現場と人ロゴ画像

現場DX3点セット
資料ダウンロード

現場DXの
最新情報を受取る

公開日 2025.04 .18

更新日 2026.03.03

未然防止とは?考え方や再発防止との違い、QCストーリー視点での対策方法を紹介

未然防止とは?考え方や再発防止との違い、QCストーリー視点での対策方法を紹介

企業やそこで働く従業員は、不良品やトラブルを発生させないために、業務の標準化や平準化、KY活動(危険予知活動)による事故防止などの取り組みを行っています。このように、問題が発生する前に原因を特定し、対策を講じることでリスクを減らす活動を未然防止と呼びます。

リスクを未然に防ぐことは、製品の品質を維持し、安定した生産体制を構築するために欠かせません。品質トラブルを未然に防ぎ、生産効率を向上させるためにも、未然防止について正しく理解しましょう。

本記事では、未然防止の概要や考え方、類似する概念である再発防止との違いや、未然防止を実践するための3つのステップ、さらにQCストーリーに基づく具体的な進め方について紹介します。

目次

製造現場のカイゼン活動のために必要な「QCサークル活動」。QC検定保持者が監修した実践的な進め方は以下のボタンから無料でダウンロード可能です。是非ご覧ください。

QCサークルの進め方 -具体的なQCストーリーの例-

未然防止とは?

未然防止とは、問題が発生する前にリスクを特定し、トラブルや品質不良を防ぐために対策を講じる取り組みです。具体的には、発生したトラブルをその場で対処するだけでなく、問題を分析し、根本の原因を明らかにした上で排除するための仕組みを整えることをします。

リスクを減らす活動を行う目的は、製品の品質向上とトラブルの低減です。正しく実施されれば、不良品の発生を削減し、安定した品質の維持が期待できます。さらに、顧客からの信頼を獲得し、企業の価値を守ることにもつながります。

また、品質トラブルが発生しなければ、関係者はトラブル処理に追われることなく業務に集中することが可能です。

未然防止活動は、品質管理の基本であると同時に、企業経営においても欠かせない理念です。現場に限らず、企業全体で未然防止の意識を徹底し、継続して実施することが求められます。

▶ 未然防止とは?考え方や再発防止との違い、QCストーリー視点での対策方法を紹介

未然防止と再発防止の違い

未然防止と再発防止は、どちらも品質管理において重要な理念ですが、定義や目的、実施するタイミングが異なります。製造現場では、両方を組み合わせて実施するケースが一般的です。

未然防止と再発防止の違いを、定義、目的、実施タイミング、効果の観点から表にまとめました。

項目

未然防止

再発防止

定義

問題が発生する前にリスクを予測し、原因を特定して対策を講じることで、トラブルを未然に防ぐ取り組み

すでに発生した問題の原因を特定し、同じ問題が再発しないように対策を講じる取り組み

目的

発生前のリスクを排除し、不良品やトラブルの発生をゼロにすること

発生した問題の根本原因を除去し、同じ問題が繰り返し発生するのを防ぐこと

実施タイミング

設計、製造、検査の各段階

問題が発生した後の対応段階

効果

・トラブルそのものを防ぎ、不良品の発生や手戻りを削減できる
・品質が安定し、顧客満足度の向上につながる

・一度発生した問題の再発を防ぎ、継続的な品質改善につながる
・トラブルの発生頻度を低減し、企業の信頼性を向上させる

未然防止と再発防止の違い

未然防止はリスクの予測と予防措置を重視し、再発防止は発生した問題の原因分析と恒久的な対策を中心に進めます。どちらも製造業に不可欠な取り組みであり、両方を組み合わせて実施することで、不良やトラブルの発生を最小限に抑え、安定した生産体制の維持につながります。

リスクへの対応は優先度をつけて順番に行いましょう。そのため、まずはリスクアセスメントシートで優先度を可視化し、対策を実施するとよいでしょう。リスクアセスメントの書き方については以下の記事で詳しく解説しています。
▶ 【テンプレ+記入例あり】リスクアセスメントの書き方とは?実施手順もわかりやすく解説

未然防止がうまくいかない主な原因

未然防止が思うように機能しない要因としては、主に3つのことが挙げられます。

  • 重要視されていないこと

  • 緊急性の観点から優先順位が低いこと

  • 実施する仕組みがないこと

まず1つ目の要因は、取り組み自体が重要視されていないことです。未然防止は将来起こりうるリスクを想定し、事前に対策を講じる活動です。そのため、目に見える問題が発生していないと、その必要性が十分に理解されず、他の業務に埋もれてしまうことが少なくありません。特に、未然防止の重要性が全社的に共有されていない場合、継続的な取り組みは難しくなります。

