光学文字認識)を使ってデータ化すれば、再活用や分析に役立ちます。
契約書などの法的文書は、電子契約サービスを活用すれば、郵送や押印の手間を省きつつ、法的な有効性を担保した形で締結できます。現場作業では、タブレット端末を使って記録・点検・報告などをリアルタイムで入力することで、紙の帳票を大幅に削減できます。
自社だけで進めるのが難しい場合は、外部の支援サービスを活用するのもおすすめです。業務整理からシステム選定、運用定着まで一貫してサポートしてくれるため、失敗のリスクを抑えて取り組めます。これらの手段を組み合わせ、自社に合った形でのペーパーレス化導入が成功の鍵です。
成功事例をヒントに、現場に合ったペーパーレス化をしよう
ペーパーレス化は単なる紙の削減ではありません。業務の効率化、品質の向上、柔軟な働き方の実現、さらには企業の信頼性や持続可能性を高める取り組みです。実際に多くの企業が、自社の業務内容や課題に応じて、段階的かつ現場に即した方法でペーパーレス化を進め、着実な成果を上げています。
重要なのは、自社にとって本当に必要な範囲や手段を見極めることです。成功事例を参考にしながら、自社の業務に合った形で無理のない導入を行うことで、継続的な改善と定着が期待できます。今ある課題の解決につながる第一歩として、現場に根ざしたペーパーレス化を検討してみてください。

記事内で紹介した企業の成功事例以外にもDX化を進めた企業の事例や現場DXを進める方法、現場DXプラットホーム「カミナシ」が解決できる課題、具体的な方法などは以下のボタンから無料でダウンロードできる資料にまとめています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。






