2つ目の要因は、未然防止は緊急性が低いと判断され、他の業務に比べて優先順位が下がりがちなことです。多くの企業では、業務改善やコスト削減など、短期間で成果が見えやすい業務が優先されます。その結果、限られたリソースの中で未然防止業務の優先順位が下がり、十分な時間や人員が割かれないまま、実施が困難になります。

3つ目の要因は、未然防止を実施する仕組みが整っていないことです。未然防止に関する専門的な知識や経験が不足している場合、手法を理解し、実行すること自体が難しくなります。

また、適切なルールや評価基準がなければ、対策の効果を検証できず、一時的な取り組みに終わってしまいます。未然防止を継続するためには、標準化や定期的な見直しなど、継続する仕組みが必要です。

未然防止を成功させるためには、現場や経営層が未然防止の重要性を理解し、業務計画に組み込むなど確実に実施する姿勢が求められます。さらに、組織全体で未然防止の具体的な手順を共有し、正しい手順で実施することも重要です。

トラブルや事故の発生を未然に防止するためには、従業員一人ひとりへの丁寧な教育が必要!動画をアップロードをするだけで、テロップと音声読み上げ付きのマニュアルがすぐに作成できる「カミナシ 教育」。形骸化しない「使われ続けるマニュアル」を作るコツや成功事例をまとめたお得な資料3点セットは、以下のボタンから無料でダウンロードできます。

マニュアルDX3点セットのダウンロード

未然防止は3ステップで考える

再発防止は過去のトラブルを防ぐ施策であり、未然防止は将来起こりうるトラブルを防ぐための施策です。トラブル対策は、再発防止だけでは不十分であり、未然防止の実施も欠かせません。

ただし、未然防止の施策をいきなり実施することは難しく、緊急対応を実施したあとに再発防止策を講じ、最後に未然防止をするような3つのステップで進める必要があります。このプロセスを実施することで、発生した問題を迅速に解決し、再発を防止するとともに将来的なリスクにも備えられます。

  1. 緊急対応:被害拡大の阻止とトラブルの鎮静化

  2. 再発防止:根本原因の特定と対策の実施

  3. 未然防止:将来リスクの特定と排除

1.緊急対応:被害拡大の阻止とトラブルの鎮静化

緊急対応のステップでは、発生したトラブルが拡大しないように迅速に対応し、業務への影響を最小限に抑えます。緊急対応では以下の3つを早急に行います。

  • トラブルの事実確認と沈静化(初動)

  • トラブルの直接的な要因の排除と環境改善

  • 拡大防止のため関係者への周知

まず、トラブルの発生事実を正確に把握し、鎮静化するための行動(初動)をします。初動対応では、トラブルの直接的な要因を取り除き、問題が発生した環境の改善に努めましょう。

例えば、不良品が確認された場合は、直ちにその生産ラインを停止し、原因となる工程を見直します。さらに、他の生産ラインにも同様のリスクがないかを調査し、問題が発見されたときは適切な対策を講じます。問題の拡大を防ぐため、発生したトラブルを関係者に報告することも不可欠です。

2.再発防止:根本原因の特定と対策の実施

トラブルが鎮静化した後は、再発を防ぐために根本原因を特定します。表面的な要因の解決では同様の問題が再発する可能性があるため、発生したトラブルの背景から原因を突き止め、対策を講じましょう。

根本原因を明らかにするためには、なぜを繰り返し問いかける「なぜなぜ分析」が効果的です。なぜ?を複数回繰り返すことで問題を深掘りし、根本原因にたどり着きます。

根本原因が特定できたら、どの要因に対してどの対策を講じるかを整理し、実施計画を立てます。再発防止策を確実に実行するために、担当者を明確にし、期限を具体的に設定することが重要です。

再発防止策を実施したら、有効性を評価し、効果が不十分であれば追加対策を行います。予期せぬ二次不具合が発生していないかも確認しましょう。

なぜなぜ分析の具体的な進め方は以下の記事で詳しく解説しています。是非参考にしてみてください。
▶ なぜなぜ分析とは?失敗しないための効率的なやり方を使用事例を使って解説

3.未然防止:将来的なリスクの特定と排除

再発防止策を実施した後は、未然防止を行って将来的なリスクを事前に特定し、対策を実施します。

将来的なリスクは、過去のトラブルを分析して類似したリスクを洗い出すことで把握できます。過去の問題をそのまま個別の事象として扱うのではなく、一般化(現象から属性を外して抽象化し、より広い意味で捉えること)して考えることが重要です。

特定した今後発生しうるリスクは、業務への影響度に応じて優先順位をつけ、重大な影響を与えるものから順に対策を実施します。

未然防止策を効果的に機能させるためには、業務フローに未然防止策を組み込み、標準プロセスとして定着させることが重要です。

さらに、未然防止策は一度導入したら終わりではなく、定期的な見直しが求められます。時間が経つにつれて現場環境や業務が変化し、新たなリスクが発生する可能性があるため、対策が現状に適しているかを検証し、必要に応じて改善を行いましょう。

未然防止型QCストーリーを用いた実践方法

未然防止活動を具体的に進める際には、上記の3ステップをさらに細分化した、未然防止型QCストーリーに沿って進めましょう。

QCストーリーとは、理想的な状態と現状のギャップを明らかにし、その原因を特定して対策を実施し、効果を検証して標準化する一連の問題解決プロセスを指します。問題の特定から標準化までの手順が段階的に示されており、これに沿って進めていくことで重要なポイントを網羅できます。

そして、未然防止型QCストーリーは、緊急対応や再発防止策を講じた上で、未然防止への取り組みをより具体的な実践方法へ落とし込んだものです。これから紹介する8つのステップに沿って、未然防止活動を進めていきましょう。

QCストーリーについては以下の記事で詳しく解説しています。
▶ 【図解あり】QCストーリーとは?3つの型と進め方をわかりやすく解説

1.テーマの選定

未然防止型QCストーリーは、まず顧客のニーズや職場の方針を理解した上で、テーマの選定から始めます。

具体的には、製品や業務をリストアップし、各項目についてトラブルや事故の発生リスクを評価しましょう。評価の際には、危険性の高さや発生頻度などを点数化し、優先的に解決すべき問題を洗い出します。

緊急対応で実施したこと(発生したトラブルを沈静化させた対応したこと)も重要なテーマ候補の1つです。現場での問題対応は一時的な解決になることが多いため、同様のトラブルが再発しないように根本原因を特定し、対策を講じることが求められます。

2.現状把握と目標設定

テーマを決定したら、問題の現状を把握して、未然防止に向けた目標設定を行いましょう。

現状を分析する際には、さまざまな原因を検討します。具体的には、管理不良や技術不良、ヒューマンエラー、設備トラブル、知識不足、スキル不足、意図しないエラーなどが挙げられます。これらの要因を網羅的に調査し、発生している問題の根本原因を特定しましょう。

目標設定では、改善する対象と期間、達成基準の3つを具体化します。最終目標は問題を完全にゼロにすることですが、そこにたどり着くまでの実現可能な段階的目標を設けることが重要です。

ヒューマンエラー対策において、そもそものスタンス・考え方や実践的な対策をまとめた資料は以下から無料でダウンロードが可能です。

3.担当者の割り当てと実施スケジュールの決定

現状把握と目標設定が完了したら、各タスクの担当者を明確にし、実施スケジュールを決定します。

担当者の割り当ては、単に作業を分担するだけではなく、各メンバーの専門性を考慮して選定しましょう。例えば、設備に関する未然防止対策であれば設備保全担当者を、製造工程の改善であれば生産技術担当者を割り当てることで、見当違いな対策を講じてしまうことを防げます。

また、計画の進捗状況の定期的な確認も重要です。必要に応じて調整を行う責任者(リーダー)を決めておき、各担当者と連携しながら計画を管理することで、活動を滞りなく進められます。

さらに、実施スケジュールには具体的な期限を設定し、ガントチャートで可視化すると、進捗状況や遅れが一目で把握でき、計画を最後まで円滑に進められます。

4.過去の失敗や起こりそうな失敗を収集し類型化

実施スケジュールが決定したら、次は過去の事故やトラブルの原因となった失敗を収集し、整理した一覧表を作成するのがおすすめです。

対象となるプロセスを可視化するために、プロセスフロー図や機能ブロック図を活用し、複雑な工程を理解しやすい形に整理します。さらに、検討を深めるために、これらの図をサブプロセスやサブコンポーネントといった小さな単位に分解します。

次に、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:失敗モード影響分析)を用いて、得られたサブプロセスやサブコンポーネントをFMEAの一覧表に記載しましょう。この際、過去に発生した失敗だけでなく、将来的に起こりうる全ての失敗を考慮して洗い出すことが重要です。

失敗を洗い出したら、RPN(Risk Priority Number:危険優先指数)を算出し、リスクの大きさを数値で評価します。この評価に基づき、対策を講じる失敗を決定します。

FMEAは以下の記事で詳しく解説しています。
▶ FMEA(故障モード影響度解析)とは?製造業における重要性やFTAとの違いを解説

5.対策案の作成と水平展開

失敗の収集と整理を済ませたら、具体的な対策案を作成します。まず、過去に実施した失敗防止対策の中から、効果が確認された事例を収集して整理しましょう。これらの情報は、対策発想チェックリストや対策事例集としてまとめておくと、今後の対策立案時に役立ちます。

次に、対策が必要な失敗に対して、チェックリストや対策事例集を適用し、できる限り多くの対策案を作成します。

対策案を作成したら、対策分析表を用いて有効性を評価しましょう。有効そうなものとそうでないものを分類し、有効そうな対策案を組み合わせて最終的な対策案とし、水平展開します。

カンタンにチェックリストを作成したい方、必見。直感的な操作で使いやすい「カミナシ レポート」の資料や帳票の電子化に成功した企業の事例をまとめた3点セットは、以下のボタンから無料でダウンロードできます。

チェックリストを電子化して、抜け漏れなし!転記不要!

6.実施した未然防止策の効果確認

未然防止策を実施した後は、その対策が期待通りの結果をもたらしているかを検証します。対策を講じた後の工程から、トラブルの発生件数や作業ミスの頻度、設備の稼働率などの関連データを収集し、対策前と比較します。

また、RPN(危険優先指数)を用いることで、対策実施前後のリスクの変化を数値で評価できるため、対策の効果の予測も可能です。

もし期待した効果が見られない場合は、再度原因を分析し、問題の本質を明らかにします。その上で、既存の対策の見直しや追加対策の検討を行い、より効果的な解決策を導き出しましょう。

7.未然防止策の標準化と管理の定着

未然防止策を実施した後は、その対策を一時的な対応に終わらせず、業務として標準化することが重要です。標準化が不十分だと、対策が属人的になり、担当者の異動や時間の経過とともに実施されなくなるおそれがあります。

標準化を進めるためには、未然防止策を具体的な手順に落とし込み、誰でも理解できるように文書化します。例えば、作業手順書やマニュアルの作成、教育プログラムへの組み込みを行い、実際の業務で活用できるようにしましょう。

さらに、未然防止策が形骸化しないよう、定期的なフォローアップも必要です。現場で対策が正しく実施されているかを適宜確認し、不備が見つかった場合は改善や追加指導を行います。

標準化の進め方については以下の記事で詳しく解説しています。
▶ 業務標準化とは?メリットや注意点、具体的な手順や成功事例を紹介

8.反省と継続的な改善

最後に、活動内容と成果を振り返り、得られた教訓や改善点を明確にします。各ステップで得た知見や改善点を整理し、次の活動に活かすことで、今後の未然防止活動の精度向上につながります。

振り返りの過程では、各段階が計画通りに進められたか、想定した効果が得られたかを確認しましょう。もし、振り返りの中で新たな課題が発見された場合は、それを次回の未然防止活動に組み込み、さらなる改善へとつなげます。

また、成功事例を社内外に共有することも重要です。事例共有は組織全体の改善意識の向上につながるため、事例集として文書化し、広く共有しましょう。

未然防止活動は一度で完結させるものではありません。定期的に計画を立てて実施し、継続的な改善を目指すことが重要です。

未然防止の重要性と実践方法を知り、リスクを事前に排除しよう

未然防止活動は、事故やトラブルの発生を防ぎ、安定した生産体制を構築するために不可欠です。問題が発生した後に対応するのではなく、リスクを事前に特定し、対策を講じることで業務の効率化と品質の向上を実現できます。

そのため未然防止活動は、基本的な3ステップ(緊急対応と再発防止、未然防止)をベースにし、未然防止型QCストーリーに沿って取り組むと、やるべきことが明確になり、スムーズに進められます。

未然防止活動を確実に行うためには、生産ラインや設備の稼働状況を数値化し、データを収集して分析する体制を整える必要があります。しかし、いきなりIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)など高度な技術の導入はハードルが高い企業も少なくありません。

まずは、データを紙での管理から電子化に切り替えたり、記録の自動化やデータ分析が可能なシステムを導入したりすることから始めるのがおすすめです。

未然防止に役立つ動画マニュアルの成功事例やカンタンに動画マニュアルが作れる「カミナシ 教育」の概要資料をまとめた「マニュアルDX3点セット」は以下のボタンから無料でダウンロードできます。

マニュアルDX3点セットを無料でダウンロードする

執筆者:現場と人 編集部

現場と人では、現場仕事に特化して、 発見や気づき、助けとなるような情報をお届けします。最新の現場DX手法や事例、現場で働く方々の業務改善の取り組み ・書籍やセミナーだけでは、わかりにくい専門分野の情報 ・従業員教育に役立つ基礎基本となる情報をお求めの方は、ぜひ「現場と人」を参考にしてください。

おすすめコンテンツ

現場DXを支えるカミナシサービス一覧

TOP 

> 品質管理

> 未然防止とは?考え方や再発防止との違い、QCストーリー視点での対策方法を紹介